勇者「ふむ。つまりあんたは、過去の勇者によって擬似的な人格を与えられた存在で……」
魔剣「そのベースになっているのは、勇者とともに旅をした僧侶と、その僧侶が生前に愛用していた武器であると」
勇者「どっかで聞いたような話だなあ! ひょっとしてわりとよくある話だったりするの!?」
魔剣「そうなのかしらね。まあ、話を聞く限りではそちらの元ご主人様よりわたしの前の持ち主の方がかっこいいけれどね」
短剣「なっ……わ、わたしのご主人様だってかっこよかったですっ!」
勇者「いや、どっちも爺さんだろ?」
魔剣「ふん。年老いてはいたけれど素敵な老紳士だったわ」
短剣「わたしのご主人様もそうでしたっ。上品で、知性的で、素晴らしい人格者でしたっ」
魔剣「今のこの勇者のかっこよさを1勇者とすれば、わたしの前の持ち主は100勇者くらいのかっこよさだったわ」
短剣「わ、わたしの方は200勇者くらいのかっこよさでしたっ!」
魔剣「嘘ね。わたしが100と言ったから200と言っただけでしょう? だいたいあなた、この勇者のことなんかよく知らないじゃない」
短剣「ううっ。図星をつかれちゃいましたっ。悔しいですっ」
勇者「俺の方が悔しいわ! 俺を単位にして言い争うのはやめろ! しかもけっこう細かい単位に使われちゃってるじゃん!」
魔剣「うるさいわね。口を挟まないで頂戴。この小生意気な短剣を凹ましてやってから聞いてあげるから」
勇者「俺が一番凹むっつーの。小生意気な短剣なのはお互い様だし。そもそもお前の方が先に喧嘩売ったんだろーが」
王女「あっあのっ、喧嘩はだめですっ。なかよくしてくださぁいっ」オロオロ
勇者「つーかさ、そっちの短剣……紛らわしいな。僧侶が使ってた武器って話だから、聖剣とでも呼ぶか」
聖剣「聖剣ですか。なんだかかっこいいですっ」
魔剣「む……魔剣と聖剣って言われると、なんだかわたしが悪役みたいだわ」
勇者「聖剣の方のご主人様も勇者と呼ばれる人だったんだろ? だったらその人も俺のご先祖様ってことになるよな?」
王女「そうですねっ。だとすると、聖剣さんと魔剣さんも親戚のようなものってことになりますっ。生みの親が同じ家系の方ですからっ」
勇者「同じ家系っつーか、ひょっとして同一人物だったりしない?」
王女「その場合は、おふたりは姉妹ということに……」
勇者「お前らの元の主人のパーティ編成ってどんなんだった?」
魔剣「勇者、魔法使い、戦士、僧侶よ」
聖剣「勇者様、僧侶さん、戦士さん、魔法使いさんですっ」
勇者「ほら」
魔剣「でもわたし、こんな剣知らないわ」
聖剣「わたし、魔剣さんとお会いした記憶はありませんっ」
勇者「そっか……まあどうでもいいか。今の持ち主は魔剣が俺で、聖剣は王女様だ。張り合うなら今の持ち主の方でやれ」
魔剣「そうね。しかたないわ。認めましょう。わたしの負けよ」
聖剣「勝ちましたっ。嬉しいですっ」
勇者「どっちにしても俺が凹まされるのか! ちくしょう!」
王女「いえ、とんでもないですっ。勇者様はわたしなんかよりずっと素敵な方ですっ」
勇者「いえいえそんな、王女様の方こそ……とか言い出すときりがなさそうなんで、両方とも素敵な方ってことにしときましょう」
聖剣「でも、もしかしたらわたしたちの他にも喋れる剣はあるのかもしれませんねっ」
魔剣「そうね。魔法使い、僧侶ときたら戦士の人格を持った剣とかもあってもよさそうなものだわ」
王女「そういえば、そんな話を聞いたことがあるような……王家に昔から伝わる予言なんですがっ」
勇者「どんな内容ですか?」
王女「えっと、最後の方が、3本の剣を携えた勇者が邪悪を滅ぼす……とか……ごめんなさい、前半部分が難しい言葉だったので……」
