魔銃「あら」
勇者「ちくしょう! そういうオチか! 読めなかった自分が憎い! でもあんなに引っ張られたら期待しちゃうじゃん!」
魔銃「ちょっと、落ち着いて頂戴。言うのを忘れていたわ。撃つ前にスライドを引くのよ」
勇者「えっ? スライドってどれだよ。わかんねーよ」
魔銃「大雑把に言ってわたしの上半身がスライドで下半身がフレームよ。上半身を後ろに引っ張って頂戴」
勇者「こうか?」ジャキッ
魔銃「んっ……そうよ。一杯まで引いたら手を離して」
勇者「こうか」ジャキン
魔銃「あんっ」
勇者「おい変な声出すな。これで撃てるのか?」
魔銃「ええ、撃てるわ」
勇者「思ったんだけどさ、撃ったら弾が飛んでくわけじゃん?」
魔銃「飛んでくわね」
勇者「その分、元の短剣の姿に戻った時に前よりちょっと短くなっちゃったりしないかな?」
魔銃「……たぶん大丈夫だわ。わたしって魔法的なアレだから」
勇者「魔法って便利だなあ!」
勇者「じゃあ、撃つからな」
魔銃「早く撃ちなさいよ」
勇者「……」パン!
竜王「?」
勇者「ありゃ、外れた」
魔銃「もっとよく狙って、引き金はそっと、優しく引きなさい。わたしが揺れると狙いが外れてしまうわ」
勇者「そ、そうか……」パン! ピキッ
魔銃「また外れだわ。下手ね」
勇者「えっと、これ何回撃てるの?」
魔銃「あと13回ね」
勇者「それだけあれば1回くらいは……ん? これ、なんだ?」
魔銃「何?」
勇者「おいちょっと、お前……下半身に割れ目があるぞ!?」
魔銃「なに唐突にセクハラしてるのよ」
勇者「じゃなくて、フレームっつーのか? ヒビが入ってる!」
魔銃「あら。それは……ちょっとまずいわね。保存魔法をかけられていたとはいえ、長い年月の間に経年劣化で脆くなっていたんだわ」
勇者「ど、どうしよう、やばいじゃん。これ以上撃ったりしたら、ヒビが広がって……」
魔銃「でも、大丈夫だわ。フレームが少々割れる程度で、射手が大怪我したり死んだりするようなことにはたぶんならないわよ」
勇者「いやでも、お前はどうなるんだ!?」
魔銃「壊れるでしょうね」
勇者「えっと、この姿の時に壊れたらどうなるんだ? 元の短剣の姿に戻った時も壊れたまま……?」
魔銃「…………大丈夫よ。元に戻るわ。だってわたし、魔法的なアレだもの」
勇者「おい、今の間は何なんだ。ひょっとしてお前……」
魔銃「大丈夫と言ってるでしょう。それに、どちらにしても、このままではあなたは死ぬのよ? そうなればわたしもここで朽ち果てることになるわ」
勇者「でも……」
魔銃「……わたしはただの道具よ。道具にとっての幸せとは、最後まで役に立って使い潰されることじゃないかしら」
勇者「でも俺は、お前を壊したくない」
魔銃「主人の役に立つこともできずに、何もせずにただ朽ち果てるのを待てと言うのかしら?」
勇者「でも、お前を犠牲にしてまで……何か他の方法を考えよう」
魔銃「嫌よ。わたしを使って頂戴」
勇者「壊れたら、擬似人格まで消えちまうかもしれないじゃないか。そこまでして使ってもらおうとする必要があるのかよ」
魔銃「『お前からは必要が無いように見えても他者にとっては大切なものもある』だったかしら。あなたの言葉よ。この場合の他者とは、わたし」
勇者「確かにそう言ったけどさ、お前にとってそこまで価値があることなのか? そんなに使ってもらいたがる理由は何なんだよ」
魔銃「あなたって本当に鈍いわ。恥ずかしいことを言わせないで頂戴。あなたが好きだからに決まってるでしょう?」
勇者「えっと、結婚したいってことではないんだよな、それ」
