王「本気で魔王倒す」勇者「えっ?」 2/3

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――船

勇者「もう何もかも無視していきなり伝説の塔に。他の船はついてきてる?」

賢者「ちゃんと9隻います」

勇者「一転して海軍だね」

賢者「十隻に分けた船だと一戦闘における経験値が普段の十倍になります」

勇者「これ以上強くならなくても」

賢者「みてください戦士号を。イカのクラーケンがタコ殴りにされてます」

勇者「うわぁひどい」

賢者「みてください賢者号を。クラーケンが集中砲火を受けて焼きイカ五体目です」

勇者「うわぁひどい」

賢者「皆強くなりました。これも全て勇者様の指揮のおかげです」

勇者「まだ三日目なのにそんな無茶な」

賢者「あっ、見えてきました。あれが伝説の塔です」

勇者「きっとあれも一瞬で攻略されてしまうんだろうな」

――伝説の塔

賢者「勇者様お待たせしました。伝説の剣と盾と鎧です」

勇者「一瞬ですら生ぬるかった」

賢者「思いのほか塔の内部は広く、今晩の宿泊拠点になりそうです」

勇者「仮にもダンジョンでなんという」

賢者「全ては順調に進んでおります。今のところ軍の秩序も守られています」

勇者「それってすごいことなんじゃないの」

賢者「賢い者と書いて賢者とよびます」

勇者「君ってすごい人材なんじゃないの」

賢者「勇者様のためとあらば」

勇者「ねぇ。割と本気で勇者降りていい?」

賢者「ご冗談を。さぁ伝説の武具をお召し下さい」

勇者「ねぇったら」

賢者「勇者様、実はこの塔は12階建てです」

勇者「そうなんだ。最上階にあるアイテム装備してるのに初めて知った」

賢者「なのでまだ多数のモンスターが塔内をうろついています」

勇者「ちょっと待ってそんな所に泊まるの?」

賢者「大丈夫です。塔周辺と6Fまでのモンスターは全て駆逐しました」

勇者「駆逐」

賢者「うろついてるのはむしろ逃げ回ってる魔物です」

勇者「鬼畜」

賢者「ところでもう魔王城一歩手前だというのにまだレベルが十分ではありませんよね」

勇者「二つ目のダンジョンにして最終舞台一歩手前」

賢者「この塔にははぐれメタルが現れます。レベルを上げるなら今がチャンスです」

勇者「この人数ではぐれメタル狩りだって」

賢者「塔内を完全攻略する頃には、軍の平均レベルは30ほどになっている計算です」

勇者「なんかもう攻略の意味合いがおかしくなってる」

はぐれメタルが現れた!▼

戦士「いたぞぉっ!」

武道家「いましたあああああああっ!」

ニアたたかう ピッ

はぐれメタルの攻撃! 戦士は15のダメージを受けた!

盗賊の攻撃! ミス! ダメージを与えられなかった

盗賊の攻撃! ミス! ダメージを与えられなかった

盗賊の攻撃! ミス! ダメージを与えられなかった

盗賊の攻撃!

  ・

  ・

盗賊の攻撃! はぐれメタルに1のダメージを与えた!

はぐれメタルをたおした!

経験値を獲得!

戦士のレベルが上がった!

僧侶のレベルが上がった!

賢者のレベルが上がった!

武道家のレベルが上がった!

戦士のレベルが上がった!

戦士のレベルが上がった!

勇者のレベルが上がった!

