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魔王「世界の半分をお前にやろう」側近「全部ください」 5/9

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―――夜

魔法使い「う……ん……側近……むにゃむにゃ」

側近「おい、起きろ」

グイッ

魔法使い「え?」

魔法使い「ええ!?な、なんで側近があたしに馬乗りに……///」

側近「大声を出すな!」

魔法使い「で……でも……こんなのまだ……変だよ」

側近「お前のほうが変だと思うんだがな……」

僧侶「んーっ!んーっ!」

ガタガタッ

側近「猿轡してベッドに縛り付けるとは……」

魔法使い「だってあの子逃げるし……」

側近「魔法使い……」

魔法使い「だ、だめだよ。僧侶が見てる……///」

側近「何を言ってる。早く起きろ。敵だ」

魔法使い「へ?」

側近「こんな町の民間人を襲ってくるとは思わなかった……いったいどうしたことだ」

魔法使い「魔物!?」

側近「ああ。勇者が住民を避難させている。早く僧侶も自由にしていくぞ」

魔法使い「う、うん……でも」

側近「どうした?はやく着替えろ」

魔法使い「着替えるから出てって!」

ドンッ

ゴブリンA「ギャハハハハ!殺せ殺せー!」

ゴブリンB「女は犯せ!ハハハハハー!」

勇者「側近!来たか!ん?どうした?その顔の手形は」

側近「なんでもない」

魔法使い「ふんっ!」

僧侶「あわわわわ」

側近「数はたいしたことないようだが……あの印は……正規軍?なぜこんな単独行動を……」

ゴブリンC「ヒャハハハハハ!魔王様はおっしゃった!好きに殺していいってな!」

側近「なっ……」

ゴブリンD「ギャハハハハ!魔王様はおっしゃった!好きに奪っていいってな!」

側近「軍規はどうしたのだ……いったい魔王軍に何が……」

ゴブリンE「魔王様はおっしゃった!人間を殺して側近を助け出せとな!」

側近「なっ……」

―――数日前魔王城

魔王「なぁスラリン」

スライム「ピ?」

魔王「なんで側近はいなくなってしまったのだろう」

スライム「?」

プルプル

魔王「会いたいなぁ。どうしてるかなぁ」

ツンツンッ

スライム「ピキー」

ピョンピョンッ

魔王「あ、こらっ」

タタタッ

「……で……らしい」

「なんだと……」

魔王「また会議か」

風「なんだと!まだ側近殿はみつからないのか!」

炎「ああ、魔界中を探したがどこにもいない」

水「まさか……人間界に……」

炎「それしか考えられまい」

土「捕まっちまったんすかねー。側近殿も腕力はチョロイっすからねー」

風「側近殿をディスんなっつってんだろがー!おお!」

グイッ

水「もしや、最近の人間達の活動は側近殿が捕まったせいで……」

土「拷問にかけられてるとか?」

風「側近殿が拷問程度でゲロるわけねーだろ!」

炎「まぁ待て、あくまでも想像に過ぎない。調査範囲を……」

バタンッ

魔王「……」

炎「魔王……様?」

魔王「側近が……拷問?捕まった?」

炎「そんな事実はありません!」

魔王「嘘だ!今話していた!」

スライム「ピキー?」

フルフル

炎「ほらっ、スラリン殿が呼んでいますぞ」

魔王「黙れ!」

ドガッ

炎「がはぁ!」

魔王「側近は私が助ける!」

風「側近殿がそんな失敗するわけねーだろ!一度も失敗なんてみたことねーよ!」

魔王「失敗は……ある」

風「はぁ?何言ってんだ!」

魔王「失敗している!私の元を離れたことだ!」

風「てめぇでクビにしておいてなんだその言い草は!おおう!」

グイッ

魔王「うるさい!」

ドガッ

風「ぐっ……」

魔王「行くぞ!軍の元へ!」

ダダッ

土「ど、どうするっすか?」

水「とりあえず二人の手配を……あとは出来る限り統率を取っていくしか……」

土「やべぇっすね」

―――町

勇者「ふぅ……これで全部片付いたか」

僧侶「ふぅ」

キュッ

勇者「あのさ……いい加減後ろから離れてくれない?」

僧侶「あ、すみません、盾様」

勇者「今俺のこと盾って……」

僧侶「間違えました。勇者盾」

勇者「……」

魔法使い「ねぇ、さっき魔物が側近を助けるとかって……」

