三日後
バシャン!
竜「何をする!」
娘「死んじゃったのかと思って……三日も起きないんですもん」
町の図書館
娘「竜の血は不老不死の妙薬として高値で売買される……それでほんとに不老不死になるなら、今頃お金持ちはみんな不老不死でしょうね」
パラパラ
娘「竜の肉は大変美味であるとされ、お肌はつやつやになり胸は大きくなり余分な脂肪は排出される……」
娘「竜さんの尻尾ってまた生えてきたりしますか?」ギラリ
竜「その包丁をしまえ」
ガッシャガッシャ
竜「?」
騎士団長「貴様が町で暴れまわったという竜か! この私の魔法剣で」
竜「」バクッ
娘「!」マルカブリ!!?
竜「」ペッ
騎士団長「ぐはぁ……」ヌルヌル
娘「唾液が……」
町
娘「!」
張り紙「懸賞金 トアル山の竜 3000000G」
洞窟。
娘「竜さん! なんかこんな貼りが」
ウウ……
イテェ……
スンマセンデシタ……
山のように折り重なった賞金稼ぎたち。
竜「なんだ」
娘「別に」
次々とやってくる賞金稼ぎをかるく蹴散らす竜。
娘「めちゃくちゃ強いですね」
竜「私を何だと思っていた」
娘「でっかいトカゲくらいかと」
竜「……」
竜「トカゲみたいな見た目だろうと、かつて竜族は世界の覇権をかけて神と戦ったんだぞ」
娘「でもトカゲみたいな見た目ですよね」
竜「……私の父はある国では神にも等しく祭られていたんだぞ」
娘「でもそれは竜さんじゃないですよね」
竜「……」プイッ
娘「(しまったふてくされちゃった)」
竜「父も母も死んだし、私に勝てるものは居ないだろうな」
娘「? お父さんたちはなんで亡くなったんですか?」
竜「ドラゴンキラーとかいう剣でな。 一突きされただけであの親父がうごかなくなって……」
娘「……」
竜「動かなくなって……」フルフル
娘「」ポンポン
娘「そのドラゴンキラーで襲われたらまずいんじゃ……」
竜「問題ない、その剣士は私が……」
娘「?」
竜「」
娘「い、いや別にホントのこと言っても大丈夫ですからね!?」
娘「いざと言うときのために包帯や薬を買っておきました!
竜さんでも安心の特注サイズです!」
竜「(身ぐるみをはぎ続けているから金が有り余っているのだろうな)」
ウオー
竜「」ドラゴンテール
ダリャー
竜「」ドラゴンクロー
シャヤー
竜「」ドラゴンバイト
ユミィー
竜「」コン! No Damage!
竜「」ファイアブレス
ギャー
竜 HP200000/200000
娘「たあ!」バキッ
竜 HP200000/200000
娘「少しは傷ついてくださいよ」
竜「無茶を言うな」
賞金稼ぎ「ふっふっふ、ついにドラゴンキラーを手に入れた! これであの竜もおしまいだぜ!」
娘「」
山
娘「た、助けてください!」
賞金稼ぎ「どうした!」
娘「りゅ、竜が! 襲ってきて……」ハァハァ
賞金稼ぎ「なに! よし、俺に任せろ!」
崖
賞金稼ぎ「竜なんてどこにも」ドン!
ヒュー グシャ
ドラゴンキラー
娘「」ガッツンガッツン
ガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンカ
娘「」ハァハァ……ゼィゼィ……
ガンガンガンガンバキ!
娘「ただいま」
竜「ど、どうした?」
娘「え? いえ別に」
竜「……そうか」
村長「竜退治の連中が来るおかげで村が潤う潤う!」
村人「竜さまさまだよホント!」
村人「疫病や地震の責任もかぶってくれてホント大助かりですよね!」
村人「これといって被害も出てないしな!」
娘「そろそろ滅ぼすべきじゃないですか?」コレトイッタヒガイトカ……
竜「落ち着け」
ある日。
?「こんにちは」
娘「え……? こ、こんにちは(いつの間に目の前に……)」
?「人間を侍らせるとは、良い趣味をしている」
娘「はべ?」
?「ああ、失礼。 竜にあわせて欲しいのですが」
シヌ……
イテェ……
マジヤベェ……
竜「全く、性懲りもなく……」
?「お忙しいところ、失礼しますよ」
竜「!」ファイアブ…
竜 娘 ? ←三人の位置
竜「チィッ」
娘「人見たらとりあえずファイアブレスするの止めましょうよ」
竜「先制攻撃だ」
竜「何者だ……人間ではないな」ガシャガシャ
?「気づきましたか、私は」ガシャガシャ
竜「……」ガシャガシャ
?「……」ガシャガシャ
娘「あ、お構いなく」
竜「そいつらの身ぐるみはぐのは後にしてくれんか?」
?「こほん、申し遅れました。私は魔王です」
竜「魔王?」
魔王「魔族の国の王、だから魔王です」
娘「そのまんまですね」
魔王「わかりやすくていいでしょう」
竜「魔族の国など聞いたことがないが」
魔王「建国しようと発起してまだ20年なもので」
竜「……私が眠っていたころか」
魔王「今はこうやって、国民を募っているところなのですよ」
娘「地道な人ですね」
魔王「単刀直入に言います、あなたが欲しい」
竜「」カァァ(ほほを染める音)
娘「!? その音はおかしいでしょう!」
娘「つまりアレですか、世界征服に竜さんの力を貸して欲しいと」
魔王「いえ、我々の目的は生み、増えることです」
娘「ストレートにエロスなことを!」
魔王「人間が隆盛を誇る現在、強力な魔族ほどその身を隠さなければならなくなりました。
雌雄がつがいになる機会も減り、魔族は減少の一途を辿っています」
娘「(無視された……)」
魔王「同種の魔族同士同じ土地に住み互いの存在を認識することが重要になるわけです。
特に竜族は数が少ない上、その体のせいで目立つことになります」
竜「……確かに、私が雌を探し飛び回れば厄介なことになるだろうな」
魔王「是非、あなたには我が所領に移り住んでいただきたいのです」
竜「……」
娘「……」