魔銃「結婚したいわ」
勇者「なっ……」
魔銃「わたしが人間だったらよかったのに。わたしの元になった魔法使いのように、あなたに愛してもらえたかもしれないのに」
勇者「ちょっ、お前、それが人工知能の台詞か……? いくら実在の人物の性格がベースになってるっつっても」
魔銃「学習能力があるもの。でも人間になるのは無理だわ。わたしは武器だから戦うことしかできない。だからあなたのために戦いたいの」
勇者「やめろよ……そんなこと言われたら尚更、」
魔銃「あなたはわたしを好きだと言ってくれたのに、わたしの望みを叶えてはくれないのかしら?」
聖剣「あのっ、勇者様、生意気なことを言うようですが……使ってあげてください。いえ、使ってあげなかったら、駄目です。わたし、怒ります」
勇者「お前まで……なんだよ、ほんとに生意気だよ。王女様と全然違うじゃん。あの性格ってお前譲りなんじゃなかったのか?」
聖剣「好きな人のために何かしたい。人間の方でも同じなんじゃないでしょうか。でも、わたしたちは人間と違って自分では何もできないんです」
魔銃「……たまにはいいこと言うじゃない」
聖剣「できることをやりたい。でも使ってもらわないと何もできない。もどかしいんです。使ってくれと、言うしか無いんです。わたしたちは」
魔銃「あなたは常時発動の能力があるだけまだましだわ」
聖剣「そうですねっ。でも、何かしてあげたいという気持ちはあるのにそれができないもどかしさはわかりますよっ」
魔銃「そうでしょうね。たとえば、主人が落ち込んでいるときに抱きしめて慰めることもできない。ただ声をかけるだけ」
聖剣「人間なら暖かく柔らかい手で頭を撫でてあげることもできるのに、わたしたちにあるのは冷たく硬い刃、それすら自分では動かせない」
雷剣「飛んでって突き刺さってても自力で抜け出せない。はやくたすけてー」
魔銃「わたしたちって、本当に不自由だわ。この欲求不満、あなたが何とかして頂戴。あなたのご先祖様がわたしたちを作ったのよ?」
勇者「ご先祖様の尻拭いか。言っとくけど、人間にだってできることとできないことはあるんだぞ」
魔銃「今のあなたにはできることとやるべきことがあるわ」
勇者「……わかったよ。やるよ。こんな状況でもなければ壊れかけの銃なんて危なすぎて撃てねーけどさ……」
魔銃「ふっ。わかればいいのよ。もしわたしの部品が吹っ飛んであなたに突き刺さってしまったら、聖剣に治してもらうといいわ」
勇者「幸い竜王はお前がどういう武器なのかわかってないみたいだ」
魔銃「まだ根比べのつもりでいるようね。もう状況は変わっているのに」
聖剣「雷剣さんを弾き飛ばした時に、向こうにも雷撃によるダメージが少なからずあったはずですっ。大丈夫です、勝てますっ」
魔銃「兜の面甲を下げて。狙いが安定するように、腰を下ろして、膝を立てて、その上にわたしを持った手を乗せて」
勇者「動くなよ竜王……そのままじっとしてろ」
魔銃「目に当たったら後はどうするか、わかってるわね?」
勇者「ああ。よし、撃つぞ」パン! ピキッ
竜王「?」
パン! ビキビキッ
竜王「……?」
パン! バキッ!
竜王「!?」ガンッ! クラクラ
勇者「しまった、頭に当たっちまった! お前がどんな武器なのかばれて……って、おい、フレームの亀裂がこんなに……」
魔銃「……何をしているの……竜王が、クラクラしているわ……は、やく、走って……雷剣、を……」
勇者「お前……くそっ!」ダッ
聖剣「いっ急いでくださいっ」
勇者「雷剣! 頼む!」ズボッ
雷剣「よしきたぁ!」バチバチッ!
