魔王「世界征服完了したな」 側近「これでニートですね」 2/5

1 2 3 4 5

側近「で、どうでした?」

魔王「だめだ。風で上空へは行けない」

側近「それは残念でしたね」

魔王「ならば・・・側近!地下を掘れ!」

側近「地下・・・ですか?」

魔王「そうだ!城の者総動員で出来るだけ深く掘るのだ!」

側近「はぁ・・・分かりましたよ・・・」

側近「ま・・・魔王様・・・」

魔王「どうした。さっき穴を掘れと言ったばかりではないか」

側近「そ・・・それが・・・掘り始めてすぐに・・・」

魔王「何があったんだ」

側近「それは見ていただいたほうが・・・よいかと」

魔王「分かった。案内してくれ」

側近「ここです」

魔王「どれどれ・・・こ・・・これは・・・空洞?」

側近「ええ・・・何もないんです」

竜騎士「え?空洞なんて見えませんが」

門番「普通の地面ですよねー」

魔王「なに?お前達にこれが見えないのか?」

門番「?」

側近「私には空洞に見えます、それに数字の羅列?」

魔王「これは・・・観測する者によって結果が異なるのか・・・となると・・・」

側近「どうしました?魔王様」

魔王「門番、ここに何が見える?」

門番「普通の地面です」

魔王「ふむ、門番、ここに何が見える?」

門番「普通の地面です」

魔王「門番、ここに何が見える?」

門番「普通の地面です」

魔王「側近、ここに何が見える?」

側近「さっきから何同じこと聞いてるんですか?魔王様」

魔王「ふっ、なるほど。なんでもない。私はちょっと城門まで行く」

側近「そうですか・・・しかし不思議だなぁ」

魔王(恐らくこれは自我と関係しているのではないか・・・)

魔王(大魔王様もしかり・・・。神か何かは知らないが・・・操られているものと・・・自我を宿したもの)

魔王(大魔王様や門番が同じことしか言わない違和感・・・)

魔王(もしかしたら私も以前は自分で考えていると思っていたがそうでなかったのでは・・・)

魔王(確かに勇者を捕らえる前の私は迷ったりすることはなかった)

魔王(これは・・・勇者を倒すという目的を失ったことが起因か・・・とすると・・・)

魔王(もう魔王ではなくニートか・・・側近の言葉はあながち間違いでもなかったな・・・)

サッ ボボゥ

魔王「ふっ、やはり手が燃えおるわ」

魔王(だが・・・これは私がそう位置づけられているという内面の問題ではないのか)

魔王(側近は、地面の下に空間をみた・・・。内面の意識によって観測現象が変わった)

魔王(私の内面が変われば・・・あるいは・・・)

魔王(私は自由だ・・・私は何者にも縛られない・・・私の行動は私が決める・・・)

魔王(私の目的は自由になることだ!!)

