娘「ここに竜が……」竜「Zzz..........?」 1/9

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とある山、洞窟の奥

娘「地震、疫病、連日の日照り……村はこのままでは滅んでしまいます」

娘「どうか……わ、私を食べて怒りを静めてください!」

竜「……」

竜「たった今人の気配感じて起きたばっかりなのに何の話!?」

娘「あ、も、もうちょっとお肉がついてるほうが良かったですか!?」

竜「いや! 生きた人間なんぞ食わんぞ!」

娘「じゃあ! 今このナイフで!」

竜「待て待て! 死んだ人間も食わんわ!」

娘「わ、わかりました! こんなこともあろうかと塩コショウを持ってきていたんです!」

竜「なにがわかったんだ!」

娘「じゃあどうやったら怒りを静めてくれるんですか!」

竜「別に怒っとらんわ!」

娘(どう見ても怒ってる!)

竜「私は今……おそらく30年ぶりくらいに目覚めたばかりだ」

竜「地割れや日照りなど、ただの自然現象だろう」

娘「そんな……この日のために一晩お酒に漬かって味をまろやかにしたのに……」

竜「……道理で酒臭いと思った」

竜「自分たちで何とかする方法を考えるんだな」

娘「そうですね……すいません、眠っているところをお邪魔しました」

村。

村人A「うう……悪いことしちまったかな……」

村人B「そういうな……あの子の親は疫病で死んだんだ、あの子もうつってるかも知れねぇ、そうなりゃどっちにしろ追い出さなきゃならねぇ」

村人C「むしろあの子を食った竜に病が移ってくれるかも……」

娘「……」

洞窟。

娘「ただいま……」

竜「なんで!?」

娘「実はかくかくしかじかで……」

竜「だからと言ってここに居座られても困るんだがな」

娘「……私はいらない子なんだ……」

竜「……」

娘「げっほごほ! げふっごほごほっ!」

竜「ど、どうした!?」

娘「どうせ野垂れ死ぬなら竜さんに疫病うつして死のうと思って……」

竜「やめろ」

娘「疫病をうつされたくなかったらここにおいてください」

竜「いや……疫病と決まったわけでもないんだろう?」

娘「」ぬぎぬぎ

竜「なんだ」

娘「風邪をひこうと思って」

竜「……そもそも、うつされたくなかったらここに置けというのもおかしいだろう」

娘「わかりました……さようなら」テクテク……

竜「……」

竜「……」ノシノシ

竜「……」洞窟の出入り口で首を伸ばして外を窺っている

竜「……もう姿が見えんな……」

……ブツブツ……

竜「!?」自分の首の下を見る

娘「……ココデシンダラキットジョウブツデキズサマヨウンダ……エイエンニ……」

竜「すぐ外に居座るなぁぁ!!」

竜「さっきまで死ぬ覚悟だったんだろうが!」

娘「いやぁ。一度助かると惜しくなってきたと言うか……」

竜「ずいぶんと図々しいな」

娘「一度死を覚悟したせいか怖いものもなくなったと言うか……」

竜(めんどくさいヤツ……)

竜「住処を貸してやらんでもないが……こんな所で食べ物も無いぞ」

娘「あ、大丈夫です。 考えてありますから」

娘「一週間ごとに食料を要求する by竜」 カリカリ

娘「この紙を村に置いてくればOKです」

竜「コラ」

翌日

娘「さっそく食べ物が置いてありました」

竜「あくどいヤツ……」

娘「そういえば、竜さんは何も食べないんですか?」

竜「私は周囲の気的なものをエネルギーにしているから何も食べなくていい」

娘「便利ですね」

娘「シャクシャク」

竜「リンゴとはどんな味だ?」

娘「あまくてちょっとすっぱくてみずみずしいです」シャクシャク

竜「そうか」ガブ 娘「」サッ

竜「」

娘「」

竜「」ガブ 娘「」サッ

竜「このドケチ娘が」

娘「シャクシャク」

竜「……ひさびさに外に出るか」ムクッ

ノシノシ ガッ

竜「……」

ガッガッ

竜「寝ている間に成長したせいで出れん!!」

娘からりんごをもらった竜

竜「シャクシャク」

娘「成長期だったんですか」

竜「まだまだ若いぞ。お前たち人間で言えば14くらいだ」

娘「!?」

娘「それって私より子供じゃないですか!?」

竜「いや、人間に換算しての話だぞ?」

娘「そんな歳でこんなところに引きこもってちゃダメですよ!」

竜「いや、200年は生きているからな?」

娘「30年は寝てたんでしょう! そんな調子じゃ他の竜からもバカにされますよ!」

竜「……」

村。

村人「う、うわぁ竜だ!」

村人「竜が出たぞ!」

村人「もうおしまいだー!!」

村人「皆殺しにされる!!」

帰った。

竜「……」フン!

娘「(ふてくされちゃった……)」

娘「竜さんの分のご飯です」

竜「私はそういうのは必要ないんだが」

娘「まあまあ、食べてみてくださいよ」

竜「……(フォークもナイフも小さくて使えん……手でいっていいのか……?)」

娘「はい、あーんとしてください」

竜「」

娘「ほら!」

竜「(私は何をやらされているんだろう)」

娘「ほら早く! 冷める前に!」

竜「」アーン バク!

娘「フォークが!」

竜「これは……うまい」

娘「でしょう! 料理には自信があるんですから!」

竜「一口で終わるのももったいないな」

翌日。

娘「たぁぁぁぁ!」ジュウジュウ

娘「やぁぁぁぁ!」ドバドバ

娘「はぃぃぃぃ!」ガチャガチャ

娘「竜さんサイズ、人で言うと100人前です!」

竜「材料はどうした」

娘「要求をちょっと増やしました」

竜「村が!!」

ガッシャガッシャ

竜「?」

騎士A「貴様が人々に仇なす竜かぁぁぁぁ!」

騎士B「死ねぇぇぇぇぇい!」

竜「」ファイアブレス

騎士「ギャー!」

竜「全く、面倒くさい連中だ」

娘「あ、ちゃんと生きてますね」

竜「当然だ……何をやってる」

娘「え、ちょっと身ぐるみを……いい装備ですし」

竜「……」

娘「あの装備を売ったお金で、町でベッドとか家具を買ったんですよ」

竜「そうか」

娘「でも重いからここまで持ってこれなかったんです」

竜「そうか」

娘「」チラッ

竜「」

町。

町人「う、うわぁ竜だ!」

町人「この町もおしまいだー!!」

竜「もう二度と出かけん」

娘(怒ってしまった……)

娘「ふぁぁぁ……やっぱり新しいベッドは一味違う……」

竜「zzz……」

娘「……」ペシペシ

竜「zzz……」

娘「……」

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