女勇者「伝説の武具を売って欲しいって?」商人「おねしゃす!」 7/10

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トサッ

「ふむふむ」

クンクンクンッ

「んっー、この何とも言えないスメェールな香り・・・・・・」

勇者「そ、それ汗臭いっていうんじゃ・・・・・・」

戦士「な、何してるんだ!!?」

「じゃ、じゃあこれ下さい。はぁはぁ・・・・・・やっべ、待ちきれねぇー。戦士ちゃんの香り・・・・・・」

戦士「お、おい!」

「あ、これは勇者ちゃんの・・・・・・こ、これも一緒に。はぁはぁ」

勇者「や、やめてよ!」

「お、おい、俺にも俺にも」

「何だって!?僧侶ちゃんの臭いつきの服だと!?」

勇者「ちょっ、ちょっとやめて!やめてよ」

戦士「て、てめぇらそれ以上卑猥な事言ったら」

「あー、一度でいいから一発やってみてー!」

クンカクンカ

ブチブチッ

勇者「こ、この・・・・・・」

戦士「変態どもがああああああああああああ!」

ドゴオオオオオオオオオオオン!

商人「さすが富豪の集まる町ですね。結構売れました」

商人「これならあの二人と一緒でも旅に支障はないかもしれませんね」

商人「あれ?あの騒ぎは?」

ザワザワザワッ

商人「こ、これは・・・・・・」

商人「酷い・・・・・・この一角が破壊されてる」

「い、いでえよおお」

商人「大丈夫ですか?」

「おがあちゃーん」

「うぇうぇ・・・・・・」

「や、やくそうをくれぇー」

商人「やくそうですか。さっ、使ってください」

ヌリヌリッ

「ありがてぇ」

商人「代金はこれだけになります」

「か、金取るのか!?」

商人「私は商売人ですので」

「お、鬼!ほらっ!」

チャリンッ

商人「毎度、で、何があったんですか?」

「そ、それは・・・・・・なぁ」

「ああ、若い二人組の店子さんが突然暴れだして・・・・・・な」

「そうそう、別に俺達なにもしてないのに」

商人「それで二人はどこに?」

「さぁ?」

「衛兵につれていかれちまったからなぁ」

「牢屋じゃね?」

「ちょっと可愛かったのにもったいねーなー」

商人「そうですか、ありがとうございました」

商人「こちらは情報料です。やくそうですから使ってください」

「さ、さっきは金とったじゃん」

商人「なんでも売ります。何でも買います。それが商人ですので」

スタスタ

「お、おいどこ行くんだ?」

―――牢屋

勇者「ううっ・・・・・・ぐすっ。どうしよう。どうしよう戦士ー」

戦士「泣いてても捕まっちゃったんだからしょうがないだろ」

勇者「捕まったことじゃないよ。こ、今度こそ商人に嫌われちゃうよー」

戦士「嫌われる・・・・・・」

勇者「絶対商人今困ってるよ」

戦士「ま、まぁなぁ」

勇者「もしかしたら私達見捨てて言っちゃうかも・・・・・・」

戦士「や、やだ!それは・・・・・・やだ・・・・・・うっ・・・・・・うっ・・・・・・」

勇者「せ、戦士まで泣かないでよぉ、ぐすっ」

戦士「で、でもしょうがねーじゃん・・・・・・あれだけやっちゃったんだから・・・・・・」

戦士「商人・・・・・・会いたいよぉ・・・・・・」

勇者「戦士・・・・・・商人のこと好き?」

戦士「な、何いきなり聞いてんだよ!」

アセアセ

勇者「どのくらい好き?」

戦士「いや、なんで好きが前提なんだよ」

勇者「えへへー、見てれば分かるよー」

戦士「べ、別に好きじゃねーよ」

勇者「うそだー」

戦士「うっ・・・・・・だ、誰にも言うなよ!」

勇者「うん」

戦士「この世界全部くらい好きだ」

勇者「じゃあ私の勝ち!私は宇宙全部くらい好きだから」

戦士「す、ずりぃぞ!」

商人「何がずるいんですか?」

勇者「!?」

戦士「きゃっ!!」

勇者「き、聞いてたの!?」

商人「いえ、今きたところですので。何のことです」

戦士「なんでもない!なんでもないからな!」

商人「そうですか、では行きましょうか」

勇者「え?」

戦士「でもあたしたち捕まっちまって」

商人「釈放の手続きは済ませてます」

勇者「え?ど、どうやって?」

商人「それは後ほど、早く行きましょう。こうして余り長く話すのも許されていませんので」

戦士「どういうことだよ」

商人「いやぁ、まぁ、罪は許してもらったんですが、国外追放ってことで」

ガシャン

商人「さっ、いきましょう」

勇者「う、うん・・・・・・」

戦士「ああ」

「ほらっ、さっさと行け!」

商人「分かってますよ。出て行きますから」

勇者「商人ー」

ギュッ

戦士「商人」

ギュッ

商人「大丈夫ですよ、二人とも」

