【王国】
狩人(魔)(ふぅ......やっとついたぞ......。次こそは......)
狩人(魔)(急いで来たからな......。前の私より早いはず......)
狩人(魔)(いくぞ!)
女「はたして、そううまくいきますかね?」
狩人(魔)(!!?)
狩人(魔)「誰だ!?」
女「え?なに?私?何おじさん突然......」
狩人(魔)「え?」
男「おい、あんたらどうした......うっ!?」
男「いくらやっても駄目なものは駄目ですよ」
狩人(魔)「な......なんだ!?」
幼女「運命は」
神官「変わらない」
兵士「お前が救われることは」
主婦「絶対にない」
狩人(魔)「どういうことだ!!?」
一同「......」
スタスタスタ
狩人(魔)「ど......どこへいく!?貴様ら!」
狩人(魔)(今のは......操られていたのか......?)
狩人(魔)(くっ......考えても分からん!計画通りいくのみだ!)
狩人(魔)(いた!?あれは勇者母)
狩人(魔)(まだ誘拐されていないな......。よし!)
狩人(魔)(勇者父は前の私が操っている。勇者母の方も操ってやれば......絶対に会うことはない!)
勇者母「それではまた......うっ......」
スゥ
勇者母(魔)「Time is on my side~~~~♪」
勇者母(魔)「♪yes it is!!」ビシッ
勇者母(魔)「ふむっ、女の体だが......意外としっくりくるな」
勇者母(魔)「さて、この町を出るか」
チンピラC「ねぇねぇ君、ちょっといいかな」
勇者母(魔)(こ......こいつらか......無視だな)
チンピラD「おい!無視すんじゃねーよ、おらっ!」
グイッ
勇者母(魔)(あー、もううっとうしい!)
勇者母(魔)「やめてください......ねっ!!」
ドガッ
ドゴォ
チンピラD「うがっ......」
チンピラC「い......いでぇ......くそっ!覚えてやがれ!」
勇者母(魔)「うむ。意外とすんなりいくな......。さて......これで身を隠していれば終わりだな」
チンピラC「待て!!」
勇者母(魔)「またあなたたちですか」
勇者母(魔)(馬鹿なやつらだ。さっさと蹴散らして行こう)
チンピラA「よくも仲間をやってくれたな。ここでぶっ殺してやる」
チンピラB「くっくっく」
チンピラD「ざまぁ見やがれ!」
勇者父「さあ!やっちまえ野郎ども!」
勇者母(魔)(おいいいいいいいいいいいいいい!何やってるんだ!前の私!!)
勇者母(魔)(勇者母を殺す方に計画を変えたのか!?)
チンピラ達「オラアアアアアアアア!」
ドガッ!バキッ!ベキッ!
チンピラ達「......」バタッ
勇者母(魔)(よし......逃げるぞ!)
勇者父「待て!」
勇者母(魔)「え......」
勇者父「」ジー......
勇者母(魔)「」ジー......
勇者父「か......かわいい......」
勇者母(魔)「うっ......ううっ......」
勇者母(魔)(な......なんだ......このドキドキは......)
勇者母(魔)(お......落ち着け......相手は男だ......しかも私だぞ......)
勇者母(魔)(耐えろ......耐えろ......耐えるんだ......私)
勇者母(魔)「好きっ!」ギュッ
【9年後】
友人「結婚おめでとう!」
勇者母(魔)(どうしていつもこうなるのだろう......)
勇者母(魔)(逃げ出せばそれで終ったはずなのに......なんで勇者父にあんなにドキドキするのだ......)
勇者母(魔)(ま、まぁさすが私の魅力といったところだが......)
勇者母(魔)(だが、勇者父に私の正体を教えるのもどうかと思うしな......)
勇者母(魔)(それでどう未来がこじれるのか分からない以上、勇者母のふりは続けるが......)
勇者母(魔)(とりあえず今夜......どうしよう......)
