バトルマスター「…そこまで!勝者は戦士と致す!行動を共にする旅芸人も含め、入国を許可しよう!!」
僧侶「盗賊さん!盗賊さん!!大丈夫ですか!?盗賊さんっ!」
賢者「ダメだよ、お嬢ちゃん!動かしちゃ!…回復魔法!」パアァァ
戦士「…形だけのものだったが…それでも剣に生きる者へ対する礼儀として、本気で打った。しばらく痺れが続くだろう、ごめんね。彼が起きたら、私が謝っていたと伝えてくれると嬉しいな」
旅芸人「本当は雷みたいのがビリビリもするもんね、やっぱり戦士様は強いや。さあっ聖騎士の王国に入ろう!オジサン達、ばいば~い!」
僧侶「………な…んなん、でしょう…あの人達……」
盗賊「…うぐ、ぐ……痛ッてぇぇ……」
バトルマスター「旅の者よ。残念ながら君達の入国は認められないが、旅の手助けは致そう。まずは怪我人を医務室へ運ぶ。治療は任せたまえ」
賢者「俺にも手伝わせてください。一応、保護者を名乗ってるんでね」
~医務室~
僧侶「うわわわ、めちゃくちゃ腫れてますよう!い、痛そう…」
盗賊「痛そうじゃなくて痛ぇんだよ!チクショー…全っ然太刀筋見えなかった…レベルどんだけだよ、あの女……」
バトルマスター「患部にこの薬を塗り、包帯を巻いて一時安静にすると良い。すまぬ、上着を全て脱いでくれるか」
賢者「お嬢ちゃん、俺が兄ちゃんの体を支えているから、服脱がせてあげてくれる?…どっこいしょ、っと」
盗賊「痛だだだだ!!も…も、もっと優しく、頼む…!」
バトルマスター「………む?貴殿……このロザリオは貴殿の物か?」ジャラ
僧侶「あ、それ……私も、気になってました…キャラバンの商人さんが言ってました、よね?確か、この国の聖騎士さんはみんな持っている、ロザリオだって…あの時買ってもらったのと同じ…」
賢者「でもすごく古いものだね~、長い時を過ごしてきたかのような感じで」
盗賊「あ?あー…これか、俺にもわからねーんだよ…物心ついた時にゃ首にぶら下げていたしな。俺は親がいねーから、これが形見なのかどうかもわからねーし」
盗賊「なんとなく……売る気も起きなくて、ただ着けているだけだ…そ、それより早く薬塗ってくれよ、痛ぇって…!」
バトルマスター「ああ、すまぬ。……しかし、気になるな。そのロザリオ」
バトルマスター「確かにこれは我が国のものだ。新しい王が誕生するごとに作り変えられる…そちらの女性が身につけているロザリオは、今の王が誕生した時に作られた真新しいものだが…」
バトルマスター「このロザリオは……詳しく調べてみないと、はっきりとはわからぬが…かなり古いものだぞ。百年、いや、もしかすると、それ以上かも知れぬ…その時代にロザリオが売買されていたという話はない筈だが
僧侶「そ、そんなにですか!?どっどっどういうこと、なんですかねぇ…?」
盗賊「なら盗品なんだろうよ。そんな古臭ぇもんが俺の手元にあるって事が証拠だろ…」
賢者「お、おいおい。お膝元で、そう不用意な発言をしないの…」
バトルマスター「否。我らは全てにおいての力をよしとする。どういう経緯があったかはわからぬが、そのロザリオが今ここにあるという事は、その持ち主がロザリオを守る力が無かった、そういう事であろう…」
盗賊「………」
バトルマスター「…さて。手当ては終わった。包帯が少しきついかもしれぬが、痛みが引くまでの辛抱だ」
僧侶「ありがとう、ございました…」
バトルマスター「貴殿らは戦いに負けた故に、我が国に入れぬが、ここより北に魔法文明を研究する街がある。水と食糧を渡そう、そこを目指したまえ」