―――砂漠

商人「さぁて次の町目指しますか」

戦士「ま、待てよ!」

商人「何ですか?」

戦士「な、何でだよ・・・・・・」

商人「は?」

戦士「な、何で助けに来てくれたんだよ」

勇者「うん!それにどうやって」

商人「いや、まぁ、誠心誠意謝って、被害を補償すれば大方の人は許してくれます」

戦士「じゃ、じゃあやっぱり迷惑を・・・・・・」

勇者「商人ごめんなさい」

商人「いえいえ、高価なものがいくつか売れましたので、大丈夫ですよ」

戦士「じゃ、じゃあ伝説の剣も売れちまったのか。ま、まぁしかたねぇけど」

商人「はぁ?何を言っているんですか?」

戦士「え?」

商人「これは戦士さんにご予約いただいているんだから売るわけないじゃないですか」

戦士「しょ、商人・・・・・・ううっ・・・・・・ぐすっ」

勇者「あー、泣かしたー」

商人「えっ?私が悪いんですか!?」

勇者「そうだよ!あっ!そういえば!」

商人「な、なんです?」

勇者「私達の武具をいやらしい目的で買おうとした人たちにも売ってたんでしょ!」

プンプンッ

商人「え・・・・・・ええ!?」

戦士「そ、そうだ。もとはといえば・・・・・・」

勇者「なんであんなものまで売ってったの!」

商人「そ、それは・・・・・・」

戦士「そうだった・・・・・・泣いて損した。お前・・・・・・覚悟はできてるだろうな」

ボキボキッ

商人「わ、私は商売人・・・・・・だから」

勇者「へぇ・・・・・・それで?」

商人「私は何でも売る!何でも買う!たとえそれが男の劣情でも!!私は商売人なんだから!」

勇者「言いたいことは・・・・・・」

戦士「それだけかああああああああ!」

ドガアアアアアアンッ!

勇者「回復、回復・・・・・・」

キュゥーン

戦士「ち、ちっとやりすぎちまったかな・・・・・・」

アセアセ

勇者「う、うん・・・・・・助けに来てくれたのにね」

戦士「あのまま放っていっちまってもよかったのにな」

勇者「なんで来てくれたんだろう?」

戦士「さぁ」

商人「わ、私が商売人だからです・・・・・・よ・・・・・・いつつ」

戦士「わ、生きてた!」

勇者「生きてるよ!」

商人「私は何でも買います。それが私の心の安心でも」

戦士「心の安心?」

勇者「?」

商人「二人をあのまま見捨てたら安心してこの先進めませんからね」

勇者「商人・・・・・・」

戦士「で、でもあんないやらしい商売はもうだめだからな!」

商人「わ、私はそんなつもりで売ってたんじゃないですよ。買う人が勝手に・・・・・・」

勇者「言い訳しない!」

商人「はい・・・・・・」

商人「それで、次の行き先ですが」

パサッ

勇者「あ、落ちたよ。あ、あの経理簿だ」

戦士「ちょっと見せてみろ。あっ!」

パタンッ

商人「おっと、すみません。拾ってくれて」

戦士「ご、ごめ・・・・・・」

商人「な、何言ってるんですか!次の町ですよ!」

商人「次は大聖堂のある教会都市です。世界中からお布施が集まる都市ですよ」

勇者「へぇー、あそこ一度いってみたかったんだー」

戦士「あんたそんな信心深かったっけ?」

勇者「ううん、全然。大聖堂が見たい!」

ワクワク

―――教会都市

勇者「すごーい!でっかいなぁ」

商人「あれが大聖堂ですね」

戦士「あれだろ?選ばれた神官や僧侶じゃないと入れないって言う」

商人「ええ、でも別に中に入らなくても商売は出来ますからね」

戦士「お坊さんにそんな武具売れるか?」

商人「こういった聖遺物は教会は大金を出してでも欲しがるでしょうから需要はあると思いますよ」

勇者「だから私死んでないって!」

僧侶「あら、みなさんお揃いで」

ザッ

勇者「僧侶!どうしてこんなところに!?」

僧侶「どうしては私の方ですよ。なんでみなさんがこのような神聖な場所に?」

戦士「あ、何気にひどい」

商人「確かにお金に汚れてますけど」

僧侶「そのようなつもりはなかったのですが・・・・・お久しぶりです。みなさん」

商人「お久しぶりです」

チラッ

勇者「あ、今僧侶の胸見た!」

僧侶「えっ!?」

バッ

商人「み、見てません!」

戦士「おっきけりゃいいってもんじゃないだろ」

僧侶「んもぅ・・・・・・商人さんは相変わらずですね」

商人「え、私ってそういう目でみんなに見られてたんですか?」

僧侶「それでみなさんはどのようなご用件で?」

商人「ええ、商売で参りました」

勇者「私は商人に借金で縛られて、あんなことやこんなことまで・・・・・・」

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