大魔王(そうか・・・・・・あの剣見たことあると思えば・・・・・・魔王の母の剣か)
大魔王(あの剣は、痛かった・・・・・・夫への愛が何だの叫んで・・・・・・)
大魔王(まさかな、やめろ、私は大魔王だぞ・・・・・・! そんな意思なぞ・・・・・・)
大魔王(いや・・・・・・もういい、最後に楽しめた・・・・・・この感覚は、厭きない、な)
大魔王(・・・・・・・・・・・・)
大魔王「・・・・・・」シュウウウ
女勇者「っ、はぁ、はぁ、はぁ・・・・・・! 魔王さん!?」ダッ
魔王「・・・・・・」
女勇者「魔王さんっ! やだっ、やだよ・・・・・・!」
魔王「ふ・・・・・・あまり、耳元で、叫ぶな・・・・・・」
女勇者「ああっ! よ、良かった、良かった、ぐす・・・・・・でも、なんで・・・・・」
魔王「・・・効いた、ぞ、お前の、愛。 私の体を、剣がすり抜けた・・・・・・」
魔王「お前に、託した剣は、意思の、力を・・・何倍も、強弱させる」
魔王「つまり、お前の剣は、奴にとっては、最強の剣。 私に、とっては最弱の剣、と、いう訳だ・・・」
女勇者「あっ・・・・・・え、えへへ、な、なんだか照れますね・・・・・・!」
魔王「ふ、ふふ、そうだな・・・・・・だが、お蔭で、気持ちよく逝ける・・・・・・」
女勇者「え・・・・・・?」
魔王「も、う脳を殆ど、破壊され、て、意識が、朦朧として、いる、のだ・・・・・・」
魔王「傷の、修復も、遅い・・・・・・。 意識、が定まらぬ・・・・・・」
女勇者「いや・・・・・・いや・・・・・・!」
魔王「嬉し、かった、ぞ・・・・・・。最後、だ、口、づけ・・・・・・を・・・・・・」
女勇者「そ、そんなの、いくらでも・・・・・・っ! だから、だから・・・・・・!」
魔王「・・・・・・ん」
女勇者「・・・・・・あ・・・・・・」
魔王「意思、の力は、素晴し、い・・・動け、ぬ筈、なのに、私か、らキス、できた・・・・・・」
女勇者「・・・・・・いや、しなないで・・・・・・・っ!」
魔王「す、まない・・・・・・。お、前を・・・・・・愛して、いる、よ・・・・・・」
魔王「・・・・・・」
女勇者「ぃ・・・・・・・や・・・・・・いやだああああああああっ!」
女勇者「魔王、さん! 魔王さぁああん!! うわああああっ!」
側近「女勇者殿! 空間が保てませぬ! お戻りを!」ズッ
女勇者「!! 側近さぁん! 魔王さんがッ、魔王さんがぁッ!!」
側近「!!? 魔王殿・・・・・・が・・・・・・」
ドクン
女勇者「!?」
側近「!! まだ、まだ生きておられますッ! 早くこの空間から脱出しましょう!」
女勇者「ぁ、あ、魔王、さん・・・・・・!!」
側近「早く!! 何を学んだのですか! 迷いは! 時間を奪いますッ! 早く!!」
女勇者「! は、はいッ・・・・・・!」グッ
側近「さぁ! 飛び込んで!」
女勇者(私が、次は、護るんです・・・・・・・! 魔王さん・・・・・・!)バッ
側近「手術の用意です! 魔女! 回復魔法を使えるもの全て呼びなさい!!」
侍女「魔王様・・・・・・! はっ!!」
女勇者「魔王さん! 目を、目を開けてッ!!」
側近「魔王殿は体の自己治癒力を全て脳に向けているようです。しかし、弱弱しい」
女勇者「ど、どうすれば・・・・・・助かるんですかッ!?」
側近「出来る限りはします・・・・・・しかし、殆ど魔王殿次第です・・・・・・」
側近「貴女は、魔王殿に呼びかけていて下さい。 お願いします・・・・・・!」
女勇者「は、はいっ・・・・・・。 魔王さん、魔王さんっ!」ユサユサ
女勇者「私はもう、自分のせいで、自分の目の前で、大事な人が死ぬのは見たくないんです・・・・・・!」