バトルマスター「ただし、街に行く道の途中、何か魔力が働いているらしく、酷い吹雪が起きている箇所がある。気を引き締めて向かえ」
~魔の吹雪地点~
賢者「うおおお……さっ寒い、むしろ痛いぃ!腰に響くじゃないのさあ~!!」
僧侶「前が見えないくらい、酷い吹雪…!こんなの、初めてですう…!!」
盗賊「暑いの寒いの、両極端すぎんだよ!勘弁してくれ!!おいっクソオヤジ!なんなんだよ、この吹雪!!この一角だけ切り取られたみてーに、吹雪いてるぞ!?こういうもんなのか!?」
賢者「いやぁ~…オッサンがいた頃は、こんな事無かったんだけどなー。吹雪が起きても、こう酷くなる事は無かったし……」
賢者「この雪、あのバトルマスターさんが言った通り…魔力を感じるな。とすると、近くにこの吹雪を起こしている者か、魔力媒体がある…それをどうにかすれば止むだろう、けど…」
僧侶「こ、こんな調子で、魔法の街に着けるんですかねえ~!?……ふぎゃ!」ドサッ
盗賊「何やってんだ、クソアマ。転んでんじゃねーよ、ドジ」
僧侶「あうう……雪がすごくて、足が埋もれちゃいますぅ………あ、でも、なんだかあったかい…?」
盗賊「おい、クソアマ!バカか、お前!?こんなところで寝るんじゃねーよ、捨てていくぞ!コラ!!」
賢者「いやはや参ったね~、休むにしても、どこもかしこも雪だらけ……また遭難しちゃうなあ、これじゃ」
僧侶「…あれぇ…?……よ、妖精さんが手招きしてますよう…」
盗賊「バカを拗らせてんな、バカ!!起きろ!死因がバカとか流石にキツいもんがあるぞバカ!!」
僧侶「バカバカ言い過ぎですよ!盗賊さんのバカ!あそこ、ほらっあそこに妖精さんがいるじゃないですかあ!!」
賢者「………あれれ、本当だ。オッサンにも見えるんだけど、何これ?幻覚かな?それとも、あの世からのお迎え?」
妖精「…こっち。こっちに来て、早く。そこにいたら死んじゃうよ」
妖精「…不思議ね、貴方達からは、仲間の匂いがするわ。人間なのに……どうして?」
盗賊「…ま…マジかよ。俺にも見えるぞ?」
妖精「そっちのオジサンからは匂わないけど、貴方と貴方……とくに、お兄さんからは、強い匂いを感じるの。何か妖精が作ったものを、食べたり飲んだりした?」
僧侶「…あ、そ、そう言えば!砂漠の妖精さんに助けてもらった時……妖精の回復薬を飲みましたね、盗賊さん」
妖精「砂漠……もしかして、滅びの里の!?そう、そうなのね。彼らはまだ生きているのね…嬉しい。聞けて嬉しいわ」
妖精「ここにいたら貴方達、死んじゃうわ。助けてあげる、ついてきて。私達の村に来て」
賢者「なんだかよくわからないけど…ご好意にゃ甘えよっか、確かににっちもさっちもいかないしさぁ…」
盗賊「つくづく妖精に縁があるんだな、俺達は…」
~エルフの村~
僧侶「わあ…綺麗なところ……吹雪もないし、あったかくて心地好い…」
妖精「あの吹雪は魔力を使って起こしている、魔法の吹雪だから。この村は元々、人間に見つからないように結界が張られているの。それが吹雪も遮断してくれるのよ」
盗賊「…何をベタベタと木に触ってんだ?クソアマは」
僧侶「あの砂漠では、木とかほとんどが蜃気楼の幻でしたけど…ここのは本物なんだなーと思って…」
賢者「いやあ、こんな村があったなんて、オジサン知らなかったなあ。ただここにいるだけで、魔力が回復していくのを感じる……」
賢者「住人は……妖精より、エルフの方が多いんだね?ハーフエルフからハイエルフまで、うーん、素晴らしい。ハイエルフは文献でしか見たことなかった、話が聞きたいな…」
