勇者「俺にはこの鉄の拳があればいい!」ドヤァ 僧侶「……」イラッ 5/8

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「ぶはははははははー。ひぃーひぃー腹がよじれるぅー。あのクールな魔王様が『ほげぇ』って」

側近「あはははははははは。何度見ても面白いですねー」

魔王「何をやっておる」

「何って、魔王様の最後の録画映像で笑って……魔王様!?あわわわわ」

側近「あ、魔王様。意外と早かったですね。一緒に見ますか?使い魔に撮影させた魔王様の貴重な映像」ピッ

『ほげぇ!』

側近「あはははははは」

魔王「お前たち、なぜ肉体があるのだ。無事だったのか?」

側近「あ、私たちは勇者が城に来るって聞いて速攻逃げましたから」

魔王「なんだと!?」

側近「いやぁ、あれの勇者は化け物ですよぉ。あんなのと戦ってもみんな無駄死にするだけですからね」

「ほんと助かりました、側近様のおかげですわ」

「部下を思いやるその心。惚れますわぁ」

「ほんとほんと、できる上司は違いますなぁ」

ワイワイ

側近「あんなのと渡り合えるのは魔王様くらいですよ。あはははは」

魔王「ふんっ、まぁ良い。よく無事でいたな」ポンッ

側近「怒らないんですか?」

魔王「怒る?なんのことだ」

側近「もぅ、からかいがいがないなぁ」

魔王「そんなことより側近!新しい肉体を用意せい」

側近「いいですけど、作ったばかりの肉体であの勇者に勝てますか?」

魔王「ふんっ、たとえどのような状況でも私が負けることなどありえんわ!」

側近「ちょっと前に負けたくせに」

魔王「何を言う!私が負けを認めておらんうちは負けではないわ」

側近「あはは、相変わらずですねぇ」

側近「でも相手の状況くらい見ておいたほうがいいんじゃないですか?」

魔王「なに?」

側近「実は魔王様の面白映像をとったあと使い魔に勇者たちをつけさせてるんです。見ます?」

魔王「やるではないか、よし、映せ」

側近「では、どうぞ」ポチッ

『ほげぇ』

魔王「……」

側近「あははははははははは」バンバンッ

魔王「これは私の最後の映像だろう。貴様いい加減にせんか」

側近「間違えちゃいました。てへっ」ペロッ

側近「じゃ、今度こそ」

ジジー

魔王「なんだ、あそこは……勇者と……僧侶か?随分派手な建物の中にはいっていくな」

側近「人間の町の宿じゃないですか?」

魔王「部屋の中も派手だな。人間のセンスは分からんな」

魔王「む……なんだあれは?勇者が首輪をつけられてるぞ」

魔王「しかも僧侶に踏みつけられて……」

側近「なんか楽しそうですね」

魔王「なっ……なんだ、あんなことをするのか」

側近「おっ、おおっ!これはすごい!」

魔王「あんなものがあそこに入るのか」

側近「なんということでしょう」

黒龍「何をやっとんじゃ、お主らは」ドシンッ

魔王「な、お前は黒龍!?貴様は私の魔力で封印しておったはず……」

黒龍「ぐはははははは!魂だけとなったお主に封印を維持するだけの魔力はなかろう」ブオオ

魔王「熱い!息を吹きかけるな」

