―――宿屋
商人「あの・・・・・・なんで僧侶さんまでいるんです?」
僧侶「い、いえ・・・・・・何となく・・・・・・私のために商人さんがんばってるのにって・・・・・・」
商人「いや、教会に寝床あるんでしょう!?」
戦士「僧侶、勘違いしちゃいけねーぞ!こいつは人のためなんて言ってても最後には自分の利益を考えてるんだからな!」
商人「酷い言われようですね。まぁ概ねその通りですが」
僧侶「そ、そうだったんですか。わ、私てっきり私のために頑張ってくれてるなんて勘違いしちゃって///」
勇者「またまたー、戦士ったら思ってもないこと言っちゃって!」
戦士「な、何言ってんだよ、もう!」
勇者「じゃあお風呂入ってねよっか」
戦士「そ、そうだな」
僧侶「なんかこういうの久しぶりで楽しいです」
勇者「そうそう、一人増えたって変わらないよ!」
商人「あ、あの宿代払うの私なんですが・・・・・・」
商人「あ、あのベッドたくさんあるので離れて寝ませんか?」
戦士「何言ってんだ?ここはあたしの指定席だろ?」
ピトッ
勇者「こっちは私ー」
ギュッ
商人「ちょっ、ちょっとパジャマでくっつかないでっていってるでしょう!」
勇者「えーい覚悟せいーえへへー」
キュッ
僧侶「あらあら、どうしましょう」
僧侶「で、では私はここ・・・・・・ですね///」
商人「上!?」
戦士「ちょっ、僧侶、お前それ反則だぞ!」
勇者「そうだよー!」
僧侶「ではお休みなさいませ」
スヤスヤ
商人「お・・・・・・おっきい・・・・・・」
勇者「え?」
商人「い、いえ、なんでもありません」
勇者「も、もう僧侶も寝てるし・・・・・・ま、いっか。おやすみー」
戦士「しかたねーなー」
チュンチュン
商人「うう~ん・・・・・・私の・・・・・・それ私のお金ですからー・・・・・・私のお金ですからー。うーん・・・・・・うーん・・・・・・」
勇者「んふふー、まだ寝てる・・・・・・」
商人「うーん・・・・・・助けてー・・・・・・それ捨てないで・・・・・・私の・・・・・・うーんうーん」
勇者「それではお目覚めのチューいただきますー」
勇者「んーっ」
戦士「おい!」
グイッ
勇者「あいたっ!」
ゴンッ
僧侶「たっ・・・・・んむぅ・・・・・・朝ですかー?お、おトレイー」
ヌギヌギ
戦士「こら、商人の上で脱ぐな!」
グイッ
僧侶「わっ!」
プニュッ
勇者「それではあらためて、んっー」
戦士「だから何でチューしようとしてんだよ!」
グイッ
勇者「だって商人がうなされてるんだからお姫様のチューで目覚めさせてあげないと!」
戦士「あんたがお姫様って柄かっての!そ、それならあたいが代わりに・・・・・・」
勇者「だめ!」
ドンッ
戦士「やったなっ!」
僧侶「お、おトイレー」
商人「な、何をやっているんですか。みなさん・・・・・」
戦士「そ、そそそそそそれは・・・・・・なぁ、勇者///」
勇者「な、なんでもないなんでもない!」
僧侶「ふぇ?」
キョロキョロ
商人「あ、じゃ、じゃあ私先に行ってますね!」
ササッ
バタンッ
戦士「お、お前のせいだぞ!商人ドン引きだったじゃねーか」
勇者「戦士が邪魔しなければ商人も気持ちよく起きれたんだよ!」
僧侶「へ?ふぇ?」
戦士「お前のせいだー」
ムニニニニッ
勇者「ひっ、ひっぱふなー」
ムギギギギッ
戦士「やっふぁなぁ!」
僧侶「喧嘩はだめです!」
バッ
勇者「だ、だって戦士が私の商人に・・・・・・」
戦士「お、お前が先に手を出そうとしたんじゃねーか!」
僧侶「二人とも商人さんが好きなんですね」
戦士「えっ?いや、それは・・・・・・///」
モジモジ
勇者「えへへー。好きー」
戦士「あんたは正直すぎだっての・・・・・・」
僧侶「だったらなんで本人に面と向かって言わないんですか?」
戦士「だ、だから別に好きってわけじゃ・・・・・・///」
勇者「は、はずかいしじゃん!!///」
僧侶「だったら二人で好きなだけ喧嘩しててください。私が告白しちゃいますから」
勇者「だ、駄目!」
戦士「ず、ずるいぞ僧侶!」
僧侶「直接言わなきゃ分かりませんよ。商人には」
戦士「でも・・・・・・でもでも・・・・・・うっー///」
勇者「こ、断られたら一緒にいられないし・・・・・・」
僧侶「いえ、分かってても応えてくれないでしょうね」
戦士「直接言わなきゃ・・・・・・」
勇者「分からない・・・・・・かぁ」
宿屋「お客さん。昨晩はお楽しみでしたね。4P?4Pやったの?ねっ、どの子がよかったの?」
商人「あ、あの・・・・・・ですね」
宿屋「やったんでしょ?ねっ、ねっ、ねっ。聞かせてよ」
戦士「うおりゃああー!」
ドガッ
宿屋「げふっ!」
バタッ
勇者「なんで宿屋さんっていつもこうなんだろうねー」
僧侶「ここの宿屋は特に酷いんです。すみません、すみません」
ペコペコ
勇者「さ、会計すませて行こうよ!」
