勇者「……」
メイド「すいません」
勇者「いえ……」
王子「……」
勇者「……」
王子「勇者様、私は真剣です」
勇者「え?」
王子「私は貴女と結婚がしたい。それは事実です」
勇者「そ、そうですか……」
王子「だが、この侍女も不敬としりながら勇者様に恋をしてしまったようです」
勇者「……」
メイド「すいません……でも……」
王子「一つ、聞こう。我が妻を愛したこと……それ相応の覚悟があるのだろうな?」
メイド「はい」
王子「そうか……」
勇者「王子……!!あの!!」
王子「勇者様、ひとつ提案が」
勇者「え?」
王子「貴女にはやはり妃になっていただきたい」
勇者「そ、それは……あの……」
王子「そして、この侍女との間に次世代の王子を作ってもらえませんか?」
勇者「え!?」
メイド「王子!?」
王子「王族の血を引いているお前なら何も問題はあるまい。男さえ産めばな」
メイド「ですが……」
王子「覚悟はあるのだろう?」
メイド「……」
勇者「でも……それだと王子の子どもが……」
王子「気にしなくてもいいですよ。私は貴女と添い遂げることが出来れば、何もいらない」
勇者「……」
王子「国王としてはふさわしくないでしょうが……でも、勇者様と一緒なら国のために生涯を費やせる」
メイド「王子……」
王子「勿論、勇者様の気持ち次第です。首を横に振られれば、何もできません」
勇者「僕は……」
王子「ですが……国の繁栄のため……考えてもらえませんか?」
勇者「……あと二日で、ですか?」
王子「お願いします」
メイド「勇者様……」
勇者「か、考えてみます……」
妃の部屋
勇者「王子と結婚して……あのメイドさんと子作りをする……?」
勇者「なんだそれ……」
勇者「でも……」
勇者「……」
勇者「……でも、みんな真剣だった」
勇者「命がけで王子もメイドさんも僕を助けてくれた……」
勇者「僕は―――」
二日後 夜 王子の部屋
トントン
王子「はい」
勇者「王子……」
王子「勇者様……答えはでたのですか?」
勇者「……」コクッ
王子「では……イエスなら私のベッドのほうへ、ノーなら退室してください」
勇者「な、なんですかその確かめ方……」
王子「さぁ……今宵は冷えます故、褥に入りましょう」
勇者「……」トテトテ
王子「ふふ……うれしいです……勇者様」ナデナデ
勇者「こ、これでいいんですか……?」
王子「ええ。さあ、一緒に寝ましょう」
勇者「いや……自室にもどりま―――」
王子「何をいいますか。今夜が初夜です。逃がしません」
勇者「え……!?」
王子「さあ、横になってください」
勇者「まってください!!」
王子「なにか?」
勇者「こ、こんなの……だめです……だって……僕、男ですよ……?」
王子「ふ……美しく咲く花に雌雄はありません。めしべもおしべもあります」
勇者「……いや」
王子「勇者様……」
勇者「お、うじ……だめ……」
王子「勇者様の決意……無駄にはしません……」
勇者「あ……やめ、て……」
王子「この日をどれだけ待ち望んだか……!!」
勇者「ひぇぇ」
王子「勇者様……愛しています……愛していますよ……」
勇者「うわぁぁ―――」
翌日
メイド「おはようございます。勇者様」
勇者「う……ん……」ヨロヨロ
メイド「どうかしたのですか?」
勇者「な、なんでもないよ……」
メイド「……?」
王子「勇者様ー!!」
勇者「王子……」
王子「さ、婚姻の儀の準備が始まりました。国民にも今しがた伝えました」
勇者「そ、そうですか」
王子「絶対に幸せにしてみせますよ……勇者様」
勇者「はい……」
メイド「勇者様……私も幸せにしてくださいね……?」
勇者「はい……もう……世界を救ったんですから……二人ぐらい幸せにしてみせます……」
王子「さぁ!!新しい王国の幕開けだ!!あはははは!!!」
おしまい。