女僧侶「あ、あの勇者様・・・」 3/7

1 2 3 4 5 6 7

―――宿屋前―――

勇者(ここからそう遠くもない。朝までには帰ってこれるだろう)

勇者(魔王によって壊滅したとなれば、どんなことがあるか分からない)

勇者(そんな危険な場所へ彼女たちを連れていくわけにはいかない)

勇者「……すまないな。頼むぞ?」

馬「ヒヒン!」

勇者「よし、いこうか」

馬「ヒヒーン!!」

勇者「はっ!!」

―――村―――

勇者「……なんて有様だ」

勇者「とにかく生存者がいるかどうか……」

盗賊「よっと」

遊び人「……(ニコニコ」

勇者「な!?」

盗賊「勇者、みずくさいぞー」

勇者「ど、どうして付いてきたんだ!?」

盗賊「クンクン……クンクン……こっちからいい匂いがするー。なにかあるっぽい」

勇者「あ、勝手に動くな!!」

遊び人「……(ニコニコ」

―――民家―――

盗賊「やったー、タンスから10Gみっけ!」

勇者「こら、なに他人の家からお金を―――」

「だ、だれぇ?」

勇者「え?」

幼女「……」

勇者「君は、ここの生存者か?」

幼女「あ、あなたは……?」

勇者「俺は勇者だ。安心してくれ」

幼女「勇者様……?」

盗賊「壷から薬草はっけーん」

遊び人「……(ニコニコ」

勇者「あれはちゃんと返すから」

幼女「あ、はい……」

勇者「魔王に襲撃されたと聞いたが」

幼女「はい……恐ろしかった……」

勇者「多くの人が犠牲になったのか?」

幼女「はい……みんな、魔王によって……子どもにされてしまったんです」

勇者「それは気の毒に……え?」

盗賊「遊び人、向こうの家にもなんかあるっぽい。行こう!!」

遊び人「……(ニコニコ」

勇者「あ、おい!!―――まあいい。子どもにされたって……」

幼女「私も元は一児の父親だったのですが……魔王の呪いによってこのような姿に……」

勇者「なんだって……!?」

―――民家―――

盗賊「クンクン……ここだぁー♪」

遊び人「……」

盗賊「やったぜぇ!布の服だ!みてみて、遊び人……ん?どうかした?」

遊び人「何か、いる」

盗賊「え?」

ボストロール「ぐへへへへ」

盗賊「な……!?!」

ボストロール「なんだ、この村にはもう本物のガキはいないと思っていたのに、まだこんな上玉がいるじゃねーか」

遊び人「……」

ボストロール「魔王様の言いつけどおり、探しに来てよかったぜ」

盗賊「な……なんだよ……やるかぁ……!!」

ボストロール「ぐへへへ、かわいいあんよがふるえてるぞぉ……」

遊び人「何か?」

ボストロール「今、魔王様は世界中の子どもを回収し、15歳以上の人間は12歳以下にしているんだよぉ」

遊び人「何のためにそんなことを……?」

ボストロール「理想郷のためだよ。ぐへへへへ」

盗賊「り……りそうきょう……?」

ボストロール「さあ、一緒に来てもうぜぇ」

遊び人「……!?」

―――民家―――

幼女「それより勇者様、先ほどのお子さんを追ってください」

勇者「え……?」

幼女「この村には今、魔王の手下が……!!」

勇者「な……!!―――やばい!!」

ボストロール「ぐへへへへ!!」

遊び人「……く」

盗賊「ゆうしゃー!!ゆうしゃー!!!!」

勇者「貴様!!その子たちを離せ!!!」

ボストロール「おお?勇者様か」

勇者「……」

ボストロール「そう睨むな。別に魔王様は危害を加えるわけじゃねーんだからよ」

勇者「その言葉を信じろというのか?」

盗賊「たすけてー!!!ゆうしゃー!!!うわーん!!!」

遊び人「……」

勇者「今、助けるぞ!!―――うおぉぉぉ!!!」

ボストロール「やべえ」

勇者「でやぁぁぁぁ!!!」

魔王「―――そこまでだ」

勇者「……!?」

ボストロール「魔王様!」

魔王「その子たちを城へ」

ボストロール「はい!!」

勇者「逃がすか!!」

魔王「ふん!!」

勇者「が……!?からだ、が……うごかない……?!」

盗賊「ゆうしゃー!!たすけてよー!!ゆうしゃー!!!」

遊び人「……」

魔王「連れて行け」

ボストロール「はい!」

勇者「まて……!!まって、くれ……!!」

盗賊「ゆうしゃー!!!ゆうしゃぁぁぁぁ………―――――」

勇者「あ……そ、そんな……」

魔王「……ではな。城で待っているぞ」

勇者「くそぉ……くそぉぉぉぉ!!!!魔王ぉぉぉ!!!!」

―――魔王城―――

魔王「……はぁ」

盗賊「ひっく……ひっく……ゆうしゃぁ……ごめん、ごめんなさい……ひっく……」

遊び人「……泣かないで」

魔王「……」

ボストロール「魔王様、この子たちはどうしますか?」

魔王「いつもの部屋へ。丁重にな」

ボストロール「ははー。さあ、こっちですよー」

盗賊「ひっく……ぐすっ……」

遊び人「……」

魔王(勇者……怒ってたな……)

