勇者「俺と勝負したいって?」王様「勝ったほうが魔王を倒しに行く」 1/5

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王様「情報によると城下に勇者と名乗るものが現れたらしいな」

大司祭「ええ、城の占いにの予言で示された通りです」

兵士長「そいつ、強いのか?」

王様「分からん。まだ10代と聞いたが……」

兵士長「はぁ!?糞ガキじゃねえか」

大司祭「占いによる勇者の仲間達も若者のようですが……」

兵士長「10年やそこら体鍛えたからって魔物に通用するわけねーだろ」

王様「そうだな……黒服はどう思う?」

黒服「私ですか?」

大司祭「黒服さんは今日も黒いスーツとシルクハットがお似合いですね」

黒服「それはどうも。これしか持ってないんですよ」

王様「で、お前の意見は?」

黒服「そうですね。では、勇者達の実力を試す……ということでどうです?」

王様「なるほど。シンプルでいいな」

大司祭「どうやって試すんです?」

兵士長「実力を試すっつったらバトルしかねーだろ」

ワクワク

黒服「いいですね。じゃあ我々と戦って勝ったら魔王討伐を許可するというのでは?」

王様「私達とか?」

兵士長「確かに俺らに負けるようじゃ魔王なんて倒しにいく資格ねーな」

兵士長「つーか俺らが倒しに行ったほうが早くね?」

王様「誰かが行かねばならんからな。伝説の勇者の実力次第では考えねばならないな」

大司祭「しかし、我々に本当に勝てるのでしょうか……剣を取っては天下一の兵士長さんに」

大司祭「魔法を極めた黒服さん、そして私と……何代も前から技を受け継いできた王様に勇者達が」

王様「それは戦ってみれば分かるだろう。よし!兵錬場を開けておけ」

兵士長「うぉっし!楽しみだぜ!」

大司祭「勇者達を呼びますか?」

王様「いや、魔王討伐に行くのであれば挨拶に来るだろう、その時話そう」

黒服「私も久しぶりに体を動かせそうで楽しみです」

―――謁見室

勇者「はじめまして。勇者と申します」

魔法使い「魔法使いよ」

僧侶「僧侶です」

戦士「よろしく!」

ペコッ

王様「そんな堅苦しい挨拶はいい」

勇者「そお?よかったー。敬語苦手あんだよね」

王様「急に変わるな……まぁ、いい。随分若いな」

勇者「ああ、15歳です。で、王様。魔王討伐に向かう報告に……」

王様「やはり行く気か。だが、ただで許可するわけにはいかん」

勇者「は?金取るの?」

王様「違う!実力を試させてもらおう」

勇者「実力?いっちゃなんだけど、俺すげー強いよ?」

王様「ほぅ」

勇者「剣の修行もしてたし」

ブンブンッ

勇者「魔法も使える。メラッ!」

ボボゥ

魔法使い「あたしも自信はあるわ」

僧侶「私も回復でしたら……」

戦士「俺より強い奴に会いに行く……」

王様「では勝負しようか」

勇者「はっ?俺と勝負したいって?」

王様「ああ、勝ったほうが魔王を倒しに行く」

―――兵錬場

兵士長「おう!来たか、待ってたぜ」

勇者「ここは?」

王様「兵達の兵錬を行う、まぁ修行場みたいなところだ」

戦士「うわぁ……コロシアムみてー」

勇者「ここで戦うのか?」

王様「そうだ。そちらも4人だから丁度いいな」

大司祭「初めまして」

黒服「よろしく」

勇者「まっ、いいや。俺つえーし。ルールは?」

王様「そうだな。1対1でやりあうか?」

兵士長「ったりめーだろ。男の勝負はガチ○コだぜ!」

大司祭「私女なんですけど……」

魔法使い「あたしも」

僧侶「私もです」

兵士長「気にすんな!がははは」

王様「じゃあ、私と勇者。戦士と兵士長。黒服と魔法使い。大司祭と僧侶ってところでいいか?職業も近いからな」

勇者「おっけー」

魔法使い「わかったわ」

僧侶「はい」

戦士「くくくっ、剣の錆にしてくれる」

王様「怪我をしても治療してやるから安心するがいい。武器も魔法も使っていいぞ。ここは頑丈だからな」

兵士長「いよっしゃー。誰からやる?誰からやる?」

王様「そうだな、まずはやはり勇者の実力が知りたいところだな」

勇者「いいぜー。怪我しても怒るなよ」

王様「ははは、私に勝てるような勇者がいるということは喜ばしいことだ。怒るものか」

勇者「よし、じゃあいくか」

ジャキンッ

王様「来い」

ブンッ

勇者「あれ?王様は剣じゃなくてそんな棒なのか?」

