国王「行け勇者よ! 仲間と共に使命を果たすのだ!」 3/3

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夜明け前

魔法「これで全員分の障壁は張り終えましたが……」

勇者「汝らはさっさと避難するがいい。ここからは我のオンステージだからなぁ」ガハハハハ

イケ「いや、俺らも残る」

勇者「構わんが死んでも恨むでないぞ」

戦士「隙あらばあたしらも援護をするよ」

勇者「あまりうろつくでないぞ、踏み潰すぞ」ドズドズ

イケ「お前がいる所で接近戦なんかしねーよ」

ゴゴゴゴォ

勇者「やれやれ……待ちくたびれたわい」

邪神「...」

イケ「男の天使……?」

僧侶「昔の絵画にありそうですね……」

邪神「гджмптъ...」

戦士「なんだ……魔法詠唱?」

魔法「み、皆逃げて!」

邪神「эюфьбё...」カッ

……オオォォン

兵士A「な、なんだあの爆発は!」

兵士B「まさか邪神が……馬鹿な!」

兵士C「退避! 退避ぃ!」

兵士D「終わりだ……世界は終わったんだ」

ガラガラ

邪神「...」

邪神「джз...」

勇者「ゴハハハハ!! どぉしたぁ! 我はまだ生きておるぞぉ!」ゴァ

邪神「! прсшч...」

勇者「遅ーーい!」ブォン

邪神「?!」バス

魔法「げほっごほっ……皆、生きてる?」

僧侶「ここが現世でしたら……」

戦士「むしろなんで生きているんだ」

イケ「俺達だけだったら死んでいたさ。あのデカブツのお陰で威力が軽減されたんだ」

戦士「ああ……なるほど。それにしても」

邪神「йлмеа...шщхы...ярутъэ...」ドゥンドゥンドゥン

勇者「ガーッハッハッハッハ! 効かん効かん!」ドザドザドザ

戦士「どっちが邪神だ……」

魔法「大きいほう」

勇者「ふんぬ!」ブォ

邪神「...」ガッ

邪神「ъивд...」ヒュバ

勇者「ガハハハ! 何時になったら我に……」バシュゥ

勇者「……」ポタポタ

戦士「邪神すげーー!」

僧侶「勇者様の斧を受け止めるだけでなく、傷まで負わすなんて」

魔法「なんて強さなの……」

イケ「気持ちは分かるが力関係の立場が変わっているぞ」

勇者「……」ニマッ

勇者「ゴハハハハ! やはり戦闘というものはこうでなくてはなぁ!!」ブォブォン

邪神「ежйф...」スッスッ

勇者「そぉうら下から来るぞぉ!」ブォ

邪神「?!」ドゴォ

僧侶「斧を振り回しながら隆起した……」

戦士「普通、集中力が問われるってのに……」

邪神「ющчснжй...」カッ ドッ

勇者「ガハハハハ! 汝の爆発は効かんぞぉ!」ォォォン

勇者「そんなに遠距離戦がお望みなら期待に応えてくれよう!」ガハハハ

勇者「さあぁ受け止めてみるがいい」スッ

邪神「?」フッ

戦士「でけぇ岩……」

魔法「ちょっとした要塞の大き」ドッ

ゴオオォォォォ

勇者「ガハハハハ! 邪神は何処に行ったぁ?」ドズドズ

邪神「мкиспн...」

勇者「おぉ~?」バスン

勇者「先の一撃を翼で受け止め、我の左腕を取ったか」ニマッ

勇者「だが翼が折れてしまっては不利ではないかぁ?」

戦士「げほごほげほ、どうなごほ」

魔法「勇者の左腕が切り落とされた……僧侶!」

僧侶「ここからでは回復が届きません……」

イケ「だがこれ以上近くに行ってはあいつのエレメンタルに巻き込まれる……」

邪神「ыщя...」ヒュンヒュン

勇者「んぁ~? 肉弾戦で我に勝てるのかぁ?」ガッガッ

勇者「遅い遅い弱い弱い」ガッガッ ブォン

邪神「де...」ガツ

