勇者「みんなで幸せになろう」 4/10

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少女「あたしは、盗賊だ!」

戦士「あ?」

僧侶「盗賊?」

盗賊「あのカンダダって奴を追ってきた!」

魔法使い「どうして?」

盗賊「あいつは、あたしの大切な物を奪ったんだ」

勇者「あらやだ、エロい」

戦士「時々お前みたいな奴がが勇者なんだなって不安になるよ俺は」

勇者「なんで?」

戦士「自分の胸に聞けよ」

盗賊「親の形見のペンダントだ! それを盗まれた!」

魔法使い「そうなの。ご両親は亡くなったの?」

盗賊「わからない。どこかにいる……かもしれない。あたしを捨てて、どこかへ行った」

勇者「ひどい親だな」

盗賊「うるさい!」

勇者「な、なんだよ」

盗賊「あたしはずっと一人で生きてきた! 物を盗んで、食べて、汚く生きてきた! 親だけがあたしの希望なんだ!」

勇者「……悪かった」

盗賊「もうほっといてよ!」

魔法使い「……」

戦士「どうする?」

勇者「うーん」

盗賊「プリンはやくちょうだい! 食べたらもう行く」

魔法使い「……」

勇者「魔法使い?」

魔法使い「勇者様、わたし、この子を旅に連れて行きたいです」

勇者「どうして?」

魔法使い「……可愛いから」

盗賊「なッ! 誰が川井だ! あたしは盗賊だ!」

勇者「可愛いって言ったんだよ」

盗賊「か、河合でもないぞ! 盗賊だ!」

戦士「俺、なんとなくコイツの性格がわかった」

勇者「似てるからだろ」

戦士「誰がだよ」

僧侶「くすくす」

魔法使い「一緒に、行かない?」

盗賊「あ、あたしはこんなに、汚いんだぞ!」

魔法使い「一緒にお風呂に入ろう、ね?」

盗賊「いやだ! うるさい! いかないぞ! あたしはずっと一人なんだ!」

僧侶「プリン、あげますよ?」

盗賊「行く!」

勇者「単純だ」

魔法使い「可愛いなあ」

盗賊「か、Cawaii!なんて知らないぞ! あたしはそんなファッション雑誌読んだことなんか――」

戦士「どこから突っ込めば」

勇者「だからエロいって」

魔法使い「……」

僧侶「……魔法使いさん」

魔法使い「はい」

魔法使いは 勇者の くびすじに どくばりを つきさした!

勇者「がはっ!」

勇者は たおれてしまった

盗賊「なにやってんの?」

戦士「薄々気付いてたが、こいつ変態だ」

僧侶「こわい」

魔法使い「……まったく」

さーびす たいむ!

魔法使いは 勇者を ひざまくらした!

勇者に ひざまくらかな?

ひざまくら されたことないから ひょうげんが わからない!

ちくしょー!

魔法使い「起きるまで待ちましょうか」

盗賊「めんどくさいやつだなー」

僧侶「くすくす」

とうぞくが なかまになった!

たびのなかまが ふえ みんな よろこんだ!

しかし――

それはどうじに

なかまとの

わかれのあいず

でもあった!

戦士「……」

せんしは ひとり なにかをおもい とおいそらを あおいでいた――

【早朝、宿屋にて】

戦士「俺はここで抜けさせてもらう」

勇者「は?」

魔法使い「え?」

とある町にたどりついた 勇者たち そこでつげられた しょうげきのことば!

勇者「なにいってんだ?」

魔法使い「そうですよ。なにを――」

戦士「なにも、聞かないでくれ」

勇者「そうはいくかよ。とにかく僧侶と盗賊を――」

戦士「やめろ!」

勇者「な、なんで?」

戦士「盗賊はともかく、僧侶は起こすな」

魔法使い「なぜ? それすら教えてはくれないのですか?」

戦士「あいつは、俺に依存してるから。俺がいないとダメだから」

勇者「だったらお前がいないと」

戦士「それは違う。戦いなんて、誰がいつ死ぬかわからないだろう? だから――」

勇者の こうげき!

戦士は なぐられ ふっとんだ!

