~魔王城前~
魔物A「ヴォー・・・」
勇者「くらえッ!」ズバァ
魔物B「ギギーッ!」
戦士「どりゃあ!」ザシュッ
魔物C「グルルル・・・」
魔法使い「火炎魔法!」ゴオォ
勇者「・・・」
勇者「おかしい」
勇者「魔王城はすぐそこだというのに、魔物が弱過ぎる」
魔法使い「そうですね・・・」
勇者「・・・・・・!!」
勇者「俺たちを王都から遠ざけて・・・その隙に王都を襲撃するつもりか!!」
魔法使い「・・・まずいですね・・・」
勇者「くそっ!魔王の策略か!」
勇者「撤退だ!急いで王都に戻ればまだ間に合うかもしれない!」
魔法使い「わかりました!」
戦士「くそぉっ!!」
魔法使い「みなさん私の近くに来てください!」
勇者「空間転移魔法か!・・・いや、魔力の消耗が激しいはずだ!」
魔法使い「いいから早く!時間がありません!」
戦士「勇者、迷ってる時間はない!」
勇者「・・・ああ、わかった、頼む」
魔法使い「いきます・・・空間転移魔法ッ!!」シュンッ
~王都~
シュンッ
勇者「間に合ったか!早く国王に伝えなければ!」
魔法使い「うう・・・い、急いでください・・・」
戦士「魔法使い・・・魔力の消耗が激しい、俺が安全な場所に運んでおく!」
勇者「ああ、頼む!」ダッ
~国王の間~
勇者「国王!戻りました!」
国王「おお、勇者よ!魔王はどうなった!?」
勇者「いえ、実は・・・(事情説明タイム)」
国王「何っ!?それはいかん、兵士団長!急いで王都全域に兵を配置するのだ!」
勇者「ふう・・・これで大丈夫だろう・・・」
~魔王城~
魔物D「魔王様!勇者どもが・・・なぜか撤退していきました!」
魔王「え?」
魔物D「よくわかりませんが・・・魔王様の策略がどーのこーの言ってましたけど・・・」
魔王「・・・?」
魔物D「その様子ですと、勇者どもの勘違いだったようですね」
魔王「そうっぽいね」
魔王「よかったー、僕の代になってから、魔物はいっきに弱くなっちゃったから心配してたけど・・・」
~王都~
勇者「・・・おかしい」
勇者「魔王の軍どころか・・・魔物の1匹も見当たらない」
勇者「・・・まさか!」
勇者「これも魔王の策略か!!くそおぉっ!!」
勇者「魔王城周辺にあえて弱い魔物を配置し・・・王都を襲撃すると見せかけて実は俺たちを撤退させるための2重の罠だった・・・」
魔法使い「魔王・・・予想以上の策士・・・!」
~魔王城~
魔王「もう当分勇者はこないだろうし、王都を襲撃しよう!」
側近「わかりました。飛行部隊、陸上部隊、潜入部隊はどれ位必要ですか?」
魔王「うーん、そういうのよくわかんないから、側近が適当に決めていいよー」
側近「承知いたしました」
~王都~
勇者「国王!申し訳ありません!またも魔王の策略に嵌ってしまいました!」
国王「そのようだな・・・なんとズル賢いやつなのだ・・・」
勇者「明日の朝、ふたたび魔王城へ行ってきます!」
国王「うむ、頼んだぞ」
~明日の朝、王都~
勇者「さあ、出発だ」
魔法使い「空間転移魔法を使います、さあ、集まって」
戦士「大丈夫なのか?」
魔法使い「ええ、魔力草を食べれば魔力は回復しますから」
勇者「行くぞ!魔王城!」
魔法使い「空間転移魔法!」シュンッ
~同時刻、魔王城~
魔王「よーし、出撃!」
魔物たち「ウオオオオオォォォォ!!!!」
~魔王城前~
勇者「・・・?今度は魔物すらいない・・・」
魔法使い「以前は弱い魔物ばかりでしたが・・・今回はいない・・・?」
戦士「魔王の策略ってやつかもしれないぞ」
勇者「ああ、わかってる。このまま魔王城へ行くぞ」
魔法使い見習「は、初めて空間転移に成功した・・・じゃなかった!」
魔法使い見習「大変です!王都に大量の魔物が・・・!!」
勇者「何ッ!?」
魔法使い「また魔王の策略・・・ですか」
勇者「魔法使い!急いで空間転移魔法を!」
魔法使い「・・・ごめんなさい、あの魔法は一度使うとしばらく使えないんです」
勇者「くっ・・・魔王、なんという奴だ・・・」
~翌日の朝、王都~
勇者「急いで走って帰ってきたが・・・やはり手遅れだったか」
魔法使い「全滅、ですね」
戦士「ひでえもんだな・・・」
~魔王城~
側近「魔王様、王都襲撃が成功したそうです」
魔王「マジで!?」
側近「はい、マジです」
魔王「明日宴会でも開こっか」
側近「場所はどこにしますか?」
魔王「うーん・・・あ、あそこの山で!」
側近「わかりました、準備は私がやっておきます」
魔王「うん、ありがとー」
勇者「・・・もう、守るものなんて、なくなってしまった・・・」
魔法使い「・・・」
戦士「・・・許さねえ・・・魔王・・・絶対許さねえ・・・」
戦士「勇者!みんなの敵討ちだ!魔王をぶっ倒すぞ!!」
勇者「ああ・・・わかってる!明日の朝、今度こそ魔王を倒す!」
~明日の朝~
魔法使い「空間転移魔法!」シュンッ
~魔王城前~
勇者「魔物はいない、そんなことはもうどうでもいい、魔王を倒す」
戦士「勇者、あったぞ、城の扉だ」
勇者「いざ、参る!」ギイイィィ…
勇者「・・・魔物はいない、よし、進むぞ」
~魔王の間、扉前~
勇者「結局、魔物は1匹もいなかったな」
戦士「ラッキーじゃねえか、行こうぜ、勇者」
勇者「・・・魔王、絶対に倒す・・・!」
勇者「魔王ォォォォォォォォォッ!!!!」扉バガーン
勇者「・・・」
戦士「・・・」
魔法使い「・・・」
勇者「もしかして、この城にいるのって、俺達だけなんじゃないか?」
戦士「・・・そうみたいだな」
魔法使い「まさか、この城自体がフェイク・・・?」
勇者「・・・!!そういうことか!」
勇者「くそ・・・なぜこうもうまくいかない・・・」
~宴会会場~
魔王「えー、諸君!」
魔王「王都襲撃、お疲れ様!そして・・・」
魔王「成功を祝って、乾杯!!」
魔物たち「カンパーイ!!」
側近「とうとう王都を攻め落としましたね、魔王様」
魔王「うん、この調子で勇者も倒しちゃおう!」
側近「私たちも飲みましょうか」
魔王「あ、ごめん、僕お酒飲めないから、側近が楽しんでよ」
側近「・・・そうでした、失礼しました」
魔王「気にしなーい」