昼 休憩
男「今日のお昼はカレーコロッケとカレーパンです」モシャモシャ
魔王「」イライライラ
男「それでどうして魔王はご飯に手をつけないの?」
勇者「カレーパン美味しいよ」
魔王「帰る」
男「えっ!? いやそれはいいけどさ」
魔王「キサマなんて勇者とイチャコラしてればいいんだー」ダッ
男「魔王!?」
勇者「」
男「どうしよう 魔王が心配だけど仕事抜けられない」
勇者「男さんはどうして魔王ちゃんが怒ったかわかりますか?」
男「カレーライスが良かったかな パン食嫌いな人とか結構いるし」
勇者「違います 魔王ちゃんは寂しいんですよ あんな年齢だし」
勇者「今でこそ険悪じゃないけど 少し前までは殺し合ってた相手がいるから」
男「かもしれないけど 俺は勇者のことも良い奴だと思ってるから」
勇者「でもあの子は少しだけ年下だから 行って上げてください」
親方「マオウサマバンザーイ」バンザーイ
勇者「親方もこう言ってますから!!」
男「ありがとう」ダッ
勇者「ハンデをあげるのは今日だけですから」
男部屋
魔王「おとこの分際で勇者なんぞとイチャイチャしよってからに」グスグス
魔王「近くにいるんだから少しぐらい構ってくれてもいいだろ」ウゥー
側近「魔王様! ようやく見つけました!!」
魔王「側近 なんの用だ?」ゴシゴシ
側近「探していたのですよ! 近くに勇者がいます! 今すぐ帰る準備を!!」
魔王「魔力がないから無理」ブー
側近「ならば隠れ家へと行きますので早く御身を!!」
魔王「男が謝るまで嫌だ」
側近「その男とは? 無礼をしたのなら今すぐ首を刎ねますが」ジャキ
魔王「男は余の臣下だ 片腕だ みだりに手を出すなよ」
側近「」
側近「その者は何者ですか? お生まれの頃より傍にいた私と同じ位だと?」
魔王「そうだ 奴はそれだけの功績をこなしたのだ」
側近「この二日で!? それはそれで凄いと思いますが……」
側近「ちなみにその男とかいう奴 まさか男ではないですよね」
魔王「男だがそれがなにか?」
側近「」
側近「いえ なにもありません」ニコッ
男「魔王!! 魔王帰ってる!?」
魔王「おとこ!!」ダキッ
側近「」
男「全く 勝手に帰っちゃ駄目だって」
魔王「お主が主である余を放っておくのが悪いのだ」フン
男「それは悪かったから ごめん」ナデナデ
魔王「……ん 余も勝手に帰ってすまなかった」ンー
側近「」
男「ところでそちらの赤い鎧のお方は?」
側近「魔王様の側近をしている側近だ よろしくな!!」ギリギリ
男「よ よろしく!! よろしく過ぎて手の機能が停止しそうです!!」ギリギリ
魔王「二人とも早速仲が良くていいな」
側近「そうですよー 私と同じ魔王様の片腕の分際で」ギリギリ
側近「魔王様を呼び捨てしたり気安く頭を撫でたりする阿呆とは仲良くなれそうです」ギリギリ
男「痛い! 痛いです!!」
魔王「それぐらいにしておけ 余が許しているんだ」
側近「はいわかりました」パッ
男「手が紫色に……影慶の真似!!」
魔王「二人はこれからも余を支えるのだ」
魔王「些細なことで仲違いをするでない」
側近「私たちは仲良しだから問題ありません」ゴッゴッ
男「はい仲良しです鎧痛い」
魔王「ではテレビでも見るか」
男「じゃあつけますねー」パチッ
側近「なるほど これがテレビというものですか」
男「側近さんは知っているんですか?」
側近「こちらの知識もある程度仕入れていますから」
魔王「よっこらしょっと」ヒザウエー
側近「」ザクッ
男「ぎゃああああああああ!?」
側近「安心しなさい みねうちです」
男「いやいやいや!! 腕に刺さってた上に血が出てるからー!!」ダラー
側近「そのぐらいの血がなんですか 男なら我慢しなさい」
男「我慢以前に腕が千切れそうなんですけどー!!」プラーン
魔王「ベホマ」パァァァ
側近「魔王様!! 上級呪文は魔力の消費が!!」
魔王「側近 次はないぞ」ギロッ
側近「……はい」シュン
男「ベホマの光が暖かい」
男「そんなわけで 気を取り直してご飯にでもしましょうか」
側近「キサマ 料理が作れるのか?」
男「もち!! カレーは正義過ぎて誰にだって作れます」
側近「なるほど 餌付けという方法があったか」ブツブツ
魔王「側近初めに言っておく 奴の料理だけは絶対に貶すなよ」
側近「心得ています(適当にケチをつけまくりましょう)」
男「今日の夕飯は側近さんの辛さを表したグリーンカレーです!!」
側近「キサマ!! 緑のう……糞を出すとはなにごとだ!?」
男「」
魔王「」
魔王「そ 側近 謝った方が……」
側近「魔王様! あのような物を食べる必要なし こやつは成敗します」チャキ
男「」
側近「はあ!!」シャッ
男「」ガキンッ
側近「なあ!?」ギリギリ
魔王「スプーンで側近の剣を受け止めただと!?」
側近「ありえん!? オリハルコン製の剣をスプーンの しかも片手で受け止めるなど」ギリギリ
男「スプーンとは どんなカレーも受け止める奇跡のアイテムだ」
男「だから俺たちはスプーンに尊敬の念を抱かなくてはならない!!」
男「ってかお前らはカレー見るとう○こう○こいい加減にしとけよ!!」
側近「はい!! 美味しいです!!」モシャモシャ
男「ならいいんだ」スッ
側近「」
魔王「」
ピンポーン
勇者「男さ――」
男「今日は駄目!!」バタン!!
