勇者「みんなで幸せになろう」 7/10

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【日が暮れて】

戦士「落ち着いたかよ?」

勇者「ああ」

戦士「どんだけ殴らせるんだ。手が痛い」

勇者「ごめんな」

戦士「もう、殺してくれとか情けないこと言うなよ?」

勇者「ああ」

戦士「よし、じゃあ行くぞ!」

勇者「……どこに?」

戦士は にやりとわらって じめんを ぽんぽんと ふんだ

戦士「この下」

勇者「は?」

戦士「でっかい穴がどっかにあって、飛び込んだ先に別の世界が広がってる。そこにも、魔王がいる」

勇者「ほんとに? なんで知ってんの?」

戦士「色々調べたんだ。倒すぞ、そいつを」

勇者「なんで?」

戦士「なんでって、魔王がいなかったら僧侶は死なずに済んだ」

勇者「でも、バラモスとは違うんだろ?」

戦士「細かい事情は知らん。知りたくもない。けどな、勇者」

勇者「なに?」

戦士「俺は、魔王が気に入らない。それだけだ」

勇者「わかりやすいな」

戦士「一緒に行ってくれるか?」

勇者「もちろん」

戦士「じゃ、行くか」

勇者「二人だけで?」

戦士「一人で充分だがな」

勇者「言ってろ。行くぞ」

戦士「ああ」

勇者と 戦士

ふたりのたび

戦士「あ、その前に」

勇者「ん?」

戦士「ダーマ神殿に寄るぞ」

勇者「?」

そして さいごのたびが はじまった!

もうちょっとだけ つづくんじゃ!

【ダーマ神殿】

神父「転職したいのか?」

戦士「ああ」

勇者「転職?」

戦士「ちょっと黙ってろ」

神父「なんの職業に?」

戦士「賢者だ」

神父「は?」

勇者「は?」

戦士「賢者にしてくれ」

神父「さとりのしょ、は?」

戦士「なんだそれ」

神父「賢者になるために必要なアイテムじゃ」

戦士「どこにある?」

神父「どっかの塔」

戦士「知ってるか?」

勇者「いろんなものをすっとばしたから知らないな」

戦士「おい、魔王を倒した勇者様が知らないって言ってるぞ? そんなアイテム無いんだろ? 嘘つくなハゲ」

神父「なっ!」

勇者「おいおい」

戦士「なあ頼むよ、俺、どうしても賢者になりたいんだ。頼むよ、じいさん」

神父「……仕方がないのう。もう魔王もいないし。いいか」

戦士「やった!」

勇者「ごり押しだ」

神父「では戦士よ、賢者の――」

戦士「そういうのはいい。変身すりゃいいんだろ」

神父「むぅ、わしの楽しみを奪うとは……それっ」

とつじょ 戦士のからだが ひかりつつまれ

戦士「お?」

戦士は

戦者「おおお?」

賢者になった!

賢者「よっしゃあああああ!」

勇者「むさっくるしいのが美青年になった! 転職こわい」

賢者「ありがとなハゲ!」

神父「は、はははハゲちゃうわ! 剃ってんねん!」

賢者「そりゃ悪かった。ほんとありがとな!」

神父「ほ、ほんとだよ! ほんとに、ほんとに剃ってるんだからねっ!」

勇者「なにがどうしてそんなキャラ」

賢者「行こう」

勇者「あ、うん」

勇者と 戦士 あらため 賢者は ダーマしんでんを あとにした

【どこかの大穴】

勇者「なんだこれ」

賢者「この下にいるんだ。憎たらしい魔王がさ」

勇者「そうか」

賢者「あ、そうだ!」

勇者「ん?」

賢者「その、僧侶をだな、刺した……盗賊のナイフは、どこにある?」

勇者「ここに」

賢者「かせ」

賢者は 勇者の てから らんぼうに 盗賊のナイフを もぎとった

賢者「俺の武器はこれでいい」

勇者「盗賊向けの武器だぞ。軽いが弱いぞ」

賢者「いいんだ。戦士の強さに、僧侶と魔法使いの心。そして盗賊のナイフだ。どんな敵にも負けはしない」

勇者「それで賢者になりたかったのか。あー、あのさ、盗賊を、責めないでくれよ?」

賢者「わかってるよ。盗賊はなにもわるくない。悪いのは不細工なくそったれだ」

勇者「そっか。前から思ってたけど」

賢者「ん?」

勇者「お前ってロマンチストだよ」

賢者「はっ、良い仲間に囲まれたお前はしあわせものだ。ばーか」

勇者「言ってろ。行くぞ」

賢者「ああ」

勇者と 賢者は 大穴に とびこんだ!

【アレフガルド】

勇者「なんだ、ここ」

賢者「暗いな」

勇者「城がある」

賢者「行ってみるか」

勇者と 賢者は しろにむかって あるきだした

そのあいだに たくさんの まものをたおし

賢者のレベルが ぐーーんとあがった!

【ラダトーム】

ラルス「何者だ?」

賢者「そっちこそ」

ラルス「余はラダトームの王、ラルスである」

勇者「勇者です」

ラルス「勇者とな!?」

勇者「え、はい」

ラルス「勇者とな!?」

勇者「な、なに?」

ラルス「言いたかっただけ。二回も言ってやったもんねー!」

勇者「なんなのこの王様」

賢者「魔王倒したいんだけど」

ラルス「ゾーマのことか、町を出ると見える島におる」

勇者「すっとばすか。駆け足で」

賢者「そうだな、アイテム集めるのめんどくさいし、サクサクいきたい」

勇者「行ってきます!」

ラルス「お、おい。ゾーマにはこの光のたまを――行っちゃった」

なぜか ラルス王が ひかりのたまを もっていた!

しかし 勇者と賢者は それにきづかなかった

ちめいてきな ミス!

【外】

勇者「あそこかー」

賢者「橋がないじゃないか」

勇者「なんかアイテムがいるんだろう」

賢者「とりに行く?」

勇者「やだ」

賢者「なら、どうする?」

勇者「………………泳ごうか」

賢者「えっ」

勇者「ほら、行くぞ」

賢者「ええええええええ!?」

勇者と 賢者は

ゾーマのしろまで

なんと およいでいった!

だれかさん みたいに!

【ゾーマの城】

勇者「着いた」

賢者「が……は……死ぬかと思った」

勇者「余裕だろ」

賢者「お前なんかおかしいな」

勇者「バラモス倒してから覚醒した気がする」

賢者「頼もしい限りだな」

勇者「行くぞ」

賢者「はいはい」

勇者と 賢者は

ゾーマのしろに 乗り込んだ!

【城内】

賢者「敵がウヨウヨだ」

勇者「そういやギガデイン覚えたんだ」

賢者「すげーな」

勇者「試し打ち。ギガデイン!」

勇者は ギガデインのじゅもんを となえた!

どこかの敵をやっつけた!

勇者「一撃だ」

賢者「ぽぽーんとやっつけよう」

勇者「盗賊みたいなこと言ってるぞ」

賢者「あいつ可愛かったから、悪い気はしないな」

勇者「変態かよ」

賢者「お前に言われたくない」

などと ざつだんを しながら

勇者と 賢者は てきを なぎたおしていった!

そして――

勇者「あれ、誰かいる」

勇者の まえには はんらの だれかさんがいた!

賢者「変態かよ」

だれかさんは つよそうなまものと たたかっている!

勇者「助けよう」

賢者「ああ」

だれかさんは たおれた!

勇者「あっ」

賢者「あっ」

????「な、なんだ。そこに誰かいるのか?」

勇者「大丈夫ですか?」

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