魔法使いのレベルが上がった! ……

勇者「まだこの旅で一回も攻撃した記憶がないのにどんどんレベルが上がってく」

「伝説の塔」駐留二日目――

賢者「勇者様、もうこの塔の魔物はいなくなりました」

勇者「伝説の塔が全滅の塔に」

賢者「見込み通り軍の平均レベルは32.5までアップしました」

勇者「なんか塔の中が賑やかになってるってか出店だらけだけど」

賢者「商人達が一丸となってこの塔を集落にしようと」

勇者「あの幕はなに」

賢者「武道家達の強い希望で闘技大会を」

勇者「やりたい放題だね」

賢者「申し訳ありません私が許可しました。何もしないよりかは建設的かと」

勇者「もういっそここに半分くらい置いていっちゃおうよ」

賢者「それが全員魔王城に突入することを強く希望しているようで」

勇者「えっ全員?」

賢者「10割です。皆、勇者様についていきたいと」

勇者「なんでそこまで無意味に狂信的なの」

賢者「ようやく出発の準備ができました……勇者様そのケガは?」

勇者「回復呪文使うとバレるから」

賢者「なんですって」

勇者「いやこっそり変装して大会に出場してみた。三回戦で負けちゃった」

賢者「勇者様、もしものことがあったら大変です。明日は魔王との決戦なのですから御自重を」

勇者「自重も何も初戦闘が魔王戦なのは勘弁して」

賢者「それは配慮が至らず」

勇者「そういえばまだ生きてる魔物はスライムときりかぶこぞうとはぐれメタルしか見たことない」

賢者「皆勇敢にして血気盛んですから」

勇者「やりすぎとは思わない」

賢者「数の為せる技です」

勇者「限度って何だろう」

賢者「そろそろ出発しましょう」

勇者「そうしましょう」

魔王城付近――

賢者「ついにここまできました」

勇者「本来の過程をどれだけすっ飛ばしてるんだろう」

賢者「あの毒沼地帯を越えた先に峡谷があります。その中心部にそびえ立っているのが」

勇者「三番目のダンジョンだね」

賢者「この毒沼を避ける呪文は賢者と僧侶しか使用できません」

勇者「えっじゃあどうするの」

賢者「カバーできない配置の者はダメージを受けながら行進することになります」

勇者「それはダメじゃない、今すぐ人員を削減しよう」

賢者「その必要はありません、大量の世界樹のしずくを手配しました」

勇者「すごい。ちなみに軍資金の残高は」

賢者「ざっと7億5000万Gです」

勇者「逆になんでそんなに減ってるのってきく所だろうね」

賢者「これでもやりくりしてます」

勇者「相場がわかんないよ」

毒沼――

ズブズブズブズブズブズズブブ……

勇者「大丈夫なの。大丈夫なの」

賢者「呪文で浮いてます大丈夫です」

勇者「そうじゃなくてあっちの戦士隊と武道家隊の方」

賢者「はい。生身で歩いてますね」

勇者「叫び声とか苦痛の声とか笑い声とか聞こえるんだけど大丈夫なの」

賢者「そろそろと道具を使う頃かと……あ、使いましたね」

勇者「なんてリラックスした顔だ。あっでもまた苦しそうに」

賢者「繰り返してれば魔王城です」

勇者「ところで魔物の姿がみえないようだけど」

賢者「魔王城も近いので何か策があるかもしれません、もしくは逃げ出したか」

勇者「逃げ出した可能性も否めないっておかしいよね」

賢者「ただいま10002名確認しました、欠員いません」

勇者「うへえ」

――峡谷

魔物の群れが城を取り囲むように集結している▼

勇者「やっと毒沼を越えたと思ったらこんなものを見せられるとは」

賢者「やはりそういうことでしたね」

勇者「数はどのくらいかな」

賢者「盗賊達の情報をまとめるにその数――」

勇者「ドキドキ」

賢者「その数850」

勇者「850! ってどうなの」

賢者「上級モンスター850を平均レベル35の10000の軍勢で破らなければなりません」

勇者「しかも商人や僧侶など非戦闘員の存在も加味しなくてはならない」

賢者「そうなると勝算は9割程度しかありません」

勇者「9割か。今までで一番厳しい戦いになりそうだね」

賢者「はい。心して挑みましょう」

勇者「ボケてるのかマジなのか真剣に分かんない」

勇者「メラ隊、てーっ」

魔法使いと賢者たちはメラを唱えた!▼

勇者「続けてヒャド隊、てーっ」

魔法使いと賢者たちはヒャドを唱えた!▼

勇者「これでどんな意味があるの」

賢者「メラとヒャドなら遠距離の射程でも一方的に攻撃できます」

勇者「でも上級モンスター相手ならほとんど効かないと思う」

賢者「ところが」

メラとヒャドがぶつかり合う!