「ぎゃああああああああ!体が燃えるー」ゴロゴロ

黒龍「なんじゃ、最近の魔物はあの程度で燃えるのか。情けない」

側近「あははー。面目ないー私の部下です。でも久しぶりですねー黒龍さん」

黒龍「まったくじゃ。懐かしいのう、お主らと魔界の覇権を争ったあの頃が」

側近「結局私ら魔王様に負けちゃいましたもんねー、あはは」

魔王「なんだ、復讐にでもきたか。いいだろう!相手になるぞ」

黒龍「それもよいが、なんだ。面白そうなことになっておるではないか」

魔王「面白い?」

黒龍「魔王!お主ほどの男が勇者に負けたとはな。ぐはははは」

魔王「負けておらん!これから倒しにいくのだ」

黒龍「よし!ならばわしもついていこう」

側近「あ、じゃあ私もー。おやつはいくらまでですか?」

魔王「こいつらは……」

―――魔王城

魔王「ふぅ、やっと戻ってきた。しかし、この新しい肉体はどうも慣れんな」

側近「人間界にいくんですから、人間仕様にしておかないと勇者のところまでいけませんよ」

側近「私も人間の姿になってきました。ほらっ、翼も見えないでしょう?」

黒龍「ぬぅ……」ズンッ

魔王「黒龍、お前ちょっと人間にしてはでかくないか?」

黒龍「元が大きいからのぅ。これが限界じゃ、これ以上小さいとはち切れてしまうわ」ギチギチ

側近「しかし、これはまぁ、派手に壊されましたねー」

魔王「私の魔王城が……」

黒龍「勝者がすべてを奪う。当然の結果じゃな」

側近「あはははは。ぼろっぼろですね」

魔王「ここを拠点にするのは無理か。まぁ、よい。人間の町へいくぞ」

側近「たしか勇者は王国に戻ってるはずですね」

黒龍「ぐはは。人間の町など何百年ぶりじゃ。楽しみだわい」

―――王国

「ねぇ、あれって勇者様一行じゃない?」

「まぁ、本当!?」

「魔王を倒したんだってな」

「すごい!世界を平和に導いた方ね」

「でも勇者様って水虫らしいわよ」

「ああ、そうそう。ほかにも一杯病気持ってるって聞いたよ」

「ママー、勇者様のサインほしいー」

「めっ!ばっちいから近づいちゃいけません!」

勇者「くっ……屈辱」ガックリ

戦士「おっ、王城が見えてきたぜ」

魔法使い「ごっほうび♪ごっほうびー♪」

勇者「僧侶……いい加減誤解をといてくれない?」

僧侶「誤解?なんのことですか?」ニコッ

門番「勇者様が凱旋したぞー!」

兵「準備しろ準備。はやくアレ持って来い」ガラガラッ

勇者「おっ、歓迎されてる!?やっぱ王様ならわかってくれたか……?」

―――謁見の間

王様「よくぞ魔王を倒した!あっぱれじゃ」

戦士「あざーっす。がはははは」

魔法使い「ま、あたしらにかかれば当然よ」

僧侶「ありがとうございます」

勇者「あのー、王様……?」

王様「おお、勇者殿もご苦労じゃったな」

勇者「なんで俺だけ檻の中なんですか?それもこんなに離れて……」

王様「あとで出してやるから我慢してくれ。わしも昔水虫には悩まされてのぅ」

勇者「なっ」

王様「もう、水虫はこりごりじゃわい」

勇者「どうしてこうなったー!!」

僧侶(ふふっ……ちょっと可哀想ですね。まぁ、もうちょっと反省したら許してあげますか)

