勇者「ええ、久々に冒険の楽しさを思い出しました」
勇者「でも、彼女たちには悪いことをしたなぁ」
女神「何がです?」
勇者「勝手にいなくならないって言っちゃったんですよ」
女神「まぁそれは仕方ないでしょう」
勇者「そうですかねぇ」
女神「それで、そろそろ返事はいただけるのでしょうか?」
勇者「え?返事とは?」
女神「最初に言ったではありませんか」
勇者「なんのことやらさっぱり」
女神「だから、『女神は勇者様をお慕いしています』とっ・・・」カァ
女神「まったく女のほうから言わせるなど・・・」
女神「なんですその顔は?」
勇者「・・・いえ・・・女神様にそんなこと言っていただけるとは・・・・」
女神「あなたは、すぐ女の人に好かれるからいつもひやひやしていました」
勇者「そんなことないですよ?」
女神「あるんです!実際にあなたが助けてきた王女たちは
あなたのことを考えると夜も眠れぬくらいの恋を患っております」
女神「王女だけじゃありませんあなたとかかわりを持った女性たちは
全員あなたのことを好きになるんです!」
勇者「そんなことないですって」
女神「そして私ですら、あなたのことを思うと夜も眠れず
四六時中あなたのことばかり考えて
なのにあなたときたら
冒険、冒険って子供ですか!?
冒険させて異世界の女たちにまで惚れられたら困ると思って
わざわざ伝説の遊び人まで使ってメイクをさせたのに
また女たちを恋に落として・・・・」
勇者「あの遊び人って女神様のせいだったんですか!?」
女神「あたりまえでしょう、100年も前の遊び人が
いきてるわけないでしょう」
勇者「そんなー大変だったんですよ?」
女神「私のジェラシーのほうが大変でした」
勇者「・・・・」
女神「なんですか?」
勇者「・・・フフッ、いえ」
女神「なんですか急に笑って、どうせ
私は醜い女だとか思っていたんでしょうっ?・・・」
勇者「いえいえ、女神様、俺はまた世界を救いました」
女神「そうですねっ」
勇者「ということでまたご褒美に願い事を1つかなえてもらえませんか?」
女神「はいはい、どうせまた異世界に行きたーいとかいうんでしょうね
どうぞお好きに1つ願い事をっ」
勇者「じゃあ、世界を救ったご褒美に結婚してください」
女神「はいはいわかりましたよっ・・・・
って?えっ?け、結婚?誰と誰が?」
勇者「俺と女神様が」
女神「ほ、ほんきですか?」
勇者「本気です」
女神「私は嫉妬深いですよ?」
勇者「それも含めて愛しています」
女神「あっ愛して?」
勇者「はい、愛しています
で、女神様願い事はかなえてくれるのでしょうか?」
女神「その願い了解しました・・・
・・・・私も・・・愛していますっ」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
宿屋
『起きてください勇者さま』
バンッ
勢いよく扉を開いて
4人の少女たちが部屋に入ってきた
戦士「なかなか起きないなぁ」
武道家「まぁ、疲れてたんだろうね」
魔法使い「まぁ、ちゃんといてくれてよかったのぅ」
僧侶「私も実はいなくなってるかも、なんていう考えがあって不安でした」
戦士「ちゃんと寝ててくれて助かったな」
武道家「寝息が全然聞こえないけどね」
僧侶「まさかっ!?」
魔法使い「息が・・・・ない・・・」
戦士「そんな・・・うそ・・・だろ?」
武道家「いやだよぅせっかく平和になったのに」
その夜、街のお祭り騒ぎが止らないのに対して106号室の部屋からは
少女たちの悲しい泣き声が止らなかった・・・
---10年後---
僧侶
拝啓勇者様
私たちのこと覚えておいででしょうか?
