勇者「『なんとか王さま』から毎日手紙がくるの♪」 1/3

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勇者へ

はじめまして、

今回あなたが勇者に選ばれたことを、とても嬉しく思います。

これから私の所まで辿り着く道のりは険しいものでしょう。

ですが、私そんな試練を乗り越えて強くなったあなたに会うことをここで待ってばかりでは居られませんでしたので、こうして手紙を送ります。

これからあなたここに着くまで手紙を送りながらあなたの成長を手伝うつもりです。

お手を煩わせるようで申し訳ないですが、これも勇者のためになるものだと思って軽く思わないでほしいと思う所存です。

では、以後また連絡します

魔王より

勇者「…王?…前の漢字変な文字。わからないや。王さまの名前なのかな」

勇者へ

聞いた話によると、あなたは未だに仲間を入れずに戦っているようですね。

スライムぐらいの弱い魔物とたたかう時はまだ大丈夫ですが、この先のことを考えて、仲間を増やしたら如何でしょうか。

仲間は酒店に行って探したり、傭兵を雇ったりしたら良いと思います。

あなたが良い勇者なら、きっとあなたの心を信じて仲間になってくれる人が現れると思います。

魔王より

勇者「仲間…よし、頑張ってろう」

・・・

・・

勇者「これからよろしくね」

女戦士「おう」

女僧侶「精一杯勇者さまをお支えします」

女魔法使い「べ、別にあんたが好きで仲間になってあげたとかじゃないんだからねっ」

勇者へ

無事に仲間を集めたようですね。おめでとうございます。

でも、男女の比が合わないことが以後パーティーによくない影響与えるかもしれません。

男女二人ずつあった方が一番良かったのですが、今更言っても仕方がありません。

全ては勇者勇者の器量にかかっています。

日々是精進してください。

魔王より

勇者「そうなんだ。でも、なんとか王さまの言う通り、パーティーを組んだからには、しっかりマオウの城までいけるように頑張ろう」

女戦士「ん?なんだ、勇者その手紙」

勇者「あ、これ、王さまからの手紙」

女戦士「ふーん」

勇者へ

今日初めて魔物と戦ったらしいですね。

勇者は自分がスライムを間違って踏んで転んでしまったことが凄くかっこ悪くてみっともないと思ったようですが、

……たしかに少しカッコ悪かったことは事実です。私が戦士さんだったとしても、きっと大笑いしたことでしょう。

ですが、そんなことでへこたれてはこれから勇者として旅を続けることができません。

宿屋に引きこもっていたら嫌な過去が書き換えられるというものでもありません。

どんな勇者だって最初はlv1から始まるものです。

最初の頃の失敗はまだまだかわいいもの。

今日の失敗を乗り越えて、もっと強い勇者になっていくあなたの姿を見たいと思います。

魔王より

勇者「………」ぐすん

僧侶「勇者さま、勇者さま、大丈夫ですか?」コンコン

勇者「あ、僧侶さん」

僧侶「女戦士さんがごめんなさいって伝えて欲しいって言ってました」

僧侶「今日のことは本当にごめんなさい。ですから…」

勇者「ありがとう、僧侶さん」

僧侶「勇者さま?」

勇者「もう大丈夫だから、明日もまた頑張ろうね」

僧侶「…はいっ」

勇者へ

今日の戦いでは見事にスライムを討ち取りましたね。

昨日の失敗を乗り越えて見事に成長したあなたに褒めの言葉を送ります。

今回のことであなたの勇者としての自覚が少しでも冴えてきたのであれば、

この事件はきっとあなたにとっても私にとっても良いことだったのだと思います。

これからもその調子で頑張ってください。

魔王より

勇者「……えへへ、ほめられた」

魔法使い「うわっ、なにニヤニヤしてんの、気持ちわるっ」

勇者へ

今あなたが通っている道は、道のりが険しくて、次の村に辿り着くには魔物が沢山ある峡谷を通らなければなりません。

十分な準備をしてから挑んでください。

魔王より

女戦士「よしっ、んじゃ行こうか」

勇者「あ、待って、行く前に道具屋寄って行こう」

魔法使い「別に回復アイテムとか尽きてないじゃない」

僧侶「そうですね。次の村で武器など替えることも考えたら、ここで道具に金を使うのは…」

勇者「ダメだよ。ここから先は魔物沢山あるんだから、ちゃんと準備していかないとダメ」

女戦士「勇者なんでそんなこと知ってんだ?」

勇者「いいから、早く道具屋行く」

女戦士「ちょっ、またかよ。まったく休む暇もねーな、おい」

僧侶「勇者さまの言う通り回復薬をちゃんと準備して来なかったら、もうとっくにアイテムが底を尽きたことでしょう」

魔法使い「まぁ、あんたとしてはちゃんと考えたんじゃない」

勇者「ふぅ……よかった。ありがと、なんとか王さま」

勇者「でも、どうやって王さま、いつもボクの居る所に手紙を送られるのかな」

勇者へ

無事に峡谷を通られたようですね。

苦労が多かった分、その結実も良いもの。きっと今頃随分とlvが上がったことでしょう。

