女僧侶「あ、あの勇者様・・・」 5/7

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―――洞窟―――

商人「これだ!!間違いない!!商人の道具100選って本に載ってたのと同じ!!」

僧侶「では、地上に戻りましょう」

魔法使い「おっけー。―――リレミト!!」

―――街道―――

商人「馬さん、かえろ♪」

馬「ヒヒン!!」

僧侶「早く戻って勇者様と合流しなくては」

魔法使い「うん!急ごう!!」

―――城下町―――

勇者「……ここは墓地か」

勇者(さて、これからどうするか……野望をとめてほしいと言われてしまったしな……)

勇者(だが……止めてどうする……それは俺の……ひいては人間側のエゴじゃないか……?)

勇者(己の正義を相手に押し付けているだけじゃないのか……?)

商人「―――あ、勇者ー!!」

勇者「お前達!?」

商人「みてみてー!!」

勇者「それは……?」

僧侶「ラーの鏡という代物です」

勇者「ラーの鏡?」

魔法使い「それは真実を映し出す鏡なんだって」

商人「これがあれば王様が魔物かどうかすぐにわかるよ!!」

勇者「お前達……わざわざ危険を冒して……」

僧侶「ごめんなさい。でも、この街を救いたいんです!!」

魔法使い「うん……みんな本当に苦しそうだから……」

勇者「お前達……」

勇者(そうだ……俺は何を迷っていたんだ……!!)

勇者(魔物の野望を打ち砕いてこその勇者じゃないか!!)

勇者「よし、みんな行こう!!戦士が捕まっているんだ、助けよう!!」

「「おー!!」」

―――城内 王の自室―――

王「げへへへへ……」

戦士「いや……もう、やだ……」

王「嫌なら見なければいいだろぉ?げへへへへへ」

戦士「くっ……!!」

王「そうやって見てしまうというのは、お前が淫乱少女だからだ……げへへへへ」

戦士「やめて……お願いだから……やめてぇ……」

王「ほれほれ……」

戦士「いやぁ……ゆうしゃ……ゆうしゃぁ……」

勇者「―――そこまでだ!!!」

王「ぬぬ!?」

戦士「あ……♪」

勇者「それ以上、戦士にその卑猥なものを見せてみろ。根元から切断してやる!!」

王「こ、こわいこというんじゃねえ……!!」

戦士「ゆうしゃー!!!たすけてー!!!」

商人「おうさまー」

王「おお、めんこいな。なんだい♪」

商人「これみてー」

王「お?」

勇者「―――やはり、魔物か」

王「ちっ、ばれちまっちゃあ、仕方ねえ!!」

僧侶「!?」

ダークトロル「ぐへへへ!!魔王様の右腕、ダークトロルとは俺様のことよ!!!」

勇者「魔王の理想郷が出来るかどうか、この街で試していたそうだな」

ダークトロル「その通りよ!!俺様はそのロリコンぶりから魔王様に高く評価されててな!!」

勇者「どういうことだ?」

ダークトロル「ロリコンは少女や幼女に欲情しても手を出してはいけない。それが守れる奴じゃないと理想郷の試作など任せてもらえるわけないだろ?」

勇者「……な、んだと?手を出しては……??」

魔法使い「勇者?」

商人「どうしたのー?」

ダークトロル「ロリコンは少女のことを第一に考えるもんだ。手を出して不幸にさせたら本末転倒だろうが!!」

勇者「だが、互いに愛があればいいのでないのか!?」

僧侶「勇者様?」

戦士「ど、どうした?」

ダークトロル「何を言うか。年端もいかぬ少女は『愛』という概念を理解できん。少女に芽吹くのは幻の愛かもしれんのだぞ?」

勇者「……!?」

ダークトロル「本当の愛とはなにか、きちんと理解できるまで我々は少女に説き続けなければならない」

魔法使い「な、なにいってるの……?」

ダークトロル「そして少女たちがその愛を理解する頃には、我々の手から巣立っていく。そして、また次の幼女に愛を説く」

勇者「ま、まて……それだと永遠に……」

ダークトロル「だからだ!!我々ロリコンは少女や幼女に手を出すことなど、未来永劫ありえはしない!!!」

勇者「バ、バカな……手を出さないのに……全世界を幼女化するというのか……?」

ダークトロル「清浄なる世界のためだ。それぐらいの苦渋は舐めてみせよう」

勇者「……そ、そこまでの覚悟があったのか……!!」

戦士「ゆうしゃー、はやくたすけてよー」

勇者「……なるほど……」

ダークトロル「分かったか。我々は決して間違ってなどいないんだよぉ!!」

勇者「―――やはり、お前たちは相容れぬようだな」

ダークトロル「勇者……!!」

勇者「みんな、援護を頼むぞ!!」

僧侶「は、はい!!」

魔法使い「新呪文もためしちゃうよ!!」

商人「……(ウトウト」

戦士「はやくー!!」

ダークトロル「勇者……貴様には素質がある。魔王様はそれを見抜いてらっしゃるぞ?」

勇者「……苦しいだけだ。全てが幼女になってしまうなんて。苦しいだけじゃないか!!!」

僧侶「そ、そうです!!幼女化した人のことも考えてください!!」

ダークトロル「残念だ、勇者……。ならば、ここで殺してくれるわぁぁ!!!!」

勇者「くるぞ!!」

商人「ぐぅ……ぐぅ……」

ダークトロル「魔王……さま、に……栄光あれ……!!―――ぐふ!?」

勇者「はぁ……はぁ……勝った……」

僧侶「戦士さん、お怪我は!?」

戦士「大丈夫……なんともないから」

勇者「……ラーの鏡か」

勇者(これ、みんなに向けたらどうなるんだ?)

