女勇者「伝説の武具を売って欲しいって?」商人「おねしゃす!」 4/10

12345678910

勇者「んーっ、あっ、商人!商人ー!」

グイッ

商人「ちょっ!パジャマで抱きつかないでください!」

勇者「商人!私がんばるからね!商売がんばろうね!」

プニプニ

商人「だ、だから色々やわらかいので抱きつかないでください」

勇者「えへへー、ノーブラだよー」

商人「やめなさい!」

グイッ

勇者「ぶー」

商人「なんですか、これ・・・・・・昨日よりうっとうしくなってる・・・・・・」

商人「もう、いつまで腕に抱きついているんですか」

勇者「いいじゃん。ねー、商人ー」

宿屋「お客さん。昨晩はお楽しみでしたね?うひひひひひ」

商人「楽しんでません!」

勇者「楽しいなー。商人と商売楽しいなー」

商人「まぁ勇者さんもちょっとは働くということがわかったでしょう」

勇者「うん!私一生懸命働く!」

商人「がんばってくださいね。ギャンブルなんてもう駄目ですよ」

勇者「絶対しない!」

商人「それはよかった。では見習いは卒業という事で」

勇者「お・・・・・・おお!じゃあ今度から共同経営者ということに」

商人「なんでそうなるんですか!」

勇者「じゃあ私はこれからどうなるの?」

商人「はい、これ昨日のお給料」

トサッ

勇者「え・・・・・・」

商人「それだけあれば実家にも帰れるでしょう。それで今度は真面目に働いてください」

勇者「こ、こんなの私もらえないよ!」

商人「労働にはこうして対価が払われるんですよ。知りませんでしたか?」

勇者「で、でも昨日私あんなに損を・・・・・・」

商人「損?なんのことですか?昨日はもう儲かっちゃってウハウハですよ」

勇者「・・・・・・」

商人「もう、あなたの給料からも諸経費と指導料ってことで色々引いちゃったりしてね」

勇者「でも赤字・・・・・・」

商人「これも労働者の厳しさという奴ですよ。あはは。帰ったらこんな風に搾取されない所でがんばってくださいね」

勇者「で、でも・・・・・・」

商人「さて、私はこれで」

ササッ

勇者「・・・・・・」

グッ

商人「あ、あの腕離して」

勇者「・・・・・・なら帰る」

商人「え?」

勇者「・・・・・・商人と一緒なら帰る」

商人「はっ?何言ってるんですか?」

勇者「一緒に帰ってお父さんとお母さんに会ってくれるなら帰る!」

商人「な、なんで私が一緒に行かないといけないんですか!」

勇者「そ、それは・・・・・・ごにょごにょ///」

商人「いや、ほんとお願いします。一人で帰ってください」

勇者「もう馬鹿!何でわかんないの!」

商人「わかりませんよ。なんで私が勇者さんの両親にあったりしないといけないんですか」

勇者「だ、だったらついていく!」

商人「はぁ!?」

勇者「借金返すから!はい、これも返す」

商人「それはお給料なんですからちゃんと受け取ってください」

勇者「駄目!」

グイッ

商人「いや、ほんともう勘弁してください、ねっ」

勇者「今朝も私の体見てたくせに・・・・・・」

ボソッ

商人「はっ!?いや、あれはその・・・・・・」

勇者「ほんとに見てたんだ」

商人「うっ・・・・・・」

勇者「商人に汚されちゃった・・・・・・」

商人「何もしてません!」

勇者「一緒ならまた見えるかも」チラッ

商人「うっ」

勇者「一緒についていっていい?」

商人「あーもう!勝手にしてください」

勇者「じゃあ一緒に商売するってことで、決まり!」

ギュッ

商人「はぁ・・・・・・どうしてこうなった」

商人「あれから一週間、勇者さんもなかなか様になってきましたね」

勇者「えへへ、でしょ!私褒められて伸びるタイプだから」

商人「ほらっ、また顔が見えちゃってますよ」

グイッ

勇者「あ、そ、そうだった」

商人「もっとフード深くかぶって。勇者さんとバレたら大変なんですから」

勇者「そんな大変かなー?」

商人「その証拠に私の装備してた武具はまったく売れません」

勇者「それは別の理由なんじゃないかな」

商人「そ、そうですか?」

勇者「あ、げ、元気出して!」

商人「でも勇者さんの武具の商品価値は顔を見せない方がいいでしょう」

勇者「そっかな、この町で私遊んでたから結構有名なんだけど」

商人「ま、まぁそこそこ売れましたから次の町に行きましょう」

―――山里の村

勇者「ほんとにこんな所なの?」

商人「ええ、ここでいいです」

勇者「でもこんな小さな村じゃお金あんまりないんじゃ」

商人「別に私は勇者さんたちの武具だけ売ってるわけじゃありません」

商人「道具や食料なんかも売ってますし、特にこういった小さな村にはそれが必要なんですよ」

勇者「へぇー」

商人「流通がなくなっては村が困ってしまいますからね」

勇者「それで商人が売りに行くんだ」

