魔王「魔物の名前を考えるぞ」 1/5

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魔王『いでよ!新たなる同胞よ!』

???『ん・・・ここは・・・』

魔王『ふはははは』

???『・・・?」

魔王『私は魔王!お前にこの世界での名を与えよう!」

???『え?』

魔王『お前の名は・・・』

側近「・・・様・・・・・王様・・・・魔王様!」

魔王「ん・・・むぅ・・・」

側近「魔王様!お目覚めですか!」

魔王「んぅ・・・側近?ここは・・・?」

側近「やっと・・・やっと逢えました・・・魔王様・・・ううっ」

魔王「酷く懐かしい夢を見ていた・・・って側近何を泣いておる」

側近「ううっ・・・お久しぶりです。魔王様、ここは魔王城です。やっと復活なさいましたね」

魔王「復活?うぅむ・・・そういえば体中がだるいな・・・」

側近「魔王様ー!」ダキッ

魔王「お、おい。くっつくな。説明してくれ」

側近「魔王様ー、ううううっ」ポタポタ

魔王「泣いていては分からんであろう」

側近「ううっ、魔王様は400年前勇者に倒されてお眠りになっていたんです・・・」

魔王「なにぃ?私が倒されただと?いつ?直接戦った覚えなどないぞ?」

側近「それが卑怯にも寝込みを襲ってきまして・・・ううっ」

魔王「そんな馬鹿な!この城に入るには5つの紋章を集めねばならぬはず!」

魔王「それに紋章はそれぞれ強力な魔物に守らせておったし!」

魔王「その魔物を倒すためのアイテムも北方の険しい山の頂に用意したし!」

魔王「その情報もそれとなく人の里に流したし!」

魔王「そもそもこの城にも階毎にイベントと魔物を配置しておいたはず・・・少なくとも5年は楽しめるはずであるのに・・・」

側近「それが・・・裏口の鍵が開いてました・・・」

魔王「城の警備ザルだな!!」

側近「そこから勇者が侵入し・・・寝ている魔王様を・・・」

魔王「なんと!!おのれ・・・あれだけのエンターテイメントを用意してやったのに・・・勇者め・・・全部スルーか・・・くぅ・・・」

側近「おいたわしや・・・魔王様・・・」

魔王「ちょっとエッチな罠や誘惑に疑心暗鬼になる町なんかも用意したというのに・・・」

側近「魔王様。それについては後できっちり話をしましょう」

魔王「えっ、あっ、いやっ、そ、そうだ!裏門の警備兵は呼べ!!減給してやる!!」

側近「おりません・・・」

魔王「そうか。まぁ400年もたったのだ。逃げておってもおかしくないな」

側近「魔王様・・・復活をずっと待っておりました」

魔王「苦労をかけたな。側近」ギュッ

側近「ま・・・魔王様・・・」ドキドキ

ドーン!