魔法使い「ゆ、勇者さま!」

勇者「ちゃんと説明しろよ。意味がわからん」

戦士「お、お前が」

勇者「あ?」

戦士「お前が、メラゾーマをよけなかったから」

勇者「は?」

戦士「あんな雑魚が放つわけわからんメラゾーマ。よけれたはずだろ? なぜよけなかった?」

勇者「それは……」

戦士「言ってやろうか? もしお前がアレをよけたら、あの村の墓がめちゃくちゃになったからだ」

勇者「ッ!」

戦士「だから――」

勇者「それがなんの関係がある!」

戦士「俺は! あの村が大切なんだ!」

勇者「……」

戦士「諦めてたんだ、俺。一度滅んだ村は再建できないって。でも、そんな村をお前は守ってくれた。だから俺も」

勇者「魔王はどうすんだ? お前がアッサリ片付けるんじゃないのか?」

戦士「村を滅ぼした魔王が憎いから、そう決めてた。だけどお前を見てると、な」

勇者「……なんだよ」

戦士「なにかを、誰かを、守るのも悪くないなって思った」

勇者「……」

戦士「頼むよ、勇者。誰かを憎むんじゃなく、誰かを守る道を俺は選びたい」

魔法使い「勇者様」

勇者「…………わかったよ」

戦士「ありがとう、勇者。次にお前が来る時は、ピカピカにしておいてやるよ」

勇者「……期待、しとく」

魔法使い「でも僧侶ちゃんが」

戦士「そうだ。それがもう一つの頼みだ」

勇者「頼み?」

戦士「俺から離れた僧侶を、お前が一人前にしてやってくれ」

勇者「なんで?」

戦士「この先、もしも俺が死んだとしたら、その時は僧侶も死ぬだろう。そんなんじゃ駄目なんだ」

勇者「重いな」

戦士「たのむ」

勇者「……わかった」

戦士「ありがとう」

勇者「お前がしおらしいのは気持ち悪い」

魔法使い「くす」

戦士「相変わらずひでーな」

勇者「もういいよさっさと行けよバカ」

戦士「はいはい」

戦士は 宿屋のとびらを ゆっくりと ひらいた

戦士「また、な」

勇者「……ああ」

そして とびらは とじられた

魔法使い「……いっちゃいましたね」

勇者「……ふん」

魔法使い「僧侶ちゃんにはどう説明しましょう?」

勇者「そうだなあ」

勇者と 魔法使いが かんがえている そのはいご

だれのしかいにも はいらない ものかげに

僧侶「……」

僧侶の すがたがあった

僧侶「……ひ……ひぐっ……え……んっ……」

僧侶は ものかげにかくれ こえをころして ないた

ながしたなみだは せんしとの おもいでのかずだけ

僧侶「おはようございますー」

盗賊「……ねむい」

勇者「お、おはよう」

魔法使い「そ、僧侶ちゃんおはよう。あの、あの」

勇者「いい、俺が話す。あのな僧侶、落ち着いて聞いてくれ。戦士がだな――」

僧侶「戦士? 誰ですかそれは?」

勇者「え?」

魔法使い「え?」

僧侶「そんな人のこと、私は、し、知りません。はやくいきましょう」

勇者「あ、ああ」

かいわもなく わかれたふたり

そのわかれをとおして 僧侶はすこし つよくなった!

盗賊「……ねむい」

たびは どんどんと かこくになってゆく

【とある洞窟にて】

がいこつけんしAがあらわれた!

がいこつけんしBがあらわれた!

勇者「まずいな、MPがもうない」

勇者のこうげき!

がいこつけんしAに 67のダメージ!

勇者「僧侶! 魔法使いにスカラだ!」

僧侶「はい!」

僧侶は スカラのじゅもんを となえた!

魔法使いの 守備力があがった!

がいこつけんしBの こうげき!

魔法使いに 51のダメージ!

魔法使い「くっ」

勇者「守備力上げてもそんなにか」

僧侶「……負けません!」

僧侶の こうげき!

がいこつけんしBに 270のダメージ!

がいこつけんしBを やっつけた!

勇者「俺よりつよっ」

僧侶「負けられません! バカなどこかの誰かさんにビンタしてやるまでは、負けられません!」

勇者「……ああ、そうだな!」

盗賊「よいしょ」

盗賊の こうげき!

盗賊は がいこつけんしAの かんせつを ぬいた

がいこつけんしAは くずれさった

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