勇者「お、おんなになってるだと?!」 6/6

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【始まりの街 宿屋】

コンコン

僧侶「はい?」

勇者「僧侶。」

僧侶「あら勇者様こんな夜更けにどうしました。」

勇者「いやお前がいなくなってないかと思ってな。」

僧侶「わたしだってお化けじゃないんだからそうそうフラフラと消えていったりしませんよ。」

勇者「ばかやろ!フラフラしてるじゃないか!」

僧侶「す、すいません。」

勇者「僧侶」

僧侶「はい?」

勇者「この冒険が終わったら、おじいちゃんに言った嘘を本当にしないか?」

僧侶「え?」

勇者「お前が好きだ。結婚して欲しいんだ。」

僧侶「本当ですか?」

勇者「本当だ。」

僧侶「じゃあ証拠をみせてください。」ン

チュ

僧侶「ふふ、信じました。///」

勇者「もっとすごい証拠をみせてやる!」ガバ ドサ

僧侶「やん」

【大魔王城 玉座前】

僧侶(ここに来るのは2回目ですね。)

姫「ついにここまで…」

魔法使い「きましたです。」

勇者「みんな、準備はいいか?行くぞ!」

皆「「「はい!!」」」

【大魔王城 玉座】

―勇者一行と大魔王は交戦中!!―

大魔王「よくぞここまできただけはあるな。」

勇者「貴様を倒すことが俺たちの未来だ!」

―勇者一行と大魔王は交戦中!!―

大魔王「なるほど、たしかに余が少し押されておるな。」

姫「そうです私たちが押してますわ!」

魔法使い「はい!このまま押し切ります!」

―勇者一行と大魔王は交戦中!!―

大魔王「しかし以前勇者XXXが来たほどではないな。」

大魔王「お前たちにはもったいないが余の秘術をみせてやろう。」

―勇者一行と大魔王は交戦中!!―

勇者「ぬかせ!けりをつけてやる!でやああ」

大魔王「ふふふ。」

僧侶「い、いけません!この光は…!」

ピカーー!!!

―大魔王は呪文を唱えた!勇者達と大魔王は光につつまれた!―

勇者「な、なにをした!」

大魔王「余は並み居る強敵をみなこの秘術で取り除いてきたのだ。」

勇者「うわぁああああ!!」

姫&魔法使い「きゃああああ!!」

―光はさらに明るさを増し、あたりはその輪郭を徐々に失っていった!―

大魔王「はぁはぁ。勇者XXXは最後の力でリレミトで逃げたがな。どれ貴様らの無様な姿を見てやろう。」

勇者「けろけろ」

姫「ぶひーぶひー」

魔法使い「わんわん!」

大魔王「ふはは、貴様らは特別に我が大魔王城で愛玩動物としてかってやろう。」

大魔王「貴様!何故?!」

僧侶「チェンジスがかかったものにチェンジスはかからない。そうでしたね?」

大魔王「そうか!貴様か!勇者XXX!」

僧侶「さぁリターンマッチです。」

僧侶(勇者様たちがチェンジスをかけられたのは幸いでした。大魔王を倒した後元の姿に戻ったのを見られる前に立ち去ることができますもの。)

僧侶「バイキルトの禁呪法!!」

―僧侶はバイキルト(禁)を唱えた!僧侶の攻撃力が倍増していく!―

僧侶(身体がきしむ。女僧侶はこんな禁呪法の反動に耐えていたんですね。)

僧侶「いくぞ!!」ギン!

大魔王「返り討ちにしてくれるわ!!」

【大魔王城 大魔王戦】

大魔王「一度ならず二度までも同じ人間にここまで追い詰められるとは…。」グハ

僧侶「最後に泣き言が聞けてうれしいです大魔王様。」ハァハァ

大魔王「しかしな、ただでは死なぬただではな。」

僧侶「え?」

大魔王「魔族の繁栄のため貴様らのような禍の種は余の命をもって取り除いてくれるわ!!」

僧侶「ま、まさか?!」

僧侶「ま、まさか?!」

僧侶「く、バシルーラ!」

―僧侶はバシルーラを唱えた!勇者たちは彼方へと吹き飛ばされた!―

大魔王「メガンテ。」

―大魔王はメガンテを唱えた!あたり一面は吹き飛ばされた!―

【大魔王城 がれきの山】

僧侶(うぅ油断しました。)

僧侶(もう身体が動かない。)

僧侶(咄嗟に勇者様たちを庇いましたが大丈夫だったのでしょうか…?)

