勇者「倒しに来たぞ魔王!!」魔王「また来たのか…」 3/4

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勇者「ちょっと話したいことが合ってな」

賢者「やほー、僧侶ちゃん」

魔王「知恵と力を借りようとしたらまさかハーレムパーティとは勇者というやつは…」

僧侶「賢者さん!! …と、誰?」

――

僧侶「……そんなことが」

賢者「私も最初聞いた時は信じられなかったけどねー」

勇者「だけどこいつが言ってることは本当だ」

僧侶「死体も見せられましたし、信じるしかないですね」

魔王「というか魔王に対して全然敵意ないの。隠すつもりが勇者がばらすし」

魔王「いやこのほうが話が進めやすいんじゃが、なんか釈然とせぬ…」

勇者「勇者一行は変わりものなんだよ」

魔王「王道を進む者たちは都合の良いものということかの…」

賢者「ご都合主義万歳じゃない、人生楽なのがいいわ」

魔王「賢者らしからぬセリフじゃの…」

僧侶「勇者さんが言うなら、わたしはそれに従うだけです」

賢者「それに、みんながハッピーになる道があるならそれを進もうじゃない」

魔王「……正しく勇者一行、じゃの」

僧侶「それで、お城に侵入するとは?」

魔王「死体は残される、城に運ばれた者もなし。そうなると城の中で何かある」

賢者「そう考えるのが自然ね」

勇者「しかし城の中っつっても一通り調べ……いや、地下があるな」

魔王「地下?」

僧侶「あー、そういえば地下室だけはどうしても入れてくれませんでしたね」

賢者「きっとすっごいお宝がざっくざっくあるに違いないわねおっとよだれが」

魔王「煩悩の多い賢者じゃの…」

賢者「しかし、ここまで考えるなんて魔王ちゃんやるねえ」

魔王「ちゃん付けするな!」

勇者「ほんと、お前は馬鹿なのか偉いのかわからないよなあ」

【王城地下入口前通路】

賢者「そんなこんなで地下入口前ね」

魔王「あっさり来たの…」

勇者「無駄な描写は省くに限る」

魔王「メタメタしいのう…」

僧侶「それで、どうするんですか?」

勇者「見張りの兵士がいるなあ」

魔王「幻覚魔法を兵士に、透過魔法と消音魔法をわしらにかけよう」

賢者「おっと、じゃあ私も手伝うよ」

僧侶「あ、わ、私も」

魔王「かまわぬよっと…ほい、では行くかの」

賢者「ひゅー、一瞬で同時にとは」

僧侶「これが魔王……」

【王城地下一階】

勇者「なんか…」

賢者「雰囲気が違うわね、鉄の通路…?」

僧侶「こんな作りの建物、はじめてです」

魔王「ここだけ文化水準が違う気がするのう」

勇者「……」

魔王「やはり何かが、秘められておる。そう感じるわ」

賢者「そうねえ」

僧侶「奥に続く扉がありますよ」

勇者「入ってみよう」

僧侶「広い部屋ですね……あれ?」

賢者「何かしら」

魔王「なんじゃあれは」

勇者「大量の……鉄の箱?」

魔王「箱と言うか…細長く丸っこいのう、かなり大きなサイズじゃし」

僧侶「人ぐらいなら入る大きさですね。何が入ってるんでしょう…こんなにたくさん」

賢者「百は…越えてるわね、五百…でも足りないか」

勇者「開けてみるか」

僧侶「大丈夫ですかね?」

賢者「私ら勇者一行は今まで好き勝手色んなもの開けてきたじゃない」

僧侶「そ、そうですけど」

魔王「まるで強盗じゃな…」

勇者「まあ、この鉄の箱に秘密が隠されてるかもしれないんだ」

僧侶「そうですね…では、開けてみましょう」

魔王「この箱で秘密が解けるのか…否か…」ガチャ…

勇者「……な、」

賢者「……これは」

僧侶「……ど、どうして」

魔王「……そういうことか」

勇者「なんで…」

魔王「なるほど、の…」

勇者「俺が、眠ってるんだよ…」

【宿屋大部屋】

魔王「さて、一度抜け出してきたわけじゃが」

勇者「……」

賢者「うーん、ちょっと、参ってるわ」

賢者「なんで…なんでわたしたちがあんなに…」

魔王「あの箱の中には勇者、賢者、僧侶、戦士が眠っておった、それも何体も」

魔王「全部を調べることはできなかったがたぶん、全ての箱が勇者一行で埋まっておる」

勇者「……そうだな」

僧侶「これが、生き返りの秘密ですか…?」

賢者「そうね…、つまり私たちは…」

勇者「ああ。俺たちはどんな方法か、最初から多くの代わりが用意されていた」

魔王「そしていかなる方法か記憶と状態を引き継いで、そのうちの一体が蘇る」

勇者「これが、俺たちが死体を残したまま生き返る、秘密だ」

魔王「といっても、謎はまだある」

僧侶「それって…」

賢者「どうやって私たちの代わりを用意しているのか」

勇者「それに、記憶の引き継ぎ、持ち物の把握、だな」

