魔王「世界の半分をお前にやろう」側近「全部ください」 7/9

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勇者「お前に対して俺は今までも悪い印象しかなかったような気がするんだが……」

魔王「このお!」

ブンッ

僧侶「ほらっ!守ってくれるんですよね!」

勇者「当たり前だ!」

ギィーン

魔法使い「火炎魔法!」

ゴゴゥ

魔王「あうっ!」

勇者「おりゃああ!」

ドスッ

魔王「ううっ……ひ、酷いよ!寄ってたかって!卑怯だぞ!」

魔王「こっちは一人なのに!」

側近「一人ではなかったはずです」

魔王「なっ……」

側近「魔王様の部下達はどこに行きました?」

魔王「知らない……」

側近「こんな時に助けてくれるのを『仲間』と言うらしいですよ」

魔王「仲間?」

側近「それを教えて差し上げられなかったのは私の責任です」

魔王「うっ……うええええ……」

ボタボタッ

魔王「私は……ずっと一人だった……のか……ううっ……」

側近「さあ、お覚悟を」

魔王「わ、私を殺すのか……側近……ぐすっ……」

側近「そうです」

魔王「そうか……」

側近「ご安心ください。私もご一緒しますから」

魔王「え?」

側近「人間の軍師としての責任、魔王の側近としての責任、取らせていただきます」

魔王「最後は……一人じゃない?」

側近「ええ」

魔王「よかった……」

魔法使い「良くないわよ!」

ゲシッ

勇者「よくねーよ!」

ゲシッ

僧侶「ほらっ、靴でも舐めて反省してください」

グリグリッ

側近「痛いぞ」

魔法使い「何勝手に終らせようとしてんの!?ばっかじゃないの!?」

側近「だが、お前たちは魔王を倒しに来たのだろう」

魔法使い「そうだけど!そうだけども!あーーーーもう!」

ガリガリッ

勇者「お前はだいっ嫌いだけどな!しなせねーよ!仲間だからな」

側近「あの側近さんの顔が私の靴の下に……はぁはぁ」

僧侶「あの側近さんの顔が私の靴の下に……はぁはぁ」

側近「だが、断る」

魔法使い「なっ……」

側近「責任を取るのが側近であり、軍師だ」

勇者「頭固てーな」

魔法使い「側近って昔からこうなの?」

魔王「うん……」

側近「さあ、勇者、その剣でとどめを!」

勇者「だまれ!」

ゲシッ

側近「結構痛いぞ。勇者」

側近「では僧侶の足でも舐めればいいのか?」

僧侶「!!」

魔法使い「だめーーーー!」

魔王「だめだああああああ!」

僧侶「わっ……びっくりした」

魔法使い「何よ」

魔王「なんだよー」

バチバチッ

勇者「うっわ、こわっ」

側近「?」

側近「ではどうしろと」

魔王「側近は悪くない。私が責任をとる」

勇者「魔王!?」

魔王「人間の王のところに連れて行き好きにしろ」

魔法使い「魔王……いいの?」

魔王「うん……」

側近「それでは私の責任が!」

勇者「いいから察しろよ。側近」

側近「くぅ、分かった。私も一緒に行く」

側近「だが、その前に魔界の統率をどうにかしないとな」

魔王「それは……水と土がやってる」

側近「そうか、ならば心配はないか」

勇者「よし、帰るか。僧侶、お前ももう自由だぞ。よかったな」

ギュッ

勇者「なんで俺の後ろにいんだよ」

僧侶「ここ……安全っぽいですから……///」

勇者「ま、まだ俺を盾にする気か!?」

―――王国

王様「魔王を生きて捕らえてくるとはよくやった!」

大臣「ぐぬぬ」

王様「これは褒美だ」

勇者「いやぁ……どーもどーも」

王様「側近、お前の働きも見事であったな」

側近「はっ……それで……魔王は……」

王様「まだ魔族の動きが止まってはいない。終戦の切り札になるやもしれぬ」

側近「では、殺したりは……」

王様「せぬよ。お前もな」

ガシッ

側近「ぐっ……何を!」

「動くな!」

王様「最初から気づいておったよ……魔族だとな」

王様やるなwww

魔法使い「ちょっと!どういうこと!」

僧侶「あうあう……」