魔剣「それだけではその3本の剣がインテリジェンスソードかどうかはわからないわね」
勇者「その剣という言葉自体、何かの比喩とも考えられるしな。勇者に仕える3人の仲間とか。昔の予言ってそんなん多いだろ?」
王女「でもっ、たしか前半部分は、そのインテル入ってるソードですか、知能を持った剣を表すような言葉だったと思うんですっ」
魔剣「インテリジェンスソードよ。その前半部分って、王様ならちゃんと憶えてるかしらね」
王女「はいっ、わたしはそれをお父様から聞いたので、お父様なら憶えてるはずですっ。ごめんなさい、お役に立てなくてっ」
勇者「いえ、充分です。……もしかしたら魔王を倒すための重要なヒントが隠されてるかもしれない」
王様「うん、憶えてるよ」
勇者「前半部分はどんな言葉なんですか?」
王様「確か、『勝気な傍若無人系美少女、おっとりした癒し系美少女、無口無表情系美少女の心が集う三振りの剣』だったかな」
勇者「うわあ! 王家に伝わる予言にあんまり相応しくない言葉がふんだんに盛り込まれてる!」
王様「いや待て、『無邪気でちょっと頭は緩いけど可愛らしい妹系美少女』だったかもしれん」
勇者「うろ憶えなんじゃん! 当てにならねえ! つーかどっちでもいいわそんなもん! それ単なるあんたの好みじゃねーの!?」
王様「アホ言うな。最近のわしの好みは幼馴染の僕っ娘に決まっとるだろーが」
勇者「知らねーよそんなの!」
王様「いや、現代の言葉にするとそんな感じになるってだけで、原文はもっと仰々しい感じだったと思うよ」
勇者「原文は残ってないんですか? あるいはそれを書き写した書物とか」
王様「残ってないなあ」
勇者「それ絶対、語り継がれるうちに伝言ゲームみたいに原文からかけ離れてる……ちゃんとメモっときましょうよそういう大事そうなことは」
王様「後半部分はちゃんと憶えてるよ。『三振りの剣を携えし勇者、邪悪を滅ぼした』」
勇者「過去形!? 予言ですらねえ!」
王様「いやでも、予言じゃなくても、過去にそれで上手くいったって話なら、真似すればいいんじゃないかなー」
勇者「それはまあそうかもしれませんけど、魔剣から聞いた昔話には剣を3本も持って戦った勇者なんて出てこなかったし……」
王様「どこの海賊だよって話だよなあ。でもまあ一応、全部揃えてみたら? っていうかもう揃ってないか? 三振りの剣」
勇者「はい? 2本は揃ってると思いますけど……」
王様「勝気で我が侭な剣」
勇者「魔剣はそんな感じと言えなくもないかなあ」
王様「おっとり癒し系」
勇者「聖剣、というか王女様がそんな感じですよね。もう少し落ち着きがあればですけど」
王様「無口な剣」
勇者「いや確かに俺の長剣は無口ですけど! 一切喋らないインテリジェンスソードって意味あるんですかね!?」
王様「駄目?」
勇者「時間に余裕があるならもっと詳しく調べたいところですが……」
王様「その前に滅ぼされかねないよなあ」
勇者「一応、心当たりは無くもないんで、少しだけ調べてみますよ。それで駄目だったらその時にまた考えます」
王様「うん、期待してるぞ。頑張れよ。すべてが上手くいったら結婚云々は抜きにしても娘のおっぱい揉んでいいから」
勇者「その発言って父親としてどうなんですか……いや、娘の遊び相手として刃物持たせてるって時点で既に相当エキセントリックですけど」
勇者「……というわけで、王様の言うことはあまり当てにはならないんだけどさ」テクテク
魔剣「そうね」
勇者「三振りの剣とやらが揃うことによって今後の戦いで役立つ強力な武器になるのかもしれないからさ」
聖剣「そうですねっ」
勇者「そのためにこうして、その剣を入手できそうな場所に向かっているわけだよ」
魔剣「なるほど。で、なぜわたしの隣にこの小生意気な剣がぶらさがってるのかしら」
