少女「お、落ち着いて下さい、どうしたんですか!」
店長「本当だったんだ…!本当に魔王だったんだ…!」
少女「ま、魔王ってさっきの人がですか??」
店長「そ、そうだ!!見てみろ!俺の足を!!」
少女「え…きゃ、石になってる!!」
店長「どうすんだよこれ!!病院で治るのか!!?」
少女「わ、分からないです!」
少女「魔王に足を石にされたんですか!?」
店長「そうだ!!というよりあの魔王が治してくれるか!?取ってあげたんだし!!」
少女「え??え!?あの魔王を取ったんですか!?」
店長「取ったよ!!」
少女「な、なんで取ったんですか!!魔王を!!」
店長「取らなきゃ全身石にされるところだったんだぞ!!」
少女「ま、魔王はいつからバイトに入るんですか!?」
店長「明日からだよ!!明日から!!」
少女「あ、明日から!?明日ってあたしも入ってるじゃないですか!!最悪!!」
店長「早い方が良いって言われたんだよ!!」
少女「最悪だ!!最っ悪だ!!」
少女「勇者も来るし魔王も来るし一体どうなってるんだ……!」
店長「あ、そうだ!!勇者も来たんだった!!ツイてた~!!」
ガサゴソ
店長「よし履歴書に番号書いてたぁ!!良かったぁ!!」
ピポパポ
少女「勇者に電話してるんですか!?」
店長「ああ!!あいつ魔王倒したいとか言ってたし!!この履歴書に書いてあること全部マジだったんだよ!!」
少女「み、見せて下さい…!」
店長「出てくれ!!出てくれよ~!!」
少女「………え!?………これが全部本当のこと……!?」
店長「……あ!もしもし!勇者君!?さっきはゴメンね!君やっぱり受かったから!うんうん!本当!!明日から!!明日四時から来て!!」
ガチャ
少女「て、っていうか明日うちと魔王と勇者でバイトするんですか!?超怖いんですけど!!」
店長「とりあえず俺病院行って来るから店頼んだ!!」
少女「て、店長!!」
ドンッ
店長「うぉおおお!!!」
ドンッ
店長「うおおおお!!」
ドンッ
少女(あれ病院で治るのかな……)
少女(っていうか明日あたしも魔王に石にされちゃったらどうしよう……)
少女(店長が石にさせられくらいだからあたしなんか……)
ウィ~ン
店長「おい!!たむろしてるヤンキー!!」
ヤンキー「なんだよ」
店長「俺足石にされたんだぞ!!」
ヤンキー「知らねぇよ!!」
少女(50万歳と2500歳とバイトすることになるのか……)
少女(なんだかどう接していいか分からないなぁ……)
少女(魔王の接し方が分かる方がおかしいか……)
少女(もっとファンタジーの小説とか読んでおくべきだった……)
少女(明日ちゃんと教えれるかなぁ……)
少女(ああ……頭が痛くなってきた……)
おっさん「お嬢ちゃ~ん、ぼ~っとしてないでレジお願~い」
少女「あ、すいません!」
-病院-
医者「今日はどうしたんですか?」
店長「み、見て下さい!!足を!!」
医者「……変わった靴をお履きになってますね~」
店長「こ、これは靴じゃなくてね!!」
医者「どうしたんですか?」
店長「ま、魔王に魔法でこう!ジュルルンド~ンとっ!!」
医者「……魔王に魔法でジュルルンド~ン……ですか」
店長「な、治りますかねこれは!!?」
医者「申し上げ難いんですが……この科では治りませんね……」
店長「外科じゃ治らないんですか!?」
医者「ちょっと仕事で心が疲れているみたいですね……」
店長「ち、違う!!そういうのじゃない!!そういうのじゃない!!」
-その夜-
ピコピコ
少女「ねぇ」
弟「………」
少女「ねぇってば」
弟「なんだよ~、ゲームやってる時に話しかけるなよ~」
少女「魔王ってどのくらい悪いやつなの??」
弟「は?分かんね~よ」
少女「あんた魔王倒すゲームやってるじゃない」
弟「俺あまりストーリーとか読んでね~もん」
少女「チェ、本当あんたは役に立たないわねぇ」
弟「うるせ~よ」
ピコピコ
弟「あ~、レベル上げめんど……」
少女(あんたは呑気でいいね……)
-翌日-
少女「店長おはようございます……」
店長「おお来たか……」
少女「……あ!やっぱり病院じゃ足は治らなかったんですか!?」
店長「ああ……、精神科に回されそうになっただけだった……」
少女「昨日のことは夢じゃなかったんですね……」
店長「俺も朝起きる時に夢だと願ったが……」
ドンッ
店長「この足だよ……」
少女「大丈夫ですか?足……」
店長「重くて股が筋肉痛さ……」
少女「魔王さんか勇者さん来てますか?」
店長「いや、まだどちらも……」
少女「ちゃんと来るのかなぁ……」
店長「来なかったら一生俺はこの足だよ……」
少女「店長……」
店長「ベストは魔王が先に来て俺の足を治してもらって、その後勇者が来て魔王を倒して貰えればな……」
魔王「コンニチワ……」
少女「ま、魔王さん!!」
店長「い、いつの間に!!!」
魔王「ナニヲシャベッテイタ………」
店長「な、な、な、なんでもありません……!お早いご出勤で!あは!あはは!」
少女「わ、わたしは同じ夕勤のものです!よろしくお願いします!」
魔王「………ヨロシク………」
店長「ま、魔王さんお願いがあります……」
魔王「ナンダ……」
店長「働いていただくので、こ、この足を治していただけはいけないでしょうか???」
魔王「……オオ………ワスレテイタ………」
ジュルルンド~ン!