全てが終わった後なので言わせていただきますと、

実は勇者に少し嘘をつきました。

勇者が行ったその道は、普段は塞がれている危険な道で、

人たちが通る道はもっと歩きやすくて魔物も出ない所にありました。

勇者の成長のためとは言え、騙したことに対して申し訳ないと思います。

ですがそれでも、私はこれがあなたのためになったのなら例えあなたに怒られようともそれで宜しいと思います

魔王より

勇者「なんとか王さま……怒ってなんてないよ」

勇者「ありがとう」

勇者へ

人の優しさは魔物と人間の大きな差の一つだと思いますが、

それでも勇者の優しさはたまに甘すぎるとまで憶えてきます。

今日だって村に居た乞食にお金をあげましたね。自分たちの旅費も豊かじゃないというのに。

人のことを考えるその心は尊く思いますが、そのような行為はその者にも何の得にもなりません。

今度からは慎むことをお勧めします。

魔王より

勇者「僧侶さんたちにも言わないでこっそりやったことなのにどうしてわかっちゃったの?!」

勇者「うー、でもボクそういうの見ると無視して通りすぎることなんてできないよ…」

勇者へ

女戦士さんと僧侶さんが喧嘩しましたね。

二人を仲直りしようとするあなたの意気は良いのですが、

喧嘩する原因も知らないまま仲直りさせようとしても、二人ともあなたが相手の肩を持つと思うばかりで

状況は更に悪くなるばかりです。

まずは喧嘩する理由を知ることから始めましょう。

勇者「ねー、魔法使いちゃん、なんで僧侶さんと戦士さん仲悪くなったの?」

魔法使い「あんたが馬鹿だからじゃないの?自分で考えなさい」

勇者「そんなこと言ったって分からないものはわからないよ」

勇者「あのね、僧侶さん、ボクこれからも皆と仲良く楽しく旅したいよ」

勇者「僧侶さんと戦士さん戦ってるの、ボクもう見たくない」

勇者「もしかしてボクが悪いのだったら直すから、なんで怒ったのか教えてよ」

僧侶「勇者さまは何も悪くありません」

僧侶「悪いのはあの卑猥な女がいけないんです」

戦士「誰が卑猥な女だ!」ガタン!

僧侶「しかも礼儀もしりません」

戦士「なにー!」

勇者「二人ともやめてよ!!」

勇者へ

私は二人が喧嘩する原因を探しなさいと助言したはずなのですが、

どうして勇者さんまで怒って部屋に篭っているのか私にはさっぱりです。

でも、3日ぐらい勇者が顔を出さないせいで、戦士さんも僧侶さんも喧嘩をやめて勇者さんの機嫌取りをしようとしているので

過程はともあれうまくパーティーの崩壊を止めたと評価するべきかもしれません。

ちなみに知らないようですから言っておきますが、

二人が喧嘩した原因があなたが3日連続で戦士の隣の椅子で夕飯を食べたことから始まりました。

その後僧侶さんが戦士さんが危ない時に回復をしてあげなかったり、

その後仕返しに戦士さんがちゃんと僧侶さんを庇ってくれなかったりしながらどんどん二人の仲が悪くなったのです。

原因がわかったのならこれからは平等に仲間たちを扱うことです。

魔王より

勇者「……なんでそんな理由で喧嘩しなきゃいけないの?」

戦士「ゆうしゃーー」

僧侶「勇者さま、ごめんなさい、もう許してください」

勇者へ

あなたはもう少し自分の立場を自覚した方が良いと思います。

もっと自分がどんな者なのかしっかり考えて行動するべきなのです。

今日の魔法使いさんとの出来事もそうです。

いつものように罵倒に近い言い方をする魔法使いさんに

「魔法使いちゃんは喧嘩ボクのこと嫌いになんてならないもんね」

とか言って

いいですか、勇者。

以前の出来事で僧侶さんや戦士さんがあなたのことを疎く思っていると考えているあなたは、

まだまだ勇者として足りない者ということを自ら認めているのです。

しかもあなたの失言に魔法使いさんはその場で顔を赤くして倒れる始末です。

そんな調子ではいつ誰かが突発な行動を起こしてもおかしくありません。

だいたお(くどくど

勇者「…勇者としての自覚が足りない……のか、やっぱボクって」

魔法使い「勇者、な、なにしてんのよ。あ、あんたがお粥食わせてあげるって言ったのよ?レディーを待たせるつもりなの?」

勇者「あ、ごめん、はい、あーん」

魔法使い「/////」アーン

僧侶、戦士「」

勇者へ

今直ぐあなたが居る所に言って長々と説教してあげたい気持ちは山々ですが我慢しましょう。

さっさと出発してください。

魔王より

勇者「なんとか王さま、なんか怒ってるのかな。ボクなんかした?」シュン

勇者へ

次の村なのですが、

魔物の上位クラスのドラゴンが住んでいます。

と言ってドラゴンと戦わなければいけないのかというとそういうことではありません。

ドラゴンはなかなか礼儀を知る良い魔族なので、

寧ろ話し合うと良いことを教えてもらえるかもしれません。

魔王より

勇者「ドラゴンか…見たことないな。どんな魔物なんだろう」wkwk

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