勇者母(魔)(勇者を生むなどとんでもない。なんとか阻止せねばな)
神父「無駄なことを......いつまであがくのか」
勇者母(魔)(!?)
バッ
勇者母(魔)(今のは......)
【その夜】
勇者父「勇者母......」
勇者母(魔)(うっ......ううっ......なんて目で見やがる......)
勇者母(魔)(そ......そんな目で見られたら......そんな目で見られたら......)ドキドキ
勇者母(魔)(うっ......ううっ......体がうずく......)
勇者母(魔)(アソコが......ううっ......)
勇者母(魔)(こ......こいつの子供が欲しい......)
勇者母(魔)「あ......あなた......来て......」
ギシッ
・
・
・
勇者母(魔)(す......すごかった......)ポッ
勇者母(魔)(こんなにすごいなんて......)ドキドキ
勇者母(魔)「も......もっと///」
【15年後】
勇者「じゃあ母さん、行ってきます!」
勇者母(魔)「ま......待って!」
勇者「駄目だよ。母さん。魔王を倒して必ず帰ってくるから......」
勇者母(魔)「い......嫌ならやめてもいいのよ!」
勇者「母さん......心配してくれてるんだね。大丈夫!行ってきます!」
勇者母(魔)(だ......だめええええええええええええ!)
【魔王城】
魔王「おおおおおおおおおおおお!」ガクッ
戦士(魔)「NOOOOOOOOOOOOOOO!」
コソコソ
勇者母(魔)(よくやった......さすが私の子.......いや!違う!)
勇者母(魔)(こっそりついて来てしまったが......複雑な心境だな)
勇者母(魔)(私がお腹を痛めて生んだ子ががんばってるのは......いい)
勇者母(魔)(いや!良くない!また私が死んでしまった)
勇者母(魔)(封印の間からまたやり直しだな。この体がいかん)
【封印の間】
勇者母(魔)(あ、あれは勇者父?)
勇者母(魔)(そうか。そういえば前の私とその前の私もいるのであったな)
勇者父「......」クルッ
勇者母(魔)(あっ......見つかった。隠れろ!)
サササッ
勇者母(魔)(ふぅ......。ん?そういえば前ここで勇者母を見たが......どういうことだ?)
勇者母(魔)(もうその時点であれは私であったのか?)
勇者母(魔)(それとも元の勇者母がついてきてた......?)
勇者母(魔)(......ということは)
勇者「考えても無駄ですよ」
勇者母(魔)「!!?」
ビクゥ!
勇者母(魔)「ゆ......勇者!?あ......よ......よく頑張ったわね。来ちゃった」ドキドキ
勇者「あれほど無駄だと忠告したのに愚かなことだ」
勇者母(魔)「え......」
勇者「運命を変えようとしても無駄ですよ。それは決定事項です」
勇者母(魔)「勇者......じゃない?」
勇者母(魔)「はっ!町に入ったときに人間を操っていた......」
勇者「運命を受け入れなさい」
勇者母(魔)「何者だ!?貴様!」
勇者「何とでも呼んで結構。何をしようとあなたはここで勇者に倒されてしまう運命なのだから」
勇者母(魔)「なん......だと......」
勇者「そもそも運命とは私が決めた結末。私の定めた天数なのですから」
勇者母(魔)「貴様が決めただと!?ふざけるな!人の運命は人の意思で変えられる!」
勇者「それが出来ないということはあなたが身にしみて分かったのではないですか?魔王」
勇者母(魔)「なっ......私の正体まで......」
勇者「いくら過去に戻っても私の決定した運命からは逃れられませんよ」
勇者母(魔)「タイムマシンのことも知っているのか......本当に何者だ......」
勇者「そして、あなたが封印された先の未来についても同じことです」
勇者母(魔)「え......」