勇者「いや、話聞いてた? 3本のうちの1本がたぶんこの聖剣だから、王女様から借りてきたんじゃないか」
聖剣「はいっ、お役にたてるかどうかはわかりませんがっ、精一杯がんばりますのでよろしくお願いしますっ」
魔剣「ふむ。この聖剣を王女様から借りパクした理由はわかったけれど、」
勇者「借りパクじゃねえよ。全部終わったらちゃんと返しに行くっつーの」
魔剣「それで、どこに向かっているの?」
勇者「俺の家」
聖剣「勇者様のご自宅にその剣がある、ということなんでしょうか?」
勇者「わからんけどさ、魔剣があったのは俺の家の倉庫だし、聖剣も過去の勇者によって作られた武器なんだろ?」
魔剣「つまり、勇者の血を引くあなたの家に、残る1本も置いてある可能性があると」
勇者「前に話したことあんだろ? お前以外にも封印された剣が何本もあったって」
魔剣「言ってたわね。でもその中のどれがあなたの求める剣かはわからないのでしょう?」
勇者「それを今から調べるんだってばよ。さあ、着いたぞ」ガチャッ ギイッ
聖剣「剣がたくさんありますねっ。この中にわたしのように喋れたり、特別な効果を持ってたりする剣があるんでしょうかっ」
魔剣「特別な効果?」
聖剣「はいっ、ほら、わたしを身につけていると回復効果があるじゃないですか。それと同じように、」
勇者「ちょっと待って! なんか当たり前のようにさらっと言ってるけど何それ!? 回復効果!?」
聖剣「言ってませんでしたっけ? わたし、傷の回復をお手伝いすることができますよっ。深い傷だとちょっと時間はかかりますけどっ」
勇者「すげえ! まさに聖剣じゃん! そっか、それがあるから王様も娘に刃物持たせたりできたのか。それでも充分頭おかしいけど」
聖剣「いえ、そんなたいしたものではないですっ。そんなに褒められると照れてしまいますっ」
勇者「なるほど、伝説の勇者のパーティで、僧侶が持ってた武器……それっぽい能力が備わってるんだなあ」
魔剣「……ふん。けっこうやるじゃない。まあ小生意気なところはあるけれど足手まといにはならなそうだわ」
勇者「正直剣より鎧か盾にそういう能力つけといてくれた方がありがたかったような気もするけど。で、大生意気なお前は何ができるんだ?」
魔剣「……ふっ、まあ、わたしだってそれなりに凄いことができるけれど、なんか自慢してるみたいでかっこ悪いから言わないでおくわ」
勇者「何も無いのか……」
魔剣「あっ、あるもんっ」
勇者「お前確か魔法使いが愛用してた武器だったよな? 攻撃魔法みたいな感じのなんかできねーの?」
魔剣「……わたしを振りかざすと爆炎魔法が」
勇者「えっマジで?」
魔剣「普段よりちょっとかっこいいポーズで使える、とか」
勇者「いやそれお前ただ振りかざされてるだけじゃん。松明がわりにすらなってないじゃん」
魔剣「うるさいわね。攻撃魔法なんて野蛮なものはわたしは嫌いよ」
勇者「うわこいつ最初の持ち主のこと否定しやがった! つーかお前の人格のベースも魔法使いなんだろ!?」
魔剣「はいはいわかりました。わたしは攻撃魔法のひとつも使えない駄目な剣です。もうわたしなんか売り飛ばしてしまえばいいわ。100000Gで」
勇者「卑屈なこと言ってるわりには自己評価額高いなあ!」
聖剣「あの、なんか、すみません。わたしの能力を自慢しちゃったみたいで」
勇者「いや、お前は別に謝らなくても。この魔剣が……いや、悪いのは俺だな。いじめるようなこと言ってごめんよ」
魔剣「……何よ、それ」
勇者「いや、お前らに凄い能力があろうとなかろうと、戦うのは俺なんだから、強くなきゃいけないのは俺の方なんだよな」
魔剣「……そうね。その通りだわ」
