勇者「魔王!お前を倒す!」魔王「ま、参った!」タンス「・・・」 1/5

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勇者「よーし、今日から冒険者だ!王様からお願いもされちゃったし、魔王を倒して世界を救うぞ!」

勇者「まずはやっぱ一人じゃ厳しいし、仲間集めかな。酒場でいいのかな?お酒飲めないんだけど・・・」

ギギイ、バタン

お姉さん「あら、いらっしゃい」

勇者「あ、あのここで旅の仲間を・・・」

お姉さん「ああ、勇者ね。王様から聞いてるわよ。で、どんなメンバーがいいの?」

勇者「え・・・えっと・・・そ、その・・・」

お姉さん「なぁに?はっきりおっしゃい」

勇者「その、やさしくて・・・おっぱい・・・の大きい女の子が・・・いいな」

お姉さん「あはははは。勇者、あんた若いねー」

勇者「それから真っ直ぐで・・・人の気持ちが分かる・・・そんな人がいいです・・・。あ、あとついでに強かったうれしいです」

お姉さん「強さはついでかい?うふふ。まぁ、前半は置いといて・・・」

勇者「置いておかれちゃうんだ」

お姉さん「贅沢言わないの。じゃあ、こんなとこでどう?武道家ちゃんに賢者ちゃん、魔法使いのじいさんよ」

勇者「あ、全部決められちゃった」

お姉さん「あたしが保障するから。ま、がんばっといで。武道家ちゃーん!賢者ちゃーん!魔法使いのじいさん!ちょっと来て」

賢者「そんな大きな声出さなくても聞こえますよ。お姉さん。あなたが勇者様ね。よろしくお願いします」プルン

勇者「よ、よろしくおねがいしましゅ!賢者さん!」

賢者「そんな緊張しなくても良いですよ。それに賢者で結構です」

勇者「は、はい。僕も勇者でいいです。じーっ」

お姉さん「そんなにやわらかいところばっか見ないの!」ポカッ

勇者「み、見てないよ」

魔法使い「ほっほっ!若いもんはええのー。ま、わしも魔法使いでよいぞ。ふぉ!ふぉ!」ペローン

賢者「ちょっ、なに触ってるんですか」

魔法使い「ちょっと手が滑ってしもうた、ほほほっ」

勇者「よ、よろしく」

魔法使い「そんながっかりするな。わしがえーこと色々教えてやるからのう」ニギニギ

武道家「・・・」ポカッ

魔法使い「あたっ!」

魔法使い「ちょっとからかっただけじゃ」

勇者「君が武道家だね?」

武道家「・・・」コクリッ

勇者「どうぞよろしく!」

武道家「・・・」コクンッ

勇者「え・・・えーっと」

お姉さん「この子ちょっと無口だから。ごめんね、仲良くしてあげてね」

勇者「え、そ、そうだったんだ。これからよろしく」

武道家「・・・」コクコク

賢者「では勇者。これからの方針はどうしますか?」

勇者「うん。僕らはこの世界を平和にするために魔王を倒しに行くんだ。だからこれだけは約束して欲しい」

魔法使い「ほほっ。約束とな」

勇者「倒すのは魔王のみ!他は極力殺さない。これで行きたいんだ」

賢者「そ、それは・・・」

魔法使い「難しいのぅ。相手は我らを殺す気でくるんじゃぞ。それでも約束ができますかな?」

武道家「・・・」ジー

勇者「武道家、そんなに見つめないで。世界を支配しようとしている魔王、彼を倒せばすべて収まるんだ。」

勇者「でもそのために沢山殺したり壊したり、そんなことしてその後、僕たちは自分達にがんばったね、っていえるのかな」

