黒服「大司祭さん、あなたがカギですよ」
黒服「準備はいいですか?どうぞ」
『…ザザッ…こちら兵士長。しかしすっげーな、遠くでも声が聞こえるぞ、どうぞ』
『ザッ…こちら大司祭。こんな箱ですごい魔法ですね、どうぞ』
大司祭「いえ、大したことはありませんよ、どうぞ」
『ザザッ……こちら王だ。準備位置についたぞ、どうぞ』
黒服「魔王城の四方の山に頂上につきましたね。渡したメガンテは設置しましたね?」
『ザッ……だいじょうぶだ、問題ない』
黒服「では大司祭さん、お願いします」
『了解です。ザザッ……ラナリオーン!!』
パァア
『お……おお……あったけぇ……晴れた!……ザッ』
ズッズズッ
『はぁああ!』
『お、おい。ちょっと暑くなってきたぞ……』
黒服「ではみなさん伏せてください!メガンテ!」
カチッ
―――魔王城
魔王「むっ、なんか暖かくなったな」
側近「そうですか?」
魔王「暖房いれたのか?」
側近「いえ、何もしてませんが……」
ジリジリ
魔王「ぬぅぅ、あ、暑い!マントなど着ていられるか!」
バサァ
側近「それトレードマークでしょう!脱いだら威厳がなくなっちゃいますよ」
魔王「異常気象か?窓を開け……」
ゴゴゴゴゴゴッ
魔王「な、なんだ?」
側近「地震!?」
ゴゴゴゴゴゴゴッ
魔王「なんか近づいて来ている!?」
側近「これは……雪崩!」
ガシャアアアン!
―――黒服の部屋
勇者「なんだよ、こんなところに呼び出して」
魔法使い「いいから!早く!」
戦士「仕事いっぱいのこってるんだが……」
僧侶「はぁ……やっと休める……」
トコトコ
魔法使い「この扉の奥なんだけど……」
戦士「おいおい、人の部屋あんまりあさるなよ」
僧侶「そうですよ!」
勇者「お前デバガメだったのか」
魔法使い「違うわよ!いいからこっち来て!見つけたの!」
勇者「エロ本を?」
魔法使い「そ、それもあったけど!///」
勇者「あったのかよ」
戦士「どこにあるんだ?」
魔法使い「それはもういいから!こっち」
僧侶「……」
キョロキョロ
魔法使い「僧侶も探さないの!」
僧侶「わ、私は別に……///」
魔法使い「この中よ」
ガシャッ
戦士「うおっ、なんだこりゃ」
勇者「見たこともない道具がいっぱいだ」
僧侶「わぁ……」
キョロキョロ
魔法使い「それよりこれ」
スッ
勇者「なんだそれ?」
魔法使い「黒服の日記みたい」
勇者「いや、日記は見ちゃだめだろ。常識的に」
戦士「だよな、さすがに俺もひく……」
僧侶「魔法使いって……」
魔法使い「いいから見て!」
グイッ
勇者「え?」
戦士「これってやばいんじゃないか?」
僧侶「王様達が……」
魔法使い「早くしないと!」
―――魔王城
兵士長「おおー魔王城が埋まっちまったぜ!がはははは」
大司祭「さすが黒服さんです」
黒服「いえいえ、兵士長さんが天候の話を、大司祭さんが雪崩の話をしてくれたからですよ」
王様「そこからこんな攻め方をするとはな。これではさすがに……」
黒服「ええ、いくら力の強い魔物でも雪に埋まってしまってはどうしようもないでしょう」
兵士長「でも、でかいやつとか生き残ってるんじゃね?」
黒服「いくら大きくても力が強くても雪の下では息ができませんからね」
王様「なるほど」
黒服「息が出来なくて生きていられる生き物はいません」
兵士長「でもこれじゃあ死体が確認できねーなー」
ザクザクッ
魔王「その必要はない……」
兵士長「魔王!」
大司祭「生きていたの!?」
王様「まさか……無傷であれを……」
魔王「がはぁ……はぁ……おのれ……」
ガクッ
黒服「魔王が生きていましたか……ということは……」
側近「はぁはぁ……魔王様しっかり!」
黒服「なるほど……」
大司祭「いったいどうやって……」
魔王「危なかった……一瞬早く側近が窓を割って連れ出してくれなければ……」
側近「それでも雪の衝撃が……ぐぅ……」
兵士長「なんだ虫の息じゃねーか」
魔王「おのれ……卑怯な……」
王様「卑怯?これも兵法というやつだ」
魔王「よく言う……ぐぅ……」
兵士長「よし!やっちまおうぜ!」
ザッ
大司祭「心苦しいですが、これも人々のためです」
ザッ
王様「許せよ」
ザッ
ターン ターン ターン
