店長「勇者君だっけ?じゃあ面接始めるね」 5/6

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おじさん「こ……こりゃおったまげた……」

おじさん「君はこの道何年だい?」

魔王「ショニチダ……」

おじさん「な、なんだって!?この腕で初日……!?」

魔王「アア………」

おじさん「……君みたいな天才をこんなところで腐らせておくのはもったいない」

魔王「………?」

おじさん「実は私はスーパーを経営してるんだが、うちに来ないか?」

少女(スカウトされたーーー!!!)

魔王「………ワルイガコトワル………」

おじさん「………何かこのコンビニにすがりつく理由があるのか?」

魔王「………」

おじさん「無理強いはしない……、だが、いいか?レジは一つじゃない……それだけは覚えておけ」

魔王「…………」

おじさん「お嬢ちゃん、トイレ借りるよ」

少女「は、はい……」

魔王「フン………」

少女「や、やったじゃないですか!魔王さん!」

魔王「ナンノコレシキ………」

勇者「あわわわわわわわわわわ……!!」

少女(そ、そうだ、こいつがいたんだったーー!!)

勇者「な、な、な、なななんかしたろ……!?なんか魔法を使ったんだろ!?」

魔王「ジカンヲトメテレンシュウシタダケダ………」

少女「そうです、全ては魔王さんの努力です」

勇者「どのくらい時間を止めたんだよ………!?」

魔王「シドウイチジカン……ジシュレンシチジカン……ケイハチジカン………」

勇者「止めすぎだろーーー!!!!」

魔王「レジノスベテヲシルニハ……ソレクライヒツヨウダ……」

勇者「っは、っていうかあんなの別にすごくねぇし……!」

魔王「マケオシミカ……」

勇者「いや、負け惜しみとかじゃなくてマジで、さっきのただボタン押すのが早かっただけだし……!!」

魔王「ホウ………」

勇者「レジ打ちってのは総合点なんだよ……!!そうだよなあ小娘……!?」

少女「こ、小娘!?………う~ん……正直……そこまでレジ打ちについて考えたこと無かったですけど……」

勇者「なんだ素人のガキか……」

少女「し、素人のガキ!?」

勇者「お前は自分でレジを打っているつもりだろうが……実際はレジを打っていない……」

少女「え?私レジを打ってないんですか……?」

勇者「お前はレジに打たされてるだけだ………」

少女「打たされてるだけ……!?」

勇者「レジに指が弄ばれているのさ……」

少女「な、何言ってるんですか、レジ打ちごときで……」

勇者「ごとき……!?」

少女「ご、ごときでしょ……」

勇者「お前……死ぬな」

少女「えっ……」

勇者「レジに殺される……」

少女「あ、あたしレジに殺されるの!?」

勇者「お前にとってレジとはなんだ……??」

少女「……え……レジです……」

勇者「レジはレジか……一理あるな……」

少女(え!?十理じゃないの!?)

勇者「だがレジの核心をついていない……」

少女「あたしはレジの核心をついていない……?」

勇者「レジを見ようとし過ぎてレジから遠ざかっている……」

魔王「……レジノスベテヲシッテルヨウナクチブリダナ……」

勇者「まあな……俺は前のコンビニでこう呼ばれていた……」

少女「な、なんて??」

勇者「レジに一番近い男……」

少女「レジに一番近い男……???」

勇者「………」

少女(ど、どういうこと!??)

勇者「レジ談義もこれくらいにするか……つい熱くなっちまった……」

魔王「………」

勇者「これ以上続けると……、この中の誰かがこの店を辞めざる終えなくなる……」

少女(えっ!?そんなに危険なものなのレジ談義ってっ!?)

「悪いがもう遅いぞ~~~~」

勇者「この声は………??」

スタスタ……

おじさん「……いやぁ、話は聞かせてもらったよ」

少女「さっきのスーパー経営者さん……!」

おじさん「ここのトイレの便座は熱い熱いと思っていたが間違いだったようだ……」

魔王「………」

勇者「………」

おじさん「熱いのは君達だったようだね……」

店長「ヒック……ヒック……なんだ……聞き覚えのある声が……」

少女「て、店長!!……酔ってるんですか!?」

店長「魔王と勇者が働いているコンビニの店長だというのに……飲まずにはいられないだろう……ヒック……」

おじさん「君が店長か?」

店長「……あ、あなたは!!」

少女「店長、知ってるんですか?この人を」

店長「知ってるも何も、この方は……」

おじさん「…………」

店長「東日本スーパー協会会長様じゃないか……!!」

少女「すごい人なんですか??」

店長「東日本のスーパーの8割はこの人によって生み出されると言っても過言では無い……!」

少女「すごい人なんだ……」

おじさん「………仕事中に飲むとは君も大した男じゃないか」

店長「す、すいませんんんん……これは……」

おじさん「君は酒じゃない、この二人に酔っている……違うか??」

魔王「………」

勇者「………」

店長「そ、その通りでございます……!!」

おじさん「私をここまで熱くさせたんだ、始めようじゃないか……」

店長「は、始めるってまさか……!!!!!」

おじさん「レジバトルを……!!!」

店長「レ、レジバトルをこのコンビニで……!!!?」

ジョジョワ~~~……

おじさん「おお……店長がウレションしてしまったようだ……」

店長「ま、まさかうちの店でレジバトルが行われる日が来るとは……!!」

ガクガク……

少女「れ、レジバトルって何!?」

店長「知らなくても無理は無い……何故なら今まで地球上で五度しか開かれていない伝説のバトルなのだから……!!」

おじさん「……早く始めたくてうずうずしているんだ……簡潔にルール説明を済ますよ」

おじさん「ルールは簡単、バトルタイムは一時間、一時間でより多くのお客様を裁きより多くのお金をレジに入れた者の勝ち……」

少女「……お、思ったよりシンプルなルールですね」

店長「違う……ここからだ……!!」

おじさん「……ただその一時間はここのコンビニから半径5㎞以内にあるコンビニ、スーパー、デパート、飲食店、本屋、雑貨屋まで……ありとあらゆるレジが置いてある店の営業を完全停止させるッッッ!!!」