側近「まさかあのような武の持ち主とは 人は見かけによらないというか」
魔王「諦めろ カレーがかかった奴は全力の余でも勝てる気がせん」
男「いや 人違いだったみたい それでなんの話をしてたの?」
魔王「なんでもないよ それで今日は緑のカレーか」モシャモシャ
男「スープカレーに近いけどこっちの方が辛いし 味もクセがある」モシャモシャ
男「でも慣れると結構美味しいから 家でも結構簡単に作れるよ」モシャモシャ
側近「見た目はともかく 確かに味は美味しいですね」モシャモシャ
魔王「夕飯も終わったことだし そろそろ風呂に行くか」
側近「それではいってらっしゃいませ」
魔王「行くぞ男!!」
側近「」グサッ
男「痛い!! 無言で刺すの止めて!!」
側近「薄皮一枚です」グサッグサッ
男「確かにそうだけど痛いからね!!」
側近「それで魔王様 この男を一緒に入れるように聞こえたのですが」ピクピク
魔王「言ったがそれがなにか?」
側近「」
側近「ありえません!! このような男と一緒に入るなど!!」
魔王「男は余の片腕だ 一緒に風呂に入る権利がある」
側近「ならば私も入ります!! それが最低限の譲歩です!!」
魔王「だがお主 鎧は脱がんのだろう」
側近「当たり前です いつ何時敵が現れるかわからないので」キリッ
魔王「鎧で触られると痛いし」
側近「」
魔王「鎧を脱ぐのなら入っても良いが……」
側近「」ザクッザクッ
男「だから無言で刺さないで!!」
男「結局 鎧をつけたまま監視という形で落ち着きました」
側近「」イライライラ
男「じゃあ頭洗うよー」
魔王「バッチコーイ」
男「」ゴシゴシー
側近「おいちょっと待て」
男「なんですか?」
側近「まさかキサマ 角も洗うのではないだろうな?」
男「えっ! 駄目なの?」
側近「駄目に決まっているだろうが!! 角は生涯を共にする伴侶にのみ触らせるもの!!」
側近「特に魔王様の角など触っていいハズが――」
魔王「良い 余が許可した」
側近「」
男「それで寝る時も側近さんは鎧を脱がないの?」
側近「当たり前だ」
魔王「zzz」
男「しかも布団で寝ないし」
側近「魔王様を守るのに横になっては意味がないだろう」
側近「そもそも私は生まれてから一度も この鎧を脱いだことはない」
男「えっ! 汚い」
側近「鎧の中身は魔力で洗浄している!!」
側近「私たち鬼の一族は代々魔王様を守っているのだ!! この真紅の鎧は我々の誇りだ」
男「」
男「でもさ その鎧だと魔王を抱きしめてあげられないんじゃない」
側近「その必要はない 私は魔王様を守る剣であり鎧であればいい」
男「言うと思ったけど でも側近って魔王のこと好きだろ」
側近「すすすすすきちゃうわ!!」オロオロ
男「テンプレ乙 態度でわかるけどさ」
男「それぐらい魔王も側近のことが好きだと思うよ」
側近「……そう思うか?」
男「魔王は本当はもっと近くの人間に甘えたいんだと思う」
男「こっちのことわざにヤマアラシのジレンマっていうのがあるんだけど」
側近「」
男「ヤマアラシは身体に生えているトゲで甘えたくても近づけない」
男「でも側近は鎧脱げるんだから脱いで甘えさせればいいと思うよ」
側近「簡単に言うな」ボソッ
男「ちなみに魔王の抱き心地は結構良いよ」
側近「」
男「小さいから丁度包める感じに抱けるし このまま側近が鎧を脱がないと襲っちゃうかもなー」
側近「鎧を脱いだぞ これで襲わんのだな」ガシャンガシャン
男「うん 襲わない」
側近「それならいいんだ」ギュー
魔王「うぅーそっきんー」ギュー
側近「ちなみにだ 魔族には一族ごとに色々しきたりがある」
側近「角がある一族が角を触らせるのは伴侶だけというのもその一つだな」
男「それがどうかしたの?」
側近「私の一族も角があるが それとは別にもう一つある」
側近「生涯 私たちが鎧を完全に外した姿を見せるのも生涯連れ添う伴侶だけだ」
男「」
側近「冗談だ」フンッ
男「ですよねー」ホッ
側近「責任は取らせるからな」
男「」
翌日 朝
魔王「側近 鎧を脱いだのか?」
側近「家の中だけです」ウズウズ
魔王「鎧の上からでも思っていたが 胸が大きいな」
側近「鎧を脱いだことがなかったので 身体つきに関しては特に」ウズウズ
魔王「また男とは違った感触が楽しめそうだな」ダキッ
側近「これが人肌ですか 起きている時と寝ている時ではやはり違いますね」シアワセー
男「朝ごはんだよー」
側近「チッ」
男「朝ごはんはナンとインドカレーです」ガチャ
魔王「普通のカゥレェーよりも更にドロドロしているな」
側近「このパンらしきものは味気ないのですが」モシャモシャ
男「カレーの方は本場だから結構辛め 味も結構クセが強いから」
男「ナンはカレーにつけて食べるんだけど 最近は給食でもナンが出るんだよねー」モシャモシャ
魔王「なるほど 確かにカゥレェーは辛いが美味いな」モシャモシャ
側近「カレーにナンを絡めると食感がいいですね」モシャモシャ
男「そんなわけで仕事に行ってきます」
魔王「うむ! 今日は側近と共に留守番をしていよう」
側近「早く行って下さい」シッシッ
男「はいはい いってきます」ガチャ