魔王(ここまで来る理由を強めようと思っただけなのだが……)

魔王(嫌われたかな……嫌われては少々、困るしなぁ……まあ、計画に支障が出るほどではないが)

魔王「なんとかなるか」

遊び人「……」

―――翌日 宿屋―――

勇者「……すまない。俺の力が及ばず、二人を……」

魔法使い「顔を上げて……」

僧侶「勇者様は何も悪くありません」

戦士「そうだそうだ。全部、魔王が悪い!」

武道家「俺もそう思う」

商人「ぐぅ……ぐぅ……」

勇者「だが……」

魔法使い「勇者、見て。―――ベギラマ!!」

勇者「おぉ……」

魔法使い「みんな強くなってるから……だから、きっと助けられるよ」

勇者「……そうか」

戦士「ゆうしゃが弱気じゃあだめだって!」

僧侶「勇者様、みんなで二人を助けましょう」

勇者「ああ……そうだ。助けないと……必ず……!!」

―――森―――

勇者「足元に気を付けるんだ。少しぬかるんでるからな」

馬「ヒヒーン」

勇者「む……!?」

魔物の群れ「ギャォォォォォォン!!!」

勇者「数が多いな……みんな!!出番だ!!」

「「わー」」

戦士「いくぞー!!」

ツルッ

戦士「うわぁぁ!!!」

僧侶「戦士さんだいじょ―――きゃふん!?」

魔法使い「みんなどんくさいなぁ……なんでそんなころんで―――きゃわ!?」

武道家「足腰を鍛えないから足をとられ―――ぶっ!?」

商人「ふわぁぁぁ、おはようご―――きゃ!?」

勇者「……みんな、転んだ……くそ!!俺がなんとかしなくては!!!」

戦士「うえぇ……ドロドロ……」

魔法使い「うわぁ……パンツまでしみこんできちゃったよぉ……」

僧侶「きもちわるいですね……」

武道家「あーん……泥がぁ……」

商人「でも、ひんやりしててきもちいいよ♪」

戦士「そうかなぁ」

馬「ヒヒン」

魔物「ギャァァァン!!!」

勇者「くそ!!―――ベギラマ!!」

魔物「ギャーッス!!」

勇者「メラミ!!」

魔物「グワァァァン!!!」

勇者「バギマ!!!」

勇者(魔法使いから借りた呪文の書‐初級‐編が役に立ったな……)

勇者「トドメだ!!でええい!!」

勇者「はぁ……はぁ……」

戦士「おつかれー」

魔法使い「大丈夫?」

勇者「なんとか……お前たちも泥だらけじゃないか」

僧侶「体を洗いたいです……」

勇者「そうだな……」

武道家「勇者、川とかないかなー?」

商人「きゃっきゃっ♪」

勇者「川か……そうだ」

馬「?」

―――川―――

馬「ヒヒーン!!」

勇者「流石は動物。やはり水の匂いも分かるんだな。偉いぞ」

馬「ブルルル」

戦士「やったー!!さっそく洗おうっと!!」

勇者「……」

戦士「……」

武道家「……」

勇者「え?なんだ?」

戦士「ゆうしゃは向こうむいてて!!」

勇者「あ、ああ。ごめん」

魔法使い「服も洗おうよ」

僧侶「そうですね」

商人「わーい!!」

勇者「戦士、深いところにはいくなよー!!」

戦士「わかってるよー!」

武道家「うーん。冷たくてきもちいー♪」

戦士「だねー」

勇者(火でもおこしておくか)

勇者(にしても……子どもとはいえ……出るとでてるな……戦士とか僧侶は……)

戦士「ちょっとおよごっかなー!」

武道家「俺もー」

僧侶「あの……裸であまり動きまわらないほうが……」

戦士「いいじゃないの。誰もいないし」

魔法使い「ほら、ちゃんと洗おうね」

商人「んにゅ……くすぐったい……」

僧侶「もう……ん……」

魔法使い「……だれもみてないし。しちゃえば?」

僧侶「で、でも……はしたない……」

1 2 3 4 5 6 7