魔王「勇者一行の全てが監視、把握されてるわけではない、と思う」

僧侶「どうしてですか?」

賢者「あれだけ隠してたものを知ろうとしてる間に何も起こってないしね」

魔王「見逃されてる可能性もある、あるいはもっとよからぬ企みがあるか」

勇者「あれだけの技術力があるんだ、箱を開けたことがバレててもおかしくないな」

僧侶「えぇ…」

勇者「怯えんなよ僧侶、仮にバレてても俺がちゃんと守ってやる」

僧侶「勇者さん…」

賢者「こんなとこでフラグたてないでくださーい」

魔王「大事な話の中でふざけるでない勇者!!」

勇者「え? え?」

魔王「…まあ、その件については大丈夫じゃろ」

勇者「バレてないのか?」

魔王「いや、バレとるじゃろ、そりゃ」

僧侶「ええ!?」

魔王「何を驚く、さっき勇者が言ったようにあの技術力じゃ」

魔王「バレとると考えて間違いはないじゃろ」

魔王「ただ、勇者一行の行動は十中八九監視されてはない」

勇者「それはさっき賢者が言った通りか」

魔王「うむ」

僧侶「そ、それでバレてるのに何が大丈夫なんですか?」

魔王「侵入され、箱が開けられたのはバレておる、じゃが」

賢者「ああなるほど、誰がやったかはバレてないってことね」

魔王「うむ、そのための透過魔法じゃ」

魔王「幻覚と違い、わしらが透明になる魔法じゃ、見破られはせん」

魔王「姿が見えるのは、わしとわしの魔法をかけられた者同士だけじゃ」

僧侶「な、なるほど。それなら大丈夫ですね」

勇者「となると、どうやって残された謎を解明する?」

魔王「おそらく残りの謎はわしらが考えてもわからぬだろう」

魔王「あれはわしらの及ばぬ技術の先にあるものじゃ」

賢者「魔法で出来る範囲を超えてるものね」

魔王「魔法で解決できないものがあるとはのう…」

勇者「意外と多いぜ、生きてるとな」

魔王「やはり世界は、広いのう」

僧侶「考えてもわからないなら、どうします…?」

魔王「うむ、お主らも知りたいだろう、自分たちの秘密を」

賢者「好奇心は猫をも殺すけど、知らなきゃ死んでも死ねないわねぇ」

勇者「しかも、その死に関係する秘密だしな」

魔王「それでは、知りに行くとしようか」

魔王「お主らは、何故生きているのか。あのお主らは何なのか」

魔王「その他もろもろの秘密を、解明するとしようじゃないか」

勇者「……格好良く言ってるけどお前興味本位だろ?」

魔王「うむ!」

勇者「……はぁ」

賢者「秘密を暴きに行くなら戦士ちゃん呼ばなくていいのかしら?」

勇者「あいつはいいだろ、馬鹿だし」

僧侶「馬鹿ですしね」

賢者「そっか、馬鹿だもんね」

魔王「お主らひどいのう…それじゃあその戦士にかけた術が解ける前に、決着をつけるかの」

勇者「で、秘密を解明するってどこに行くんだ」

魔王「そりゃ城じゃろ」

勇者「何をしに」

魔王「王から謎を訊き出しにじゃ!」

勇者「馬鹿か」

賢者「馬鹿ね」

僧侶「馬鹿ですね」

魔王「お主らやっぱりひどい!」

勇者「隠してたことだぞ、適当にはぐらかされる」

魔王「あ、そうじゃな」

勇者「馬鹿って言うか、変なとこで抜けてるんだよな、お前」

魔王「なら拷問して訊き出せばどうじゃ」

勇者「国際問題だな、戦争が起きる」

魔王「わしの身分を隠して」

勇者「俺らの身が危ないだろ…反逆者として始末される」

僧侶「もう二度と生き返ることもないでしょうね…」

魔王「本来、普通の生き物は、生き返ることはないんじゃがの」

賢者「選ばれた一握りの人間だけよね、精霊様の加護をもらえるのは」

魔王「そうじゃな。しかしお前たちの生き返りは精霊とは関係なさそうじゃがの」

魔王「なんだかもっと、そう、まるで真逆じゃ。精霊を侮辱するような、そんな…」

僧侶「わかるんですか?」

勇者「あれを見て意識したからか、俺もなんとなくわかる…。精霊の加護を…自分の魂から感じない」

僧侶「それって…」

勇者「だからと言って魔法を使えないわけじゃないがな」

勇者「なんだろう、精霊が怒ってるような、そんな感じ」

勇者「俺に対してじゃなく、なんだろうな、俺の身体に? わかんね」

僧侶「む、むずかしいです…」

勇者「ま、その話はいいとして、で、どうする?」

魔王「ううむ、秘密を解明する方法…方法…」

魔王「王に訊いてもはぐらかされるのなら、はぐらかせないようにすれば…」

勇者「訊くにしてもバレないよう、人目のつかない場所でだな」

賢者「……ほむーん、考えがあるわ」

魔王「なんじゃ今の」

僧侶「どんな考えですか?」

賢者「うん、それじゃあ誰かに死んでもらうとしようかな」

僧侶「え?」

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