新たに生み出されたエネルギーが魔物の群れを襲う!!▼

「アークデーモンに350ポイントのダメージ「シルバーデビルに405「アークデー「グレイトドラゴンに「シルバー「を与えた「380ポイント

勇者「えっなにこれイオナズンより強い」

賢者「とっておきの呪文です。さぁ敵の陣形が崩れました今です」

勇者「うわぁ奇襲もいいとこだ」

勇者「とつげきーっ」

戦士達「うぉおおおおおっ!!」

武道家達「あ″あ″あああああああっ!!」

ドドドドドドドドド……

商人達「しぇああああっ!!」

盗賊達「…………!!」

魔法使い達(♂)「きえええええっ!!」

僧侶達(♂)「ちょああああああっ!!」

ドドドドドドドドド……

勇者「えっちょっ何でこんなみんな元気いっぱいなの」

賢者「ようやく戦いらしい戦いに巡り会えた男の宿命は血沸き肉踊るものです」

勇者「えっ、騒音の中なんとか聞き取れたのに内容が意味わかんない」

賢者「私達も人と魔物が踊り狂う戦禍へ飛び込みましょうさぁ勇者様さぁ」

勇者「賢者がおかしくなった」

「メラミを唱えた!「会心の一撃!「ミス! ダメージを与えられない!「ベホイミを唱えた!「痛恨の一撃!……

勇者「戦場が一気にカオス状態に」

「燃えさかる火炎「シルバーデビルを倒した「痛恨の一撃!「世界樹のしずくをふりまい「バイキルトを唱え「! しかし生き返らなかった……

勇者「賢者~どこ~」

アークデーモンの攻撃!!▼

勇者「痛てっ!!」

勇者は10ポイントのダメージを受けた!▼

商人の攻撃! アークデーモンに45のダメージを与えた!▼

戦士の攻撃! アークデーモンに286のダメージを与えた!▼

僧侶の攻撃! アークデーモンに15のダメージを与えた!▼

アークデーモンを倒した!

勇者「痛いなこの」

勇者「はっもう倒されてる。展開早過ぎて追いつくヒマない」

魔物の群れを倒した!▼

戦士s「ウオオオオッ」ウオオオッ

武道家s「シャアアアアッ」ラーッシャアアアッ

ジジイs「ゾオオオオィッ」キャアアアアッ

勇者「鬨の声が上がってる。適当にうろうろしてたら終わってしまったぽい」

賢者「勇者様ご無事で!」

勇者「賢者。探したよ」

賢者「勇者様、勇者様は何匹ぐらい片付けました!?」

勇者「えっ?」

賢者「私は4体、あの目まぐるしい中4体もの魔物にトドメを!!」

勇者「そうですか」

賢者「ハァハァ!!」

勇者「ちょっと休む?」

賢者「またまた勇者様はご冗談がお上手!!」

勇者「休んだ方が良さそうだから休もう」

賢者「賢者は我に返りました。申し訳ありません少しハイになってしまい」

勇者「日頃何か蓄積されてる感情でもあったら遠慮なく言って」

賢者「先程すべて放出しました心配無用に」

勇者「被害状況は」

賢者「戦士隊に死傷者が約1200名、武道家隊が約1000名――」

勇者「死人が出たの?」

賢者「出ましたが今はみんなピンピンしています」

勇者「世界樹の葉?」(蘇生アイテム

賢者「まだ半年分ほど余ってます」

勇者「しずくも?」

賢者「おかげさまで全員無傷に」

勇者「欠員は」

賢者「たったいま報告がきましたゼロです」

勇者「で敵は全滅と。結果だけみたら圧勝にもほどがあるね」

賢者「完全試合です」

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