魔法使い「商人、ほら起きて!!」

勇者「……」

戦士「勇者?」

勇者「あ、いや。さあ、戻ろう」

魔法使い「うん。武道家も待ってるし」

僧侶「ですね」

勇者(後ろから……向けてみれば……)

勇者「……!?!?」

勇者(こ、これが彼女たちの本当の姿……!?あ、ありえない……ありえないぃ!!)

―――宿屋―――

武道家「あ、お帰り」

魔法使い「お留守番、ごめんね」

武道家「いーっていっーって」

勇者「……」

武道家「勇者?」

僧侶「どうかされましたか?」

勇者「ごめん……少し夜風に当たってくる……」

魔法使い「うん……」

戦士「どうしたんだろう……?」

商人「ぐぅ……ぐぅ……」

―――宿屋 屋上―――

勇者「……はぁ……」

勇者(彼女たちは……そうだよ……呪いで姿が変わっていただけで……本当の子どもじゃなかったんだ……)

勇者(なのに……俺は……俺は……!!!)

勇者「くそ!!くそ!!!なんてことだ!!!なんてことを!!!うわぁぁぁぁぁ!!!!!」

武道家「勇者!!」

勇者「武道家……!?」

武道家「何があったんだよ……?手から血が出てるじゃないか……」

勇者「は、はなせ!!!」

武道家「え……?」

勇者「……独りにしてくれ……」

武道家「何があったんだよ……俺でよかったら……」

勇者「お前も……同じだ……」

武道家「な、なにが……?」

勇者「お前も……同じなんだろ……?」

武道家「なんのことだよ?」

勇者「この鏡で見れば……それがわかるんだよ!!!」

武道家「あ……」

勇者「これが……君の本当の……え……?」

勇者「……」

武道家「……なんか久しぶりだな。自分の姿を見るのは」

勇者「君は……?」

武道家「俺は15歳の女の子だったから、魔王の呪いで10歳になっちゃったんだ」

勇者「そ、そうなのか……」

武道家「でも、あんまり変わってなくて、ちょっとやだなぁ。特に胸とか。―――早く元の姿に戻りたいよ」

勇者「……君たちは幼女のふりをしていたのか?」

武道家「いいや。呪いの所為で精神年齢が退化しちゃった人もいるよ?俺はそんなにかわってないけど」

勇者「……そうだったのか」

武道家「どうかしたの?」

勇者「いや……もう大丈夫だ……すぐにもどるよ」

武道家「そっか。じゃあ、おやすみ」

勇者「ああ……」

勇者(俺は……どうすればいい)

勇者(確かに……醜い……この世界は幼女たちで溢れている方が美しいかもしれない……でも……俺は勇者……どうしたらいいんだ……!!)

―――魔王城―――

魔王「べろべろばー」

幼ドラゴン「きゃっきゃ!!」

遊び人「魔王」

魔王「ん、なんだい?」

遊び人「おやつは?」

魔王「そこの冷蔵庫に入ってるよ」

盗賊「あーおなかすいたー」

遊び人「魔王……私たちは元の姿に戻れるの?」

魔王「戻りたいのか?」

遊び人「当たり前でしょ?」

魔王「何を馬鹿な事を……そなたはその方が美しいぞ?」

盗賊「……そういえばお姉ちゃん、もっとかっこよかったもんね」

遊び人「貴方はそのままだもんね」

盗賊「うん。私は最年少でルイーダの酒場に登録したからね、えっへん」

魔王「ぐふふふ」

遊び人「なに?」

盗賊「こわいぞー」

魔王「いや……別に」

遊び人「どうせ、この子にも呪いをかけたんでしょ?」

魔王「当然だ。15歳未満の少女には成長しない呪いをかけている」

盗賊「え……じゃあ、私はこれ以上大きくならないの!?」

魔王「その通りだ」

盗賊「そんなぁ……」

魔王「そのままがいいのだよ」

遊び人「勇者をここに呼んで、どうするつもりなの?勇者も幼女化しちゃえばいいじゃない」

魔王「それではダメなのだよ……勇者は必要なのだ」

遊び人「何故?」

魔王「何故?そんなもの簡単だ。全ての人間を幼女化してしまえば誰が種をまくのだ?」

遊び人「……まさか!?」

魔王「ここまでたどり着けるとなれば相当な能力を備えた勇者であることが証明される」

盗賊「……?」

魔王「その高等な種を残し、増やすために勇者は勇者のままでいなくてはならん。我ではお前たちを孕ますことはできんからなぁ」

遊び人「……魔王……あなた……狂ってる……」

魔王「ははは……私は世界のことを常に考えているのだ」

盗賊「それって、つまり……わたしも勇者と結婚?」

魔王「そして幼女、少女から生まれた勇者の子孫が種をまき、新たな子孫を繁栄していく」

遊び人「……なんてこと」

魔王「そして残るのは幼女と少女、そして優性種族の勇者、そして選ばれし魔族のみ!!これが私の理想郷だ!!!」

遊び人「勇者がそんな計画に賛同するとでも……?」

魔王「するな。そのための伏線はちゃんと張ってある」

遊び人「まさか……私たちを小さくしたのは!?!」

魔王「その通り。幼女や少女に長期間囲まれた者が目覚めないわけがないからな」

遊び人「外道……!!!」

魔王「ふはははははは!!!!私の計画は完璧なのだよ!!!むふふふふふ!!!!」

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