魔王「ふはは、小さいからといって甘く見ていたな!」 2/12

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戦士「?」

魔王「うおぉぉぉぉぉぉ…くらえぇぇぇぇぇ!」

MPが足りません。

魔王「もういやーーーーー!」

戦士「うふふ、元々MP0じゃダメね」

魔王「うう、その励ましの目で私を見るなぁ…」

戦士「ふふ、お話はたくさん聞くから、とりあえず行きましょ?」

魔王「ど、どこに?」

戦士「い・ろ・ん・な・と・こ。ジュースもおごってあげるから♪」

魔王「…ふん、まあ、別に行ってやらんこともない…」

戦士「それじゃあ決定♪」

魔王「ぬおっ、いきなり抱きつくなっ!」

魔王「お、おい…」

戦士「なに?」

魔王「この服装はなんだ?」

戦士「バニーガールよ?」

魔王「なぜ私はこんな服を着ているんだ!?」

戦士「魔王ちゃん」

魔王「な、なんだ?」

戦士「お金は働かないと手にいれることはできないのよ?」

魔王「…むぅ、だからなぜ私が働かなければならないのだ」

戦士「ジュース代よ」

魔王(おごってくれるんじゃなかったのか?)

「嬢ちゃん、注文いい?」

魔王「私のことか?」

「そうそう、可愛いねぇ」

魔王「か、可愛いって言うな!」

「へへへ…小さい尻してんなぁ」サワッ

魔王「ひゃ!?」

「おお、可愛い声出しちゃってぇ」

魔王「貴様ぁ…死んで詫びろ!」ピシャアアン!

「ひぃ!」

戦士「ちょ、ちょっと魔王ちゃん!?」

魔王「女戦士…よくも私にこんなことを…!」ビリビリ

戦士(で、電気発してる…!?)

魔王「お前も死ねぇ!」ガラゴラピシャーン!

戦士「きゃあ!」

「なんだなんだ!?」

「なにがあったんだぁ!?」

魔王「…ふふふ…これが私の望んでいたモノだ…」

魔王「恐怖に顔を染め、逃げ惑う人間の顔…」

魔王「やはり、いつみても、素晴らしい…」

勇者「おい!」

魔王「む、勇者か…」

勇者「なにやってんだよ!」

魔王「ふん、貴様には関係ない」

勇者「…」

魔王「邪魔だ、そこをどけ」

勇者「…わるかった」

魔王「…え?」

勇者「俺が変態で悪かった」

魔王「な、なにを言っているのだ?」

勇者「俺は実際、今のオマエのバニーガール姿に、正直そそられるものがある」

魔王「な、なぁ!?」カァァ

勇者「もう、暴れるのはやめてくれ、頼む。な?」

魔王「…」

戦士(あ、止まった?)

勇者「…」

魔王「…ずるい」

勇者「へ?」

魔王「そんなこと言うのは、ずるいと言ってる」

勇者「なにが?」

魔王「ふんっ!」

勇者「許して、くれるのか?」

魔王「そのかわり、私がして欲しいことはしてもらうからな!」

勇者「ああ、わかった」

魔王「よし、それならいいぞっ」ニコッ

勇者「おお、お前笑ったりするんだな」

魔王「え?」

勇者「毎回怒ってたからさ。安心した」

魔王「そ、そうか?」

勇者「ああ、可愛いぞ」

魔王「…そんなことを平然と言うな!」カァァ

勇者「ああ、すまん。それより、なんでそんな格好を?」

魔王「女戦士が…」

勇者「はぁ、やっぱりな」

戦士「それじゃあ私はこれで…」

勇者「まてい、レズ女」

戦士「ひっ」

勇者「いいかげんにしろよ、これで何回目だよ!」

戦士「だ、だってぇー魔王ちゃんが可愛いからぁ…」

勇者「語尾を伸ばすな! そして、ちゃんとあいつに謝れ!」

戦士「ふえーん…ごめんね、魔王ちゃん」

魔王「ふふ…ジュースをおごってくれたらな♪」

戦士「わかったぁちゃんとおごりますー!」

勇者(…一件落着か)

城下町で起こったこの事件は、瞬く間にうわさになった…。

姫「むむ、許せません! 勇者さまに頭を下げさせるなんて!」

兵「さらに、勇者様はそれを止めるためにその女を抱きしめた(うわさ1)そうです」

姫「まぁ! 私には何もしてくださらないのに! その女、許せませんわ!」

兵「どういたしますか?」

姫「今すぐ庶民の服を持ってきて! 明日、勇者さまの家に行きますわ!」

姫(待っていてくださいね…勇者様!)

