砦の外
娘「なんで追うんですか!! 捨てた女に未練がましい!」
竜「なぜそういう話になる! 私はただ落ち着いて話を」
娘「はぁ!? 私は落ち着いてますよ落ち着いてないのは竜さんのほうでしょう!」
竜「ああもうわかったから止まれ!」
娘「なんですか一人落ち着いた風に! そりゃ家庭も持てば落ち着きますよねそうですよ落ち着いてないのは私ですよはべしっ!」コケタァッ
竜「うおっ!」タチドマレズコケタァッ
グシャ
竜「娘!?」
娘「うう……」
竜「少しは落ち着いたか」
娘「」……ポロポロ
竜「(泣いた!?)」
娘「……」ポロポロ
竜「」オロオロ
娘「………」ポロポロ
竜「」オロオロ
娘「…………」
娘「あーもう! なんですかさっきからオロオロと! 200年も生きてればこんなときどうするかくらいわかるでしょう!」
竜「え!?」
娘「こう! おもむろに抱きしめればいいんですよぎゅって! 後は勢いで言葉をたたみかけりゃいいんです!!」
竜「私にそれを求めるのか!?」
娘「他の誰に求めろと!?」
竜「無茶な」
竜「」ギュ
娘「」
竜「……」
娘「……」
竜「……」
娘「……なんか子ねずみが抱き上げられたみたいですね」
竜「だから無茶だと」
娘「しかも鎧ごと持ち上げられたせいで金具が体に当たってかなり痛いです」
竜「……」ストン
娘「昔とは、すべてが変わってしまったんですね……周りも、私や竜さんの身長も」
竜「……」
娘「そして、私と竜さんの実力も」
竜「?」
娘「今は戦争状態、つまり敗者は勝者に絶対服従……」
竜「は?」
娘「勝負です、竜さんの家庭を賭けて!」ジャキ!
竜「(中身がまるで変わっとらん!)」
竜「私が負けたらどうするつもりだ」
娘「私と逃避行してもらいます」
竜「私が勝ったら?」
娘「竜さんのことはあきらめますがご家族がどうなるか……」
竜「脅しか! 竜子に手を出したらさすがにただではおかんぞ!」
娘「私はすでに竜さんに手を出されているからただでおかなくてもかまいませんね!」
竜「……もういいとっととかかってこい!(めんどくさくなった)」
娘「」ファイアブレス
竜「何ぃ!?」HP237800/240000
娘「隙あり!」ユウシャクロー! コンビネーション! ユウシャバイト!
竜「ちょっと待て! なんだその戦い方は!」HP231000/240000
娘「私のバトルスタイルは竜さんの戦い方を基にしていますからね」
竜「剣の修行とか言うのはなんだったんだ」
娘「ふふふ、竜さんの戦いを間近で見てきた私だからこそできるこ」
竜「」バクッ
娘「」
竜「」
娘「」バタバタ
竜「(隙だらけだったな)」
竜子「さすがお父さん!」
娘「うう……」ヌルヌル
僧侶「(どんな攻撃であんなことに)」
戦士「勇者を倒してもまだ私たちがいる!
喰らえひっさ」バキャス
僧侶「投降する。抵抗はしないから命の保障はして欲しい」
戦士「は!?」
僧侶「勇者がこの状態で、しかも竜が2人もいたのでは勝ち目がないわ」
戦士「一人は子供だろ!」
僧侶「子供がいるってことは母親もいるってことでしょうが
どっちにせよ勇者抜きじゃ、一人でも手に余る相手よ」
戦士「う……」
風呂
娘「」ザパー
ヌルヌルを落とす娘。
竜「(どうしたものか……)」
互角に戦えるのが竜だけなので見張っている
竜「」チラ
娘「」!
娘「」アハーン
竜「」プイ
娘「プイってなんですか!?」
娘「この姿を見てなんとも思わないんですか!」
竜「なんともと言われても」
娘「5年前にはありえない膨らみにくびれ!」
竜「……なにか変わったか?」
娘「」ビシブチィ!
竜のサイズからすれば、人間の成長なんて誤差の範囲でしかなかった
娘「」ギャーギャー
竜「」ハイハイ……
竜子「……」
竜子「お父さん」
竜「ん、竜子か」
娘「!」ギラ!
竜子「!」ビクゥ!