少女「……えっ!?そんなことができるのっ!?」

店長「言ったろ……スーパー界のドンなんだ……それくらい朝飯前さ……!!」

おじさん「そこのお嬢さん……」

少女「は、はい」

おじさん「そんなことをしたらどうなるか……分かる??」

少女「……えっと……このコンビニがすごい混みます!!」

おじさん「……違うな……、ここのレジが本当の意味でレジになるんだよ……」

少女(……ダメだあたしレジ関係の質問いつも外す……!!)

おじさん「ただ一つ残酷なルールが定められている……」

少女「それは……??」

おじさん「このレジバトルの敗者はレジ業界から足を洗ってもらう!!!!!」

少女「えっ、負けたらやめなきゃいけないの!?」

魔王「………」

勇者「………」

店長「お、おい!会長さんがご説明なさっているんだ!!何か言え!!」

おじさん「その必要は無い……、この二人は既にレジバトルに備え集中を高めている……」

店長「そ、そうなのかっ!?」

魔王「コンカイハマケテモドゲザスルナヨ………」

勇者「守るものが無いのに何故土下座をしなければならない………」

少女「や、やる気満々だぁ!!!」

おじさん「では……」

スッ

店長「あ、あれはレジバトルボタン……!!」

少女「レジバトルボタンってなんですか……!?」

店長「レジバトルボタンとは、レジが置いてある店にレジバトルを知らせる為の警報を鳴らすボタンだ……!!」

少女「つまり……!?」

店長「あのボタンを押した瞬間……」

少女「レジバトルがスタート……!?」

おじさん「ククク………レジバトルスタート……!!」

ポチッ……!!

店長「は、始まったあああああああああああああ」

-デパート-

プォォーン!プォォーン!

店員「ん!?な、なんだこの音は」

お客「何なのこれ!?火災なの!?」

主任「……この警報は……まさか……」

レジ~がレジである為に~♪ 打ち~続けなきゃならない~♪

主任「あの警報の後のこの歌……間違いない!!!」

お客「逃げた方がいいの!?ねぇ、店員さん!!」

タタタタタタタタ

主任「マイクを貸せ!!」

受付嬢「は、はい!!」

主任『お客様の皆様にご連絡致します!!只今流れた警報は火災や事故の警報ではありません!!落ち着いてください!!レジバトルです!!レジバトルの警報です!!レジバトルというのは……

-寿司屋-

プォォーン!プォォーン!

板前「た、大将…、この警報は??」

大将「……………」

兄貴「大将、まずわコハダを貰おうか」

大将「………今日は何も言わずお引き取りになってください……」

兄貴「なんだと、どういうことだ……?」

舎弟「兄貴はまだ一貫も口にしてないじゃなねぇか!!舐めてんのか!!」

レジ~がレジである為に~♪ 打ち~続けなきゃならない~♪

大将「お引き取りください……!」

舎弟「て、てめぇあんま舐めてっと……!!」

兄貴「やめろ!……この大将の目を見ろ」

舎弟「えっ…!兄貴……」

大将「………」

兄貴「これは相当深い理由があるんだ……」

-駄菓子屋-

プォォーン!プォォーン!

婆「じ、爺さんや……これは……」

爺「まさか生きてるうちに再度……この警報が聞けるとは……!!」

レジ~がレジである為に~♪ 打ち~続けなきゃならない~♪

パン パン

婆「……ありがたやありがたや……爺さん……この音楽を冥土の土産に持っていきましょう……」

爺「また人間以外の生物同士のバトルなんじゃろか……」

婆「……人間同士でレジバトルが成立すると思いますか爺さん」

爺「それもそうじゃが……」

し~~~~~~ん

少女「何この静けさ……気味が悪い……」

店長「さあ、俺達は事務室に避難して防犯カメラで観戦するぞ……」

少女「え?店長ここは危ないの……?」

店長「レジバトルを店舗内で観戦するつもりか……!?」

少女「……レジバトルがどれだけのものかまだ知らなくて……」

店長「とりあえず一緒に事務室に来い……!!」

少女「あ、あのスーパーの会長さんは避難しないで大丈夫なんですか??」

おじさん「…………」

店長「レジバトルの立ち合い人を避難させてどうする……!」

少女「じゃあ会長さんはずっとここに……」

勇者「どうだ魔王……レジバトルの感想は……」

魔王「……マカイニハナイモノヲカンジル……」

勇者「そうだろ……辞めるなら今だぞ……」

魔王「バカイエ……」

勇者「相手が人間だからって魔法は使わないなんていう縛りはして無いよな……?」

魔王「……ソンナコトヲシタラツブサレルコトクライワカル……」

勇者「そうか……」

魔王「ソンザイスベテデイドム………」

勇者「そうこなくっちゃ………」

おじさん(ほほう……まだ喋る余裕があるとは……こいつら……ならば……!)

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