ダッ

魔王「うっ・・・?ん?」

魔王「も、燃えない・・・外に出られる・・・」

魔王「外に出られるぞおおおお!」

ヴーン

声「深刻ナエラーヲ確認シマシタ 深刻ナエラーヲ確認シマシタ 深刻ナエラーヲ確認シマシタ」

衛兵「ま・・・魔王様あああああああ!」

魔王「今度はどうした!?」

衛兵「ゆ・・・勇者たちが蘇生しました!」

魔王「なんだと!氷魔法で封印してたのではないのか!」

衛兵「それが突然氷を破り・・・体を修復して・・・」ガクガク

魔王「行くぞ!側近!」

側近「え?私はちょっとお腹が・・・」

魔王「いや、やはりこれは私が原因の問題だ。お前は来なくていい」スタスタ

側近「ま・・・魔王様?」

魔王「見てやろうではないか。真実と言うものを!」

スタスタ

魔王「お前は・・・勇者か?」

勇者「あー、まったく勝手に動くなよなぁ」

僧侶「まったくですね。先輩」

魔法使い「残業代払ってくださいよ」

戦士「まぁちょっとこっちも楽しいっすけどね」

魔王「違うな・・・お前達は・・・誰だ」

勇者「まったく自我芽生えてんじゃねーか。勇者かって?あぁ、そうですよ。勇者様ですよー?」

魔王「何者だ!」

魔法使い「どうせ消されちゃうんだから教えちゃえばいいじゃないですか」

僧侶「私達はね。神様なの」

戦士「あーあ、言っちゃった」

魔王「なるほど・・・創造主か」

勇者「話はえーな。じゃあ消えてくれ」ズバッ

魔王「まだ話は終っていない!火炎呪!」ゴゴゥ

勇者「ああっちぃ!」

魔法使い「あはは、やられてやんの」

魔王「この世の理・・・摂理を乱したから消すと・・・なるほど神らしい」

勇者「お、なかなか面白いこというな。こいつ」

魔王「限られた中で、限られた目的を与えられ、限られたことを行う・・・自由などなかったのだ」

勇者「こいついいな。消さずにデータ持って帰ろうぜ」

僧侶「先輩も好きですねー」

魔法使い「魔王さん、ちなみにそれは運命っていうんだよー」

魔王「運命だと?」

勇者「ま、そういうこった。お前がどんなにがんばろうが、どんなに努力しようが絶対に勇者に最後には負ける。決定事項だ」

魔王「なんだと・・・」

勇者「だが、まさかこんな抜け道があったとな。勇者を捕らえ続けるとかなかなか面白い」

僧侶「デバックちゃんとやらなかったからですよ」

勇者「ま、もう帰りてーし、一気にやっちまうぞ!」

魔王「させるか!広域殲滅呪!」ドーン

勇者「うわ、く・・・崩れる!」

魔法使い「うわ・・いって」

僧侶「きゃあ!」

戦士「あたたたた・・・」

モワモワモワ

魔法使い「みんないますか?」

僧侶「ええ、びっくりした」

戦士「いるっす」

勇者「ああ」

魔法使い「じゃ、やっちまいますね!データドレイン!」

魔王「ぐああああああああああ!」ガクッ

僧侶「終りましたね。先輩」

戦士「はぁ、さっさと帰るっすか」

魔法使い「ほいほい、じゃみんな手をだして」

僧侶「あ、先輩落としてますよ」

勇者「ああ、すまない」

魔法使い「じゃあ、みんなコード持ってますね。ではリリース!」

ヴォーン

側近「・・・様?・・・王様?魔王様!?」

魔王「う・・・うーん」

側近「ああ、魔王様。ご無事だったんですね。よかった。勇者たちを倒してくれたんですね」

魔王「え?だれ?」

側近「勇者たちは倒れてたんで、また封印しておきました」

魔王「え、僕が勇者なのに・・・ん?魔物!?」

側近「え?」

?「おつかれっしたー」

?「はーい、おつかれー」

?「ふぅ・・・先輩、じゃあ私達も帰りましょうか」

?「ここが・・・神の世界・・・」

?「先輩?」

?「ふははははは!なんという刺激!体中の感覚がすばらしい!」

?「どうしちゃったんですか?」

?「煙に紛れて化身の呪でお互いの姿を入れ替えればもしや、と思ったが正解だったな」

?「え・・・せ・・・先輩?」

魔王「火炎呪!!」ボボゥ

?「きゃあああああ!」

魔王「くらえ!」ドス

?「う・・・うぐぅ・・・」ボタボタ・・・バタッ

魔王「手が・・・熱い・・・痛い・・・ずいぶん勝手が違うな・・・治癒呪!」キュン

魔王「それになんと脆弱な生き物か!これが神か!」

魔王「ふはははは!ならば!この神の世界!この私が支配してやろうではないか!」

魔王「これこそが本当の自由だ!はーっはっはっはっははー!」

1 2 3 4 5