側近「民間人にまで手を出すなど……戦争にルールをやぶるか……」

ブツブツッ

魔法使い「ねぇ、ちょっと!」

側近「いったい将魔たちはどうしたのだ……しかも私を助ける?」

ブツブツッ

魔法使い「ねえちょっとってば!」

グイッ

側近「ああ……すまない」

タタッ

魔法使い「ど、どこいくのよ」

側近「魔物にやられた者たちの手当てをしないとな」

魔法使い「え……」

側近「困っている人は助けるのだろう?」

魔法使い「人違い?そっか……そうだよね」

タッ

魔法使い「ほらっ!勇者と僧侶もいくわよ!」

―――魔界

勇者「これは……」

魔法使い「酷い……みんな死んでるの?」

僧侶「キモいです!帰ります!」

ダッ

ガシッ

勇者「死んでるのはほとんど魔物か?」

側近「統率を失った軍隊の末路か……」

「ぐぐ……」

魔法使い「わっ」

勇者「生き残りか!?」

側近「お前は……」

炎の将魔「その声は……側近殿!うぐぐ……」

ガシャンガシャン

炎「ぐっ……もう目が見えませんが、その声は側近殿に間違いない……」

側近「何があったのだ」

炎「魔王様が……乱心されました……」

側近「なぜ……」

炎「あなたが人間に捕まったと言われ……強引に軍を動かし……」

炎「逆らったものは殺されました」

側近「なんと……」

炎「私も人間をけん制しつつ、魔王様を抑えようとしたのですが……力及ばず……もうしわけない……」

側近「なぜ魔王様は私なぞに執着するのだ……」

炎「分からないのですか?」

側近「ああ……」

炎「ふふっ、側近殿にも分からないことがあるとは」

側近「お前には分かるのか?」

炎「ええ。その困った姿……冥途の土産に……」

ガシャーン パラパラッ

側近「炎!おい!応えになっていないぞ!」

側近「勝手に言いたいことをいいおって……はっ!」

ズイッ

勇者「魔王の側近だって?」

側近「『元』だ。今は人間の軍師で戦士だ」

勇者「信用できるか!今だって敵と仲良く……」

側近「死に際の言葉を拾ってやっただけだ」

勇者「まったく口だけは回るやつだな」

ジャキンッ

魔法使い「ちょ!ちょっと!やめなさいよ!」

僧侶「今が逃げるチャンスです!」

ダダダッ

ピーン

僧侶「あいたっ!」

ドテッ

僧侶「ピ、ピアノ線……いつのまに……」

魔法使い「勇者、側近が今まで人間になにかした!?」

勇者「そ、それは……」

魔法使い「人を助けるために戦って守ってきたでしょう!私達は!」

勇者「そいつは王様の命令に従っているだけで……」

僧侶「ハサミかペンチ……ハサミかペンチはどこに……」

カシャカシャ

勇者「見ろ!僧侶だって教会の命令で来てるだけじゃないか」

魔法使い「それは否定しない」

僧侶「してくれないの!?」

魔法使い「でも側近は違う!」

側近「いや、私は国の命令で来ているにすぎない」

勇者「ほらっ、こんなやつ信用できるのか」

魔法使い「できるよ」

勇者「な、なんで……」

魔法使い「人を助けてる時の側近……うれしそうだったから」

勇者「はぁ?」

側近「そんなことは思っていない///」

魔法使い「あ、赤くなった!」

側近「赤くなってなどいない///」

魔法使い「照れてんの?ねぇ、照れてんの?」

側近「う、うるさい!」

魔法使い「ふふっ、これツンデレってやつだよね」

勇者「あーもう!いいや!爆発しろ!お前ら!」

側近「なんだ?爆発?私を殺したいのか?」

勇者「うっさい!バーカバーカ!」

僧侶「ペンチありました!」

バチンッ

勇者「ほらっ、僧侶いくぞ!」

ズルズルッ

僧侶「……」

魔法使い「さ、行きましょ」

側近「いいのか?」

魔法使い「いいに決まってるでしょ。仲間なんだから」

側近「仲間?私が?」

魔法使い「あたし達が、よ」

側近「私達が……」

魔法使い「さあ、あなたの元上司が暴れてるんでしょ。お灸をすえてあげましょ」

側近「ははは、魔王にお灸か。お前はなかなか面白いやつだな」

魔法使い「あ、笑った」

側近「?」

魔法使い「笑顔の方が……いいよ」

側近「ん?」

魔法使い「さぁ!い、いこっ!」

ギュッ

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