戦士「つっても商人ががんばるんだけどな」
僧侶「期待してます」
―――大聖堂
大神官「いやぁ、お待ちしておりましたよ。豪商様」
商人「いえ、遅くなって申し訳ありません」
大神官「それで契約書は?」
商人「はい、この通り」
ドサドサッ
大神官「す、随分多いですね」
商人「大事な契約ですから頑張って作ってきました」
大神官「ではさっそく見せてもらいましょうか。しかし、これだけの量となると・・・・・・」
商人「ご心配しなくて結構。内容を1枚にまとめてきましたので、こちらを読んでいただければ」
大神官「それは手際がいい。さすが私の目に狂いはなかった」
商人「契約は、大聖堂の建て直し費用として、聖遺物をゆずる。そして、大聖堂の建て直しについて、私に代金を支払っていただき、請け負うということで」
大神官「なるほど、わかりやすい。ええ、それで結構です」
大神官(くくく、馬鹿め。そんな代金は聖遺物の価値の前には紙くずもどうぜんだ)
商人「では、こちらに大神官様の印を。そしてこちらに私の印を」
ポンッ
ポンッ
大神官「では、これで契約成立ですな」
商人「はい、これまでです。詐欺師さん」
大神官「なっ!?」
「動くな!」
グイッ
「観念しろ。詐欺師!」
大神官「な、なんだこれは!?」
商人「ここではどうだか知りませんが、昔の罪までは消せませんよ?詐欺師さん」
大神官「な、何者だ!貴様!」
商人「何者だと言われても、あなたは私のような無数に騙した若造のことなど覚えていないんじゃないですか?」
ペリペリ
大神官「つけひげ・・・・・その顔は・・・・・・商人!?」
商人「覚えていましたか。そうです。あの町の衛兵に連絡しておいたのです」
大神官「覚えているとも!私に騙されて破滅しなかったのはお前だけだからな!」
商人「それはありがとうございます」
大神官「何を勝った気になっている!この私はただの詐欺師だが、さっきの契約は契約だ!」
商人「それはそうですね」
大神官「何年かしたら出てこれる!そうなったら私はあれだけの聖遺物と馬鹿な信者どもから集めた金で幸せに暮らせるのだ!分かっているのか!」
商人「それはどうですかね?」
大神官「な、なに!?」
商人「この分厚い契約書。あなた、読まなかったでしょう?」
大神官「なっ・・・・・・」
商人「そう、私もあの時読まなかった。読む気も起きない量です」
大神官「まさか・・・・・・まさか・・・・・・」
商人「そう、まさか詐欺師のあなたが自分の考えた手にかかるとはよもや思わなかったでしょう?」
大神官「で、ではあの見やすい1枚のペラは・・・・・・」
商人「ええ、あれに間違いはありません。私は大聖堂を建て直します」
商人「そして、代金もいただきます」
商人「そして、ここから但し書きがあります」
大神官「こ、こんな小さいところに・・・・・・」
商人「小さくても大きくてもこれだけの量読まないでしょう」
商人「ただし、代金は大聖堂再建基金とし、余剰額は寄付した者にその金額により還付するっとね」
大神官「く、くそがああああああああああ!」
商人「これで、あなたの手元に残るお金はありません。私の仲間が寄付したお金も返していただきます」
商人「まぁ、全額じゃありませんが、大聖堂が新しくなるならいいでしょう」
勇者「商人!かっこよかったよー!」
ギュッ
商人「だから腕に絡まないでください」
戦士「でも商人の悪寒はこれで勘違いだったって証明されたな!」
ギュッ
商人「まぁちょっと損はしましたが、昔のツケを払っていただきましたね。貧乏神はいいすぎでした。すみません」
勇者「いいよー!いいよー!今日の商人だったら何でも許しちゃうよー!」
プニプニ
商人「ちょっと、暴れないで!」
戦士「そういえば僧侶がいないな」
商人「!?」
ゾクゾクゾク!!
商人「うひゃああ!」
勇者「どうしたの?」
戦士「商人がそんな声出すなんて」
商人「今までにない悪寒が・・・・・・」
僧侶「あ、みなさんこちらにいましたか!」
勇者「僧侶!どこにいってたの?」
僧侶「いえ、詐欺師の被害者のみなさんに寄付金の還付をしていまして」
戦士「おー、ご苦労様」
僧侶「結局寄付金全部使っても足りなくて困ってしまいました」
商人「寄付金・・・・・・全部・・・・・・ですって・・・・・・」
勇者「ま、まさか・・・・・・」
戦士「いや、さすがにそれはないだろ・・・・・・」
僧侶「だから私はお金諦めました。それも還付にまわしてもらってそれから・・・・・・」
商人「そ、それから・・・・・・・あ、いや、なんか聞きたくないです」
商人「あ、あのもういっそここで殺してくれませんか?」
勇者「き、気をしっかり持って!商人!」
戦士「だ、大丈夫だって!さすがに金オンチの僧侶だって・・・・・・」
僧侶「聖遺物も還付にまわして差し上げました」
バターンッ