勇者「左腕を落として好機とでも思うたかぁ?」ヒョイ

勇者「こんなもの我のエレメンタルの前では」ウジュジュ

勇者「かすり傷よぉ」グッパーグッパー

邪神「...прд」バッ

勇者「あぁ~? 逃げるのか?」

勇者「折れた翼でどこまで逃げられるだろうか?」ニマニマ

邪神「...」ドス ドス

戦士「逃げる邪神に容赦の無い投石……」

僧侶「それも1mくらいの大きさの……」

魔法「外道ね……」

イケ「相手を考えると正しいんだが同情を禁じえない」

邪神「кмдтычюжейм...」

勇者「ふん、随分と長い詠唱だな」ドズドズ

邪神「ёфцуэъятухш...」

魔法「あ、終わった」

僧侶「どうかされたのですか?」

魔法「今唱えているあれ、周囲を腐敗させるものよ」

戦士「範囲は?」

魔法「直径1km。呪術みたいなもので解呪されない限り浸食し続けるわ」

邪神「шчюыпгвйнло...」

邪神「бёзнмзх...」カッ

勇者「下らん事を」ドロドロォ

勇者「腐敗の力と我の大地の力、どちらが強いか試してぇくれぇぇうぅぅぁ」ドロドロォ

僧侶「勇者様の体が溶ける様に!」

戦士「おいおいやべえ!」

イケ「逃げるぞ!」

勇者「んんんぬぅぅ!」ピシッ

邪神「?!」

勇者「ふふん、我のエレメンタルである土とは定形と水のような不定形な力を併せ持つ」ブンブン

勇者「細かい粒の集まりによる不定形ではあるがこの程度の腐敗であらば」ドズドズ

勇者「形を維持する事など難しい事ではないのだぁ!」ドズン

邪神「...」

勇者「んん~どぉしたぁ? 予想外であったかぁ?」

勇者「どうやら腐敗の力そのものは我のエレメンタルを越えておるようだな」ドロ ドロ

勇者「町にまで浸食する前に汝を倒して止めなくてはなぁ」ドスドス

邪神「фуньъ...」バン

勇者「ガハハハ! ネタ切れかぁ? だが我は容赦はせんぞぉ!」ブォンブォン

邪神「ющ...」ガッブシュッ

勇者「物理障壁が緩くなってきておるなぁ」

邪神「юэчтфпнк...」ドクドク

勇者「邪神という割にはしょうもない弱さだな」

邪神「нлдбгжи...」

勇者「待たされた割には拍子抜けするわ」ズォ

邪神「жейчю...」カッ

勇者「ふーむぅ」バスン

勇者「随分と長い詠唱だったがそれでも左腕一本の犠牲で防げる威力ではなぁ」ブォン

邪神「яэ...!」ボフッ

勇者「やはり片手では無理か」グチチ

勇者「ぐちゃぐちゃでは治りも遅いから面倒な事よ」グチググ

邪神「жейнйр...」

勇者「よう口の回る奴だわ」ブォン

邪神「шх...」バス

勇者「ようやっと指が動くようになったか」

勇者「ふふん、これで全力で薙ぎ払えるわ」ズォォ

勇者「跪け虫けら。踏み潰すぞ」

邪神「фсш...ькб...」

勇者「飽くまで抵抗か」フー

勇者「ふんっ」ブォォ

魔法「僧侶、解呪はできそう?」

僧侶「わ、私一人ではとても!」

魔法「やはり私達だけではとても……」

イケ「この手はエレメンタルを注げば強引に解呪できなくもないが……この規模では」

勇者「なんじゃ、汝らはまだおったのか」フー

戦士「勇者?! 邪神はどうした!」

勇者「あんなものとっくに終わっておるわ」ピ

邪神「」グシャァ ジュゥゥ

イケ「ミンチとは言え蘇ったりしないよな」

勇者「あんなもの蘇ったところでさして脅威でもあるまい」

勇者「さぁて、これで落ち着いて腐食を取り除けるわ」

魔法「一人でこれほどのものを解呪するつもり?」

勇者「少々骨は折れるができん事ではないわ。最も汝らがおるのであればより楽になる」

