首領「そうだ……身代金をせしめた後でど変態にでも売るか」
勇者「な、に……?」
首領「お前みたいな容姿は希少価値がある。ふふ……高値がつくだろうよ」
勇者「くそ……」
メイド「やめてください!!」
盗賊「うるせえ!!」ドガァ
メイド「きゃぁ!!」
勇者「やめろ!!―――言うとおりにする。彼女にだけは手を出すな!!」
メイド「勇者様……」
首領「ふふ……いいぜ?じゃあ、行くか。開発して売ればもっと高くうれるからなぁ」
勇者「か、かいはつ……?」
首領「お前ら可愛がってやれ」
盗賊「誰からいく?」
盗賊「股間さえ見なけりゃ、俺いける」
盗賊「俺も」
盗賊「じゃあ、じゃんけんな」
盗賊「久々でこうふんしてきたぁ!!」
首領「壊すなよ」
盗賊「はーい」
メイド「やめて!!勇者様に酷いことをしないで!!私が!!私が代わりに―――」
首領「ブスはだまってろ!!」
メイド「そ、んな……」
盗賊「へへ……かわいいぜえ」
盗賊「お、おれ……もうがまんできねえ……」
勇者「……お父さん……お母さん……ごめんなさい……」
勇者「僕は……」
王子「―――勇者様ぁ!!!ここですかぁ!!!」
勇者「え……おう、じ……?」
首領「ほほう……?」
王子「貴様……!!」
首領「変態王子はきたぞ」
盗賊「へっへっへっへ……」
王子「勇者様!!」
勇者「王子……逃げて……」
王子「我が妃を……死ぬ覚悟はあるのだな?」
首領「あぁ?」
王子「俗物が……我が憎悪をもって……斬り伏せてやる」
兵士「王子!!下がって!!」
王子「ならん!!勇者様を自身の手で救う!!」
首領「立場をわきまえろ?こいつがどうなってもいいのか?」
勇者「うっ……」
王子「お前……!!」
首領「そこで大人しくみておけ。こいつが快楽に溺れていく様をな!!」
盗賊「くひひ……!!」
王子「やめろぉ!!!」
首領「ふん……やめろといわれてやめるようじゃあ悪党にはなれん」
王子「……痴れ者め」
盗賊「よぉし……じゃあ……」
勇者「いやぁ!!」
首領「ふはは。一思いにやってしま―――」
メイド「えい!」ドガァ
盗賊「うわぁ!!」
首領「こいつめが!!」ドンッ
メイド「あぅ!!」
王子「―――でぁ!!」ズバッ
首領「うご!?」
勇者「王子……!!」
王子「勇者様、こちらです!!」
勇者「はい……」
王子「よくやったな。感謝する」
メイド「いえ……」
兵士「王子!!下がってください!!」
王子「ああ!!」
首領「くそがぁ!!捕らえろ!!にがすなぁ!!」
盗賊「にがさねえぞ……!!」
王子「勇者様、剣を」
勇者「どうも……」
メイド「……ひぃ」
勇者「大丈夫……武器さえあれば遅れを取ることはありません。守ってみせます」
メイド「ゆうしゃさま……」
勇者「こい!!たたききってくれる!!!」
王子「勇者様と私の剣舞……近づけば粉微塵になるぞ!!覚悟しろ!!」
勇者「―――終わりだ」
首領「く、くそ……」
兵士「こっちだ!!」
兵士「王子ー!!ぶじですかぁ!!」
王子「なんともない。それより勇者様にお召し物を」
兵士「勇者殿、これを」
勇者「どうも」
王子「さて……貴様らの処分は処刑以外にありえんが?」
首領「そ、それだけは……!!」
王子「我妻に手を出しておいて生き残れるとは思わんことだ!!存分に城の地下で生まれてきたことを悔やませてやる!!」
首領「ひぃぃ!!!」
王子「つれていけ!!」
兵士「はっ!!」
勇者「王子……」
王子「さぁ、こんな湿気の多い場所は勇者様には似合わない。外に出て日の光を浴びましょう」
城内 中庭
勇者「……」
王子「ここに居ましたか」
勇者「あ……王子……」
王子「部屋で休まれていたほうがいいのでは?」
勇者「いえ……」
王子「なにか?」
勇者「今日は……その……ありがとうございました」
王子「……」
勇者「あの……僕……」
王子「勇者様……」ギュゥ
勇者「ちょ!!なにを抱きついて―――」
王子「本当に無事でよかった……貴女に何があれば……私は……私は……!!」ポロポロ
勇者「王子……」
王子「勇者様……」
勇者「……」ドキドキ
王子「……」
勇者「あの……」
王子「勇者様……」
勇者「あ……そんな……」
王子「……」
勇者「……」
王子「ふっ……よしましょう」
勇者「え……?」
王子「あと三日……いや、二日ですね」
勇者「あの……?」
王子「貴女の答えを聞くまでは……」
勇者「……」
王子「では……良い夢を」
勇者「は、はい……」
廊下
勇者「……」トボトボ
勇者(僕……なんか変だ……)
勇者(なんでドキドキなんて……!!)
勇者「はぁ……王子……」
勇者「ん?」
メイド「……」トントン
勇者「……」
メイド「―――」
王子「―――」
勇者(またあの二人だ……なにが……?)
勇者(もう少し近づいてみよう……)コソコソ
メイド「―――王子、私はやはり側室には向いていません。候補から外していただきたいのです」
勇者(え……?)
王子「何度も言うように、君は王族の血を少なからず引いている。側室になってもらわないと困るんだ」
メイド「しかし……私との間に生まれた子どもは……恐らく……」
王子「……」
メイド「あの勇者様と王子の子どもとは到底思えないでしょう」
王子「そんなことはない。お前も十分に美しい」
メイド「でも……!!」
王子「なんだ?」
メイド「わ、私には……好きな人も……」
王子「なに?―――まさか」
メイド「はい……私……勇者様のことが……」
王子「……だれだ!!」
勇者「あ……」
王子「勇者様……」
メイド「あ……」
勇者「ご、ごめんなさい……」
王子「……聞かれてしまっては仕方がない。勇者様、中へどうぞ」
王子「侍女の全てが側室になれるわけではないのです」
王子「側室の間に生まれた娘が侍女になり……その侍女がまた側室に選ばれる」
勇者「……」
王子「そうして王室を血を絶やさないようにしてきたのです」
勇者「そうなんですか」
王子「ええ。ですから、いずれはこの侍女とも関係をもつことになるでしょう」