賢者「だから邪魔すんなハゲ!」
やはり 勇者は つきとばされてしまった!
勇者「な、なんなんだよお前は」
ゾーマ「あれあれー? 仲間割れかなー?」
賢者「いてぇいてぇ」
こうげきを くらいながらも 賢者は ゾーマに ちかづく
ゾーマ「ちょっと、さすがに気持ち悪いんですけど」
ゾーマの こうげき!
しかし 賢者は たえた!
ゾーマ「体力どんだけあんの?」
じょじょに じょじょに 賢者は ゾーマに 近付く
ゾーマ「あああ! 気持ち悪い!」
ゾーマが てをかざすと 賢者の みぎうでが ふきとんだ!
賢者「がああああッッッ! いてぇなああああちくしょおおおおがああああ!」
ゾーマ「こわいこわいこわいこわい!」
賢者「なあ勇者!」
勇者「なんだよ、どうしたんだよお前」
賢者「良いもんやる」
勇者「え?」
賢者は フバーハのじゅもんを となえた!
賢者は スカラのじゅもんを となえた!
賢者は ベホマのじゅもんを となえた!
賢者「大好きな相棒、僧侶がいて」
賢者は バイキルトのじゅもんを となえた!
賢者「優しい魔法使いがいて、それから――」
賢者は 盗賊のナイフを 勇者に なげわたした!
賢者「もっと多くの人に愛されるはずだった盗賊がいた」
勇者「お前、なにをする気だ!」
賢者「白状すると、俺さ、魔王なんかどうでもいいんだ」
勇者「え?」
賢者「駆け足でさ、光の玉? だっけ? もとらず、サクサクとクソ魔王様の所まで来たけどさ」
賢者は ゾーマの すぐめのまえまで きた!
賢者「僧侶はさ、バラバラになったんだっけ?」
勇者「あ、ああ」
賢者「俺がやりたいのは、一つだ」
賢者は にやにやと わらっている
賢者「俺も、バラバラになろうかなー、なーんて」
勇者「――まさかっ!」
ゾーマ「バラバラになって消し飛んじゃえば生き返らないの? ヒントをありがとう! もう殺す!」
勇者「ちぃッッッ!」
勇者の こうげき!
ゾーマ「遅い遅い」
しかし はじかれてしまった
ゾーマ「そうだ、あんたからにしよう。あんたはつまんないからもういいよ」
ゾーマは 勇者にてをかざし――
賢者「そうそう、これも一回やってみたかった」
賢者が 勇者を かばった!
勇者「――なッ」
賢者「勇者、みんながお前の事を見てるんだぞ。カッコ悪い事、するなよ」
勇者「け、賢者!?」
ゾーマ「死ねえええええええ!!」
賢者「おせえよ! バラバラには、自分からなってやるよ!」
賢者は ゾーマの ふところにもぐりこみ
賢者「メガンテ!!!!」
メガンテの じゅもんを となえた!
賢者は くだけちった!
そして――
ゾーマ「ぎゃああああ!!」
ゾーマの やみのころもが はがれおちた!
勇者「……なに、やってんの?」
ゾーマ「ちくしょおおおお! 許さねぇ! 絶対許してなんかやらねぇ!」
ゾーマの こうげき!
勇者に 17のダメージ!
勇者「なにそれ」
ゾーマ「はああああああああああ? なんでそんな堅いんだよクソが!」
勇者「お前が弱ったんだろうが」
ゾーマ「やみのころもが無くたって! 勇者の一人や二人」
勇者の こうげき!
ゾーマに 823のダメージ!
ゾーマ「ぎゃあ!」
勇者「どいつもこいつも俺を置いて死んでいった!」
勇者の こうげき!
ゾーマに 718のダメージ!
勇者「俺が望む世界は、みんなで幸せになる世界だ!」
勇者の こうげき!
ゾーマに 987のダメージ!
ゾーマ「あ……ああ……あ」
勇者「なあゾーマ? 知ってるか?」
ゾーマ「……な……に」
勇者「俺はバラモスを、一撃で倒した」
ゾーマ「……は?」
勇者「魔王をだ。ありえないだろう? なんでだと思う?」
ゾーマ「知るか!」
ゾーマの こうげき!
勇者に 1のダメージ!
勇者「わからないだろうなあ。仲間の大切さを、失った時の悲しみを。お前はなんにも知らないだろう」
ゾーマの こうげき!