兵士長「ぐあっ」
大司祭「きゃあ」
王様「ぐふぅ」
魔王「き、貴様……仲間を……」
黒服「魔王、あなたには用はありません」
ターンッ
魔王「がはぁ」
バタッ
黒服「ひさしぶりですね、側近」
側近「な……?」
王様「うぐぐっ、な、何を……黒服」
兵士長「まさかこいつらの仲間……?裏切るのか……」
黒服「仲間?こいつらと?私が?そんなわけないでしょう」
大司祭「か、回復を……」
黒服「まだ動けるんですか。まぁ私をここに連れてきてくれたくらいですからね」
黒服「でも面倒なので寝ててください」
ジャキッ
黒服「ラリホー!」
ターン
大司祭「ううっ……」
パタッ
側近「だ、誰だ」
黒服「まだ分かりませんか?あー、こんなシルクハットで顔を隠してましたね」
クイッ
側近「お前は!封印してやったはず!」
黒服「お久しぶりですね。ほんと、この世界では何千年振りってところですか?」
側近「いったい何をしに……」
黒服「まったく今度は側近ですか?くだらない。こんなゲームの世界で」
王様「うぐぐっ……ゲーム?」
兵士長「な……に……を……」
側近「くだらなくなんかない!」
黒服「くだらないですよ。私ならもっと私のための素晴らしい世界を作ってあげますよ」
側近「そんなだから封じさせてもらったんだ!」
黒服「そうですか、それで?私の肉体は?」
側近「もう……ない。お前はルールを破った!」
黒服「なるほど……ではこの世界で生きるか……またはあなたの肉体を……」
側近「くっ……」
バッ
黒服「おっと!」
ターンッ
側近「ぐあああ!な、何を撃った……」
黒服「逃がしませんよ。簡単な電子ウィルスですよ。これで外には逃げられない」
黒服「ここまで来るまで長かったですからね……あなたの行動は想定済みです」
黒服「この世界であなたは色んな立場になって楽しんでましたが、いつでも身の回りは完璧に守られていた」
黒服「特に今回は側近ですか。周りは強力な魔物だらけ……とても近づけそうにありませんでした」
側近「だからお前は……」
黒服「ええ、育てましたよ。ぽっと出の勇者なんて待っていられません」
黒服「何代にもかけて技を受け継ぎ、鍛え、そして……勝った」
王様「なんだ……と」
兵士長「俺達は自分の意思で……」
黒服「意思などいくらでも操作できますよ。そう、子供のころからでもね」
側近「なぜ素直に楽しまない……弱い勇者が少しずつ成長して魔王を倒す……それがいいんじゃないか」
黒服「甘いんですよ。それにこの世界のルールも。こういった道具も開発できてしまいましたしね」
ジャキッ
黒服「さあ、制御キーを渡してもらいましょうか」
側近「それを使ってどうする気だ」
黒服「そうですね、こんなくだらない世界はなくしてしまいますね」
王様「なっ……」
黒服「もっと殺伐とした私による私のための世界でも作ってみましょうか」
側近「おい!この世界の人間はどうなる!」
黒服「何をいってるんですか?プログラムに感情移入しすぎですよ」
側近「違う!この世界には意思がある!人の中には意思がある!」
黒服「あー、はいはい。いいから制御キー渡してくださいね」
ゴソゴソッ
側近「くっ……」
勇者「待て!」
魔法使い「よかった!間に合った」
僧侶「王様達が!」
戦士「このやろう……」
黒服「なんであなた達がここに……城でたっぷり扱かれているはずなのに」
勇者「てめぇの指示か!このドS!」
戦士「あの扱きで何度気を失ったことか……」
僧侶「あの日記に書いてあったことは本当だったんですね」
黒服「見たんですか?しかし、あれはセキュリティードアの中のはず……」
魔法使い「何か色々やったら開いたの」
黒服「そんないい加減な……」
王様「お前たち……」
兵士長「逃げ……ろ……お前たちでは……」
ガクガク
戦士「兵士長!てめぇ……よくも俺んとこの道場主を!」
僧侶「大司教様!」
ダダッ
僧侶「生きてる……今回復を……」
ターンッ
僧侶「うっ……」
魔法使い「あれは……メラ?」
黒服「ああ、面倒な事しないでくださいよ。メラ?もう呪文一々言うのもめんどくさかったんですから」
ターンッ
勇者「僧侶危ない!」
ドンッ
黒服「ちっ……」
ジャキン