戦士「おいそこの誰か」 4/7

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魔法使い「嘘だ!嘘なんだ!私を愛してなんかいないんだ!」

盗人「愛してる!愛してるから!」

魔法使い「……なんでそこのエルフから盗ろうとしたんですか?」

盗人「その……盗みやすそうだったから」

エルフ「なんだと?」

戦士「まあまあ落ち着けって」

魔法使い「……今度やったら許しませんから」

盗人「……はい」

魔法使い「……私の恋人がすみませんでした」

エルフ「ふん。私はまだゆる……」

戦士「いいっていいって終わったことだしよ」

エルフ「おいっ……!」

戦士「それで結局組んでくれるのか?」

魔法使い「はい、たっぷりこき使ってあげてください。あと見張るためにも私もご一緒してもよろしいですか?」

戦士「おう!願ったり叶ったりだぜ!」

魔法使い「それでは私共々よろしくお願いします。……ほら」

盗人「よ、よろしく……」

戦士「ほらお前も」

エルフ「……ふん」

戦士「あー、悪いな。無愛想なやつでよ」

魔法使い「いえ、気にしません。この人が悪いんですし」

盗人「あー……それでどうするんだ?」

戦士「とりあえずは街道で適当にやろうかと思ってるんだけどよ。それでいいよな?」

エルフ「問題ない」

魔法使い「わかりました。頑張りましょうね」

盗人「あ、ああ……」

魔法使い「……期待してますから」

盗人「あ、ああ!」

戦士「ひゅー、お熱いねえ!」

魔法使い「当然です」

エルフ「…………」

《街道》

戦士「ふー、やれやれ」

エルフ「やはり人数がいると違うな」

戦士「ああ、組んで正解だったな」

エルフ「……あれがなければな」

魔法使い「もうすっごくカッコよかったです!」

盗人「そ、そうか?」

魔法使い「はい!私また惚れ直しちゃいました!」

盗人「あはははは、照れるなあ」

魔法使い「……だから約束、破らないでくださいね」

盗人「わかったよ……」

戦士「…………」

エルフ「…………」

戦士「あそこまでいちゃいちゃするとはなぁ。これさえなければ……」

エルフ「まったくだ」

戦士「それじゃもうそろそろ帰るとするかね」

エルフ「もう帰るのか?」

戦士「もうって……だいぶ長くやってるぞ?」

エルフ「そ、そうなのか。だがもう少し……」

戦士「根をつめすぎてもよくねえよ。それともなんか理由でもあんのか?」

エルフ「……」

戦士「……はぁ。おーいもうそろそろ帰るぞー!」

魔法使い「わかりましたー!」

盗人「あいよー!」

《ギルド》

受付嬢「ご利用ありがとうございまーす」

戦士「あいよ。んじゃこれを四等分な」

エルフ「……」

魔法使い「ちゃんとしたお金ですよ。よかったですね」

盗人「ああ……!」

戦士「そんじゃ軽く打ち上げでも……おい」

エルフ「……」

戦士「おいってば」

エルフ「!……な、なんだ?」

戦士「これから打ち上げでもしねえかって話してたんだけどよ。そんな真剣になにを見てたんだ?」

エルフ「いや、これは……」

受付嬢「こちらになりますねー」

エルフ「おいっ!」

戦士「んー……賞金首の情報か」

受付嬢「そうですよー。それはもう真剣に見ていました」

魔法使い「わ、すごい額ですね。ね?」

盗人「そうだな……」

戦士「ふーん……そういやこれ朝も見てなかったか?」

エルフ「……」

戦士「額が一番高いわけでもねえし、倒しやすそうなわけでもねえ。この賞金首のおっさんがなんかあるのか?」

エルフ「貴様には関係ないだろう」

戦士「……そりゃそうだけどよ」

エルフ「……」

戦士「……」

魔法使い「えっと、お二人ってあんまり仲がよろしくなかったりするんですか?」

戦士「よろしくねえもなにもまだ会ってから大して経ってねえよ」

魔法使い「そうなんですか」

盗人「…………なあ」

エルフ「なんだ」

盗人「な、なんでもないです……」

魔法使い「よしよし、あなたは頑張りましたよ」

戦士「はあ、そうやってギスギスさせんのやめろよな。どうすんだよこの空気」

エルフ「知ったことか。それに貴様が踏み込んだことを聞くからだろう」

戦士「……」

エルフ「……」

魔法使い「えっとー」

戦士「……悪い。このまま解散でいいか?」

エルフ「……ふん」

コツコツコツ……

魔法使い「わかりました。行きましょう?」

盗人「ああ、そうだな」

戦士「……はあ」

戦士「なーんでこうなるんだよ……」

~ ~ ~

戦士「あー、だりい」

受付嬢「あのー」

戦士「ん?」

受付嬢「用がないなら帰ってくださーい」