勇者は ダメージを うけなかった!
ゾーマ「なんなんだ、なんなんだお前は」
勇者「勇者、なんだってさ」
勇者の こうげき!
ゾーマに 941のダメージ!
ゾーマ「が……」
勇者「勇者ってなんなのか、余計わかんなくなったけどね」
勇者の こうげき!
ゾーマの からだを まっぷたつに ひきさいた!
ゾーマを やっつけた!
勇者「……賢者がいなけりゃ、勝てなかったなあ。いや、いなくならなけりゃ……か」
勇者「仲間が死なないと強くなれないんだってさ。とんだ勇者様だ」
――あーあ。
さいごに そうつぶやいて
勇者は ゾーマのしろを あとにした
【ラダトーム】
ラルス「よくやった! そなたに勇者ロトの称号を――」
国民「勇者様バンザーイ! バンザーイ!」
勇者「……あーあ。明るいとこんなに綺麗な町なのか」
勇者は どこかを さまよい あるく
勇者「アリアハンにも帰れないんだって……寂しいなあ」
そして
みんなが
しあわそうなえがおをうかべる
そんなラダトームから
勇者は すがたを けした
みんなでしあわせになる せかい
かれがのぞむせかいは
さいごまで
かなうことなく
とだえてしまった
こうして
勇者の
ながいながいたびは
ほんとうに
おわりをつげた――
――と おもいきや
【天上界】
勇者「来ちゃった! ていうか、来れちゃった!」
勇者は 天上界に いた!
勇者「ゾーマ倒したら空飛べるようになったよ俺。もう人間じゃないだろ」
勇者「ここに、なにか強い奴がいるんだよな?」
勇者は 天上界を ねりあるいた!
勇者「魔物しかいない。弱いからいいけど――あっ!」
そのとき 勇者は そらをかける トカゲを 見つけた!
勇者「あいつっぽいな! おーい!」
??「ん?」
トカゲは そらをとぶ にんげんを みつけた!
??「なんだあいつこわい」
勇者「こんにちは! 俺、勇者!」
??「な、なんのようだ」
勇者「ここに、強い奴がいるって聞いて」
??「そうか、それは私のことだ」
勇者「あんた誰?」
??「私はしんりゅう。なんでもできる凄い竜だ」
勇者「なんでも? 願いを叶えることは?」
神竜「できるぞ」
勇者「しぇんろん!」
神竜「?」
勇者「なんでもない。じゃあ、願いを叶えて」
神竜「よかろう。私が倒せたら――」
ぽかっ!
勇者は げんこつで しんりゅうを なぐった!
しんりゅうは きぜつ した!
勇者「あっ! なんか俺めちゃくちゃ強くなったんだ」
※
神竜「うぅ……」
勇者「おはよう。さ、願いを叶えて」
神竜「私を一撃で倒すとは、さすがは勇者だな。よかろう。願いを言え」
勇者「仲――」
神竜「具体的には、このどちらかで頼む」
・オルテガをいきかえらせて!
・エッチなほんをちょうだい!
勇者「」
神竜「さ、願いを言え」
勇者「おいこら延長コード」
神竜「えんちょっ……なん、なんだって?」
勇者「親父はまだしもエッチなほんってなんだ。尻にどくばり刺してやろうか」
神竜「いやだこわい」
勇者「仲間を生き返らせてくれ」
神竜「仲間?」
勇者「賢者、魔法使い、僧侶、盗賊の四人だ」
神竜「なぜ?」
勇者「仲間だからだ」
神竜「では、お前の仲間ではない、魔物に殺された者達はどうなる?」
勇者「じゃあみんな生き返らせて」
神竜「それは無理だ」
勇者「じゅあ仲間を生き返らせることはできるんだな! やってくれ!」
神竜「ダメだ」
勇者「なんでさ」
神竜「命とは、個人の感情で操って――」
勇者「あーうるさいうるさい! いいからやれよ! 俺は勇者だぞ!」
神竜「……お前にとって、勇者とはなんだ?」
勇者「……」
神竜「どうした?」
勇者「仲間が死んで俺が強くなった時から、おかしかったんだ。今じゃ空も飛べる」
神竜「ん?」
勇者「なあ神竜? きっとさ、勇者って死なないんだろう?」
神竜「……」
勇者「なにがあったって、最後には魔王を倒せるって仕組みなんだろ?」