妖精「砂漠にある里が潰されたから、私達はこの村に避難し、住ませてもらっているのよ。だからここはエルフの村よ」
僧侶「あ、あの……失礼かもしれないけど…貴方は、私達人間を…憎んでいない、ですか…?」
妖精「……滅びの里で、何か言われたんでしょう?」
僧侶「は、はい…」
妖精「…哀しいことだけど、仕方ないわ……それが運命なら、従う事を選んだのが、この村に逃げた私達。滅びの里にいる仲間は人間を憎んでいるけど、私達は…まだ、人間を信じたいの」
妖精「いつか、戦いや争いがなくなって、みんなで歌ったり踊ったり…楽しく仲良く遊べる日が来るんじゃないかって。信じていたいのよ」
僧侶「……ごめんなさい…ありがとう…」
妖精「謝られることも、礼を言われることもないわ。私達も頑張らなきゃね、そんな日が来る為に。だからまずはこの吹雪をどうにかしたくって…身動きが取れないんですもの」
妖精「そこで休んでいて?私、村長様に貴方達の事を話してくるから」
僧侶「………」
盗賊「何へこんでんだよ、クソアマ。折角の暖けぇ空気が湿っぽくなるだろ」
僧侶「す…すみません……でも、なんか…申し訳なくって……」
賢者「………。 さて。いい機会だから、オッサンはちょっと村の中を見てくるよ、勉強になりそうだしさ。ぐるっと回ったらここに戻ってくるからね~」
盗賊「あ、ああ。行ってこい」
盗賊「………」
盗賊「…あの、よ。クソアマ。……そんなに気に病むこたぁ、ねーだろうが。さっきの妖精が望むような世界にする為に…勇者ってもんがいるんだろ?」
僧侶「…は、はい…そう、ですよね…」
盗賊「妖精が頑張るっつってんのに、テメーがウジウジしてどうするんだよ。へこむ暇があんなら、その分頑張れよな、お前も」
僧侶「ううう…!と、盗賊さあん…」
盗賊「……チッ。なんだかな、この村の空気は妙な気分にさせられる。穏やかすぎんだよな…らしくねー、この俺が……」
・・・
賢者「やー、ぽかぽかと気持ちのいい日溜まり……春って感じだねえ、外の吹雪が嘘みたいだ」
エルフ「あら?珍しい。人間だわ。こんにちは、いいお天気ね」
賢者「はい、こんにちは。お邪魔してますよー。……ふむ、文献とは違うなー、それともこの村のエルフだけなのかなあ~?すごく友好的だ、みんな」
賢者「…と、ここは行き止まりか。……おー、立派な祭壇じゃないの。でも、野晒しなのに汚れがひとつもない…ピカピカの新品みたいだ」
賢者「………近くにいるだけで、心が洗われるような……なんとも美しい祭壇だね~……聖母像もこれまた美しい…こんなにも穏やかな笑みの作りは見たことがない」
賢者「………いやあ……救われるねえ………」
?「……そこにいるのは……まさか…賢者……賢者なの?」
賢者「ん?誰だい?………!!?」
賢者「…そ…んな……まさか……まさか!君は!!」
武道家「や…やっぱり!賢者!賢者だ!!うそ…こんな事って…ああ……また、また貴方に会えるなんて!」
賢者「き、君は…君は…!お……俺を庇って死んだはずの…ま、幻?幻なのか?それとも夢か?」
武道家「賢者ぁ…っ!会いたかった!幻でも夢でもないよ、…ううん、幻といったら、それに近いけど…」
武道家「この村は妖精やエルフの他にも、精霊なども住んでいるんだよ。私は死んでしまったけど…理由があってね、霊体としてここに留まっているの」
賢者「………!れ…霊体……!?」
武道家「にわかには信じられないよね…でも、私…私は……貴方に会えて、本当に…嬉しいよ…」グスッ
賢者「………」
賢者「…幻でも、夢でも……霊体でも、いい…その喋り方、仕草……俺の前じゃ泣き虫なところ…全部、全部、あの時のままだ……俺も、会えて嬉しい…!」