王様「剣は王者の持つ武器ではないからな」

勇者「そ、そうなのか?でもそんな鉄の棒っきれで大丈夫か?」

王様「10代前より受け継ぎ、事上磨錬され続けた技がある。遠慮することはない」

勇者「わかった。死んでも怒るなよ!うりゃああ」

ズバッ

王様「ん?」

ギィーン

勇者「うっ、受けただと……」

ググッ

勇者「くそっ、これでどうだ!二段斬り!」

ズババッ

王様「ほっ」

キンキンッ

勇者「防がれた……」

王様「勇者……お前剣を取って何年だ?」

勇者「5年間死ぬ気で修行したんだ!」

ブンッ

王様「うむ……5年でこの実力であれば喜ぶべきだな」

ヒョイ

勇者「ば、馬鹿にするな!」

ズバッ

王様「勇者でなければな!!」

ドスゥ

勇者「うごぁ……」

戦士「うぉっ」

魔法使い「棒が勇者の体を……」

僧侶「貫いた……!」

勇者「うぐぐ……」

バタッ

王様「安心しろ。急所ははずしてある」

魔法使い「外してあるって!貫通してんじゃん!」

王様「治療してやれ」

兵士「はっ」

ズルズルッ

王様「残念だ……だが、あれではスライム相手にも苦戦しただろう」

兵士長「だなぁ、腰がはいってねーよ。腰が」

王様「道半ばで死ぬよりはここで実力を知った意味は大きいだろう」

魔法使い「そ、そうかもしれないけど……」

兵士長「よっしゃ!次は俺達だぜ?戦士」

戦士「くっ、勇者の仇……討たせてもらう」

兵士長「いいね、いいねー。そのノリ嫌いじゃねーぜ」

兵士長「さぁて、いくか」

トントン

戦士「おう」

魔法使い「ちょっと!」

兵士長「ん?なんだよ。男の勝負に水刺すなよ」

魔法使い「だって、なんか武器が違いすぎない?」

兵士長「あ?この王者の剣のことか?王様に借りたんだけどな」

魔法使い「戦士は銅の剣よ!ずるいじゃない!」

兵士長「あー、まー、本当の剣士は獲物を選ばないんだけどなー。まぁいいや。ほれっ」

ヒョイッ

戦士「?」

兵士長「それ使っていいぜ」

戦士「こ、この業物をくれるのか!」

王様「やるか!!貸すだけだ!」

戦士「この刃渡り……そして……軽い!」

ブンブンッ

戦士「くくくっ……これで斬って斬って斬って……」

魔法使い「で、兵士長さんは素手?」

兵士長「んーっ、じゃあこの棍棒でいっか」

グッ

兵士長「ほれっ、きな」

戦士「じゃあ、いくぜえええ!どりゃああ!」

ズバッ

兵士長「あー、お前はさっきのよりちょっとは腰が入ってるが、まだまだだなぁ」

ヒョイッ

戦士「ふざけるな!俺は道場で10年修業したんだ!」

ブンブンッ

兵士長「道場?どこの?」

サッサッ

戦士「王国道場だ!田舎のほうのだけどな!」

兵士長「へぇ……じゃあ受身は出来るな。本気でいくぜ」

トントンッ

兵士長「はぁ!」

ダッ

兵士長「棍棒パンチ!!」

ドスッ

戦士「うがっ」

兵士長「棍棒キック!」

ドガッ

戦士「うぐっ……ま、まだまだ……」

兵士長「棍棒ヘッドバッド!」

ガンッ

戦士「がっ……頭が……」

兵士長「棍棒スープレックス!!」

ドゴーンッ

戦士「……」

王様「1……2………………10!」

カンカンカーン

魔法使い「棍棒使いなさいよ!!」

兵士長「言っただろう。本当の剣士は剣を選ばないと」

魔法使い「使ってないだけじゃない」

兵士長「まったく嘆かわしい弟子だぜ」

魔法使い「弟子?」

兵士長「ああ、俺が王国道場のトップだからな」

魔法使い「剣が使えないのに?」

兵士長「弟子殺すわけにゃいかねーだろ」

僧侶「戦士さん、しっかり!」

戦士「……」

ピクピクッ

魔法使い「この……」

黒服「次は私達の番ですね。魔法勝負ってところですか」

魔法使い「魔法が使えるような格好には見えないんだけど……」

黒服「あいにくこの服しか持ってませんので」

魔法使い「こっちが2敗しちゃったけど、あと2人勝ったらどうなるのよ」

王様「私達に2勝で引き分けたのなら、まぁ、実力は認めてやろう」

魔法使い「ってことは絶対負けられないってことね……」

黒服「でははじめましょう」

魔法使い「いくわよ!メラッ!」

ボボゥ

黒服「あちちっ」

魔法使い「まだまだいくわよ!」

黒服「ではこちらからもメラをお見舞いしますか」

ジャキンッ

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