―――王国

魔王「勇者どこだー!」

側近「こんな大きな町でそんなに簡単に見つからないでしょう」

黒龍「ならばこの町を破滅させてしまえばよいではないか。びっくりして飛び出してくるじゃろう。どれ、わしのブレスで……」

魔王「やめい!」バシッ

黒龍「なんじゃ、だめなのか」

魔王「いずれ私が支配する町だ。傷つけることは許さん」

側近「あはははははー」

「ねぇ、あの一番前の人かっこよくない?」

「超イケてるよねー」

「あの後ろの人背たかぁい。かっこいー」

「声かけてみようよ」

「えー、でもぉ。あんな綺麗な子がいっしょだしー」

魔王「なんだ?ジロジロ見られているが……まさかバレたか?」

黒龍「わしの滲み出る魔力が見破られてしまったか」

側近「いえ、あれは興味もってるだけみたいですよー」

魔王「興味?」

側近「惚れられちゃってるんじゃないですか?いやぁ、やりますねー魔王様」ツンツン

魔王「なに?平均的な人間の顔にしてきたはずだが……」ペタペタ

側近「人は平均的な顔をかっこいいと思うみたいですからねー」

魔王「まぁ、魔王とバレていないのではあればいいわ。ゆくぞ」スタスタッ

魔王「見つからんな。お前の使い魔はどうしたのだ?」

側近「あー、休暇中です」

魔王「休暇だと!?」

側近「休暇もなしに働かせられませんよー。上司として」

黒龍「そりゃそうじゃ、たまには休みも大事じゃぞ」

魔王「むぅ……では今日はもう休むか」

側近「宿屋ですか?お金あるんです?」

魔王「あ」

側近「なんだ。無一文なんですかー。魔王様ともあろう方が」ケラケラ

魔王「笑うな。魔王城の金品はすべて奪われていたのだから仕方なかろう」

側近「仕方ないですねー。じゃあ、私がなんとかします」

魔王「金をもっておるのか?」

側近「いえ、そこの道具屋で何か売りましょう。お金になりそうなものがあるですよー」

道具屋「いらっしゃ……おおっ、これは美しいお嬢さん。隣のイケメンは彼かい?」

側近「そんなんじゃないですよー。無一文のヒモです」

魔王「おい」

側近「これを売りたいんですけど」トンッ

道具屋「ん?なんだいこれは?水晶玉かい?」

側近「いかがですか?」

道具屋「うーん、まぁ、綺麗だけどそれほど貴重ってわけでもないいねぇ」

道具屋「500ってところ……ん?地鳴りが……地震?」

ドドドドドドドドドドドドッ

勇者「おおおおおおおおおおおおお!こ、これはああああああああ」ガシッ

道具屋「ちょっ、あんたそれお客さんのだから」

勇者「なに?これ売ろうとしてんの?マジ?いくら?」

側近「500って言われました」

勇者「500!?で、でもこれってこのあふれ出る魔力……これあれじゃないか?文献でしかよんだことないが遠目に見ただけで超激レアアイテムって分かった」

側近「あれ?」

勇者「これドラゴンオーブじゃない!?」

黒龍「なっ」ゴソゴソッ

黒龍「ない!懐に入れておったのに!」

勇者「かつて龍の神が作ったといわれる秘法じゃないか!?使い方次第では世界が滅ぶっていう……」

側近「へぇー、そんなすごいものだったんですねー」

勇者「これ売るの?俺なら5000万は出すよ!売ってくれ!」

道具屋「ちょ、ちょっと待っておくれよお兄さん。このお嬢さんは私に売るって……」

勇者「黙れ!この目利きもできない三流道具屋が!水晶玉とか言ってただろう」

道具屋「ぐぬぬ」

側近「よし!じゃあ高いねをつけたほうに売ります!」

黒龍「売らんわ!」ゴンッ

側近「あいたっ」

黒龍「勝手に人の懐から盗みおって……これはわしのものじゃ。誰にも渡さん」

勇者「そんなぁ……」ショボーン

魔王「勇者……ついに見つけたぞ……」

勇者「え?あんた誰?どこかであったけ?」

魔王「この私こそまお……むぐぐ」

側近「ちょっと、魔王様」ギュッ

魔王「何をする、側近」

側近「ここは私にお任せを」

魔王「なに?」

側近「私にもちょっといいところ見させてくださいよー。これでも淫魔なんですよ、勇者を魅了魔法でメロメロにして……むふふ」

魔王「何を言う、勇者は私が……むぐぐ」

黒龍「まぁよいではないか、やらせてみろ面白い。ぐははははは」

側近「ねぇ、勇者様ですよねぇ」

勇者「そうだけど……」

側近「私勇者様の大ファンなんですぅ、握手してくださいー」キラキラッ

勇者「なっ……まだこの町に俺のファンがいたとは……ううっ」ギュッ

側近「何泣いてるんですかぁ?ほらっ、私の目を見てください」パァァ

勇者「目?あ……あ……」

側近「じゃあ、そこのホテルまでいきましょうかー」ギュッ

勇者「あ……はい……」フラフラッ

黒龍「側近の魅了魔法は強力じゃからのぅ。術中にはいってはもう逆らえまいて」

側近「さぁ、ホテルへ……」

勇者「……」フラフラ

僧侶「勇者様?何をなさってるんですか?」イラッ

勇者「……」チラッ

勇者「……」

勇者「僧侶!?」

僧侶「何こんなに可愛い女の子とホテルなんて入ろうとしてるんですか?」ニコッ

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