武道家「け…賢者ぁぁ…!!」
賢者「泣くなって…貰い泣きしちゃうでしょーが。…ああ、本当に霊体なんだな…君が泣いているのに、頭を撫でてやる事も、抱き締めてやる事もできないなんて」
賢者「懐かしいなあ…君が泣いたら、すぐに頭を撫でてさ?それから抱き締めて、最後に口へ飴玉を入れてやる。それが君の涙を止める方法だったのに…もう、できないんだな……」
武道家「…ううん……ごめん、泣いちゃって…でも、私……貴方がくれる飴玉、今もひとつ持っているんだよ」
武道家「ほら。ふふ、すごく美味しいから、いつも一粒だけ取っておいて、持ち歩いていたの。溶けちゃう前には食べていたけど、この飴玉だけは……食べられなかった」
賢者「…すまない……俺が弱かったから…君を守れなかったから……」
武道家「違うの、ごめんね。貴方を責めているわけじゃないの、弱かったのは私だよ。ごめんね…貴方に辛い思いをさせて…本当に、ごめん…」
・・・
妖精「村長様が貴方達に会いたいって言っているの。来てくれる?」
僧侶「あ、はい。でも…まだ、賢者さんが戻ってきてないんですが…」
妖精「あのオジサンなら、村の端にある精霊の祭壇にいるのを見たわ。…今は取り込み中だから、邪魔しない方がいいと思うの。だから貴方達だけでも、来てくれる?」
盗賊「取り込み中?何やってんだか、あのオヤジは。…まあいい、それじゃ行くとするか」
エルフB「まあ、人間だわ。会うのは久し振り。私達の村へようこそ」
エルフC「いらっしゃい。外は大変だったでしょう?ここで時間の許す限り、体を癒してね」
僧侶「ありがとうございます~。…皆さん、優しいですねえ」
妖精「ここにいる者達の考えは、みんな同じよ。誰もが平和な世界を願っているの。勇者と、その仲間の為になら、いくらでも力を貸したいと……さあ、ここが村長のおうちよ」
盗賊「…やたら小さい家だな……よ、っと…クソアマ、頭ぶつけんなよ」
僧侶「はう!!」ゴンッ
盗賊「言ったそばから…ある意味、期待を裏切らないな。テメーはよ」
妖精「今の村長は小人族だから、おうちも小さいのよ。私には大きすぎるくらいだけど、人間の貴方達には小さいでしょうね。…村長、人間達を連れてきました」
村長「ありがと~。君はそこで待ってて~?…こんにちは~僕がこの村の村長です、よろしく~」
僧侶「わあ…可愛い!…あ、ご、ごめんなさい!失礼な事を……」
村長「あははっ。ううん~気にしないで~。君も可愛いよ、ありがとね~」
村長「えっと~、君達に頼みたい事があって、来てもらったんだよね~。外から来たなら知っていると思うけど、すごかったでしょ?外の吹雪」
村長「あれね、この近くにある氷で覆われた洞窟の中から、吹雪いているんだ~。どうやら、中に魔の吹雪を生む媒介があるみたいなんだよね~」
村長「僕達もすごく困っているんだ~…何度か取り除こうと、出かけたんだけど、洞窟の回りは魔物もいっぱいで、いっつも邪魔されて奥に行けないんだよ~」
村長「だから、君達にお願いしたいんだ~。吹雪を止める為に、手伝ってくれないかな~?このままじゃ何処にも行けないよ~」
盗賊「おい…なんだか面倒な話になって来たな…」
僧侶「で、でも、この吹雪をどうにかしなきゃ、困るのは私達もですよ…?止められる方法がわかっているなら、やりませんか…?」
村長「本当、お願いしたいんだよ~。折角、この地に勇者が来てくれたのに…この吹雪で外に出られないと、手助けができないよ~」
盗賊「っ!?勇者!?勇者がこの近くにいるのか!?」ガシッ