私、いえ"私たち"は一度たりとも貴方を忘れたことはございません
遊び人の貴方と出会い
ともに食べ、ともに寝て、ともに戦い、
貴方のことを知るたびに
私たちは貴方に惹かれていきました
貴方の正体を知ったあの日
魔王を倒したあの日
世界が平和になったあの日
宿屋で寝ている貴方を見てホッとしたのもつかの間
貴方に息がないことを知って
私たちは絶望に追いやられました
でも、貴方からの手紙を読んで私たちは前に進めるようになりました
お恥ずかしいながら
私たちがあの手紙に気付いたのは
その日からしばらくした時のことです
その手紙を読んだとき
最初は少ない貴方の言葉をみて少し恨みましたが
よく、考えれば貴方には時間がなかったんですもの
仕方ないですよね・・・
そういえば、
私は大司祭になっちゃったんですよ
すごいですよね自分でも思います
ほかの皆さんのこともお話ししますね
今、戦士さんは王国の戦士長らしいですよ
すごく美人でいろいろな国の王子様からの求婚があるそうです
ですが戦士さんは心に決めた人がいるとかで断ってるらしいです
誰のことでしょうね?
まぁ、貴方ほどの鈍感だとわからないでしょうね?
武道家さんは今、世界で一番強い武道家らしいですよ
なんでも武神って呼ばれてるそうです
実家の道場で子供たちに武道を教えているそうです
あの人も大人らしくなって色々な人から求婚されているようです
やはり武道家さんも自分より強い武道家としか結婚しないようです
武神より武道が強い人がいるんでしょうか?
全ての職業をマスターした人はたぶん武道もお強いんでしょうね?
魔法使いさんは今、学者として世界に貢献しています
あの方に結婚を申し込む人はいないですね
すごく美人なのに、いっつもあほみたいなメイクをしているんですよ?
好きな人の真似だそうです・・・
あほみたいなメイクって誰のことでしょうかね?
皆さんが言っている人物に私は1人だけ心当たりがあります
その方は、いつでも、どんな時でも
私たちを守ってくれて、いろいろなことに詳しくて
料理のうまい
私の一番大好きな人です
誰かは教えてあげませんよ
でも、私たちはまた会えることをずっと願っています・・・・
勇者様・・・・
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拝啓 4人の大事な仲間たちへ
俺は今まで1人で戦ってきて仲間というものを知らなかった
だから、君たちに会えたことに本当に感謝している
そろそろ時間のようだ、勝手にいなくならないという約束を破って本当にすまない
だが、これだけは信じてほしい。
俺は、また必ずこの世界に戻ってくる
そして、大好きな君らと共に冒険に出かけたい
だから、今度戻ってくるときのためにこの世界を捨てないでほしい
前を向いてほしい、また歩き出してほしい、俺のためだけに止まらないでくれ
それだけです、腕が少し疲れてきたから俺はもう眠るよ
また、いつか戻ってきたとき世界が美しくなってることを祈ってます
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女神「また、行くんですか?」
勇者「約束したからね」
女神「行くことは許しますが浮気は許しません」
勇者「う、浮気なんてできるわけないだろう」
女神「もし、したらわかってますよね?」
勇者「は、はい・・・」
女神「では、行ってらっしゃいアナタ」
勇者「行ってきます」
・・・
宿屋
106号室前
戦士長「あれ?みんな来ていたのか?」
武神「なんとなく呼ばれたような気がしたからね」
学者「我も、なぜか無性にここに来たくなったのじゃ」
大司祭「私も神の導きがっていうか魔法使いさんメイク落としてる!?」
学者「まぁのぅ」
戦士長「まぁこれは確実に、あの人がいるな」
武神「だねだね!!」
大司祭「では、あの時と同じように行きましょうか」
戦士長「それじゃあいっせーのーでっ」
『起きてください勇者さま』
バンッ
勢いよく扉を開いて
4人の女性たちが部屋に入ってきた
勇者「やあ、おはよう」
--------------------仲間「起きてください勇者さま」完---------------------------------