―――宿屋前―――
勇者(ここからそう遠くもない。朝までには帰ってこれるだろう)
勇者(魔王によって壊滅したとなれば、どんなことがあるか分からない)
勇者(そんな危険な場所へ彼女たちを連れていくわけにはいかない)
勇者「……すまないな。頼むぞ?」
馬「ヒヒン!」
勇者「よし、いこうか」
馬「ヒヒーン!!」
勇者「はっ!!」
―――村―――
勇者「……なんて有様だ」
勇者「とにかく生存者がいるかどうか……」
盗賊「よっと」
遊び人「……(ニコニコ」
勇者「な!?」
盗賊「勇者、みずくさいぞー」
勇者「ど、どうして付いてきたんだ!?」
盗賊「クンクン……クンクン……こっちからいい匂いがするー。なにかあるっぽい」
勇者「あ、勝手に動くな!!」
遊び人「……(ニコニコ」
―――民家―――
盗賊「やったー、タンスから10Gみっけ!」
勇者「こら、なに他人の家からお金を―――」
「だ、だれぇ?」
勇者「え?」
幼女「……」
勇者「君は、ここの生存者か?」
幼女「あ、あなたは……?」
勇者「俺は勇者だ。安心してくれ」
幼女「勇者様……?」
盗賊「壷から薬草はっけーん」
遊び人「……(ニコニコ」
勇者「あれはちゃんと返すから」
幼女「あ、はい……」
勇者「魔王に襲撃されたと聞いたが」
幼女「はい……恐ろしかった……」
勇者「多くの人が犠牲になったのか?」
幼女「はい……みんな、魔王によって……子どもにされてしまったんです」
勇者「それは気の毒に……え?」
盗賊「遊び人、向こうの家にもなんかあるっぽい。行こう!!」
遊び人「……(ニコニコ」
勇者「あ、おい!!―――まあいい。子どもにされたって……」
幼女「私も元は一児の父親だったのですが……魔王の呪いによってこのような姿に……」
勇者「なんだって……!?」
―――民家―――
盗賊「クンクン……ここだぁー♪」
遊び人「……」
盗賊「やったぜぇ!布の服だ!みてみて、遊び人……ん?どうかした?」
遊び人「何か、いる」
盗賊「え?」
ボストロール「ぐへへへへ」
盗賊「な……!?!」
ボストロール「なんだ、この村にはもう本物のガキはいないと思っていたのに、まだこんな上玉がいるじゃねーか」
遊び人「……」
ボストロール「魔王様の言いつけどおり、探しに来てよかったぜ」
盗賊「な……なんだよ……やるかぁ……!!」
ボストロール「ぐへへへ、かわいいあんよがふるえてるぞぉ……」
遊び人「何か?」
ボストロール「今、魔王様は世界中の子どもを回収し、15歳以上の人間は12歳以下にしているんだよぉ」
遊び人「何のためにそんなことを……?」
ボストロール「理想郷のためだよ。ぐへへへへ」
盗賊「り……りそうきょう……?」
ボストロール「さあ、一緒に来てもうぜぇ」
遊び人「……!?」
―――民家―――
幼女「それより勇者様、先ほどのお子さんを追ってください」
勇者「え……?」
幼女「この村には今、魔王の手下が……!!」
勇者「な……!!―――やばい!!」
ボストロール「ぐへへへへ!!」
遊び人「……く」
盗賊「ゆうしゃー!!ゆうしゃー!!!!」
勇者「貴様!!その子たちを離せ!!!」
ボストロール「おお?勇者様か」
勇者「……」
ボストロール「そう睨むな。別に魔王様は危害を加えるわけじゃねーんだからよ」
勇者「その言葉を信じろというのか?」
盗賊「たすけてー!!!ゆうしゃー!!!うわーん!!!」
遊び人「……」
勇者「今、助けるぞ!!―――うおぉぉぉ!!!」
ボストロール「やべえ」
勇者「でやぁぁぁぁ!!!」
魔王「―――そこまでだ」
勇者「……!?」
ボストロール「魔王様!」
魔王「その子たちを城へ」
ボストロール「はい!!」
勇者「逃がすか!!」
魔王「ふん!!」
勇者「が……!?からだ、が……うごかない……?!」
盗賊「ゆうしゃー!!たすけてよー!!ゆうしゃー!!!」
遊び人「……」
魔王「連れて行け」
ボストロール「はい!」
勇者「まて……!!まって、くれ……!!」
盗賊「ゆうしゃー!!!ゆうしゃぁぁぁぁ………―――――」