勇者「武器の強さに頼るばかりじゃ駄目なんだよな。それを忘れそうになってた」
魔剣「ふっ。わかってくれたようね。それを教えるためにあえてわたしは、」
勇者「おい調子にのんな。……まあ、また強敵と戦う時にアドバイスでもしてくれよ。今度はあのドラゴンの時より上手く戦えるように頑張るからさ」
聖剣「ううっ。いい話ですっ」
勇者「それはそれとして、武器探しはするけどね。さて、この中にあるのかなっと」
魔剣「なにか手がかりのようなものはあるのかしら」
勇者「うん、この何本もある剣の中からお前を選んだ理由、前に話したろ」
魔剣「確か、わたしのあまりの美しさに魅せられて、自然に手が伸びたとかいう理由だったかしら」
勇者「全然違う。お前の封印が弱かった原因を考えてたんだけど、考えられる理由のひとつとして、封印を施した人間が違うってのがあるよな」
魔剣「そうね。最後にわたしに封印を施したのは、前の持ち主の遺族だったから」
勇者「それ以外にも何かあるかもしれないって思ったんだよ」
聖剣「と言いますと?」
勇者「箱とかでもさ、蓋を開けたり閉めたりを何度も繰り返してると、そのうちゆるゆるになって蓋がパカパカしちゃったりするじゃん?」
聖剣「はあ。つまり魔法による封印もそれと同じように、何度もかけたり解いたりを繰り返すと弱くなってくるのでは、ということでしょうか?」
勇者「察しがいいな。魔剣が昔の勇者の話し相手をしてた頃って、話してる時以外はどうしてたんだ?」
魔剣「……こまめに封印をかけられて、宝箱に大事にしまっておかれてたわね。あの人にとってわたしは大切な妻の形見だったから」
勇者「だろ。そうだと思ったんだ。お前らが作られた経緯ってそっくりなのに、お前ら同士では面識が無かった理由がそれだ」
魔剣「つまり、わたしたちを作った昔の勇者は、」 聖剣「同一人物……」
勇者「聖剣、お前の元のご主人様って、奥さんはどんな人だったんだ?」
聖剣「はあ、すでに亡くなられていましたが、旅仲間の魔法使いさんだったと聞いてます……」
魔剣「……同じだわ」
勇者「つまり魔剣、昔の勇者は最愛の妻の再現であるお前を作った後に、そのノウハウを生かして、他の旅仲間の人格も再現したんだ」
魔剣「ということはあとの1人……戦士の擬似人格を持った剣も存在する可能性は極めて高いということに」
聖剣「ちょっ、ちょっと待ってくださいっ。それならそれで、わたしの元のご主人様は、なぜわたしたちとバラバラに会話してたんでしょうかっ」
魔剣「ふむ。確かにせっかく昔のパーティを再現したのだから、3本揃えてみんなでお喋りしてもよさそうなものだわ」
勇者「そこまではわからんけどさ。たぶんあれだ。お前らって2本揃ってるだけでもうるさいじゃん」
聖剣「……はい?」
勇者「そこに3本目も加わったらさ……姦しすぎて思い出に浸る暇もなくなりそうだからだろ」
魔剣「そんな理由!?」
勇者「最後の1本はもう少し物静かな性格だといいなあ。この推測が正しかったらそれも望み薄だけど」
聖剣「ともあれ、魔剣さんの封印がゆるゆるだったことを考えると、」
魔剣「この人の推測が正しいとするならあなたの封印だってゆるゆるのガバガバになってた筈だけれどね」
勇者「魔剣ほどガバガバではないにしても、ここにある剣の中で最も封印が緩いやつが最後の1本である可能性が高いんじゃないかなあと」
魔剣「そうかもしれないけれど、そもそも魔法による封印ってそんなことで弱くなったりするものなのかしら……?」
勇者「別に確信があるわけじゃないけどさ、まあ封印が弱い方が解きやすいってのもあるし。1本ずつ確かめてみよう。えいっ」グイッグイッ
魔剣「いやちょっと待って頂戴、あなたの封印の解き方って鞘から力任せに引き抜くだけ!? わたしもそうやって封印を解かれたの!?」
