女僧侶「あ、あの勇者様・・・」 1/7

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女僧侶「本当に、わたしたち馬車で遊んでていいんですか?」

勇者「ああ、俺一人で十分だ」

女魔法使い「・・・」

女僧侶「でも・・・」

勇者「まぁもし怪我したらそっからホイミでもかけてくれや」

女僧侶「分かりました、でも無茶はしないでくださいね?」

勇者「こんな雑魚しかいないとこで怪我なんかするかよ」

女魔法使い「おに・・・ちゃ」

勇者「ん?」

女魔法使い「わたしも・・・心配して」

勇者「大丈夫だって、お前は僧侶ちゃんと仲良く馬車にいな」

女魔法使い「ん・・・」

―――ルイーダの酒場―――

勇者「ここで仲間を得られると聞いたのですが」

店員「え……」

勇者「魔王を倒すために屈強な兵士、或いは術師が欲しいのですが」

店員「え……」

勇者「いや……3人ほどで構いませんから」

「ちょっとー、それわたしのつえなんだけどー」

「いいでしょー、すこしかしてよー」

勇者(奥から子どもの声が……)

店員「あの……すいません。今はその……誰もいなくて……」

勇者「いない?そんなバカな」

店員「すいませんお引き取り―――」

「あ!ゆうしゃさまだー」

「あ、ほんとだー!」

勇者「なんだ?奥から女の子が……」

女戦士(12)「すげー!本物だー」

勇者「お、おい……」

女武道家(10)「かっこいいー♪」

女魔法使い(9)「おにいちゃん、みてみてー……メラ!―――すごいでしょ?」

勇者「あ、ああ……」

女僧侶(9)「……かっこいい……」

女商人(5)「ふーん……ふーん……!!」

勇者「な、なにをもってきたんだ?重そうに引き摺っているが……」

女商人「やくそう、10こ!」

勇者「……」

女遊び人(4)「……(ニコニコ」

女盗賊(9)「そーっと……そーっと……」

勇者「なんですか、これは?」

店員「それが……昨日の夜、突然みんなが幼女化してしまって……」

勇者「は?」

盗賊「せいやっ!」

勇者「こら」

盗賊「あーん!」

勇者「人のお金を盗ろうとするな」

盗賊「うぅ……べーっだ!」

勇者「可愛げないな……」

店員「どうやら魔王の仕業みたいで」

勇者「魔王の?」

店員「はい。恐らく、勇者様の味方となるものを呪いかなにかで……」

勇者「おのれ……魔王……!!」

戦士「あ!わたしの剣、かえしてよー!」

武道家「ちょっとだけー」

僧侶「えい、えい」

魔法使い「それわたしのつえー!」

勇者「…………卑劣な」

店員「どうされますか?」

勇者「彼女たちを連れていっても仕方ないですね。独りでいきます」

店員「そうですか。すいません」

勇者「いや。貴方が気にすることではない」

店員「ご武運を……」

勇者「ありがとう」

勇者(早速、大変なことになったな……)

遊び人「……(ニコニコ」

商人「おかねがいちまーい、にまーい……えっと……いちまーい……あれ?」

勇者(だが何故魔王は私ではなく、他の者を子どもに……?)

勇者(何かあるのか……)

勇者(はっ!――そうか。俺と一対一で勝負がしたい。そういうわけだな)

勇者(いいだろう、魔王。その挑戦、受けてやるぞ)