戦士「…………」

受付嬢「正直な話目の前でうじうじされるとうっとおしいんですよー。仕事の邪魔です」

戦士「冒険者がギルドでたむろして何が悪いんだよ」

受付嬢「言わないとわからないんですか?」

戦士「…………ちっ」

受付嬢「とっとと謝るなりなんなりしてくればいいじゃないですか」

戦士「なんで俺が謝んないといけねえんだよ!」

受付嬢「仲直りしたいならそれが一番手っ取り早いと思うんですけどねー」

戦士「はっ!だぁれが謝るかよ」

受付嬢「そもそもあなたが相手に踏み込んだことを聞いたからそうなったんじゃないですか」

戦士「……そりゃあそうだけどよ。あそこまで怒るとは思わなかったんだよ」

受付嬢「自分が悪いってわかってるじゃないですか」

戦士「…………」

受付嬢「一晩経ってお互いの頭も冷えたでしょうし。いつまでも意地を張らないで、ね?」

戦士「……やなこった」

受付嬢「はぁ……あなたは子供ですか?」

戦士「誰が子供だ」

受付嬢「つまらない意地を張って」

戦士「つまらなくねえ」

受付嬢「だいたい……あっ」

戦士「ああ?」

受付嬢「ほら、来ましたよ」

エルフ「…………」

戦士「げっ」

受付嬢「ほら、これ以上はしりませんからね。私だって忙しいんですから」スタスタ

戦士「あっ、おい!」

戦士「……くそっ」

エルフ「…………」

戦士「……よう」

エルフ「…………」

戦士「……あの「邪魔だ、どけ」」

戦士「……いい度胸してるじゃねえか」

エルフ「うるさい。用がないならそこをどけ」

戦士「……また賞金首の情報調べか?」

エルフ「貴様には関係ないだろう」

戦士「……」イラッ

エルフ「何回も言わせるな。とっととどけ」

戦士(……落ち着け!落ち着け!キレるな!)

戦士「あ、あのよ。昨日はなんつうかよ……」

エルフ「ど け」

戦士「ふざけんじゃねえぞてめぇ!人がしゃべってるだろうが!?聞けよ!」

エルフ「…………」

戦士「だんまり決め込んでんじゃねえぞこらぁ!」

エルフ「やかましい」

戦士「…………」プチッ

エルフ「それで話とは……」

戦士「知るかっ!!」

エルフ「貴様が話を振ってきたのだろう」

戦士「その話を聞こうとしなかったのはてめえだろうがこのアマ!」

エルフ「今は聞くと言っているだろう」

戦士「……昨日よ」

エルフ「…………」

戦士「踏み込んだことを聞いて悪かった」

エルフ「……謝るのな「……と謝罪しようと思ったけどもう知らねえ!」……なに?」

戦士「なんでお前なんかに頭下げなきゃなんねえんだよおらぁ!」

エルフ「なっ……」

戦士「さんざん人のこと馬鹿にしやがってよ!なんで俺ばっかり気をつかわなくちゃなんねえんだ!少しのことでいちいちキレやがって!」

エルフ「貴様……!」

戦士「ああっ!?またキレんのかよ!そうやってキレれば気を使ってもらえると思ってんだろてめえ!」

エルフ「っ!?」

戦士「だいたい……」

ゴスッ、ボカッ

戦士「うごはぁっ」

エルフ「いった……!」

受付嬢「なにやってるんですか」

戦士「ああん!やんのか……」

バキッ

受付嬢「謝れとは言いましたけど喧嘩しろなんて言ってませんよ?」

戦士「こ、こいつがあんまりにもわからず屋だからよ……」

受付嬢「そういう問題じゃないでしょう」

戦士「ぐ……」

受付嬢「ほら、何をするんでしたか?」

エルフ「…………」

戦士「そ、その悪かったな」

エルフ「…………」

受付嬢「あなたも!」

エルフ「……私か?」

受付嬢「そうですよ!謝られたらどうするんですか?」

エルフ「……その、私も……なんだ。至らないところがあった、すまない」

戦士「お、おう」

受付嬢「全く、世話を焼かさないでください」

戦士「……すまねえな」

受付嬢「……私は仕事に戻りますから。もういざこざを起こさないでくださいね!」

戦士「……おう」

エルフ「……すまなかった」

受付嬢「まったくもう……」

スタスタスタ……

戦士「…………」

エルフ「…………」

戦士「その……あれだ、また賞金首の情報を確認しにきたのか?」

エルフ「……ああ」

戦士「…………」

エルフ「…………」

戦士「あー…………」

エルフ「……見に行ってもいいか?」

戦士「お、おう!よかったら俺もついて行ってもいいか?」

エルフ「…………」

戦士「い、いやなら別にいいけどよ!?」

エルフ「……別にいい」

戦士「そ、そうか」

エルフ「…………」

戦士「……行くか」

エルフ「ああ」

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