王様「おや、お仲間は気づいてなかったのですかな?」

王様「魔族が我らに手を貸したいと言って来た。これは危険な賭けであったが成功だったな」

王様「働きも申し分なかった」

王様「くくっ、まさか魔王まで捕らえてくるとはおもわなんだがな。だがここまでだ」

王様「いつ裏切るか分からんからな。いや、まだ何か狙いがあるやもしれぬ」

魔法使い「待って!側近は……」

王様「側近は?まさか仲間だとでも?人間を敵に回すのか?よく考えて答えよ」

側近「くくくくくっ、はははははは……はぁーーーはっはっは!バレテしまったか!愚かな人間どもめ!」

魔法使い「側近!?」

側近「気安く呼ぶな!人間が!」

僧侶「側近さん……」

側近「油断させてここでまとめて殺してやろうと思っていたが、どうやらここまでのようだな!」

勇者「側近おまえ……」

側近「人間の王にしてはなかなか隙を見せないから油断させようと思ったんだがな!」

勇者「うそだろ……仲間じゃねーのか」

側近「何が仲間だ!笑わせる!ぺっ!」

ベチャッ

「動くな!」

王様「もういい!引っ立てろ!」

側近「これで終ったと思うなよ!我らが眷属がお前たちを地獄に落とす!」

ズルズルッ

―――酒場

勇者「はぁ……側近があんなやつだったとはなぁ」

魔法使い「あんた……それ本気で言ってんの?」

僧侶「はぁ……ちょっといいなって思ってたんですが……」

勇者「え?え?なんか違った!?」

魔法使い「側近はあたしたちのためにああ言ったに決まってるでしょ!」

勇者「でもあいつ俺に唾はきかけたぜ!あー、きもちわりぃ」

ゴシゴシッ

魔法使い「はぁ……ほんと馬鹿ね。あの時側近が他にも投げたでしょ」

勇者「は?」

魔法使い「ほらっ、これ」

パラッ

魔法使い「あんたに唾かけてる隙にこっちに投げたの」

僧侶「地図……でしょうか?」

勇者「でもこれ魔界じゃないのか?」

僧侶「あ、コタツのつけっぱなしでした。帰りますね!」

ダッ

勇者「おい、またか」

ガシッ

僧侶「じょ、冗談ですよぉ……いやだなぁ。私は成長したんですから」

魔法使い「行く?」

勇者「しかないだろ。でもここ行って何しろってんだ?」

僧侶「助けを呼んで欲しいとか?」

勇者「あいつそんな感じじゃなかったけどな。むしろ死にたそうな……」

魔法使い「まさか……」

―――牢獄

魔王「捕まってしまったな」

側近「ですね」

魔王「これだけ結界を重ねられたら私でも無理だな」

側近「でしょうね」

魔王「お前が教えたのか?」

側近「ええ」

魔王「そうか……もしかして昔私にも教えてくれたのか?」

側近「ええ、解除法も。これだけ重ねたら無理ですが……」

魔王「ごめんなさい……」

側近「魔王様」

魔王「ごめんなさい……ううっ……私がもっと側近の言うことを聞いていれば……」

側近「たらればを言っても仕方ないですよ。準備は前もってしておくものです」

魔王「準備?」

側近「たぶん勇者たちが知らせてくれます」

魔王「知らせる?何を?」

側近「我々が捕まっていることを」

魔王「知らせるとどうなるんだ?」

側近「私のおいてきたマニュアルにはこう書いてあります。『魔王様や側近が捕まった場合には』」

魔王「場合には?」

側近「『決して要求に屈してはいけない。見捨てろ。』っと」

魔王「ぷっ」

側近「魔王様?」

魔王「あははははは!」

側近「どうしました?」

魔王「側近はいつでも側近だなぁ」

ブルブル

魔王「じゃあ殺されちゃうな」

側近「ですね、怖いですか?」

魔王「うん……でも側近が一緒だから」

側近「そうですか」

魔王「なぁ、側近」

側近「なんです?」

魔王「私のこと……好きか?///」

側近「いえ、別に」

魔王「……」

ブチッ

魔王「空気よめええええええええええ!」

ボコボコッ

側近「い、痛い!痛いですよ!」

「静かにしろ!」

魔王空気wwwいいぞもっとやれwww

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