女僧侶「本当に、わたしたち馬車で遊んでていいんですか?」
勇者「ああ、俺一人で十分だ」
女魔法使い「・・・」
女僧侶「でも・・・」
勇者「まぁもし怪我したらそっからホイミでもかけてくれや」
女僧侶「分かりました、でも無茶はしないでくださいね?」
勇者「こんな雑魚しかいないとこで怪我なんかするかよ」
女魔法使い「おに・・・ちゃ」
勇者「ん?」
女魔法使い「わたしも・・・心配して」
勇者「大丈夫だって、お前は僧侶ちゃんと仲良く馬車にいな」
女魔法使い「ん・・・」
―――ルイーダの酒場―――
勇者「ここで仲間を得られると聞いたのですが」
店員「え……」
勇者「魔王を倒すために屈強な兵士、或いは術師が欲しいのですが」
店員「え……」
勇者「いや……3人ほどで構いませんから」
「ちょっとー、それわたしのつえなんだけどー」
「いいでしょー、すこしかしてよー」
勇者(奥から子どもの声が……)
店員「あの……すいません。今はその……誰もいなくて……」
勇者「いない?そんなバカな」
店員「すいませんお引き取り―――」
「あ!ゆうしゃさまだー」
「あ、ほんとだー!」
勇者「なんだ?奥から女の子が……」
女戦士(12)「すげー!本物だー」
勇者「お、おい……」
女武道家(10)「かっこいいー♪」
女魔法使い(9)「おにいちゃん、みてみてー……メラ!―――すごいでしょ?」
勇者「あ、ああ……」
女僧侶(9)「……かっこいい……」
女商人(5)「ふーん……ふーん……!!」
勇者「な、なにをもってきたんだ?重そうに引き摺っているが……」
女商人「やくそう、10こ!」
勇者「……」
女遊び人(4)「……(ニコニコ」
女盗賊(9)「そーっと……そーっと……」
勇者「なんですか、これは?」
店員「それが……昨日の夜、突然みんなが幼女化してしまって……」
勇者「は?」
盗賊「せいやっ!」
勇者「こら」
盗賊「あーん!」
勇者「人のお金を盗ろうとするな」
盗賊「うぅ……べーっだ!」
勇者「可愛げないな……」
店員「どうやら魔王の仕業みたいで」
勇者「魔王の?」
店員「はい。恐らく、勇者様の味方となるものを呪いかなにかで……」
勇者「おのれ……魔王……!!」
戦士「あ!わたしの剣、かえしてよー!」
武道家「ちょっとだけー」
僧侶「えい、えい」
魔法使い「それわたしのつえー!」
勇者「…………卑劣な」
店員「どうされますか?」
勇者「彼女たちを連れていっても仕方ないですね。独りでいきます」
店員「そうですか。すいません」
勇者「いや。貴方が気にすることではない」
店員「ご武運を……」
勇者「ありがとう」
勇者(早速、大変なことになったな……)
遊び人「……(ニコニコ」
商人「おかねがいちまーい、にまーい……えっと……いちまーい……あれ?」
勇者(だが何故魔王は私ではなく、他の者を子どもに……?)
