黒服「あれを避けるなんて……成長してる?」
勇者「さんざん扱かれたからな!」
黒服「いや、そもそもこんな魔界の真ん中まであなた達が来られることがおかしい」
勇者「僧侶、大丈夫か?」
僧侶「ええ、掠っただけ……」
黒服「どうやってここまで」
勇者「真っ直ぐきただけだ」
戦士「そうそう、なんか敵まったくいなかったし」
魔法使い「山も雪が解けてて登りやすかったわね」
黒服「ちっ……裏目ですか」
勇者「さあ、覚悟してもらおうか」
黒服「それで?私に勝てると思ったんですか?」
ジャキンッ
勇者「勝てるんじゃない!勝つんだ!」
ブルブルッ
王様「お、お前震えてるぞ……うぐっ」
勇者「大丈夫!武者震いだ!」
戦士「そ、そうだ!俺達なら勝てる!」
魔法使い「魔王に比べれば……あ、あんたなんて」
ガクガク
僧侶「怖くありません!」
黒服「くっくっくっ、どこまでテンプレ通りですか。まったく心が折れない……それが勇者」
側近「当然だ……」
黒服「しかし作り物の勇気です」
側近「違う!」
勇者「いや……作り物かもな……」
側近「勇者!?」
勇者「だけど、作り物でも俺は俺だ!」
勇者「正直お前の日記に書いてあることはよくわかんなかったけど、この世界も俺達も作り物なんだろ」
黒服「そうです」
勇者「で、作った神みたいな連中がお前らってことだ」
黒服「そこのは神のなりそこないですけどね」
勇者「それ読んだ時、マジで怖くなったよ。この世界なくそうっていうんだからさ」
勇者「それに俺自信も作り物だって知ってさ、泣きそうになった」
黒服「安心してください。そんな感情も作り物です」
勇者「でもさ、みんなで一緒に読んだからさ。耐えられたさ。俺には仲間がいる」
戦士「おう!」
僧侶「勇者様」
魔法使い「勇者……」
勇者「でも魔法使いはこれを一人で読んでた……」
勇者「一人で読んで……それでも耐えて俺達に知らせてくれた」
勇者「勇者は心が折れない?違うね、それは魔法使いのことさ!」
魔法使い「うっ……」
勇者「怖かったんだろ。大丈夫だ、俺達がいる」
魔法使い「うんっ……」
ブルブルッ
黒服「あー、もうそういう寒いのいいですから。さっさと眠ってください」
ターンッ
勇者「うぐっ」
黒服「ふふっ……」
勇者「いくぞ!」
ダダッ
黒服「何……?当たったはず!なぜ眠らない!効果発動率100%だぞ!」
勇者「戦士!」
戦士「おう!」
ブンッ
黒服「おわっ!同時に攻撃をするような仕様はないのに!」
魔法使い「メラ!」
ゴゴゥ
黒服「うぐっ……次は私のターンのはずだ!」
ターンッ
僧侶「スクルト!」
キィン
黒服「こちらの攻撃に合わせて防御など……」
側近「仕様を……超えてる?」
黒服「お前たちはレベル1だったはず……なぜ……」
勇者「城でたっぷり鍛えられたからな!」
ズバッ
戦士「仕様?しるか!そんなもん!棍棒パンチ!」
ゴスッ
黒服「うぐっ……」
兵士長「戦士……お前……がふっ……棍棒パンチを覚えたのか……」
黒服「このぉ!手榴弾でも食らえ!」
ピーンッ
魔法使い「メラ!」
ドゴーン!