竜「殺気を放つな」
娘から離れた二人
竜子「勇者を見張らなくてもいいの?」
竜「逃げはしないだろうし、いまさら暴れることもないだろう……しかし、まさか娘があの勇者だったとは」
竜子「……」
竜「どうした」
竜子「お父さん……お母さんのこと忘れちゃったの?」
竜「」バブゥ!!
竜「き、急にどうした、竜子……?」
竜子「ご、ごめんなさい、おかしなこと言っちゃった……」
竜「……」
竜「……(いや、急に、と言うより、今さら、か……)」
竜「竜子、母さんはおまえを産んですぐに死んだ……もともと、寿命で体力が落ちていたんだ
……ごまかすつもりは無い、私はただ、竜の血を絶やしたくないがためにお前を産んだ。……母さんを愛してはいなかった」
竜子「……」
竜「だが、命が尽きようともお前を産んだ母さんを、私は同じ竜として誇りに思う。そしてその姿を忘れることは、絶対に無い
そして、母さんは誰よりお前を愛していた。 もちろん、私もお前を一番愛している」
竜子「……うん」
娘「……(いいなぁ……)」
部下「竜様! 魔王様がお見えになりました!」
竜「魔王様自ら? ……まあ瞬間移動が使えるからな……伝令を見て急いで来たのか
わかった、すぐに行く」
竜「お前は部屋に戻れ、後でゆっくり話そう」
竜子「うん」
竜「」ノシノシ
竜子「……!」
娘「……あ
竜子「」ジリッジリ……(距離をとっている)
娘「!」
娘「(私にはわかる! あの後退は逃げるためじゃない!!)」
娘「」チラ
竜子「ガウ!」ダッシュドラゴンバイト!
娘「」ヒョイ!
竜子「」ガチン!
娘「もらった!」ムスメスープレックスホールド!
竜子「ガフ!」HP0080/2000
竜子「だああああああああ!」再生力活性化! HP2000/2000
娘「な、なんて気迫……」
竜子「お前にお父さんは渡さない!」
娘「」ピーン!
娘「ま、まさかあなたも……」
竜子「やっぱり! お前もお父さんのことが好きなんだな!」
竜子「お父さんは私のだ!」
娘「り、竜さんのお嫁さんになると!?」
竜子「違う……私はお父さんの子供を産む!」
娘「! 意味的には同じようなものなのに重さが違う!!」
娘「って、何言ってるんですか!? 実の子供のくせに!!」
竜子「お前だって種が違うくせに!」
娘「なに些細なこと言ってるんです!?」(些細ではない)
「愛し合っていれば関係ありません!」(愛し合ってない)
竜子「そ、そんな自信満々に言い切るなんて……」
竜子「でも、残ってる竜は私とお父さんだけ! 選択の余地はないんだから!」
娘「うぐっ……」
竜子「」ヘヘン!
娘「で、でも竜さんがあなたに手を出すなんてことは……」
竜子「……今、そんなことはどうでもいい。大事なのはあの一言!」
娘「!?」
竜子「お前を一番愛してる! それを私に言ったと言うこと!」
娘「いやぁぁぁぁぁぁ!!」ザックゥ!
竜子「つまりあなたはどうがんばっても二番以下!」
娘「ぐぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!」メキドグシャ! (心のダメージ音)
竜子「二番以下!」
娘「あああああああああぁぁぁぁぁ!!!」HP000000/250000 !!
娘「あああ・・・あ・・・あ・・・・・・」
娘「あ・・はっは………」
娘「あーっはっはっはっはっは!!!」
コツコツコツノシノシノシ
魔王「あなたなら、人間の勇者を殺さず捕らえてくれると思っていました」
竜「人間に降伏勧告をするのだな?」
魔王「要求無しでね。我々にとって人間の土地や労働力などどうでもいいこと。そのことをわかってもらわなければ」
竜「クラーケンとベヒモスも、生存が確認されたらしいな」
魔王「ふふ、プライドはズタズタのようです。人間、しかも小娘にあしらわれたとね」
竜「……正直、一番槍を任せて欲しかったところだ」
魔王「責任を感じているのですか?」
竜「人間の魔族排斥の動きが活発になったのは、私のせいだからな」
魔王「好戦派の魔族も、あの二人が倒されたと知って人間の力を見直しています
今回のことは、お互いを知る第一歩だったと考えるべきでしょう。あなたが一番に動いたのでは、戦いが終っても状況は変わらなかった」
ドゴォン!