―――街
勇者「おいおい……あの街の周辺、スライム達が警備してんのか?」
戦士「確かに占領されてる感じだな」
魔法使い「でも所詮はスライムですし」
僧侶「ですね」
勇者「ふん……いくか」
スライム「あ……人間だ」
勇者「―――消えろ。ゴミ」
スライム「―――ぴぎゅ!?」
戦士「おらおらおら!!!!!」
スライム「ぴぎゃぁあぁぁぁぁ!!!!!」
魔法使い「イオナズン!!!」
スライム「たすけてぇぇぇぇぇ!!!!!!!」
僧侶「バギクロス!!!」
スライム「いたよぉ……いたいよぉ……ぎゃびぃ――――」
キングスライム「ん!?」
スライム「キングさん!!たすけ―――ぎぃぴぃ!?!?」
キングスライム「―――な!?」
勇者「スライムの分際で人間様の街を占拠してんじゃねーよ」
キングスライム「違う!!私たちは―――」
魔法使い「―――メラゾーマ♪」
キングスライム「ぐぁぁぁああああああああああ!!!!?!!!!!」
勇者「死ね。魔物の言い分なんて聞くわけねーだろ?」
キングスライム「がぁああああああ!?!!」
町長「―――なにをしている!?」
男「やめろぉぉぉぉ!!!!」
勇者「あ?」
町長「そのスライム達はこの街を守ってくれているんだ!!殺すな!!」
勇者「へえ……そうかそうか……あんたらも、魔物ってわけだ?味方するんだから、魔物だよなぁ?」
町長「な、なにを……ひぃ!?近付くな!?」
戦士「へへ、なんだ、そういうことか」
僧侶「もうこの街には人はいないってことですね」
勇者「どうやら、そうらしいな」
町長「や、やめ……」
キングスライム「町長さん!!!」
勇者「ちっ……邪魔だ死に損ない」
町長「キングスライム……」
男「あんた……」
キングスライム「帰ってください!!私たちはこの人たちにお願いされて、他の魔物から街を守っていただけなんです!!」
勇者「……」
キングスライム「人間なら無条件でお通ししますから!だから―――」
勇者「言い分はきかないって言ったよな?―――おらぁ!!!」
キングスライム「ぎゃぁああああああああ!?!?!!?」
町長「キングスライム!?!?」
勇者「てめえもだ。魔物に味方するなんて、もう人間じゃねえよ。―――死ね」
―――魔王の城
魔王「中々、美味であった。また買いに行こう。ふはははは!!」
手下「魔王様、次の魔物でありますが……」
魔王「うむ……これは……お前と同種族か」
手下「はい。山に住んでおり、時折街を襲っているようです」
魔王「ドラゴンは性格がばらばらだからな」
手下「はい」
魔王「ところで……勇者の情報はなにかないのか?」
手下「といいますと?」
魔王「いや……勇者のすることに間違いはあるまい。今後の参考にさせてもらおうと思ってな」
手下「なるほどなるほど……」
魔王「新聞に載ってないか?」
手下「ちょっと、まってくださいねー……あ、ありました!」
魔王「どれどれ……勇者、魔物の群れから街を救う。街の住民は既に惨殺された後……なんとこのような凄惨なことが!?」
手下「勇者様の辛そうな表情が目に浮かぶようです。魔王様、このような悲劇を出さぬためにも、がんばりましょう!!」
―――街
勇者「おい、金品はもう全部回収できたか?」
戦士「ああ、大丈夫だ」
魔法使い「メディアにも勇者様は悲劇のヒーローとして扱われていますよ」
僧侶「可哀想な勇者様……くすくす」
勇者「戦士、生存者はいないな?」
戦士「ああ、さっき確認したけど、皆殺しだ」
勇者「よし。この街は魔物に襲われ、全員が命を奪われた。そうだな?」
僧侶「はい♪」
魔法使い「間違いありません」
勇者「よし……じゃあ、いくか」
戦士「おうよ」
僧侶「そういえば、ここから南にいった山に凶暴な竜がいるという噂を耳にしましたよ」
勇者「ドラゴンか……ふん、面白い。財宝の一つぐらいあるだろう。行くか」
スライム「―――みんな……死んじゃった……きゅぴー……」
―――ドラゴンの山
魔王「ここか」
手下「はい」
魔王「ところで、ここのドラゴンはどのようなことをしているのだ?」
手下「人間達の農作物を荒らしているようです」
魔王「ふむ……ちゃんとした理由があればいいのだが」
手下「……」
魔王「やはりやりにくいか?」
手下「いえ。同種族のことです。放置しておくわけにはいきません」
魔王「うむ……いくぞ」
手下「はい」
魔王「頂上にいるのだろう?」
手下「そうですね」