勇者「まずはその口を塞いでやる! おりゃあああ!」
竜王「???」クラクラ ブンッ バシッ
勇者「うわっ! 痛た……くそっ、暴れんなっ!」
聖剣「わっ、わたしの回復効果を一時的に高めますっ。その後しばらくは能力を失いますがっ、効果が切れる前に強引にでも倒してくださいっ」
勇者「わ、わかった。でやあああ!」
竜王「???」クラクラ ブンッ バシッ! バシッ!
勇者「ぐっ! いてっ! くそっ、これでどうだっ!」ビュッ! ザクッ! バチバチッ!
聖剣「やりましたっ! 口を塞ぎましたっ! 次はわたしで目を! 回復だけじゃないってところを見せてやりますっ!」
勇者「うりゃあああ!」ザクッ! ザクッ!
雷剣「やれー! やっちまえー! 目が見えなくなっちまえばこっちのもんだー!」
勇者「雷剣! またお前の力を借りるぞ!」ズボッ
雷剣「あたしの力はあんたの力だ! 貸し借りなんてないよっ!」バチッ! バチッ!
勇者「竜王の首、もらったぁ!」ブンッ!
ザンッ!
竜王「 」バタバタ
勇者「うわっ、首を落としてもまだ暴れてやがる。なんて生命力だ……まさか、また生えてきたりとかするんじゃ……」
竜王「 」ブンッ! ブンッ!
聖剣「あっ危ないですっ。前脚がっ、尻尾がっ」
勇者「ぐぁっ! ……このっ、全部斬り落としてやるっ!」ザンッ! ザンッ! ザンッ!
雷剣「なんか竜王がでっかいローストチキンみたいになってる」
聖剣「の、暢気なことを言ってる場合じゃないですっ。ま、ま、まだ動いてます……! とどめをっ!」
勇者「雷剣! フルパワーの雷撃だ! 心臓にブチ込むぞ!」
雷剣「よーし、あたしの力、全部出し尽くすくらいの本気全開パワーでいくぞー」バチバチバチッ!!
勇者「いっけえええええええええええ!!」ザクッ!
ドゴオオオオン!!
勇者「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……」
竜王「 」
勇者「や、やった……もう再生とか、無いよな……?」
聖剣「 」
雷剣「 」
勇者「おい、お前ら……力を使い過ぎて疲れて眠っちまったのか? ……そうだ、魔剣っ!」ダッ
魔剣「 」
勇者「元の姿に戻ってる……おい、まさか、死んじまったんじゃねえだろうな」ツンツン
勇者「疲れて眠ってるだけなんだろ? ま、まあ、寝かせといてやるか。無理に起こして不機嫌になられても困るしな、はは」ジワ
勇者「しばらく休んだらまた起きて喋りだすんだよな……? それまで待ってるから、起きたらまた話し相手になってくれよ」ポタッ
勇者「一人旅ってやっぱり寂しいからさ……お前らが……お前がいてくれないと、俺……うっ……」ポロポロ
勇者「……」トボトボ
勇者「……こいつらのおかげで竜王を倒せたけど」
魔剣「 」 聖剣「 」 雷剣「 」
勇者「なんで、こいつらは武器なんだろう」
勇者「昔の勇者は、寂しい老人の話し相手として、武器に擬似的な生命を宿した。でも、話すだけなら他のものでもいいじゃないか」
勇者「仲間たちが愛用していた道具、仲間たちの形見の品だからってのはわかるんだけどさ……」
勇者「形見の品だって、他にもあるだろう。こいつら全員が武器であることに、何か意味があるのか……?」
聖剣「……それはわかりませんが、」
勇者「聖剣! 目が覚めたのか」
聖剣「あ、はい。すぐに回復能力を再起動しますからっ、ちょっとお待ちくださいっ」
勇者「いや、休んでていいよ。疲れただろ」
聖剣「はあ……では、お言葉に甘えまして。……さっきの話ですけどっ」
勇者「お前らが武器である理由か」
聖剣「はいっ。たぶん、責任のようなものを感じていらっしゃったんじゃないでしょうかっ。昔のご主人様は」
