勇者「女魔王との結婚生活」 2/7

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――…夕方

女魔王「戻ったぞ」ツヤツヤ

勇者「おっ、スライム分は補給出来たみたいだな」ヨイショ

女魔王「ああ、心が満たされるというのはこういう事だったのだな」ハァ

勇者「今度からは、定期的にこっちにも来ようか」

女魔王「本当か!?」

勇者「ああ。スライム分を摂取したらいつまが美人なお前が更に綺麗になったからな、亭主としては嬉しい限りだよ」

女魔王「そうか……」

女魔王「褒め称えられるのは慣れているが…」

女魔王「勇者、貴様に言われるととても嬉しい気分だ」ニコ

勇者「お前は自分に正直だな……」ナデ

女魔王「ああ、我は我だからな」たゆん

勇者「うん、なんか良いお母さんになれる気がするよ」

女魔王「?」

【勇者宅】

ガチャッ

勇者「ただいまー」

女魔王「ただいま」

女魔王「……不思議だな」

勇者「?」

女魔王「人間領に戻ってくる時は故郷が惜しく感じたのだが…」

女魔王「ここに帰ってきて、中に入れば安心感に似たものを感じる」フゥ

勇者「ここは俺とお前の家だからな」ニコ

女魔王「そうだな」フッ

勇者「……そうだ」

女魔王「?」

勇者「三人の家になるという提案があるのだが」

女魔王「……ほう、詳しい話を聞こうか」

勇者「いや、そう神妙な表情で聞かれても言いづらいんだが」ハァ

勇者「魔王さえよければ、子作りをしたいと思っている」

女魔王「こ、子作りか」

勇者「嫌か?」

女魔王「……いや、もちろん時期が来れば自然とそういう話になると覚悟していた」

女魔王「だが、なにぶん出産は初めてなものでな」

勇者「それ以前に行為もまだだからな……」

女魔王「ああ……それに…」

女魔王「……口付けすらしていない」

勇者「なんか、その一線はあるよな」

女魔王「我も、キスをしたそこから止まらなくなりそうで……」

勇者「……」

女魔王「あ、あまりじろじろ見るな」カァ

勇者「魔王」

女魔王「……う、うむ」

ヒョイッ

女魔王「ひゃっ」

勇者「……このまま連れていく」

ギシ…

勇者「……」

女魔王「……」

勇者「……いくぞ」

女魔王「……」コク

勇者「……」ソ~

女魔王「……っ」

チュッ

女魔王「……もう一回」

……チュッ

女魔王「……もう少し長く…」カァ

チュッ… チュパ

女魔王「……」ドキ

女魔王「んっ」ガバッ

勇者「っ?」

女魔王「言ったであろう? 口付けをしたら止まる自信が無いと……」カアァ

チュッ… レロ… ンッ

女魔王「……ん……ぁ…」トロン…

チュッ… チュパ… チュパレロ…

女魔王「んっ……」

女魔王「……んむ…」チュッチュッ

女魔王「ぁ……らぁ」チュパ…レロ

女魔王「…………ぷはぁ」トロン

女魔王「……はぁっ、はぁ」

女魔王「気持ち良いものだな……これは癖になりそうだ」フフ

女魔王「? ああ」クス

女魔王「まずは服の上から触ってみてはどうだ?」

女魔王「そうだ……満足させてもらうぞ」

女魔王「ぁ……あな、た」テレ

女魔王「う、うるさいっ」カアァ

女魔王「……その前に…」

女魔王「……もう一度、口付けを…してほしいのだ」ドキ

チュン…チュン…

勇者「……ん…」

勇者「朝……か」

女魔王「起きたか」

勇者「ああ……そっちこそ、昨日は」

女魔王「……」カアァ

勇者「いや、恥ずかしがることなんてないぞ」

勇者「魔王も女だからな……可愛い声で甘えたセリフを… 女魔王「だまれっ!」

ポスッ

勇者「枕投げとは……一晩で攻撃もカワイイものになったなあ」

勇者「どうしてシーツで身体を隠すんだ?」

女魔王「…………う、うるさい」カァ

勇者「その……なんだ…」

勇者「……可愛かったぞ、本当」

女魔王「だまれだまれだまれ~っ!」カアァッ

――…【王都】

女魔王「さあ、今日は好きなものを買うぞっ」ルンルン

勇者「元気だな……俺は昨日の今日で未だに疲れが残ってるぞ……」

女魔王「だらしがない。それでも我と対等にやり合った勇者か」

勇者「昨日は勝ち越したはずだけどな……」

女魔王「せ、戦闘の話だたわけっ!」アセ

『……あれ? こんなところにいるなんて珍しいですね』

女魔王「この甘ったるい声は……」

女賢者「どうもお久しぶりです」ニコ

女魔王「ああ、久しぶりだな」

ギュッ

勇者「元気そうだな、賢者」ヨッ

ギュッ

女賢者「なっ……ナチュラルに腕組み……前はそんな事してなかったのに…」ハッ