賢者「それは、ただ立ちはだかる敵を倒して道を進んでいくより、ずっと苦難の道になりますよ。それを覚悟の上で言っているのですか?」

勇者「うん。それに僕こう見えても今までずっと修行してきたんだ。だからみんなと一緒ならできるよ!」

魔法使い「若いのぅ。じゃが、それが若者の特権じゃ。いいじゃろう。わしは乗るぞい」

賢者「仕方ないですね・・・。勇者、あなた、なかなかいい男になりますよ。うふふ。わたしも協力します」ダキッ

勇者「く、くっつかないで、やわらかいものが・・・」

賢者「うふふ。かーわいい」

武道家「・・・」ダキッ

賢者「あ、取られた」

武道家「・・・」ナデナデ

勇者「子供扱いしないでー。もう、行くよ!」

魔法使い「ほほっ」

賢者「ふふっ」

武道家「・・・」ナデナデ

敵A「げひゃひゃひゃっ」

敵B「おおお!こりゃうまそうじゃねーの!ラッキー!」

敵C「ふしゅしゅしゅしゅー」

敵D「まじうまそうっす」

賢者「まだ敵の領地ではないのにこんなところまで・・・」

勇者「行くよ!丁度一対一だ!」

武道家「・・・」コクン

魔法使い「ほほっ!それでは皆の衆、お手並み拝見じゃわい」

敵B「一番のりー!」ブオン

賢者「おっと。いきなりですか・・・。というか敵がなんか私に注目してるような・・・」

敵D「ずりぃぞ。敵B」

魔法使い「ほっ、敵さんも好きじゃのう」

賢者「ゾゾゾ!や、やめてください。メラゾーマ!」

敵B「ぐぎゃあああああ!」バタリ

勇者「賢者!ちょ、ちょっとやりすぎじゃ・・・。約束したじゃないか!」

賢者「ふふ、燃やしてはいませんよ。周りの空気を焼いたんです。そうすれば酸欠で倒れますからね」

敵B「・・・」ブスブス・・・

勇者「ちょっと焦げてる・・・」

賢者「そのくらい許容範囲です!」ポヨン

勇者「う、うん」

武道家「・・・」ガッ

敵A「・・・」バタッ

勇者「はやっ!」

武道家「・・・」ニコッ

勇者「じゃあ次は僕がいくよ!」ジャキン

敵C「ふしゅー!」

勇者「でえええええい!」ズバン!ゴオオオオ!

敵C「!!!」

魔法使い「な、なんと・・・」

賢者「じ、地面が・・・、割れた!それに剣圧がここまで・・・」

勇者「はずしちゃった・・・」

魔法使い「ちょっとやりすぎじゃぞい」

敵C「・・・」ガクブル

勇者「じゃあ、鞘討ち!てい!」ガッ

敵C「・・・」バタッ

敵D「ふっ、その3人は我ら四天王の中では格下っすよ。俺がリーダーっす。いくっすよ!」ブワッ

魔法使い「次は、わしじゃな」ガッ

敵D「杖で防いだっすか」

魔法使い「じゃあ、わしからいくぞい」ブン

敵D「遅い!」

魔法使い「おっとっと」トトト

敵D「背中ががら空きっす!」ズバッ

魔法使い「油断しおったな。返し突き!!」ドガッ

敵D「ぐ・・・は」バタッ

賢者「ぼ、棒術?」

勇者「え?ま、魔法使ってないじゃないか!」

武道家「・・・」コクコク

勇者「魔法使いじゃなかったの?戦士なの?え?なにそれ!」

賢者「まさか魔法が使えないとか?」

勇者「魔法をつかってよ!」

魔法使い「勇者よ。よく聞いておくのじゃ。おぬしは強さを求めないと言ったが、時に必要になる時もくるじゃろう」

魔法使い「その時、勇者じゃ、魔法使いじゃと己の限界を勝手に定めていては、おぬしの求める心の優しさなど守れんのじゃ!己の持てるすべての力を使い、守らねばならんのじゃ」