商人「ええ、この村には昔、お世話になりましたから。定期的に来させていただいてます」

勇者「商人はえらいねー」

ギュッ

商人「あのー、腕そろそろ離してくれませんか?人に見られますし」

「えい!やー!」

ブンブンッ

戦士「ほらっ!声が小さいぞー!そんなことじゃあたしみたいに強くなれないぞー」

「はーい!先生」

「えい!!やー!!」

ブンブンッ

商人「おや、あんな道場ありましたっけ」

勇者「あっ!戦士だ!」

勇者「おーい!戦士ー!」

フリフリ

戦士「次は受身を行くぞー!・・・・・・ん?あ、勇者!それに商人じゃないか」

勇者「ひさしぶりー」

商人「お久しぶりです。戦士さん」

戦士「お前ら悪い、今日の稽古はここまでだ」

「えー」

「よかったー、やっとおわったー」

「先生の稽古厳しいんだもんねー」

「ねー」

戦士「そんなこと言ってると強くなれないぞ」

「きゃー怒ったー」

「きゃははははー」

バタバタバタッ

戦士「ははは、もうワンパクなガキばっかでね、困っちゃうぜ」

戦士「んで、お前らどうしたんだ?それ。腕なんて組んじゃって」

商人「いや、あのこれは、もうっ!離してください!」

ブンッ

勇者「あー、ひどいー」

戦士「何?お前ら付き合ってんの?」

勇者「つ、付き合ってはいないけど・・・・・・///」

戦士「まぁいいや。んで、ここには何をしに?」

商人「道具屋食料を売りに来たんです。戦士さんは?」

戦士「ここあたしの生まれ故郷なんだよ。だから戻ってきたってわけ」

戦士「んで、あの時のお金で道場建てて剣を教えてるんだ」

勇者「へぇー、でも剣は捨てるって言ってたのに」

戦士「斬るための剣は捨てたよ。だから今は守るための剣を教えている」

商人「守るための剣ですか。戦士さんらしいです」

戦士「って言っても門下生はさっぱりなんだけどな」

勇者「そういえば子供ばっかだったねー」

戦士「んで、勇者はなんで商人と一緒なんだ?」

勇者「それが商人に借金しちゃって、働かせてもらってるの」

戦士「へ?マジ?」

商人「ええ、まぁ。これ借用書」

ペラッ

戦士「お、おい!なんだよこの金額。どうやったらこんなに借金できるんだ!?」

勇者「それで商人ってば毎日私に無理やり奉仕させて・・・・・・」

戦士「なっ・・・・・・」

商人「ちょっ!!」

勇者「借金で縛られてるからってあんなことやこんなことまで・・・・・・よよよ」

戦士「商人!!てめぇそこまで堕ちたか!!」

グイッ

商人「く、苦しい・・・・・・」

商人「ち、違うます!」

戦士「何が違うって言うんだ!」

グイグイ

商人「わ、私がそんなことすると思いますか!?」

戦士「えっ、そうだな・・・・・・うーん」

商人「分かってくれましたか」

戦士「思う!」

グイッ

商人「ちょっ!」

戦士「なんか旅の途中お前がいやらしい目で見てたような気もする!」

商人「うぐぐっ・・・・・・」

ジタバタ

勇者「せ、戦士やめて!」

戦士「あちゃー、完全に白目むいてる」

勇者「ご、ごめん」

戦士「冗談なら冗談っていってよ。ったく」

戦士「完全にギャンブルで借金こさえたお前が悪いんじゃないか」

勇者「いやぁ、あはははは」

ポリポリ

戦士「笑ってごまかすな!」

勇者「い、今はちゃんと商人と一緒に働いているんだから!」

戦士「だったらそう言えよな。奉仕とか紛らわしいこと言うからだ」

勇者「だいたいあってるよ」

戦士「おーい、商人おきろー」

ペシペシ

商人「うう・・・・・ん」

商人「お師匠様・・・・・・今逝きます」

戦士「死ぬな!」

バシッ

商人「はっ!ここは!」

戦士「ふぅ!」

勇者「戦士やりすぎだよ」

戦士「お前が言うな!」

商人「いたた、その様子じゃ分かってくれたみたいですね」

戦士「悪かったな。まぁ休んでいってくれ」

商人「そうさせていただいます。でも何で勇者さんあんなことを・・・・・・」

勇者「だ、だって私の腕振り払って戦士ばっか見てるし・・・・・・」ボソボソ

商人「え?」

勇者「なんでもない!」

商人「しかし、戦士さんほどの道場に子供だけとは厳しいですね」

戦士「まぁな。何か目を引くものでもあれば違うんだろけどな」

商人「目を引くもの?」

戦士「ああ、そう『神剣』とか道場の看板になるようなものでも・・・・・・」

商人(こ、この流れは・・・・・・マズイ!!)

商人(私の貧乏神センサーが激しく警告しています。ここにいてはマズイと・・・・・・)

商人「あっ!用事思い出しました!じゃ、これで」

戦士「へ?」

勇者「えー、もう少し休んでいくんじゃないのー?」

商人「食料と道具を置いたらすぐ出ないと!さっ、勇者」

パチッ

商人(気づいてください勇者。ほらっ、このウインクで!)

12345678910