勇者「魔王倒してから暇だな」戦士「えwwwww」 4/6

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翌日

戦士「あ!?」

勇者「あ」

戦士「なんだ、勇者のカジノってそういう意味だったのかよ」

勇者「君が来てくれたなら安心だ」

戦士「ああ、しっかりこのカジノを守護させてもらうぜ」

勇者「頼むな」

戦士「ところで、このカジノ結構出すって噂だけど本当か?」

勇者「みたいだな。その辺のことは相棒に任せてるから」

戦士「相棒?」

勇者「あそこにいるだろ?」

商人「らんらーん♪」

戦士「あそこでスキップしてるやつか」

勇者「結構優秀で、助かってるんだ」

戦士「そうか。よかったな、立派な仕事につけてよ。うらやましいぜ」

数ヵ月後

「くそ!!なんだこの糞スロット!!全然、でねえ!!」ガンガン

戦士「お客様、店内での乱暴は……」

「だまれ!!なんか細工してんだろ!!」

戦士「そのようなことは……」

商人「そうです。言いがかりもやめてください」

「なんだと?!」

商人「この店は勇者様のカジノですよ?なんの細工もしておりません」

戦士「これ以上、狼藉を働くようでしたら力ずくで退店していただきます」

「くっ……!!」

商人「どうも」

戦士「……あの」

商人「なにか?」

戦士「いや……なんでもありません」

商人「がんばってくださいね」

事務所

勇者「今月の売り上げもすごいな……」

勇者「これなら年商は少なくても……」

戦士「失礼します」

勇者「あ、どうした?」

戦士「話があるんだが」

勇者「どうしたんだ、改まって」

戦士「警備してて思ったんだけどよ……なんか変じゃないか、ここ最近」

勇者「なにが?」

戦士「大負けする客があまりにも多い気がする」

勇者「それは気のせいだろ。そういう客が自然と目に入ってるだけじゃないのか?」

戦士「だといいけど……なんか胸騒ぎがするんだよな」

勇者「なにが?」

戦士「……いや、思い過ごしだな。忘れてくれ」

勇者「そうか?」

数日後

ディーラー「ブラックジャックです」

「な!?」

商人「ふふふ……」

商人(勇者のカジノというだけでみんな安心してお金を落としてくれている)

商人(たまに大勝ちさせてあげればいいし……儲かって仕方がありませんね)

「うわぁぁぁぁ!!!」

商人「……」

戦士「お客様、落ち着いてください!!」

「このスロット全然でねえじゃねえか!!!どうなってんだよ!!!」

商人「ふふ……」

従業員「オーナー、町長が」

商人「VIPルームに」

従業員「はい」

商人「……」

町長「やぁ」

商人「今月分です」

町長「どうも」

商人「いやぁ、話のわかる町長さんで助かりましたよ」

町長「このような違法カジノ……私でなければすぐにつぶれているところですよ?」

商人「違法カジノとは人聞きの悪い」

町長「何をいう。当たらないスロット。当たらないルーレット。イカサマだらけのカジノじゃないか」

商人「でも、貴方は黙っている」

町長「ふん」

商人「ふふ……ではお引取りを」

町長「ああ。だが、あまりでかい顔はするな?」

商人「私が死ぬときは道連れです」

町長「外道が」

商人「貴方には負けますよ」

事務所

勇者「経営が順調すぎて怖いな」

戦士「なぁ」

勇者「お疲れ」

戦士「やっぱ変だ」

勇者「まだ言ってるのか?」

戦士「勝つ人間が偏ってるし、全く当たりのでないスロットももう珍しくない」

勇者「気のせいだって」

戦士「各テーブルのディーラーも時々、超能力でもあるんじゃないかと疑いたくなる勝ち方をする」

勇者「そんなわけないって」

戦士「……騙されてないか?」

勇者「誰に?」

戦士「お前……外の業務ばっかりやってないで内にも目を向けたほうがいいぞ?」

勇者「何をいって……」

戦士「なんかある……絶対に……」

深夜

商人「そこの設定はいつもの通りで」

業者「はい」

戦士「……精が出ますね」

商人「これは用心棒さん」

戦士「スロットにどんな細工を?」

商人「なんのことですか?」

戦士「お前……勇者を利用したな?」

商人「は?」

戦士「……」

商人「オーナーに向かってなんて口を利くんですか?」

戦士「勇者の名を使えば客が安心するから……!!」

商人「……」

翌日

勇者「え?クビにした?」

商人「私に暴力を振るってきたんですよぉ?」

勇者「そうか……」

勇者(理由もなく暴力を振るう奴じゃないけど……)

商人「さて、今日も―――」

従業員「オーナー!!」

商人「はい?」

従業員「大変です!!」

勇者「どうした?」

従業員「国の兵士が来てます!!」

商人「なんですって?」

勇者「どうして?」

従業員「わかりません」

商人(まさか……根回しは完璧のはず……疑われることなんて……)

兵士「どうも」

商人「なにか?」

勇者「……」

兵士「調査させてもらえますか?」

商人「調査?なんのです?」

兵士「実は元従業員と名乗る人物からの報告を受けまして、このカジノでは常日頃から不正行為に及んでいると」

勇者「え!?」

商人「まさか……」

兵士「いいですね?」

勇者「おい」

商人「……」

勇者「どういうことだ?」

商人「私は知りません……なにも知りません……」

勇者「……」

事務所

商人「まさか……大金をつかませたのに……あいつ……」

勇者「……」

商人「なんですか?」

勇者「どうして……」

商人「儲けるためならなんでもしますよ」

勇者「お前!!」

兵士「―――そこまで」

商人「!?」

勇者「あ……」

兵士「話を聞きたいのでご同行願います」

商人「……」

勇者「わかりました」

兵士「残念です……勇者様がまさか……こんなことをしていたなんて……」

勇者「俺は……」

深夜 町

勇者「はぁ……」

勇者「終わりか……何もかも……」

勇者「まさか知らない間に犯罪者になってたなんて……」

勇者「……ん?」

勇者「新聞だ……」

勇者「盗賊団の首領、ついに捕まる……」

勇者「俺もこいつと一緒か……」

勇者「はは……」ウルウル

勇者「……」ポロポロ

勇者「どこで間違えたんだ……」ポロポロ

数日後 牢屋

兵士「はいれ」

勇者「……」

兵士「ではな」

勇者「……」コク

勇者(やっぱり寒いな……)

コンコン

勇者「……?」

「おとなりさぁーん、きこえてますかぁー?」

勇者(女の子……?)

「暇で死にそうなんだけど、しゃべりませんかぁー?」

勇者「なにを?」

「なんでつかまったのぉ?」

勇者「色々あったんだ」

「マジで?きかせてよ、あんたの武勇伝」

「あはははは!!まぬけー!!」

勇者「うるさいな」

「私だったら、もっと上手くするね」

勇者「聞いてない」

「そう?」

勇者「君はなんで捕まったんだ?」

「えーと、強盗、放火、恐喝、かな?」

勇者「なんでそんなことを……」

「だって、盗賊だからね、私」

勇者「盗賊?」

盗賊「そうだよー」

勇者「平和になった世の中でどうして……?」

盗賊「なにしても失敗しちゃうような屑は盗むしかないからねー」

勇者「……」

盗賊「あんたも私と同じ臭いがするぞぉー?」

勇者「なにを……俺は勇者だぞ」

盗賊「え?勇者様?」

勇者「ああ」

盗賊「私、ずっと前に勇者の家に入ったんだけどぉ」

勇者「お前か!?お前、壷を盗っただろ!?」

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