イケ「楽とか……そういうレベルなのか」

勇者「フフン、我が此れしきで困ると思うてか」ゴォォォォ

勇者「そぅら汝らも清浄なエレメンタルの力を流し込まんか」ォォォォ

勇者「とっとと砂漠に戻りたいが、国王に会わんとならんからなぁ」ォォォォ

勇者「こんなところか」

魔法「これからどうするの?」

勇者「あぁ~? とっとと逃げるに決まっておるだろう」

勇者「この国の連中はおるのだぞぉ。もうしばらくしたら静か過ぎるとここに雪崩れ込んでくるであろう」

戦士「この辺りだと……そこに隠し通路があるのか」

僧侶「い、急ぎましょうよ!」

勇者「まー我としては来る連中を薙ぎ払ってやっても……」

イケ「こっちが共犯にされて困るんだよ」

僧侶「……これで終わりなのでしょうか」

戦士「邪神も倒しちまったし……あたしら何もしてねーし」

魔法「イケメンはどうするの?」

イケ「そのまま戻るだけだ……むざむざ役に立たなかった事を宣伝したくもない」

勇者「まー所詮、汝らはエレメンタルの障壁が目的だったかなぁ」ゴフー

魔法「そうだろうとは思ったわ」

戦士「むしろそれすら本当に必要だったか」

勇者「ガハハハ! 流石の我も土の障壁だけでは初めの爆撃で死んでいたであろうなぁ!」

国王「よくぞ使命を……」

勇者「下らん話などいらーん。約束通りこの国で奉っておる英雄の斧は頂いていくぞぉ」

戦士(報酬それかよ)

魔法(分かりやすいけど結構な代物よね)

僧侶(こういった際に宝物を要求するというのもあれですね……)

国王「あ、いや、その」

勇者「あぁ~? 約束を違えるのか?」ズォ

兵士達「」ビクッ

国王「分かった! くれてやろう! だからそんな物を振り上げないでくれ!」

勇者「ふん、分かればいいのだ」

戦士(何気に今の凄い事をしているよな)

魔法(でも誰も逆らえないわ)

僧侶(ほぼ単身で邪神を討った方ですからね)

勇者「ふむぅー確かに英雄の斧は頂いたぞぉ」ガハハハハ

戦士(斧三本も担いで帰るのか)

戦士「なあ……あんたこれからどうするんだ?」

勇者「どうもせんわ。領地に帰って適当に暮らすだけだわ」

魔法「そう……寂しくなるわ」

勇者「何時汝らと親密になったというのだ」フゥ

勇者「最も、何かが起こればまた出てくるであろう」

僧侶「せめてこの後のパーティだけでも……」

勇者「我が出ては踏み潰してしまうではないか」ガハハハ

勇者「汝らも達者で暮らすのだぞぉ」ズシーンズシーン

戦士「……凄い光景だ」

魔法「山が遠ざかっていく……」

僧侶「さようならぁ! 勇者様ー! お元気でー!」ブンブン

戦士「呆気なかったな」

魔法「私達空気だったもの」

戦士A「お、おいあれが噂の勇者か!」

僧侶「そ、そうですが一体……」

勇者A「勅命は失敗したがあれと一騎打ちで勝てば名が上がるってやつだ!」

魔法A「どん臭そうな井出達、どうせあんたらが主力だったんだろ」

勇者B「行くぞ! 先を越されるな!」

騎士A「おお!」

戦士「なんて……愚かな」

魔法「全くだ……」

ドッゴオオオォォォン ウワーギャー ガハハハハハ

僧侶「あ、ああ……」

勇者C「先を越されたが負けたようだな! 俺達も続けぇ!」

戦士「馬鹿だ……こいつら馬鹿だ……」

ドオオオォォォン ゴハハハハハハ ヨワイヨワイワァ

その後○○国より砂漠に至る道に現れた巨大な岩石群を邪神の道と呼ばれるようになったとかならないとか

国王「行け勇者よ! 仲間と共に使命を果たすのだ!」 完

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