村長「うわあ!?あはは~、苦しいよ、やめて~潰れちゃう~」
盗賊「あ、す、すまんっ」パッ
村長「はあ~びっくりした~。あはは、うん、勇者はこの近くに来ているよ~。僕達はね、神様に勇者を助けてってお願いされたから、力になりたいんだよ~」
村長「君達は勇者の仲間でしょう~?なんで勇者と別々になっているの~?勇者に会ったくせに、変なの~」
盗賊「…はあ?」
僧侶「わ、私達が……勇者様に、会った?え?え?いつ?」
村長「え~、気づいてなかったの~?だって君達、キラキラしてるのに~。勇者はもっとキラキラ輝いているだろうけど、その光の粒が君達についているよ~?」
盗賊「ど、どこかですれ違ったのか!?いつだ、どこでだ!?そんな、それらしき者は……」
村長「あはは、勇者の事、あんまり知らないみたいだね~?じゃあこうしよう~っ!吹雪を止めてくれたら、勇者の事を教えてあげる~。どう?いい案でしょう~?」
盗賊「チッ…わかったよ、吹雪くらい、すぐに止めてやるぜ」
僧侶「つ、ついに、ついに勇者様に会える…!」
妖精「…お話は終わったかしら?」
村長「うん~終わったよ~。ねえ、妖精。この人達を、氷の洞窟に連れていってあげてくれる~?」
妖精「はい、わかりました。ありがと、お願いを聞いてくれたのね?とても嬉しいわ、よろしくね」
僧侶「こ、こちらこそ!よろしくお願いしますっ!!」
村長「洞窟の中もすごく寒いから、暖かい格好をしていくといいよ~。エルフ達に頼んで、防寒具を用意してもらうから、ちょっと待っててね~」
盗賊「おう、よろしく頼むわ」
村長「………」
村長「あははっ、ちょっと変更~。君に連れていってもらった方が早いよね~。ねえ、僕を肩に乗せて~?村の中央にある集会場に連れていってよ~」
盗賊「…俺を乗り物扱いすんなよ、クソチビめ」
僧侶「私は、賢者さんを呼んできますねっ」
僧侶「えっと、確か賢者さんは…村の端にある精霊の祭壇に……あ、いたいた」
僧侶「………!うわあ~…綺麗な祭壇…!聖母様の像も、とても素敵…神聖な力に溢れてる……」
賢者「………」
僧侶「賢者さん、迎えに来ましたよ~。あのね、吹雪を止める方法がわかったんです!これから原因のある洞窟に行くので、賢者さんも一緒に……あ、あの、賢者さん?」
賢者「………」
僧侶「賢者さん?賢者さーん!?」
賢者「…うわっ!?び、びっくりしたなーもう。お嬢ちゃん、いつのまに来てたの?」
僧侶「ついさっきですよ。どうしたんです?ボーッとして…」
賢者「ああ、うん。ごめん、大丈夫だよ。…いや、この祭壇があんまり綺麗なもんだから、見惚れていてね」
僧侶「あー、それは確かに、わかります!すごく、綺麗だし…神様の力に満ちていますから……見惚れるのは仕方ないですねえ~」
賢者「本当に、そうだねえ……」
賢者「………」
賢者「ねえ、お嬢ちゃん。悪いんだが、この祭壇に祈りを捧げてはくれないかな?オジサンも一緒に祈るからさ」
僧侶「え?は、はあ…祈るのは、別に構いませんけど…」
賢者「兄ちゃんを待たせたら怒られそうだもんねえ、今は手短にやろうか。じゃあ、よろしく頼むよ」
僧侶「は、はいっ」
賢者「………」
僧侶「………」
僧侶「(………お祈りに集中しなきゃ、だけど……)」
僧侶「(賢者さんがちょっと気になるな……目が赤い、…泣いていたの?賢者さん)」
賢者「………」
僧侶「(…あれ?聖母像が…今、微笑んだ…?)」
賢者「………ん。ありがとう、お嬢ちゃん。オジサンの我儘に付き合ってくれて。さ、兄ちゃんのところに行こっか」
僧侶「あ、は、はいっ」