数時間後
魔王「えーと、皆楽しんでくれたみたいだし、よかった!」
魔王「次は勇者たちを倒そうと思います!」
魔物たち「オオオオォォーッ!!」
魔王「じゃあ皆、解散!」
側近「まおーひゃま・・・うっぷ、わらくしも、しつれいいたし・・・うぷっ、ます・・・」
魔王「側近・・・お酒弱いんだから、見栄張って飲まなくても・・・ほら、肩貸してあげるから」
側近「も、もうひわけございません・・・」
魔王「僕もこうなるかもしれないから、あんまりお酒飲みたくないんだよねー」
~魔王城前~
勇者「とりあえず、今日はここらで野宿しよう。明日、周辺の町で本物の魔王城の場所を聞いてみよう」
魔法使い「わかりました」
戦士「今度こそ倒せると思ったのに・・・」
勇者「戦士、よく考えてみろ、あの魔王がそう簡単に姿を見せる訳がないだろう、俺も冷静になるべきだった」
魔法使い「火炎魔法」ボッ
魔法使い「今夜はこのたき火でなんとかしましょう」
勇者「ありがとう」
魔王「いやー、楽しかった楽しかった!!」ザッザッザッ
側近「魔王様の目の前で吐いてしまうとは・・・本当に申し訳ございません」
魔王「いいっていいって」
魔物D「魔王様、あそこで何か・・・煙?」
魔王「あ、ほんとだ・・・人影もある」
勇者「・・・疲れているから幻覚を見ているのか?魔物を大量に連れた奴が見えるんだが・・・」
魔法使い「私にも見えます」
戦士「俺にも見えるぞ・・・」
勇者「てことは本物か・・・で、誰だあれ」
魔法使い「魔物を大量に・・・ま、まさか・・・」
戦士「あれが魔王か!?いやいや、マヌケ面すぎるし、絶対違うだろ!」
勇者「!! こっちに来るぞ」
魔王「えーと、君たち誰?」
勇者「・・・お前こそ誰だ」
魔王「怖いなぁ、初対面の人にそういう態度とっちゃだめだと思うんだけど」
勇者「・・・そうだな・・・俺は勇者」
魔法使い「私は魔法使いです」
戦士「俺は戦士だ」
魔王「・・・勇者?魔法使い?戦士?」
側近「魔王様・・・これ、勇者一行ですよ」
魔王「・・・やっぱり?」
勇者「おい、お前、今「魔王様」って言ったか?」
側近「・・・」
戦士「本物の魔王かy「ちょっと待て」
勇者「おかしくないか?魔王がこんな簡単に姿を現すわけがない」
勇者「つまり・・・影武者、こいつは偽物だ」
魔王(本物なのになー)
側近(魔王様、勇者を騙して、ここは撤退させましょう)
魔王(わかった)
魔王「バレたか・・・」
勇者「本物の魔王の場所を言え」
魔王「し、知らないよ・・・会ったこともないし・・・」
勇者「部下でさえ自分の姿を見せない・・・なんと徹底的な・・・」
勇者「もういい!さっさと消えろ!」
魔王「う、うん・・・」
側近(ラッキーでしたね)
魔王(ありがとう、側近がいなかったら危なかったよ)
勇者「どんなに弱くても、魔物は魔物。そいつらが近くにいる所で野宿は危険だ」
魔法使い「少し遠くに行きますか」
勇者「そうだな」
勇者(魔王め・・・悔しいが、ヤツに頭脳で勝てる気がしない・・・)
勇者(・・・だが!戦いは頭脳だけじゃない!俺は勝つ!)
次の日
勇者「まずは町を探そう、確かこのあたりには、それなりに大きい町があったはずだが・・・」
魔法使い「あ、それなら東の方角ですね」
勇者「よし、行こう」
~魔王城~
魔王「うーん、なんか勇者たちは勘違いしてるっぽいけど・・・チャンス?」
側近「そうですね」
魔王「とりあえず、王都周辺、侵略しちゃう?」
側近「了解しました、各部隊、前回と同じ程度向かわせます」
魔王「成功するといいなー」
しばらくして、王都周辺が魔王軍に侵略された、という話を聞いた勇者一行
勇者「くそっ、完全に油断していた・・・」
魔法使い「まずいですね、このままでは、じきこの辺りも・・・」
勇者「依然本物の魔王の場所は掴めない・・・くそっ、どうすればいいんだ」
戦士「諦めるな勇者、ほかの町にも行ってみよう」
勇者「そうだな・・・」
~魔王城~
側近「魔王様、侵略は無事、成功しました」
魔王「おー、じゃあ、王都があった場所に魔物たちの拠点作って、そこを中心に範囲を広げていこう!」
側近「わかりました、伝えておきます」
魔王「やっぱり、こういうのしてると魔王っぽいよねー」
側近「立派ですよ、魔王様」
魔王「ふふふー」
数日後
勇者「もう、ダメかもな」
魔法使い「あれから、元王都からどんどん侵略は進められていって・・・」
戦士「もう、侵略されてないのはこのへんだけ」
勇者「・・・諦めよう」
魔法使い「勇者様!!・・・いえ、そうですね・・・」
戦士「勇者・・・お、俺は・・・」
勇者「戦士、わかってくれ、今降伏すれば、命は助かるかもしれない、でも」
戦士「わかってる!わかってる・・・だけど!」
勇者「・・・俺は、敵討ちより、お前らの命の方が大事なんだよ」
戦士「・・・・・・すまねえ、勇者。最後まで迷惑かけちまって・・・」
勇者「大変だったが、お前らとの旅、楽しかったぞ」
勇者「さあ、行くぞ」
魔法使い「私たちも・・・魔王の側になってしまうのですね・・・」
勇者「俺だって辛い・・・けど、そうするしかないだろう」
勇者「魔物どもぉ!!!」
魔物D「あれは・・・勇者!!最後の悪あがきをするつもりか!」
勇者「俺達勇者一行は・・・今、この瞬間を以て、魔王軍に降伏する!」
魔物たち「・・・えっ?」
勇者「頼む・・・俺はどうなってもいいから、こいつらの命だけは・・・」
魔物D「・・・とりあえず、魔王城で魔王様の話を」
~魔王城~
魔王「で、えーと、降伏?」
勇者「そうだ、正直、お前たちには勝てない」
側近(勘違いに勘違いか重なって、とうとう降伏までしましたか)
勇者「ただ・・・こいつらの命だけは、助けてやってくれ」
魔王「? 別にいいけど・・・あ、君の命も」
勇者「・・・そうか・・・魔物に感謝はしたくないが、頭は下げておく」ペコリ
勇者「・・・・・・ん?」
勇者「おいちょっとまて、服装が前と少し違うが・・・お前、偽物だろう」
魔王「あーえっと、僕本物」
魔王「この前は君たちが騙されてただけで・・・」
勇者「は?」
魔王「っていうか、君たちが策略とか言ってたのも、全部勘違いだからね?」
勇者「・・・は?」
勇者「はああああぁぁぁっ!?」
魔王「でも、勘違いとはいえ、今降伏したよね?」
勇者「・・・」コクリ
魔王「はい、魔王軍の大勝利、世界征服完了ー」
勇者「俺達の・・・勘違いだったのか・・・」
魔法使い「あれ?もしかして」
戦士「俺達って・・・」
.
勇者・魔法使い・戦士「ものすごいマヌケ?」
・・・こうして、世界は魔王に侵略されたのでした。
世界も、この物語も、おしまい。
転載元:http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1363513706/