勇者「責任? 擬似生命を生み出すことに対して?」
聖剣「はい。ただ生み出すだけではなくて、生きがいのようなものも与えてくださったのではないかと。わたしたちの能力を考えると」
勇者「生きがい、能力……役割を与えたってことか」
聖剣「はい、ご自分が亡くなられた後のことも考えて、わたしたちに使命を与えてくださったのではないかと思うんです」
勇者「つまり、自分が死んだ後は新しい主人のために戦えと……」
聖剣「そういうお話をご本人からお聞きしたわけではないですから推測でしかないですけどっ。実際、役に立ちましたよね? わたしたち」
勇者「ああ、うん。すごく役に立った。……人間が住む街を魔物から守るというやりがいのある仕事……それができるのは、武器か」
聖剣「お役に立てて嬉しいですっ。長い間待ち続けてた甲斐がありましたっ」
勇者「長い平和な時代を経て、か。こうなることを予見して、危惧していたのかもしれないな。で、どうせ作るのなら後世で役に立つものをと」
聖剣「むしろ、本来そのために作られたというのは考えすぎでしょうかっ。戦訓を記憶して後の人に伝えることができる武器としてっ」
勇者「どうだかな。買いかぶりすぎかも。それより気になるのは、お前らの耐久性についてなんだけど……」
聖剣「保存魔法も完璧ではありませんから、わたしたちにもいつかは壊れる時が来ます。えっと、その、魔剣さんのように……」
魔剣「 」
勇者「こいつ、死んじまったのかな……」ジワ
聖剣「いっいえ、まだそうと決まったわけではっ。でも、人間の方にも寿命があるのと同じです。しかたのないことなんです」
雷剣「なーなー、思ったんだけどさー。壊れたら修理すればいいんじゃないの?」
勇者「えっ?」 聖剣「はい?」
雷剣「いや、あれ、なんかあたし、変なこと言ったかな」
勇者「えっと、何から言えばいいのかな。まず、雷剣、お前起きてたのか」
雷剣「さっきまで寝てた」
勇者「そうか……で、壊れたら修理って話なんだけどさ。やっぱり限度ってもんはあるんじゃないか?」
聖剣「魔剣さんは、経年劣化とか言ってましたし……」
雷剣「そっかー、あたしも真っ二つに折れちゃったらあたしのままでいる自信無いしなー」
勇者「そういやこいつ、やたらと雷剣のこと折りたがってたような……自分の方が壊れちまいやがって……」
魔剣「……あれは冗談よ。本気で折れればいいなんて思ってなかったわ」
勇者「! お前……」 聖剣「魔剣さん!」 雷剣「あ、生きてた」
勇者「だ、大丈夫なのか!? よかった……」ジワ
魔剣「無事に竜王を倒せたようね。主にわたしの活躍のおかげで。……なに泣きそうな顔してるのよ」
勇者「泣きそうになんかなってねえよ。泣いてるんだよ」ポロポロ
魔剣「あなたって、あの人に似ているわ。涙脆いところがそっくり」
勇者「子孫なんだからそりゃ似てるとこもあるだろうよ。そんなことよりお前、ほんとに大丈夫なのか? どこか痛いところ無いか?」グスン
魔剣「痛くはないけれど、あまり大丈夫ではないわ。もうトランスフォームはできないでしょうね」
勇者「そっか……」
魔剣「この姿のままでも、わたしに残された寿命はせいぜいあと100年といったところかしら」
勇者「けっこう長いな。先に俺が死ぬわ」
魔剣「あなたに先立たれてしまうのは悲しいわね」
勇者「じゃあ俺の人格を元にしたインテリジェンスソードでも作るか? いや、その前にやることができちまったな」
雷剣「やることって何? 王女と結婚してハッピーエンドじゃないの?」
勇者「王女様と結婚か、それも考えなきゃいけないんだけどさ。俺、お前らを俺の子孫にも受け継がせたい」
魔剣「わたしたちの寿命を延ばす、ということかしら」