魔王「では、跳んでいくか―――でぁ!!!」
手下「あ、魔王様!!」
―――町
勇者「ふうん……ドラゴンがねえ」
女「そうなんです……勇者様、助けてください!」
勇者「……この町の長は?」
長「私です」
勇者「この町にいる若い娘を全員宿屋に連れてこい。話はそれからだ」
長「え……?」
魔法使い「わぉ♪」
僧侶「勇者様、また実験させてくれるんですか?」
勇者「俺と戦士に選ばれなかった女をくれてやるよ」
魔法使い「やったぁ!」
長「あの……勇者様……どういうことですか……?」
勇者「町を救いたいんだろ?―――何も犠牲にしないで平和なんて手に入らねえんだよ、ボケ」
長「な!?」
勇者「夕刻までに用意しろ。―――できなければ、この話はなしだ。あと、宿代は勿論、無料にしろよ?あはははは!」
―――ドラゴンの山 頂上
ドラゴン「魔王か……去れ」
魔王「そうはいかん。貴様、人間の農作物を荒らしているようだな?」
ドラゴン「……」
手下「何か訳があるんでしょう?」
ドラゴン「ふん……」
魔王「言えぬのか?」
ドラゴン「アンタに言ったところで、信じてもらえない」
魔王「どういう意味だ?」
ドラゴン「アンタは人間との共存を望んでるんだろ?」
魔王「ああ」
ドラゴン「なら、話しても無駄だ」
魔王「意味がわからんな」
ドラゴン「―――魔王、俺は人間を守っている。それだけは言っておく」
魔王「なに?」
―――町 宿屋
長「連れてまいりました……」
勇者「ほお……」
戦士「中々、粒ぞろいじゃねーか」
長「12歳から18歳までの10人でございます」
魔法使い「へえ……うふ、誰もでもいいから呪文の実験したーい♪」
僧侶「そうですね……ふふ」
勇者「―――よし、お前とお前」
少女「は、はい……」
女「……」
勇者「こっちにこい」
戦士「流石、勇者。見る目があるぜ……ひひ」
勇者「残りはお前らにやる。好きにしろ」
僧侶「はーい」
魔法使い「さてと……じゃあ、氷の呪文でも試そうかな♪」
少女「ぎゃぁぁあああああああ!!!!!!!」
魔法使い「ほらほら、叫ばないの。氷柱が腕を貫通しただけじゃない」
少女「やめでぇぇぇぇ!?!?!」
僧侶「ふふふ」
女「……いやぁ……」
少女「ママぁ……」
僧侶「えっと、アナタこっちに」
女「やめて……いやぁ!!!」
僧侶「うるさい。マホトーン」
女「……!?」
僧侶「そうそう。黙っててください」
女「!?!?!」
僧侶「じゃ、古代上位呪文のザオラルを試しますので、一度死んでくださいね?―――はい♪」
女「――――ぃ!?」
僧侶「ふふ。ザオラルは成功すれば生き返れますから、祈っててくださいね?」
―――ドラゴンの山 頂上
魔王「訳を言え。農作物を荒らすことがどうして人間を守ることに繋がる?」
ドラゴン「ふう……しつこい。去れ」
手下「そうもいきません」
ドラゴン「ちっ……じゃあ、今から町にいって確かめてこい」
魔王「なんだと?」
ドラゴン「あの町は腐ってる。何を栽培しているか調べれば、そのことがよくわかる」
魔王「―――その言い方、まさか」
手下「悪魔の薬草、ですか?」
ドラゴン「ふん……」
魔王「バカな……人間がそんなものに手を出すはずが……!?」
ドラゴン「人間を心から信頼し、愛するアンタは立派だと思う。でもな、人間にも魔物にも死んで同然の奴はいくらでもいるんだ」
手下「悪魔の薬草なら……魔王様」
魔王「その昔、ルビスが唯一人間にも魔族にもその使用及び栽培を禁じた薬草を作っているとなると……」
手下「人間の間で売買が行われている可能性もありますね。急ぎましょう」
―――町
勇者「―――ちょっと、休憩する」
戦士「じゃあ、こっちの娘も貰うぜ?」
勇者「好きにしろ」
少女「あ……あ……」
戦士「おら、なにへばってんだ!!」
少女「ぁ……ぅ……もう、やめ……て……」
―――宿屋 屋上
勇者「―――ふぅ。外の空気はうまいな」
長「勇者様……もう娘たちに酷いことは……」
勇者「なんだ、お前。まだいたのか?」
長「どうか、これで勘弁してください」
勇者「なんだ?これは?薬草か?ふざけんな」
長「薬草は薬草でも闇ルートではたった数キロ程度で1億G以上で取引されてる悪魔の薬草ですよ?」
勇者「それって……」
―――町
魔王「ここか……」
手下「ドラゴンの話だと、こちらに畑があると」
魔王「よし。まずはそこに行って確かめるぞ」
手下「はは!」