戦士「ゆうしゃー、なにひとりでガッツポーズしてんのー?」

盗賊「きもーい」

―――街―――

勇者「さてと、出発するか」

馬「バヒヒン」

勇者「王から立派な馬車を頂いたが、無駄になってしまったな」

馬「ヒヒン」

勇者「ああ、そうだ。色々と買い出しに行かなくてはな」

魔法使い「うまー」

僧侶「ひひん♪ひひん♪」

武道家「しっぽかわいいー」

商人「うんしょ……うんしょ……ふう、やくそう10こ、はこべたよ!」

遊び人「……(ニコニコ」

盗賊「わたし、こことったー!」

戦士「けっこうひろいなー」

僧侶「うん。みんなでおひるねもできるね♪」

勇者「――よし。準備も万全だ。いくか」

馬「ヒヒーン!!」

勇者「出発だ」

馬「バヒヒーン!!」

戦士「おおお!?」

魔法使い「ゆれてるー!!」

僧侶「あわわわわ……こ、こわいよー」

武道家「ねえねえ、どれだけ立ってられるかきょーそーしようよー」

商人「ぐぅ……ぐぅ……」

遊び人「……(ニコニコ」

盗賊「すっごーい!街からはなれてくよー!!」

戦士「わたし、そとってはじめてー」

魔法使い「ドキドキ……」

―――街道―――

勇者「……?」

勇者「馬車の中から声がしたような……?」

勇者「気の所為か……?」

戦士「えー、ではわたしがリーダーです」

盗賊「いきなりー」

魔法使い「なんでー?」

戦士「だって、一番おねえちゃんなんだもん」

僧侶「うんうん」

武道家「べつにどうでもいいけどー」

遊び人「……(ニコニコ」

商人「むにゃむにゃ……ぐぅ……」

戦士「じゃあ、戦闘になったらわたしのしじにしたがってね」

「「はーい」」

スライム「キュピー!!」

勇者「スライムか……は!!」

スライム「―――ギュピ……!?」

勇者「この辺りの魔物は弱くて助かるが……進めば進むほど辛くなるだろうな」

勇者「道中で仲間を得られればいいのだが……」

戦士「あ、せんとうだー!!」

武道家「よっしゃー」

戦士「わたしと僧侶ちゃんでいくぞー」

僧侶「は、はい!!」

戦士・僧侶「わー」

スライム「……キュピ……」

戦士「あれ?もう倒してる」

僧侶「かわいそう……」

戦士「よし、手当しよ。馬車の中にはやくはやく」

僧侶「は、はい」

勇者「ん!?」

勇者「―――気の所為か」

勇者「……なんだか人の気配がするんだが……」

勇者「誰かいるのか?」

馬「?」

勇者「馬に訊いても仕方ないか……進もう」

僧侶「ホイミ」

商人「やくそうを……こうやって……」

スライム「キュピィ……」

戦士「お、きがついた」

魔法使い「よかったね」

盗賊「この子、どうする?」

戦士「んー……飼う!!」

武道家「じゃあ、名前決めよう、名前」

僧侶「かっこいい名前がいいですよね」

勇者「―――はぁ!!」

おおがらす「ぐええ……!!」

勇者「よし」

盗賊「かいしゅー」

遊び人「……(ニコニコ」

魔法使い「えっほ、えっほ……」

戦士「ふう、結構溜まってきたね」

スライム「きゅぴー♪」

バブルスライム「ブルブルー♪」

フロッガー「ゲコゲコ♪」

まほうつかい「……」

武道家「これだけいれば大丈夫だね」

商人「うんうん」

僧侶「勇者様もきっとおおよろこびです」

おおがらす「くえくえ」

勇者「……こ、これは!」

馬「ヒヒン……」

魔物の群れ「グルルルルルル………!!!」

勇者「ちっ……一人では厳しいな……」

勇者「だが、負けるわけにはいかない!!」

「ゆうしゃのピンチだー。みんなとつげきー!!」

「「わー」」

勇者「?!」

魔物の群れ「!?」

ワラワラ……」

戦士「さあ、こい!」

武道家「おれが相手だ!」

魔法使い「メラ!メラ!」

僧侶「ホイミ!ホイミ!」

モンスター達「ガォォォ!!」

魔物「(逃げようぜ……)」

魔物「(ああ、数が違いすぎる……)」

魔物「(退却だ~!!)」

勇者「あ……逃げた」

戦士「おとといきやがれー」

遊び人「……(ニコニコ」

盗賊「いえーい、だいしょーりー!」

スライム「ピキー♪」

僧侶「ああん!カッキー、頭にのらないでー」

おおがらす「ガー♪」

魔法使い「うわっぷ……もうゲコゲコ、顔は舐めないでっていったでしょ、め」

フロッガー「ゲコ……」

勇者「………」

僧侶「勇者様、お役に立てましたか?」

商人「どうだった?ねね?どうだった?」

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