黒服「がぁ……」
僧侶「大司祭様……私もモーニングスター使えるようになりましたよ!」
ブンッ
グシャア
黒服「……」
側近「これは酷い……」
勇者「倒し……た?」
戦士「や、やったのか?」
ザザッ……ザザザッ……
僧侶「黒服が……消えていきます」
魔法使い「倒した!倒したのよ!」
ピョンピョン
側近「封印プログラムに……戻るのか……黒服」
勇者「そうだ!王様達を!」
僧侶「ホイミ!」
パァアア
王様「うぐぐっ、助かる……」
兵士長「まさかお前たちに助けられるとな……」
勇者「腐っても勇者でしょ?」
王様「誰だそんな酷いことをいうやつは……ははっ」
戦士「勇者ー!んでこいつどうする?」
側近「……」
魔法使い「えっと……神様?」
側近「違う……私は魔王様の側近だ……」
魔法使い「じゃあそれでもいいわ……いろいろ聞きたいから」
勇者「そうそう」
側近「好きにしろ……ん?お前が……勇者?」
勇者「そうだよ。作り物なんだろ?」
側近「私のプログラムと違う……」
勇者「あ、やっぱ俺ら作り物なんだ……って……え?」
側近「ふふふっ、そうか……なるほど……」
勇者「何一人で納得してるんだよ」
グイッ
側近「いたたっ」
勇者「あっ、わりぃ……怪我してるんだったな」
側近「黒服に勝てるわけがないと思ったが……納得だ」
勇者「だからなにが」
側近「バグだ……」
魔法使い「どういうこと?」
側近「私は確かにこの世界を作った……だが……君達は違う」
魔法使い「違うって?」
側近「プログラムを逸脱してる……いや……縛られていない……」
戦士「よくわかんねーよ!」
側近「この世界がどうなるのかはもう私にも分からないってことだよ」
勇者「はぁ!?」
僧侶「なんですかそれ?」
戦士「つまり未来は未定ってことか?んなことあったりまえじゃねぇか!」
魔法使い「そうね……当たり前……それが一番幸せ……」
勇者「魔法使い……」
ギュッ
戦士「まぁいいや。要するにあとはこいつら倒せば終わりってことか?」
側近「好きにしろ……」
勇者「まぁ待て。魔王はまだ生きてんのか?」
側近「おそらく……」
勇者「よし!じゃあやり直しだ!」
戦士「はぁ!?」
僧侶「どうしてですか!?」
勇者「だって俺らまだ魔王倒せるほど強くないしな!」
勇者「黒服には偶然勝ったけど、魔王もついでにってずるくないか?」
魔法使い「ぷっ……勇者らしいね」
戦士「しかたねーなぁ」
僧侶「折角だから顔だけ踏んで行きましょう」
ムギュムギュ
側近「ああ……魔王様になんてことを……これもバグの影響か……」
勇者「で、いいっすか?王様」
王様「勝ったのはお前たちだ。好きに決めろ」
兵士長「くっそー。俺も鍛えなおしだ!」
大司教「いつつ……何があったんです?」
キョロキョロ
勇者「じゃな、今度はズルせずに正面から来るからな」
側近「分かった……だが、待っているがいい」
側近「いずれ魔王様は力を取り戻し、世界を闇で多い尽くすのだ!」
側近「ここで見逃したことを後悔するがいい!はーっはっはっは!」
戦士「なぁ、こいつらやっぱ倒していかねー?」
僧侶「踏んでおきます?」
勇者「ははは!別にいいよ。また鍛えなおしてくるから」
勇者「よし!帰ろう!」
魔法使い「うん!」
ギュッ
側近「帰っちゃいましたね」
魔王「ああ」
側近「気がついてましたか」
魔王「まぁな、だが動けん」
側近「魔王様は治癒力が高いですからもうすぐ動けますよ」
魔王「それはそうだが……お前が神だったとはな……私の天敵ではないか」
側近「神なんかじゃないですよ……ただの側近です」
魔王「なるほど、最後の勇者達への啖呵はなかなか心地よかったぞ」
側近「お褒め与り光栄です」
ペコッ
魔王「我々の心は作り物であったのか……」
側近「昔は……です。今は魔王様の心は魔王様のものです」
魔王「そうだな。ふははっ、しかし面白い人間達だったな」
側近「ええ、まったく」
魔王「また会えるのが待ち遠しいわ」
側近「ですね」
魔王「その時は全力で相手をしてやろう」
側近「そうですか」
魔王「だが、別に殺してしまう必要はないな」
側近「ええ、そんな縛りなどもうないんですから」
魔王「友達に……なれるか?」
側近「魔王様次第かと……」
魔王「顔を踏んだ僧侶の娘……可愛かったな……仲良くなれるか?」
側近「それも魔王様次第かと……」
魔王「ふははは!そうか。ではしばらくの間まっているとするか!」
側近「ですね。でも、とりあえずお城掘り起こさないと……」
側近「ああ、もう全部埋まっちゃって……どれだけかかるやら……」
魔王「ふははっ!側近!任せた!勇者達が来るまでにな」
側近「魔王様も手伝ってくださいよー」
ザクザクッ
おしまい