勇者「おっ、ホントに復活してるな!占い師の予言どおり。魔王だな!」

魔王「うわっ、ビックリした!」

側近「あれは・・・勇者!いいとこだったのに!」

魔王「勇者?なんでこんなに早く・・・。城の者はどうした」

勇者「は?何言ってるんだ。誰もいなかったぞ」

魔王「ほんとに城の警備ザルだな・・・。側近、どうなっておるのだ?」

側近「それが・・・魔物は・・・滅ぼされました・・・」

魔王「なに!?」

側近「魔王様を失い統率を失った魔物は次々と殺されて・・・ううっ・・・」

魔王「なんと・・・」

側近「だ・・・だから・・・わたし・・・ず・・・ずっと一人で・・・うっ・・・ううっ・・・」

側近「ま、魔王様の魂も4つに引き裂かれて・・・うっ・・・ぐすっ・・・封印されちゃったし・・・」

側近「封印探して・・・人間から隠れながら集めて・・・術式色々試して・・・や、やっと逢えたんですよぉ・・・ううっ」

魔王「側近・・・」

側近「魔王様・・・」

勇者「おいおいおいおいおい。お話中悪いけど?何いちゃコラしちゃってんの?あぁん?勇者なめてんの?それ以上俺を怒らせない方がいいぞ?」

魔王「まぁちょっと待て勇者」

勇者「なにその上から目線?なめてんの?勇者なめてるだろ?死ねや!うらぁ!」ズバッ

魔王「ちょっ・・・おわあああ」ズサー

勇者「よけんじゃねぇ!」

パラパラ・・・・

魔王「ああ・・・わ・・・私の大事な枕があああああああ!」

勇者「うらっ!」ドスッ

魔王「おうふっ」ズサー

勇者「くたばれっ!」ズバッ

魔王「ほあああ」ズサー

勇者「ふんっ!」ズババッ

魔王「ちょっ・・・ちょっほんと待つのだ!私はまだパジャマだぞ!勇者のくせに丸腰の相手をやるきか!」

勇者「ほほぅ・・・丸腰か。そりゃ思う存分なぶり殺せっな!」

魔王「待て待て待て待て・・・あと1年!1年だけ待ってくれ。そうすればダンジョンも謎解きも豊富な楽しい冒険を用意してやるから!まだ倒されたときのセリフも考えていないのだ!」

勇者「ほぅ・・・どう楽しいんだ?」

魔王「適度な危険とそれを仲間と乗り越える時に目覚める友情や恋!私の元にたどり着く頃にはそれはかけがえのないものとしてお前達の心に・・・って・・・ん?」

勇者「・・・」プルプル

魔王「そういえば勇者・・・お前・・・もしかして一人で来たのか?」

勇者「・・・」プルプル

側近「まぁ!まさかぼっちですか?」

魔王「側近。そう結論を急ぐな。勇者がぼっちとは限らないではないか。ぼっちにはぼっちなりの理由があるやもしれぬ」

側近「そうですね。いきなりぼっちなんて言ってすみませんでした。ぼっちなんて。まさか魔王様にぼっちで挑んで来るとは思いませんでしたから」

魔王「そういうわけだ。すまなかったな、ぼっち勇者よ」

勇者「ぶ・・・・ち・・・こ・・・ろ・・・す・・・」ゴゴゴゴゴゴ

魔王「な・・・なんという魔力!」

勇者「ぼっちじゃねーよ!コミュ障なんかじゃねーよ!一人が好きだから一人なんだよ!」

魔王「コミュ障なのか!?その割に普通に話してるではないか!」

勇者「ちげーっつってんだろ!!それにこれから殺すつもりの魔物とまともに話すつもりなんざねーよ!」

側近「魔王様!復活したばかりの病み上がりのそのお体では危険です!ここは私が引き受けます!お逃げください!」

魔王「だめだ側近!お前こそ儀式に魔力を使って消耗しているだろう。それに女を残して逃げられるか!おまえが逃げるんだ!」

側近「いいえ、魔王様が!」

魔王「いや、お前が!」

勇者「てめぇら・・・リア充爆ぜやがれええええええええええええええええ!うおおおおおおお」ゴゴゴゴゴゴ

魔王「あれは!?爆裂呪文の!?」

側近「これはいけません!二人で逃げましょうか・・・アレで」

魔王「ああ、アレしかないな」

側近「ふふっ、やっぱり私達心が通じてますね」

魔王「ああ、行くぞ」

勇者「爆発やがれ!このやろおおおおおおおおおおお!」ドガガガガーン!