勇者「…寒気がする」

魔王「ふん、どうせ気のせいだ」

勇者「軽いな…お前」

魔王「勇者なんだから大丈夫だろう? それくらい」

勇者「確かに、子供の頃からあまり大きな病気とかにはかかったことなかったなぁ」

魔王「ほほう、元気なのはいいことだ」

勇者「お前はなんか、逆に病弱な感じがするな」

魔王「なにおう! 私はピンピンだ!」

勇者「本当か? 体ちっこいからすっごく心配なんだけどな」

魔王「し、心配されなくて結構! 私は魔王だからな!」

勇者「お前、なんで魔王なんか名乗ってんだ?」

魔王「魔王だからだ」

勇者「ふーん。そうか」

魔王「信じてないな?」

勇者「いや、まぁ、なぁ…」(こんな小さい女の子が魔王だとは誰も思わないだろ)

魔王「さっきの力を見れば、本物だとわかったであろう?」

勇者「あの雷か? びっくりしたぜ。MP0のお前が、あんなのを出せるなんて」

魔王「ほ、ほっとけ!」

勇者「さ、家に着いたぞ。先に風呂に入っとけ」

魔王「風呂? なんだそれは?」

勇者「知らないのか?」

魔王「?」

勇者「まぁ、無理に入れなくてもいいか」

魔王「教えろ」

勇者「え?」

魔王「風呂とはどういうものなのだ!?」キラキラ

勇者「お湯に浸かって、体を温めるんだよ。…入ってみるか?」

魔王「うむ! おもしろそー!」

勇者「それじゃあとりあえず」

魔王「うむ!」

勇者「服を脱いでくれ」

魔王「…やっぱり、変態だったのか」

勇者「違う! 裸で入るんだ。服が濡れても困るんだろう? お前の服、それしかないんだから」

魔王「うむ、確かにそうだが…」

勇者「大丈夫だ、俺はみないから」

魔王「そ、そうか」

勇者「服脱いだら湯船に浸かっておしまい」

魔王「わかった」

勇者「…はぁ」

勇者「なんでドキドキしてんだろ…」

勇者「…」

勇者「それにしても、長いな…」

勇者「おーい、大丈夫か~?」

魔王「…」シーン

勇者「? おーい」

魔王「…」

勇者「大丈夫か?」

魔王「…頭が、ボーっとしてきたぞぉ…」

勇者「! お前、のぼせてんじゃねえか!」

魔王「ほえ? 勇者ぁ」

勇者「うお! 前を隠せバカ!」

魔王「きょうこそけっちゃくだぁ」

勇者「はいはい! わかったわかった!」

魔王「ふぁ…すずしー」

勇者「ったく、なにやってんだよお前は…」

魔王「…すぅ…すぅ…」

勇者「…はぁ」

勇者「可愛い寝顔、しやがって」

数分後

魔王「はっ!」

勇者「お、お目覚めかい? お姫様」

魔王「うぅ…頭がクラクラする…って、なんだこれは!?」

勇者「お前のぼせてたんだぞ」

魔王「なぜ私がタオル一枚で横になっているのだ!?」

勇者「服を着せるのも忍びなかったからさ」

魔王「むむ…つまり、お前は私がのぼせてる事をいいことに、私の体を見たな!?」

勇者「見てないって!」

魔王「許さん!」バチバチ

勇者「バカ! まだ濡れてる…」

魔王「あわわわわわわわわっ…」バチバチ

勇者「はぁ…世話焼かせるなよ…」

次の日

賢者「うむ、もう大丈夫じゃろう。お前さんがちゃんと見ておけば大事には至らん」

勇者「は、はい! ありがとうございます」

賢者「にしても、勇者よ。お前さん、見ないうちに勇ましくなったのう」

勇者「そ、そうですか…? け、賢者さんもとても美しいですよ!」

賢者「そうか。とても嬉しいぞよ」ニコッ

勇者(か、可愛い)

賢者「それじゃあ、また何かあったら言ってくれ。では」

勇者「は、はい!」

勇者「久しぶりに賢者さんにあった…嬉しい!」

魔王「ずいぶんと嬉しそうではないか」

勇者「うおうっ! 起きてたのか…」

魔王「…なんでニヤけておるのだ?」

勇者「か、関係ないだろ?」

魔王「…」ムスッ

勇者「…なんだよ」

魔王「ふん、べっつにぃ」

勇者「なんだよ、その態度は!」

魔王「べつになんでもないと言っておるだろう!」

勇者「…まぁ、とりあえず。二日連続で喧嘩はやめよう」

魔王「…」プイッ

勇者「何か食べるか?」

魔王「ふん、いらんわ」

勇者「そうか」

魔王「…やっぱり、いる」

勇者「はっきりしろよ、素直じゃねぇなあ」

魔王「うるさい、うるさい!」

勇者「へいへい、すみませんね、お姫様」

コンコン

勇者「ん? こんな朝っぱらに…誰だ?」

コンコン

勇者「はいはーい。どなたですかー」ガチャ

姫「勇者様ー!」ギュッ

勇者「ぬおっ! 姫様!?」

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