勇者(何かあるのか……)
勇者(はっ!――そうか。俺と一対一で勝負がしたい。そういうわけだな)
勇者(いいだろう、魔王。その挑戦、受けてやるぞ)
戦士「ゆうしゃー、なにひとりでガッツポーズしてんのー?」
盗賊「きもーい」
―――街―――
勇者「さてと、出発するか」
馬「バヒヒン」
勇者「王から立派な馬車を頂いたが、無駄になってしまったな」
馬「ヒヒン」
勇者「ああ、そうだ。色々と買い出しに行かなくてはな」
魔法使い「うまー」
僧侶「ひひん♪ひひん♪」
武道家「しっぽかわいいー」
商人「うんしょ……うんしょ……ふう、やくそう10こ、はこべたよ!」
遊び人「……(ニコニコ」
盗賊「わたし、こことったー!」
戦士「けっこうひろいなー」
僧侶「うん。みんなでおひるねもできるね♪」
勇者「――よし。準備も万全だ。いくか」
馬「ヒヒーン!!」
勇者「出発だ」
馬「バヒヒーン!!」
戦士「おおお!?」
魔法使い「ゆれてるー!!」
僧侶「あわわわわ……こ、こわいよー」
武道家「ねえねえ、どれだけ立ってられるかきょーそーしようよー」
商人「ぐぅ……ぐぅ……」
遊び人「……(ニコニコ」
盗賊「すっごーい!街からはなれてくよー!!」
戦士「わたし、そとってはじめてー」
魔法使い「ドキドキ……」
―――街道―――
勇者「……?」
勇者「馬車の中から声がしたような……?」
勇者「気の所為か……?」
戦士「えー、ではわたしがリーダーです」
盗賊「いきなりー」
魔法使い「なんでー?」
戦士「だって、一番おねえちゃんなんだもん」
僧侶「うんうん」
武道家「べつにどうでもいいけどー」
遊び人「……(ニコニコ」
商人「むにゃむにゃ……ぐぅ……」
戦士「じゃあ、戦闘になったらわたしのしじにしたがってね」
「「はーい」」
スライム「キュピー!!」
勇者「スライムか……は!!」
スライム「―――ギュピ……!?」
勇者「この辺りの魔物は弱くて助かるが……進めば進むほど辛くなるだろうな」
勇者「道中で仲間を得られればいいのだが……」
戦士「あ、せんとうだー!!」
武道家「よっしゃー」
戦士「わたしと僧侶ちゃんでいくぞー」
僧侶「は、はい!!」
戦士・僧侶「わー」
スライム「……キュピ……」
戦士「あれ?もう倒してる」
僧侶「かわいそう……」
戦士「よし、手当しよ。馬車の中にはやくはやく」
僧侶「は、はい」
勇者「ん!?」
勇者「―――気の所為か」
勇者「……なんだか人の気配がするんだが……」
勇者「誰かいるのか?」
馬「?」
勇者「馬に訊いても仕方ないか……進もう」
僧侶「ホイミ」
商人「やくそうを……こうやって……」
スライム「キュピィ……」
戦士「お、きがついた」
魔法使い「よかったね」
盗賊「この子、どうする?」
戦士「んー……飼う!!」
武道家「じゃあ、名前決めよう、名前」
僧侶「かっこいい名前がいいですよね」
勇者「―――はぁ!!」
おおがらす「ぐええ……!!」
勇者「よし」
盗賊「かいしゅー」
遊び人「……(ニコニコ」
魔法使い「えっほ、えっほ……」
戦士「ふう、結構溜まってきたね」
スライム「きゅぴー♪」
バブルスライム「ブルブルー♪」
フロッガー「ゲコゲコ♪」
まほうつかい「……」
武道家「これだけいれば大丈夫だね」
商人「うんうん」
僧侶「勇者様もきっとおおよろこびです」
おおがらす「くえくえ」
勇者「……こ、これは!」
馬「ヒヒン……」
魔物の群れ「グルルルルルル………!!!」
勇者「ちっ……一人では厳しいな……」
勇者「だが、負けるわけにはいかない!!」
「ゆうしゃのピンチだー。みんなとつげきー!!」
「「わー」」
勇者「?!」
魔物の群れ「!?」
ワラワラ……」
戦士「さあ、こい!」
武道家「おれが相手だ!」
魔法使い「メラ!メラ!」
僧侶「ホイミ!ホイミ!」
モンスター達「ガォォォ!!」
魔物「(逃げようぜ……)」
魔物「(ああ、数が違いすぎる……)」
魔物「(退却だ~!!)」
勇者「あ……逃げた」
戦士「おとといきやがれー」
遊び人「……(ニコニコ」
盗賊「いえーい、だいしょーりー!」
スライム「ピキー♪」
僧侶「ああん!カッキー、頭にのらないでー」
おおがらす「ガー♪」
魔法使い「うわっぷ……もうゲコゲコ、顔は舐めないでっていったでしょ、め」
フロッガー「ゲコ……」
勇者「………」
僧侶「勇者様、お役に立てましたか?」
商人「どうだった?ねね?どうだった?」