女賢者「……もしかして……」ワナ

女魔王「勇者、アイアンタートルのエキスなんて飲んだらどうなるんだろうな」ニコ

女賢者「っ!」ムゥ

女賢者「う、うらやましい……」

女魔王「まあ、我を腰砕けに出来るのは勇者くらいのものだろう」

女賢者「ちなみに……」

女魔王「?」

女賢者「一晩で何ラウンドほど……」ピキピキ

女魔王「これくらいだろうか?」

スッ

勇者「2? いや、3くらいじゃないか」

女賢者「三回? ま、まあ、平均じゃないかしら……?? よくわからないけど」

女魔王「三回? なにを言っておる」

女魔王「200回はカタいと言っているだろう」たゆん

女賢者「にひゃっ……3百って……」タラ

女賢者「さ、さすが勇者様……というかどちらも凄いですね、もう、本当」ハァ

勇者「当分は良いです」ゲソ

女魔王「さぁエキスは買ったぞ」ツヤツヤ

女賢者「もう……これで勇者様が早死になんてしたらアナタのせいですからね」プンスカ

女魔王「早死に? そういえば人間の寿命はどれくらいなのだ?」

勇者「そうだなあ」

女魔王「1000年くらいか? 勇者ならもう少し上??」

勇者「いまの時代で平均寿命が60だから……」

女魔王「?」

女魔王「60……万年? そこまでゆくと冗談も面白みが褪せるぞ」ハァ

女賢者「なにを言っているんですか?」

女賢者「人間の寿命はどんなに頑張っても100以上にはなりません」

女魔王「ぇ……」

勇者「俺は長生きする自信があるから……今から50年は生きられるな」

女魔王「…………え?」

勇者「50年かぁ……まだ想像出来ないな」ウーム

女魔王「桁がいくつか違うようだが……」

女賢者「お二人の300回戦とはワケが違うんです」ハァ

女魔王「50年……しか生きる事が出来ないのか?」

勇者「ああ」

女魔王「それは病が原因なら我が治療法を……」

勇者「老衰だ。健康でも100まで身体がもたない」

女魔王「…………本当、か?」

勇者「……ああ」

女魔王「どうしてだ?」

勇者「どうしてって……寿命は変えられな… 女魔王「ちがう」

女魔王「どうして、残りの刹那に等しい僅か50年を我と過ごす」

勇者「それは……」

女魔王「今から家に帰ろう、勇者」

勇者「……」

女魔王「ほんの50年なら、どこにも出かけずお前と二人で……」

勇者「……」

ポンッ

女魔王「……ひっく」グスッ

勇者「大戦でも弱音一つ吐かない魔王が泣くなよ……」

女魔王「だって……だって」ヒック

女魔王「……」

ギュ

勇者「……わるい、賢者。今日はここらで帰る」

女賢者「はい……」

勇者「行くぞ、魔王」

女魔王「……」コク

ルーーーーーーーーーバシューンーーーーーーーーーーーーーラ

女賢者「行っちゃった……」

女賢者「残り50年、かあ」

女賢者「どうにかしてあげられないかな……」

女賢者「いやっ、それは決してあの女(ひと)のタメではなく、勇者のタメであって……」

女賢者「……当たり前だけど…」

女賢者「……泣くんだ…魔王でも」フゥ

ガチャッ

勇者「ただいま」

女魔王「……」

勇者「そういえば、魔王の寿命はどのくらいなんだ?」

女魔王「わからない……1万やそこらではきかないが…」

女魔王「……寿命が来るまえに死んでしまうからな」

勇者「どうしてだ?」

女魔王「先代も、これまでも……魔王は勇者に倒されるまでが寿命なのだ」

勇者「それは……すまないな」

女魔王「気にするな……その一人に負けるまで、何百、何千の勇者を屠っておる」

勇者「そうか……やっぱり強いな、魔王は」

女魔王「貴様も強い」

女魔王「我と同等に戦い、打ち負かす可能性を秘めた者の寿命が両手で数えるより少ないとは……」

勇者「指一本10年計算か、さすが魔王様だ。ふつう人間は一本をそのまま1として数えるんだ」

女魔王「スケールの違いだ……」

勇者「そういうものかな」ハハ

女魔王「我は……」

勇者「?」

女魔王「我はどうすればよい」ウル

女魔王「今から貴様になにをしてやれるのだ」ホロッ

勇者「……うーん」

勇者「じゃあなぜ俺はお前にプロポーズしたでしょうか」

女魔王「それは……戦いの最中に、お互い感じるものが…」

勇者「ちがう、まだ前だ」

女魔王「我の先制攻撃が華麗だったから?」

勇者「まだ前だな」

女魔王「戦闘前の口上が素晴らしかったから……?」

勇者「さっきから、随分自信があるんだな」クス

勇者「……その前だ」

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