勇者「あるいは、お前らの人格の部分を今の器から新しい器に移しかえるとか。方法はまだ考えてないけど、研究してみようかと」
魔剣「……わたしは別に、あなたとともに土に還ってもかまわないのだけれど」
勇者「そうなるかもな。昔みたいな高度な魔法技術はもう失われてるし。でもやるだけやってみるよ」
魔剣「そう。それがあなたの、これからの生きがい?」
勇者「それだけじゃないな。また敵が現れる時に備えて強い魔法とか、武器とか、戦士とか……人間たちが戦える力を育んでいきたい」
聖剣「大仕事ですねっ。となると、王女様と結婚して、地位と権力を得た方がいいかもしれませんっ」
勇者「かもな。いや、その言い方だとなんかちょっと不純な動機で結婚するみたいに聞こえちゃうけど」
魔剣「でも、王女が好きなのも事実でしょう? 結婚したいという意味で」
勇者「ああ、うん、好きだよ。そういう意味でな」
魔剣「ふられてしまったわ、わたし」
勇者「いや、その、あれだ、人間の中では王女様が一番好きだけど、剣の中ではお前が一番好きだよ?」
聖剣「ふられてしまいましたっ」 雷剣「ふられちゃったー」
勇者「あ、いや、お前らも好きだから……」
魔剣「ふっ。でも、一番はわたしだわ」
聖剣「ううっ。悔しいですっ。でもわたしには王女様がいますからっ」
雷剣「くそー、次の勇者はあたしに惚れさせてやるー」
勇者「……ハーレムパーティの会話みたいで悪い気はしないんだけど、これ全部剣の発言なんだよな。なんか複雑だ」
魔剣「昔の勇者も子孫が1人で3本とも装備することまでは想定外だったかもしれないわね。でも人間の女が3人いるより楽でいいでしょう?」
勇者「そういやお前らの昔の持ち主って、男1人と女3人のパーティか。たいへんそうだよなあ、刃物持ってる女に囲まれて旅してたんだから」
魔剣「その辺りの話、聞きたい?」
勇者「帰り道の暇潰しに聞くとするか。そうだ、俺の子孫にも聞かせてやってくれよ。3本の剣と共に喧しくも楽しい一人旅をした男の話をな」
エピローグ
王様「勇者よ。よくぞ大役を果たし、無事に戻った」キリッ
勇者(あれっ、なんか王様、威厳出しちゃってるな。今日は隣に王妃様がいるからか。合わせておこう)
勇者「はっ。お褒めにあずかり恐悦至極に存じます」キリッ
王妃「わたしからもお礼を言わせてください。娘のことも含めて、本当にありがとうございました」
勇者(王女様の美貌は母親譲りか。父親に似なくてよかった)
勇者「はっ。王妃様におかれましては、ご機嫌麗しく、光栄の至りでございます」キリッ
王妃「わっ、あっいえっ、そんなっ、ご丁寧な挨拶、痛み入りますっ。あのっ、わたしの方こそっ」
勇者「あんたの影響かああああ! 王女様があんなんなのはっ!」
王妃「ううっ。こんな母親ですみませんっ」ペコペコ
勇者「そういやなんか違和感があったんだよ! 聖剣はそこまで極端に腰が低くなかったもん!」
王様「ははは、可愛いだろ、わしの嫁さん」
勇者「王様もこんなんだし……だめだこの国俺がなんとかしないと」
王様「いや、でもさあ、今回の件が上手く片付いたのってわしの功績もちょっとはあるよね」
勇者「ああ、予言のアレですか。そういや王妃様もご存知なんですか? あの邪悪を滅ぼすだか滅ぼしただかいうやつ」
王妃「王家に伝わる予言ですか? はい、知ってますよっ」
勇者「どんな言葉だったかも憶えてます?」
王妃「たしか、『雷鳴轟かす剣 癒しの力纏う盾 清く静謐なる衣 集いし三筋の尊き光 邪神を払いて闇を滅する』とか……」
勇者「王様のと全然違うっ!?」
王妃「ひゃっ、えっと、違ってましたかっ!?」アセアセ
王様「ははは、こいつあんまり記憶力ないからなー」
勇者「あんたのよりは信憑性高そうな感じだけどなあ!」
おわり