女勇者「護れるって、いったじゃないですかぁ! 強くなれば、護れるようになるって!」
女勇者「証明して下さいよ・・・・・・魔王さんは、簡単には死なないって・・・・・・っ!」
女勇者「お願い・・・・・・お願い・・・・・・」
女勇者「好きなんです! やっと、いえたのに・・・・・・だから・・・・・・ッ!」
ドク ドク ・・・・・・ドク ・・・・・・ドク
側近「ぅ、ぅ・・・・・・脈が・・・・・・脈が・・・・・・い、やぁ・・・・・・っ」ポロポロ
女勇者「魔王さん! 愛して、下さい! 私も、側近さんも、魔王さんがっ、いないと・・・・・・っ!」
側近「どんどん、弱く・・・・・・やめて、もう、やだ、やだ魔王どのぉ、魔王どの・・・・・・っ」グスグス
女勇者「魔王さんっ!? だめ、だめ! 生きて! 死なないで!!」
魔王『・・・・・・最後、だ、口、づけ・・・・・・を・・・・・・』
女勇者「っ!!」
女勇者(そういえば・・・・・・私からしてなかったな・・・・・・)
魔王「・・・・・・」
女勇者「好きです。 生きてなきゃ嫌です。魔王、さん・・・・・・・・・・・・ん」
女勇者「・・・・・・ぷはっ・・・・・・」
側近「! ・・・・・・魔王、殿・・・・・・?」
魔王「・・・・・・ぅ・・・・・・」ピク
側近「!? 心臓、が・・・・・・! 嘘・・・・・・まさか・・・・・・」
女勇者「! え、へへ、よかった、よかったよぉ、魔王、さぁん・・・・・・!」ポロポロ
側近「そんな・・・・・・まさか・・・・・・(加護の、力・・・・・・?)」
魔王「・・・・・・女、勇者・・・・・・側、近・・・・・・すまな、い・・・・・・」
女勇者「いえ、いえっ・・・・・・! ほん、とー、ですね・・・・・・簡単には、死なないです・・・・・・ぐす」
側近「っ!! 魔女達、今です、全力で回復魔法をかけてくださいッ!!」
侍女達「「「はっ!!」」」パァアア
側近(何故、自己治癒力が飛躍的に上がったのだろう、意思の力ではない。それどころか、魔王殿自体も諦めていた)
側近(それを・・・・・・繋ぎ止めた貴女は・・・・・・一体・・・・・・)
後日
・・・・・・
女勇者「それで、もう大丈夫なんですか?」
魔王「・・・・・・何度聞くのだ。 私は魔王だぞ、もう痛みすらない」
女勇者「そ、そっか、えへへ・・・・・・あ、そうだ、元気になったら聞こうと思ったんですけど」
魔王「ん、お前もあるのか。何故自分が助かったのか、私も考えが漸く纏まってな。聞いて欲しい」
女勇者「え、そ、それは、私たちの、ぁ、ぁぃ・・・・・・・と、いうやつではっ!?」
魔王「・・・・・・まぁ、確かにな。 ・・・・・・何しろお前の加護が私を護ったのだ」
女勇者「加護が? え、でも・・・・・・」
魔王「うむ。 私はずっとお前の加護は悪意から身を護るものだと考えていた。自動的に発動する加護」
魔王「しかし、違ったのだ。 あれは、拒絶という自発的な加護だったのだ」
女勇者「拒絶・・・・・・?」
魔王「そう、拒絶の強弱で加護の力もまた上下する訳だ。男に絡まれていた時、弾いただろう、お前」
女勇者「あ、た、確かに、あの時凄い嫌でした・・・・・・」
魔王「そして確信したのは、寝ている間にお前を攻撃できた事だった」
女勇者「えっ! こ、攻撃したんですか?」
魔王「最近な。 まぁ、掠り傷程度だが。 えーと、ほらここだ、この腕の・・・・・・」
女勇者「あ、ほ、ほんとだ・・・・・・」
魔王「つまり、お前が私の死を拒絶し、私に触れた事により、私は瀕死状態から回復した訳だ」
女勇者「で、でも小さい頃男の子が死んじゃって、凄く拒絶した気がするんですが・・・・・・」