勇者「このまま諦めて、未来に待っているのは勇者に倒され続けるあなただけということですよ」
勇者母(魔)「すべてが決まっているのならなぜこんなことを私に教えるのだ!それこそ放っておけばよいではないか!」
勇者「無駄な努力を続けるあなたが余りに滑稽で、おかしいのでね。無駄を省いて差し上げようと思ったまでです」
勇者母(魔)「そ......そんな......過去は変えられない!?」
勇者「その通り」
勇者母(魔)「未来も決まってしまっている」
勇者「そうです。諦めなさい」
勇者母(魔)「うっ......」
魔法使い「騙されるな!」
勇者「なっ......」
勇者母(魔)「え?」
僧侶「そいつの言っていることは全てが正しいわけではない!」
勇者母(魔)「魔法使い!?僧侶!?」
武闘家「この時を待っていた」
盗賊「覚悟するのだな。勇者......いや、運命」
賢者「それともこう呼ぼうか、神!!」
勇者「これは......あなたたち全員魔王の魂を......」
魔法使い「ふんっ、その通り」
勇者母(魔)「ど、どういうことだ......」
僧侶「タイムスリップを繰り返し......今、この場にいる全員は......魔王なのだ!」
勇者母(魔)「なに!?」
武闘家「運命と言ったが、ここで勇者に神が降りるのもまた運命」
賢者「だが、この時、神が自分自身で行動しているこの時だけは運命から外れている!」
魔法使い「今、倒してしまえば......もう貴様にどうこうされることはない!」
盗賊「はーっはっはっは!この場で滅ぼしてくれる!!神!!」
勇者「愚かな......」
魔法使い「どうかな!?灼熱極大魔法!」ゴゴゥ
僧侶「疾風大魔法!」ドシュッ
武闘家「うらああ!」ドガガガガッ
賢者「呪縛!!」ヴォーン
盗賊「とどめだ!!食らえ!」ザグゥ
勇者「うっ......ぐっ......くくっ......これで終わり......と思いますか......」バタッ
勇者母(魔)「やった......のか?」
魔法使い「いや、きっと人間や魔物に乗り移ろうとするだろう」
勇者母(魔)「そ、それでは終らないではないか」
僧侶「しかし、ここにいる人間や魔物は全て魔王なのだからな。どうなるか」
勇者母(魔)「あ......」
フヨフヨ
神(愚かな......肉体など仮初のもの)
神(別の肉体に移ればいいだけの話しです)
神(ふふっ、人間と魔物を全て自分が乗っ取っているからと安心しているようですが......)
神(本当に愚かですね。生物であれば何でも良いものを!)
神(虫でもミジンコでも降りればすむことです)
カエル「ケロケロ」
神(あの辺りでいいですか)
フヨフヨ
神(そろそろ息も危ないですが......憑依!!)
バチィ!
神(なっ......はじかれた!)
カエル(魔)(残念だな。ここは満員だ)
神(なっ......カエルまで......で、では......)
ハエ「ブーン」
神(憑依!)
ハエ(魔)(満員だといっているだろう)
神(な......な......この辺り全部の生物に......まさか!?)
神(何万匹いると思っているのですか......それが全部魔王!?)
神(い......息が......おお......おおおおおおおおおおお)ガクッ
魔法使い「この辺りはどんな小さな生物だって私が宿っているから大丈夫だ」
僧侶「何万回も過去に行くことになってしまったがな」
勇者母(魔)「......」
賢者「神もさすがに消滅したみたいだな」
武闘家「元々意識体のみのようなものだからな」
盗賊「それは今の私も変わらないではないか。はっはっは」
魔法使い「だが、これで運命とやらに縛られることもあるまい」
盗賊「さあ、今一番先にいるお前が過去に行って来るがいい」
僧侶「頼んだぞ」バシッ
勇者母(魔)「......いいだろう」
トコトコ
勇者母(魔)(この体は置いていくか......)
スゥ
フヨフヨ