子勇者「お前を倒さないとママに会えない」ウルッ 1/5

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母魔王「それは困ったものね」アラー

母魔王「一応私が魔王ではあるのだけれど」

母魔王「あなたみたいな子供が勇者として来るとは思わなかったわね」

母魔王「ちょっと、何で言わなかったの?」

側近「申し訳ありません。私の失策です」

母魔王「もう……」

子勇者「なに自分たちだけでぶつぶつ言ってるの?早く戦ってよ。じゃないと……」ウルッ

母魔王「ああ、わかったわ、わかったから勇者がみっともなく泣くのはやめなさい」

こんな感じだけどどうですか?

子勇者「そ、そんなの関係ない!ボクはお前と戦うために来たの。おしゃべりしに来たんじゃない」

母魔王「まぁ、落ち着きなさい。私はどこにも逃げないわよ。ちゃんと戦うわ」

子勇者「……」

母魔王「それで、あなた一人でここまで来たの」

子勇者「…うん」

母魔王「はじめから」

子勇者「…ずっと一人で」

母魔王「回復とかは?そもそもどうやって戦ったの?そんな小さな体で」

子勇者「ば、馬鹿にしないで!これでも一人だけで竜も倒せたんだから」

母魔王「まぁ、それはすごく偉いわね」ナデナデ

子勇者「な、撫でるな!」

母魔王「あら、いきなり剣振っちゃって。怪我する所だったじゃない」

子勇者「当たり前だよ。これからお前を倒さなきゃいけないから」

母魔王「まぁ、そうなのだけどね」

母魔王「ところでほんとにトラゴン一人倒したの、この子?」

側近「そのようで」

母魔王「どうやって?」

側近「普通に負けたそうです」

母魔王「普通に!?」

側近「はい、かなり強いようです。見た目と違って」

母魔王「見た目じゃ10才ぐらいみたいだけどね」

子勇者「そっちが来ないならこっちから行くよ!」

母魔王「まぁ、待ちなさいって」

子勇者「わわっ、弾かれた?!」

母魔王「こっちも魔王としての誇りがあるからね」

母魔王「勇者を相手にして言い訳を言うつもりはないけど」

母魔王「勇者として戦うには幼すぎるでしょ、あなたは」

子勇者「…」

母魔王「人間の王は一体どういうつもりあなたみたいな子供を…」

子勇者「わかんないよ……そんなの…」

母魔王「…まぁ、子供に聞いてもしょうがないか」

子勇者「わかんないんだよー!!」

母魔王「わわっ、だからいきなりはやめなさいって」

子勇「真面目に戦ってよ!お前が魔王でしょ?」

母魔「まぁ、魔王なのだけどね…困ったわね」

子勇「…」

母魔「それじゃ、ほら、側近と戦って勝ったら戦ってあげる」

子勇「勝った」

側近「負けました」

母魔「弱いわよ、あなた!それでも私の右腕なの?」

子勇「ほら、早くボクと戦ってよ!」

母魔「…やるしかないようね」

母魔「言っておくけど、私も一応魔王だからね」

母魔「勇者相手で手加減はしないわ」

子勇「っ!!」

母魔「さぁ、かかってきなさい、坊や」

子勇「…ぼ、ボクは負けないよ。ママに会うためにも」

子勇「お前を殺してママに会いに行くの!」

母魔「腕はなかなかのものね」

母魔「もしちゃんとパーティを組んで挑んでいたら負けてたかもしれない」

母魔「でも」メラゾーマ

子勇「うわっ!」

母魔「独りだけじゃあ流石に無理よ」モウイッチョ

子勇「あつっ!」

母魔「腕は認めるけど、サポートがなければただのちょっと強い子供にすぎない」

子勇「うっ、やくそう…」

母魔「食べる時間をあげるとでも思って?」

子勇「ひっ!」

母魔「!!」

母魔「……」

子勇「…ふえ?」

母魔「なにしてるの、やくそう食べるんでしょ?」

子勇「え?あ、そうだった」ムシャム…

子勇「苦い」ジワッ

母魔「」

子勇「よし、回復した。また行くよ」

母魔「…あなた、まだやる気?」

子勇「当たり前だよ!ボクは勇者だから。魔王を倒すのが使命だから」

母魔「いっておくけど、今のあなたじゃ私に勝てない。少なくも独りでは」

子勇「……」

母魔「逃げなさい」

子勇「へ?」

子勇「!」

母魔「魔王からは逃げられないとかそんなことどうでも良いわ」

母魔「ちゃんとした仲間を組んで私に挑みなさい」

母魔「でないと、私はあなたと戦わない」

子勇「そんな…!そ、それでも魔王なの?」

母魔「…」