店長「……も、戻ったあああああ!!」
少女「良かったですね店長!!」
店長「魔王さんありがとうございますううううう!!」
魔王「ハタラクゾ………」
店長「働いてもらいますともおおお!!!」
魔王「ワシハナニヲスレバイイ……」
店長「きょ、今日は初日ということで見て覚えていただくだけで結構です!!」
魔王「ワカッタ………」
店長「あ、あと、魔王さん、これに着替えちゃったりしちゃってもらえますかね……?」
魔王「ナンダコレハ………」
店長「こ、コンビニの制服でございます!!」
魔王「マントヲヌゲトイウノカ……?」
店長「で、ですよね~!!こんなの着れ無いですよねぇ!!」
魔王「………キヨウ………」
店長「き、着てくれるんですか!ではマントをお預かりします!」
少女(着るんだ……)
ヌギヌギ
魔王「キヅライナ………ドウダ………?」
店長「お、お似合いです!!」
魔王「ソウカ………」
バイト君「お疲れ~………あ、あれ?これなんすかwwwwwwwwww」
魔王「ン………?」
店長「お、おいっ!!!」
さわさわ
バイト君「なんかのキャンペーンなんすかwwwwwwwwww良くできてるじゃないすか角とかwwwwwwww」
店長「や、やめろ!!お前!!すいません魔王さん!!こいつ右も左も分からない馬鹿なんで!!」
グイッ
バイト君「なんすかなんすか店長なんすか」
店長「いいからお前は黙って帰れ………!死にたくなかったらな………!」
バイト「は、はぁ?なんだよ、調子狂うなぁ……」
少女(あ、危ないとこだった……)
少女「ま、魔王さんこちらに来て下さい」
魔王「ワカッタ………」
店長「ふ、ふう……」
バタンッ
勇者「す、すいません!!遅れました!!」
店長「シ、シー!!こっち来て……!!」
勇者「ど、どうしたんです?」
店長「勇者君……!このコンビニの平和、いや、世界の平和は君の手にかかっている……!!」
勇者「いきなりどうしたんですか……」
店長「魔王が現れたんだよ……!!」
勇者「え?魔王が?現世に?まさかぁ……」
店長「じゃああいつはなんだ……!?」
勇者「あいつ?………えっ……………あ、あいつは………!!!………………………………
-約2500年前-
魔王「ガハハ……モウオワリカ……」
勇者「ハァハァ……あれだけダメージを与えたのに……!!」
魔王「ココマデノコウゲキヲウケタノハ……オマエラガハジメテダ……」
戦士「あ……あいつは不死身だ……俺達が敵う相手じゃ……ない……」
バタリッ
勇者「お、おい!!し、しっかりしろ戦士!!!」
魔法使い「もうあたし……ダメ……魔翌力がもう……」
バタリッ
勇者「なっ!!魔法使いまで!!」
僧侶「わ……私の力も……これまでです……」
バタリッ
勇者「み、みんなあ!!くっそおお……!!」
魔王「コレデオワラセテヤル………」
勇者「俺がやるしか無い……俺がやるしか……!!」
魔王「ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ…………
勇者「うおおおおおおおおおおおおおおおおお…………
……………………
…………
店長「な、魔王だろ!?お前が戦った魔王じゃないのか!?」
勇者「……あ、あいつだ……俺達が戦った魔王だ……!!」
店長「よ、良かった……思い出したんだな!!」
勇者「でもなんであいつがこんなところに!?」
店長「俺も驚いているが魔王がバイトしに来たんだよ……!!」
勇者「ま、魔王がここでバイト!?マジかよ……なんで……うわぁツイてなさ過ぎ……」
店長「さあ、勇者よ、魔王を倒してくれ!!」
勇者「え!?俺が魔王を倒すんすか!?」
店長「おいおい!!お前以外いないだろ!!」
勇者「だ、だって相手魔王ですよ……??」
店長「お前勇者だろ!!面接の時魔王倒すとか言ってたし……!!」
勇者「そうですけど……実際目の前にするとちょっと……」
店長(なんだこいつーーー!!めちゃめちゃ頼り無いーーー!!)
店長「お前がやるしか無いんだよ!!」
勇者「2500年前も四人でかかっていってやっとだったのに……?」
店長「俺魔王の上で働く自信なんか無いんだよ……!!」
勇者「あの……店長……本当言いづらいんですけど……」
店長「な、なんだ?」
勇者「……俺と魔王シフトずらして貰えませんかね??」
店長(ま、マジかよこいつーー!!)
勇者「魔王とバイトするのに時給700円は割に合わないっていうか……」
店長「駄目だ……!!お前と魔王は一緒に入って貰う……!!そうじゃなきゃ辞めてもらうぞ……!!」
勇者「え~~~………」
店長「さあ、行くんだ、勇者よ、魔王を倒すんだ……!!」
勇者「……初めてだ……」
店長「何が……!?」
勇者「何の装備もしないで魔界の生き物と接触するのは初めてです……!!」
店長「えっ?装備?ん~~………じゃあ、ほら、これを使え!!」
サッ