勇者「あ……そ、そんな……」
魔王「……ではな。城で待っているぞ」
勇者「くそぉ……くそぉぉぉぉ!!!!魔王ぉぉぉ!!!!」
―――魔王城―――
魔王「……はぁ」
盗賊「ひっく……ひっく……ゆうしゃぁ……ごめん、ごめんなさい……ひっく……」
遊び人「……泣かないで」
魔王「……」
ボストロール「魔王様、この子たちはどうしますか?」
魔王「いつもの部屋へ。丁重にな」
ボストロール「ははー。さあ、こっちですよー」
盗賊「ひっく……ぐすっ……」
遊び人「……」
魔王(勇者……怒ってたな……)
魔王(ここまで来る理由を強めようと思っただけなのだが……)
魔王(嫌われたかな……嫌われては少々、困るしなぁ……まあ、計画に支障が出るほどではないが)
魔王「なんとかなるか」
遊び人「……」
―――翌日 宿屋―――
勇者「……すまない。俺の力が及ばず、二人を……」
魔法使い「顔を上げて……」
僧侶「勇者様は何も悪くありません」
戦士「そうだそうだ。全部、魔王が悪い!」
武道家「俺もそう思う」
商人「ぐぅ……ぐぅ……」
勇者「だが……」
魔法使い「勇者、見て。―――ベギラマ!!」
勇者「おぉ……」
魔法使い「みんな強くなってるから……だから、きっと助けられるよ」
勇者「……そうか」
戦士「ゆうしゃが弱気じゃあだめだって!」
僧侶「勇者様、みんなで二人を助けましょう」
勇者「ああ……そうだ。助けないと……必ず……!!」
―――森―――
勇者「足元に気を付けるんだ。少しぬかるんでるからな」
馬「ヒヒーン」
勇者「む……!?」
魔物の群れ「ギャォォォォォォン!!!」
勇者「数が多いな……みんな!!出番だ!!」
「「わー」」
戦士「いくぞー!!」
ツルッ
戦士「うわぁぁ!!!」
僧侶「戦士さんだいじょ―――きゃふん!?」
魔法使い「みんなどんくさいなぁ……なんでそんなころんで―――きゃわ!?」
武道家「足腰を鍛えないから足をとられ―――ぶっ!?」
商人「ふわぁぁぁ、おはようご―――きゃ!?」
勇者「……みんな、転んだ……くそ!!俺がなんとかしなくては!!!」
戦士「うえぇ……ドロドロ……」
魔法使い「うわぁ……パンツまでしみこんできちゃったよぉ……」
僧侶「きもちわるいですね……」
武道家「あーん……泥がぁ……」
商人「でも、ひんやりしててきもちいいよ♪」
戦士「そうかなぁ」
馬「ヒヒン」
魔物「ギャァァァン!!!」
勇者「くそ!!―――ベギラマ!!」
魔物「ギャーッス!!」
勇者「メラミ!!」
魔物「グワァァァン!!!」
勇者「バギマ!!!」
勇者(魔法使いから借りた呪文の書‐初級‐編が役に立ったな……)
勇者「トドメだ!!でええい!!」
勇者「はぁ……はぁ……」
戦士「おつかれー」
魔法使い「大丈夫?」
勇者「なんとか……お前たちも泥だらけじゃないか」
僧侶「体を洗いたいです……」
勇者「そうだな……」
武道家「勇者、川とかないかなー?」
商人「きゃっきゃっ♪」
勇者「川か……そうだ」
馬「?」
―――川―――
馬「ヒヒーン!!」
勇者「流石は動物。やはり水の匂いも分かるんだな。偉いぞ」
馬「ブルルル」
戦士「やったー!!さっそく洗おうっと!!」
勇者「……」
戦士「……」
武道家「……」
勇者「え?なんだ?」
戦士「ゆうしゃは向こうむいてて!!」
勇者「あ、ああ。ごめん」
魔法使い「服も洗おうよ」
僧侶「そうですね」
商人「わーい!!」
勇者「戦士、深いところにはいくなよー!!」
戦士「わかってるよー!」
武道家「うーん。冷たくてきもちいー♪」
戦士「だねー」
勇者(火でもおこしておくか)
勇者(にしても……子どもとはいえ……出るとでてるな……戦士とか僧侶は……)
戦士「ちょっとおよごっかなー!」
武道家「俺もー」
僧侶「あの……裸であまり動きまわらないほうが……」
戦士「いいじゃないの。誰もいないし」
魔法使い「ほら、ちゃんと洗おうね」
商人「んにゅ……くすぐったい……」
僧侶「もう……ん……」
魔法使い「……だれもみてないし。しちゃえば?」
僧侶「で、でも……はしたない……」