子勇「ボクは、逃げないよ。逃げられないよ」

母魔「…」

子勇「誰も、ボクの仲間になんてなってくれない」

子勇「子供だから、頼れない勇者だから、誰も助けてくれない」

子勇「ボクは独りで魔王と戦わなければいけない勇者だよ」

母魔「あなた独りじゃ私に勝てないわ」

子勇「それでも…他に方法がないよ」

子勇「ボクは魔王と勝って、早くママの元に戻りたいよ」

子勇「お前を殺したら、ボクはやっとママの元にいけるんだよ」

子勇「だから、ボクと戦って」

母魔「…わかったわ、戦いましょう。あなたと一対一で」

母魔「魔王と勇者、互いを殺さなければならない存在」

母魔「例えそれが子供だとしても、私はあなたと全力で戦って」

母魔「あなたを殺して人間どもを駆逐する」

母魔「かかってきなさい、勇者!」

子勇「い、いくよ!」タッ

コイシガー

子勇「うわっ!」スッコロ

母魔「!」

子勇「…うっ」ウルッ

子勇「痛いよー」

母魔「」

子勇「もうやだよ、ママに会いたいよ。ふえーん」

母魔「(私、何もしてないのにすごく罪悪感が…)」アセアセ

母魔「もう、だから勇者が泣くんじゃないって言ったでしょ?」

母魔「ほら、こっちに顔見せなさい」

子勇「うぅっ」

母魔「見事に顔面から転んじゃって。なんでこんな所に小石落ちてるのよ」

母魔「今日ここ掃除した奴誰よ」

側近「メイドMです」

母魔「あの娘クビ。後軟膏持ってきて」

側近「はい」

母魔「ほら、顔こっち向けて」

子勇「痛い…」

母魔「傷跡残らないと良いのだけど……」

子勇「……あれ?」

母魔「他に怪我した所はない?」

子勇「う?うん……多分ない」

母魔「多分じゃないわよ。軟膏塗ってあげてるうちにさっさと探しなさい」

子勇「…なんで魔王なのにボクの傷に軟膏塗ってくれてるの?」

母魔「ほら、服脱いで」

子勇「わっ、何するの」

母魔「じっとしてなさい」ドクガノコナ

子勇「うっ!それボクの道具…」

母魔「後で傷跡とか残ったら大変だから、ちゃんと治療しとかないと後悔するわよ」

子勇「や、やめて」ウゴケナイ

母魔「……あ」

子勇「み、みないで」

母魔「なにこれ…体に傷がない所がない…」

子勇「っ…!」

母魔「こんなになるまで独りで戦って来たというの?子供独りで?」

子勇「もう…やめて!」マヒが解けた

母魔「なっ!きゃっ!」

子勇「誰にも…見せたくなかったのに…」

子勇「こんな傷だらけの体、見せたくなかったのに」ジワッ

母魔「あなたは…いつから勇者になったの?」

子勇「もうお前と話しない。倒す!」

母魔「答えなさい!」

母魔「そんな酷い傷を負わせながら」

母魔「まだお母さんと一緒に居るべき年の子供に」

母魔「人間の王はあなたに一体なんてことをしたの!」

子勇「やーーっ!!」

母魔「うっ!」メラゾーマ

子勇「っ、こんなの!」

母魔「なっ、馬鹿な!メラゾーマなのよ?そんなに突っ込んだら肌が焼ける!」

子勇「ていっ!」

母魔「うっ!あんなの見せられたらまともに対応できない…!」

子勇「倒す!魔王を倒すとママの所にいける」

子勇「だから早く倒れて!」

母魔「…これがあなた達が自分たちを守るために立たせた者なの?人間ども」

子勇「やーっ!やーっ!」

母魔「そのまだ小さな手に自分の背ぐらいはある剣を握らせて」

母魔「まだ白い肌をドラゴンの炎に焼かせながら」

母魔「自分たちを守らなければ母を返してあげないと脅迫でもしたって言うの?」

母魔「ただ人並よりちょっと強いというだけで?!」

子勇「ギガデイン」

母魔「っ!」

子勇「やった……魔王、倒したよ」

母魔「」

子勇「ママ…これで、ママに会いにいけるよ」

子勇「ママ、待って。ボク、帰るからね」

子勇「もうどれだけ会ってないのか分からないよ」

子勇「早く会いたいよ、ママ」

母魔「ごめんね」ラリホーマ

子勇「……」zz…ママー

母魔「この子が寝られる部屋を用意なさい」

側近「宜しいので?」

母魔「不満があるとでも言うの?」ギロリ

側近「滅相もございません」

母魔「後、この子がどうやって勇者になったのか、母とはどう離れてしまったのか」

母魔「この子に関しての全ての情報を調べてきなさい」

側近「ははっ」

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