魔王「それは、死んだ後だからかも知れんな。 死を超える程、加護は強力ではないのだろう」
女勇者「そっか、もしかしたら・・・・・・助かったかもしれないのか、な」
魔王「一つ言っておくが、愛が、必要だろう。 愛が無ければ、私もそのまま死んでただろうしな」
女勇者「な、なんか、は、恥ずかしいですね・・・・・・」
魔王「・・・・・・言うな、私もだ。 しかし事実、お前の愛で、私は助かった。感謝している」
女勇者「そ、そんなっ・・・・・・え、えへへへ」
魔王「ふふ」
側近「何をイチャイチャしてるんですか」
魔王「うぉ、側近。 ど、どうした・・・・・・?」
側近「いえ、別に何も、遠くに腕組んだりなんだり笑い合ってる男女がいたので注意を」
魔王「そ、そうか、ご苦労。 なんなら・・・・・・混ざるか?」
側近「・・・・・・」
魔王「いや、なんでもない。 すまん・・・・・・」
側近「いえ」
女勇者「あ、そうそう聞きたいことあったんですよ!!」
魔王「あ、ああ、そうだったな。 聞き忘れていたよ、はは」
魔王(さすが空気の読める私の愛しい人。 話題を変えてくれた・・・・・・・)
女勇者「結局、私と側近さん、どっちをお嫁さんにするんですか?」
魔王「ぶ」
側近「それは興味ありますね。 是非私も話に混ぜてください」
魔王「お、お前さっき遠慮すると・・・・・」
側近「そんな事言ってませんが?」
魔王「ぐ・・・・・・」
女勇者「それでそれで、どっちの方が好きなんですかっ。魔王さんっ」
側近「・・・・・・」
魔王「私は・・・・・・魔王だ」
女勇者「はい、しってます」
側近「ええ」
魔王「魔王は責任をとらん。 だから、逃げる!」
女勇者・側近「「駄目ですっ!」」ガシッ
女勇者「確か、責任を持った新しい魔王になるんじゃないんですか?」
側近「ええ、早速とって貰いましょう」
魔王「う、うう・・・・・・二人とも、では、駄目か・・・・・・?」
女勇者「・・・・・・」
側近「・・・・・・」
魔王「いや、なんでもない、すまん・・・・・・」
魔王「分かった、ちゃんと選ぶ、選ぶよ・・・・・・。 少し一人にさせてくれ・・・・・・」トコトコ
女勇者「逃げちゃ駄目ですよ」
魔王「逃げん! ・・・・・・はぁ・・・・・・」ガチャ バタン
女勇者「ぷ」
側近「くす」
女勇者「あははははっ、魔王さんってば悩んじゃってます。 別に二人ともでいいのに」
側近「ふふふ、そうですね。 嫌だなんて言ってないですから」
女勇者「でも、何だか私たちで悩んでくれるのは、凄い嬉しいです」
側近「そうですね。 これからも、支えていきましょう」
女勇者「うん、まだまだ一杯問題ありますし、頑張ろう!」
側近「・・・・・・女勇者殿」
側近「魔族の仲間になってくれて有難うございます。 人間にも良い者がいるのだと知りました」
女勇者「それなら、私だって、です! 魔物にも良い人沢山いるんですもん」
側近「・・・・・・有難うございます、魔王殿を、護ってあげてくださいね」
女勇者「うん・・・・・側近さんも、護るよ。 だから、また明日から訓練。 えへへっ」
側近「はい、頑張って、くださいね・・・・・・」
女勇者「あ、ど、どうしよう魔王さんの呼び名ってどうしよう・・・・・・」
側近「魔王さんでいいのでは?」
女勇者「でも、訓練の時は騎士さんって言ったほうが気合入るんです・・・・・・」
側近「ふふ、どっちも同じですから、お好きにしたらいいと思いますよ」
魔王「今日は立ち回りの訓練だ。 これを覚えれば、たとえ加護が無くとも戦える!」
側近「頑張ってください。 女勇者殿!」
女勇者「はいッ! 今日もお願いします、騎士さんっ!!」
END