側近「リレミト!」

魔王「ルーラ!あれ?」スゴーン

勇者「ぜぃ・・・ぜぃ・・・心通じてないじゃねーか・・・って二手に分かれた?」

勇者「魔王は・・・天井突き破っていっちゃったなぁ・・・あれは追えないな・・・じゃあ・・・」

勇者「リレミト!」

勇者「くっ・・・こっちも逃げた後か・・・。仕方ない、いったん王国に帰るか」

魔王「あいたたたた・・・頭が・・・」

側近「もう、お城から出る時はリレミトでしょう、もう」ナデナデ

魔王「すまん、城が老朽化してなかったら危なかったな」

側近「400年以上たってますからねー」

魔王「しかし、もう魔王城に帰れないな」

側近「ですね。しばらくはここに隠れてましょう」

魔王「ここは?だだの洞窟ではないか」

側近「いえ、人から隠れるための隠れ家としてずっと使っておりましたので中はしっかりしております」

魔王「ほほぅ、たいしたものだ」

側近「それより早くパジャマから着替えてください。ほらっ」

魔王「おお、闇の衣に・・・私の武具まで。これは・・・」

側近「魔王城ではいつ人に荒らされるかもしれませんのでこちらに移動しておいたんです」

魔王「でかした!やはり寝巻きのままではしっくりこぬからな」

側近「では、これからいかがいたしましょう」

魔王「ふむ。1からはじめるしかあるまいな」

側近「1から?」

魔王「まずは魔物を召喚し・・・」

側近「召喚して?」

魔王「魔物に名前をつけよう。そして勇者討伐に向かわせるのだ!」

側近「おお!魔王軍を復活させるのですね」

魔王「では早速召喚魔方陣を描いて・・・」ガリガリ

魔王「我にし従いし者よ!いでよ!」ヴォーン

側近「あ、なんか出ましたね」

?「ピキー」

側近「なんか青色でプルプルしていてかわいらしいですね」

魔王「さあ、名付けるぞ」

側近「スライムでいいんじゃないですか?この子」ツンツン

?「」プルプル

魔王「何を言っておるのだ!そんな弱そうな名前では勇者になめられるぞ!」

側近「へ?だって・・・」

魔王「うーん、そうだな・・・。名前を聞いただけで勇者が逃げ出しそうな、そんな名前にしてやろう」

側近「スライムが駄目ならプリンとかゼリーでいいじゃないですか。こんな可愛いし・・・」ツンツン

?「ピキー」

魔王「可愛いだと?どこを見ている。このいやらしく笑った口元を見よ!相手を嘲笑する余裕の笑みではないか」

側近「そうですかねー」ツンツン

魔王「そしてこの何者にも動じそうにない目はまさに自信の表れ。相応しい名が必要であろう」

魔王「よし!お前の名前は『バラモス』だ!」

側近「ええー」

魔王「どうだ、強そうだろう。かつて世界に君臨した鳥の魔王の名前だぞ」

バラモス「ビキキー!」

魔王「ははは、やる気だな」

側近「本当に大丈夫ですか?」

魔王「心配するでない。かつて呼び出したお前もこんなに頼りになる友になったではないか」

側近「え?友・・・ですか・・・?」ギュギュッー

魔王「痛い!いったたた!なんでつねるんだ」

側近「魔王様の馬鹿・・・」

バラモス「ピーピー!」

魔王「おお!早速勇者討伐に向かうか。ちょっと待て」

側近「魔王様?」

ゴソゴソ

魔王「ほらっ、これを持っていけ。怪我をした時のためのやくそうだ」

バラモス「ピキー」

魔王「それからこれは私からの小遣いだ。無駄使いするなよ」チャリーン

バラモス「ピー!」プルプル

魔王「うむ、いってこい!」

ダダダッ

側近「行っちゃった・・・大丈夫ですかね?」

魔王「過酷な任務だがあいつならやってくれるだろう」

側近「ではもっと魔物を増やしますか」

魔王「いや、すぐに召喚するには魔力が足らんな。回復するまで勇者を来た時の対策を立てておきたい」

側近「おお!罠でも仕掛けますか!」

魔王「そんなことは一番後だ。まず大事なのはだな」

側近「大事なのは?」

魔王「勇者が来た時の決め台詞を決めておかないとな」

側近「それ・・・大事ですか?」

魔王「当たり前であろう!この間みたいにアドリブだとみっともないことになるからな」

側近「あれは突然でしたね」

魔王「ピンポイントで復活する日を狙ってくるとはいささかビビったぞ・・・」

魔王「そのためにも、事前に決め台詞ややられた時の台詞を決めておく必要があるのだ」

側近「さすがは魔王様」

魔王「だが、今回は他にやることもあるし、時間もないので、とりあえずは古代の魔王の台詞を引用しようと思う」

側近「ですね。魔物の軍団も作らないといけませんし、ダンジョンも作るのに時間かかりますものね」

魔王「そうダンジョンも作らねばならんが、とりあえずはここが我が魔王城(仮)になるわけだな」

側近「魔王城に帰れませんからね」

魔王「そこでとりあえずここの入り口に扉をつけてカギをかけ。そのカギを勇者に探させようと思う」

側近「時間稼ぎですか?」

魔王「側近、それはダンジョンを作る上で言ってはならぬ言葉だ。以後気をつけろ。『引き伸ばし』とかも駄目だぞ」

側近「し、失礼しました」

魔王「カギは東にあった池にでも沈めておいて、近くにヒントでも残しておこう」

側近「では早速取り掛かりましょう」

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