勇者「魔法使い・・・!」

魔法使い「ほほっ、な~んちゃって!そんなことを昔の伝説の勇者が言っておったのじゃ。わしは魔法は疲れるからあまり使いたくないんじゃよ~ん」

賢者「なんだ、誰かの受け売りですか。ちょっとカッコイイと思ってしまった私の気持ちをかえしてください」

勇者「もうちょっとマジメにやろうよ」

武道家「・・・」コクコク

魔法使い「ほほっ、惚れてもよいんじゃぞ?」ペローン

賢者「きゃっ!このエロジジイ!メラゾーマ!」ゴー

魔法使い「ギャー!」

【夜更け】

勇者「次の町まで着けなかったね」

賢者「今夜はこのあたりで野宿しましょうか」

武道家「・・・」コクン

魔法使い「ほれっ、火をおこしたぞい。ほめてほめて!」

賢者「さすがに今夜は冷えますね」

勇者「ううう、ぶるぶるぶる」

魔法使い「わしがおこしたんじゃ!わしが火をおこしたんじゃぞ?ほめて!」

賢者「勇者。寒いんですか?だったらもっとこっちに寄ってください」

勇者「え、でも、そんな」

賢者「ほらっくっついたほうがあったかいでしょ」ポヨン

勇者「や、やわらかいところが・・・」ボソボソ

賢者「なんかいいました?」

勇者「ううん?」ブンブン

武道家「・・・」ピトッ

勇者「ぶ、武道家まで・・・」

賢者「みんなでくっつけば寒くないでしょう。このような時の知恵ですよ」

勇者「う、うん。本当にあったかい・・・」

魔法使い「じゃ、じゃあわしもー♪」バッ

賢者「メラミ!」ボボゥ

魔法使い「ぎゃー!」ブスブス

賢者「あなたはこれで十分暖かいでしょう。さ、寝ましょう」

武道家「・・・」スリスリ

勇者「う、うん・・・。眠れるかな・・・」

【キャンプ地の外れ】

魔法使い「ほほっ、今度の勇者はなかなか面白いわい」

魔法使い「強さよりも心を求めるとはのぅ。それも魔王のみを倒すとは」

魔法使い「ほっ、実力もたいしたものじゃわい。最後まで付き合えるとよいがのぅ」

魔法使い「う・・・ごほっごほっ!」ボタボタ

魔法使い「こんな老骨でも最後くらいは役にたたねばのぅ、ほほっ」

魔法使い「こりゃ、おきんかい。もう朝じゃぞ」

勇者「むにゃむにゃやわらか~い」フニフニ

魔法使い「こ・・・こやつは・・・」

賢者「もう朝ですか。あら、勇者ったら、かわいらしい」

勇者「う、う~ん。え?あ、ご、ごめんなさい」バッ

賢者「いいのよ。とっても暖かかったわ」

武道家「・・・」パチリッ

武道家「・・・」ボー

武道家「・・・」スリスリ

勇者「おはよう。くすぐったいよ。武道家」

魔法使い「もういいわい!わしぐれちゃうもん!リア充なんて爆発すればいいんだもん!ふーん!」

賢者「ちょっと魔法使い。そんなすねないでください。夕べは悪かったですよ」

魔法使い「じゃ、じゃあ次からわしも?」

賢者「毛布を貸してあげます」

魔法使い「・・・」

【敵地境界】

賢者「ここからいよいよ敵陣ですね」

武道家「・・・」コクン

勇者「うん。どうやって行こう」

魔法使い「この先は恐らく敵の関所があるじゃろうな。そこさえ抜ければあとは隠れるなり、戦うなりできるのではないかの」

勇者「関所かー。突破できるかなー」

賢者「え?」

武道家「・・・」ビクッ

勇者「え?正面突破するんじゃないの?僕達別にこそこそするような理由はないし」

魔法使い「ほほっ、それはいい。行きますかの」ケラケラ

賢者「む、むちゃです、勇者。」

勇者「だいじょうぶ。ちゃんと手加減するから」

賢者「そ、そういう問題じゃ・・・」

魔法使い「ほっ、ではれっつらごーじゃ!」

【関所】

門番A「はぁ、暇だな。おい、なんか面白いことない?」

門番B「あるわけないだろ」

門番B「給料は安いし」

門番B「仕事は厳しいし」

門番B「奥さんは鬼だし」

門番B「娘は口聞いてくれねーし」

門番B「税金ばか高いし」

門番B「足が水虫だし」

門番B「お姫さんは高慢だし」

門番B「同僚は馬鹿だし、いいことねーよ」

門番A「今・・・なんつった?」ビキビキ

門番B「え?」

門番A「今・・・なんつったっていってんだよ!」

門番B「い、いや、今言った同僚ってのはお前のことじゃなくて・・・な」

門番A「姫さんは高慢だからいいんじゃねーかよ!!あぁ!罵倒されて踏みつけられてー!」

門番B「駄目だこいつ・・・はやく何とかしないと・・・。ん?なんだあれは」

勇者「悪いけど、通してもらうよ!」ビュッ ドス

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