「うるさいなー、せっかく気持ちよく眠ってたのに、目が覚めちゃったじゃないか」
聖剣「あっすみません、今、封印が弱くなってる剣があるかどうか調べていて……って、えっ? 今の声、どこから……?」
勇者「最後の1本か!? 既に封印が解けてるのか!? どれだっ!」ガチャガチャ
「うるさいってばー。さっきから封印封印って何? 流行ってんの? 封印って言いたいだけなの?」
勇者「おい答えろ! お前、どこにいるんだ!?」
「あたし? あんたの腰の左側にぶらさがってるけど?」
勇者・魔剣・聖剣「「「お前かよ!」」」
長剣「えっ? 何?」
勇者「なんで旅の途中で手に入れたお前なんだよ! 俺の家の倉庫にある剣の方がそれっぽいじゃん!」
長剣「そんなのあたしに言われても」
魔剣「なぜ今まで喋らなかったのよ。鞘から抜くことはできたのだから封印は既に解けていたのでしょう?」
長剣「うん。寝てた」
勇者「王様のテキトーな発言が当たってたとは。無口無表情系美少女って感じでは全然ないけど」
聖剣「口調がなんか、女戦士っぽい感じですっ。この方が最後の1本に間違いないですねっ」
勇者「旅の途中で偶然手に入れた剣なのに……」
魔剣「こうなると、さっきあなたが得意げに披露していた仮説も怪しくなってくるわね」
勇者「いや、たぶんあれで合ってると思うんだけど……たぶん……」
聖剣「長剣さんは何か特技などはお持ちなんでしょうかっ?」
長剣「ん? あたしの特技か。そうだなー、斬るのが得意だな」
勇者「うん、剣だからね」
魔剣「そんなのわたしだってできるわ。ちょっと短いけれど」
勇者「短剣だからね」
長剣「あとは雷撃の追加効果くらいかなー」
勇者「マジでっ!?」
魔剣「本当にそんなことができるのかしら。今までの戦いでそんなの無かったじゃない」
長剣「だから寝てたんだってば」
勇者「ドラゴンを滅多斬りにしてた時とかも眠ったままだったのか……」
長剣「雷撃効果のON/OFFはあたしの意思で切り替えができるから起きてればできるよ」
勇者「そっか……まだ実際に見たわけじゃないけど、暫定的にお前のことは雷剣とでも呼ぶか」
雷剣「雷剣か。なんかかっこいいな」
勇者「じゃあここから出てその雷撃効果とやらをちょっと試してみるか」
勇者「さて、この切り株の上に薪を置いてみたわけだが」
雷剣「うん」
勇者「お前を薪に軽く振り下ろすから、雷撃を発動させてみてくれ」
雷剣「うんわかった」バチッバチッ
聖剣「わっ、雷剣さんが光って火花が散ってますっ」
魔剣「どうやら能力の話は本当だったようね」
勇者「俺が感電しそうで怖いんだけど」
雷剣「魔法の雷だから大丈夫だよー」
勇者「魔法って便利だなあ。じゃあ、いくぞ」
雷剣「どれくらいのパワーでやればいいの?」
勇者「ん、じゃあ、小さめで」
雷剣「おk」
勇者「いくぞっ」コツン
バチッ! バキバキッ!
聖剣「わわっ、すごいですっ。薪が焦げ焦げの真っ二つになっちゃいましたっ」
魔剣「あら、薪割り機能付きの剣だなんて便利ね。下の切り株まで焦げ焦げの真っ二つにしてしまったのはいただけないけれど」
勇者「すげえな。これで小さめのパワーなのか?」
雷剣「うん、本気出したらこの100倍はすごいよ」
勇者「100倍!? ……勝てる! これなら魔王にも勝てるぞ!」
聖剣「すごい強さですっ。さすがにわたしたち3本の中でも最後に仲間に入っただけのことはありますねっ」
魔剣「あまりインフレされると最初からいるわたしの立場がないのだけれど」
勇者「こいつもけっこう前からいたけどな。寝てただけで」
雷剣「よくわかんないけど魔王倒しにいくんだろ? あたしにまかせろー」
勇者「というわけで魔王の城に着いたぞ」