僧侶(このまま、土に還ってしまえば勇者様との別れを悲しむこともないでしょう・・・。)

姫「勇者様こっちに人が倒れてます!」

勇者「本当か?今いく!」

僧侶(あぁ無事だったんですね。チェンジスが解けているということはわたしはもう僧侶として接することはできないのですね。)

僧侶(このまま、こと切れてしまえば楽になれるのに。丈夫な勇者XXXの身体が憎いです。)

勇者「僧侶!大丈夫か?」

僧侶「わたしが…僧侶って…わかるんですか?」

勇者「あたりまえだろ!」

僧侶「あんまり…、みないで…下さい。こんな、姿…。」

勇者「馬鹿無理してしゃべるな!女のくせに無茶しやがって!」

僧侶「え?」

僧侶(女?わたしはもう勇者XXXの姿のはず。)

僧侶(わたしの手…、白くて細い。胸も腰もとても華奢ね…。)

僧侶(あぁそうか。チェンジスの解除不能条件に一つありましたね。)

僧侶「ふふふ。」

勇者「だ、大丈夫か?」

僧侶「勇者様。」

勇者「どうした!」

僧侶「責任とってくださいね。」ニコ

―fin―

【始まりの街 王国 玉座】

王様「勇者よ、よくぞ大魔王を倒した。これほどの功労にどのような報奨をもって報いよう。」

勇者「王様。今度は何個プリンぱんとお酒をいただけるんですか?」

王様「はっはっはっ。何を望んでもよいぞ。お前が望めば、この国ごとやってもかまわん。」

勇者「へ?」

王様「わしが大魔王討伐に躍起になったのは仇討ちじゃ。娘を殺された卑しい父親の恨みとわらってくれればよい。だがその仇である大魔王が滅びた今、軍資金となる金もいらぬ、軍さえもいらぬ。」

勇者「…。」

王様「どうじゃ、この国を自分の物にしてみないか?そちの祖父に孝行もできようぞ勇者。」

勇者「陛下!ではお願いがあります!」

王様「なんじゃ?」

勇者「先日、僧籍の身分を偽って拿捕された仲間に恩赦をいただきたくございます。」

王様「ならぬ。僧籍の偽証は重罪じゃ。修道服は剥ぎとられ、最終誓願への道は閉ざされざるおえぬ。」

勇者「く…。」

勇者(ならば力ずくでも。)ギリ

王様「それゆえ還俗したものがどのようになろうと教会は一切関知せぬ。」

勇者「え?」

王様「あの方をこちらへ。」

衛兵「はっ」

トテトテトテ

勇者「そ、僧侶!!」

僧侶「勇者様、あまり見ないでください。こんな格好。///」

王様「大魔王には一歩も引かなかった勇者も、さしもの花嫁の美しさには圧倒されたようじゃな。」

僧侶「や、やめてください。///」

王様「ほっほっほ。勇者にウェディングドレスを魅せると張り切っていたのはそなたじゃったろうに。さぁ勇者よ、何もいわぬのか?気の利かぬやつじゃ。」

僧侶「ゆ、勇者様?へ…変ですか?」

勇者「ハッ」

勇者「陛下!私は欲しいものを今すべて手に入れました!」

王様「ほっほっほ。わしに言っても仕方あるまいに。」

勇者「そうか!」

勇者「僧侶!はだかのお前の素敵だが、ウェディングドレスのお前もそそるぞ!」

僧侶「ちょっと?ゆ、ゆーしゃさま!!!///」

ダキ!

僧侶「あう。///」

王様「初夜には気が早いぞ。さぁ結婚式を始めよう!すべて王族のしきたりで行う!」

僧侶「勇者様の所までエスコートする父親がいませんのは申し訳ないです。お許しくださいね。」

王様「案ずるな。この国の民は全てわしの子供たちじゃ。そなたの父親にはわしがなろう。」

勇者「僧侶。」

僧侶「はい。」

勇者「お前は俺のものだ。これからも全て勇者にしたがえ。」

僧侶「はい!」

その日始まりの街の王国では全ての教会が鐘を鳴らした。それは世界に平和が戻ったことを祝うためではなく、新しい夫婦を祝福するためだった。

僧侶「ちょっと!XXX!ちゃんとお祈りをしなさい!」

少年XXX「いまから、友達と大魔王城に探検行くんだよ!んじゃいってきます!」モグモグパクパク

勇者「XXX元気だな。」

僧侶「元気すぎます!お祈りもしないでご飯食べながらでかけちゃって…。」

勇者「ひょい ぱくぱくぱく。」

僧侶「あぁ勇者様!勇者様がお祈りをしないからXXXが真似をするんです!」

勇者「ふるへー(うるせー)」モグモグ ゴクン

ドサ!!

僧侶「きゃん!」

勇者「俺がお前を食べるときにお祈りをしたことが一度でもあったか?」

僧侶「あう。」

勇者「僧侶…。」

ビクン

僧侶「ら、らめですぅ~こんらとこで…。」

僧侶「おふとん…、しきま…しょ。」

【勇者の家】

僧侶「」ムクリ

勇者「すーっすーっ」

僧侶「もう、おわったら直ぐにねちゃって!」

チュ

勇者「ふにゃ。」

僧侶「ふふっ」

僧侶「勇者様。」

僧侶「わたし幸せです!」

―本当におしまい!―

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