戦士「あたしも似たようなものだな」
僧侶「ふ、不潔な!!そこまでだったなんて!見損ないましたよ!」
僧侶「エ○チな事はいけないと思います!!」
商人「そ、それ前やりましたから!」
僧侶「今すぐ立ち去りなさい!!穢れます!」
商人「だ、だから・・・・・・」
僧侶「ち、近づかないで!人を呼びますよ」
僧侶「さぁ、勇者様、戦士さん、こちらへ」
商人「だ、だから・・・・・・」
ズッ
僧侶「いや!!」
バシーン!
戦士「うわぁ、いたそー」
勇者「あ、あの、僧侶、今の冗談だから」
僧侶「へ?」
戦士「僧侶も相変わらず真面目だなー」
商人「痛い・・・・・・」
ヒリヒリ
僧侶「あ、あらあら!ど、どうしましょう」
ワタワタ
勇者「僧侶!深呼吸!」
僧侶「はぁーっ、ふぅーっ」
僧侶「と、取り乱しまして、あの・・・・・・商人さん」
商人「はい」
僧侶「ごめんなさい」
勇者「だめだよー、僧侶。暴力は」
戦士「あんたが言うな」
商人「戦士さんもですよ・・・・・・もう。僧侶さんはどうしてこちらへ?」
僧侶「え、ええ。分かれた後こちらに呼ばれまして、色々大聖堂のお手伝いをさせていただいてます」
商人「そうでしたか。立派になりましたね」
僧侶「いえいえ。あ、そうです。みなさんも折角ですから大聖堂の再建にご寄付をしていきませんか?」
商人「え?」
戦士「寄付?」
勇者「再建ってすごくおっきくて綺麗だよー」
僧侶「どうも老朽化が進んでいるようで、随分お金が必要と大神父様がおっしゃってまして」
ゾクゾクソクッ!
商人「うっ!!こ、この寒気は!!」
僧侶「それで・・・・・・」
商人「ま、待って!待ってください。なんかその後聞きたくないです!お願いします!」
勇者「何言ってるの?商人」
戦士「ああ、まだ話の途中だろ」
商人「おお!神よ!何ゆえあなたは私にこのような試練をお与えになるのか!」
僧侶「それで私貰ったお金も全部・・・・・・」
商人「あーっあっーあっー!きーこーえーまーせーんー!」
戦士「聞けよ」
グイッ
商人「や、やめて!何で私には貧乏神ばっかり!」
勇者「どうぞ」
僧侶「は、はい。それで私貰ったお金全部ご寄付させていただいたんです」
勇者「へぇー、さすが僧侶は偉いなぁ」
ナデナデ
僧侶「あ、ありがとうございます。でもそれだけじゃ大聖堂再建のお金には足りないらしくて、こうして寄付を募ってるんです」
勇者「あんなに寄付しても駄目なんだー」
戦士「いったいいくらかかるんだよ」
僧侶「それがこれくらいらしいです」
勇者「えええ!?」
戦士「これ・・・・・・無理だろ」
商人「ああ・・・・・・これは・・・・・・」
僧侶「どうかなさいましたか?」
商人「いえ、言いにくいですが、これは大聖堂再建の金額ではありませんね」
僧侶「えっ!?ど、どういうことですか?」
商人「宗教によくある手ですよ。見える分かりやすいものに必要だと言ってお金を出してもらうのは」
僧侶「えっ?えっ?」
商人「はっきり言って、この金額があったら大聖堂が10個は作れます」
商人「いえ、私がやれば15個は作って見せますよ」
戦士「ま、マジかよ」
勇者「15個もあったらすごく綺麗だろうなぁ・・・・・・」
戦士「騙されたっていうのか?」
僧侶「だ、大神父様がそのようなことをなさるはずがありません!」
商人「騙しているかどうかはまだわかりませんよ」
勇者「どゆこと?」
商人「宗教というのはお金のかかるものです。それもこれだけ大規模なものとなると相当なものでしょう」
商人「信者への施しや、神父や僧侶の生活費、小物、服、それに建物の維持費などたくさん必要でしょうね」
商人「だから名目はともかくお金が必要なのが宗教です。だから寄付やお布施が必要になるんです」
僧侶「じゃ、じゃあ大神父様は・・・・・・」
商人「いえ、潔白かどうかはまだわかりませんね。それにこの手口。ちょっと臭いですね」
勇者「わ、私じゃないよ!」
戦士「あ、あたしでもないからな!」
僧侶「す、すみません///わ・・・・・・私です///」
モジモジ
商人「・・・・・・」
戦士「おい、何もしないってどういうことだよ!」
勇者「そうだよ!僧侶がかわいそうだよ!」
商人「勘違いしないでください。私はここには商売できたんですから。それに騙されてると決まっているわけでもない」
僧侶「い、いいんです。みなさん。私は大神父様を信じていますから」
勇者「僧侶・・・・・・」
戦士「ほんとにいいのか?」
僧侶「はい、みなさんにまた会えてうれしかったです。勇者様、戦士さん、変態さん・・・・・・あっ、失礼かみました。商人さん」
商人「どういう噛み方ですか」
勇者「商人ッたらさっき僧侶がおならした後息が荒くなっていたもんねー」
戦士「鼻の穴も膨らんでたな。変態でいいよ」
商人「言いがかりです!」
僧侶「まぁまぁいいではありませんか」
商人「よくないです!」
僧侶「商売とはどのような?」
商人「勇者の聖遺物を売りに来ました」
勇者「だから殺さないで!」
僧侶「それはきっと教会のみなさんも喜びます」
商人「案内してくれますか?」
僧侶「はい、では大神父様のおられる聖堂まで」
勇者「え?僧侶大聖堂行けるの?」
僧侶「ええ、寄付金額が多いほど位も高いらしくて、な、なんか大僧正やっちゃったりしてます///」
戦士「へぇー、あの僧侶がねー」
僧侶「すみません、こんな私がすみません」
ペコペコ
商人「いえ、僧侶さんはもっと上の身分でも勤まりますよ」
僧侶「へ?」
商人「では案内していただけますか。商売の時間です」
僧侶「こ、この部屋でお待ちです。アポイント取れました」
勇者「さすが大僧正!やるー」
戦士「で、お前はなんでそんな変装してるんだ?商人」
商人「念のためですよ。ええ、念のため」
勇者「ぷっ・・・・・・ヒゲ全然似合ってないよ」
戦士「ほ、ほんと!そのメガネも、ぶくくっ」
商人「これでいいんですよ。ではいきましょう」
バタンッ
大神父「よくいらっしゃいました」
商人「はじめまして。豪商と申します」
勇者「へ?」
商人「しっ!」
大神父「豪商様ですか。よくいらっしゃいました」
大神父「そちらのお二人は?」
商人「私の弟子です。まだ駆け出しですが」
勇者「よろしくー」
女戦士「ふんっ」
大神官「お二人とも顔がフードで見えませんが・・・・・・」
商人「慎み深さを商売のもっとうにしておりますので」
僧侶「あ、あの・・・・・」
大神官「ああ、ご苦労様でした。下がっていいですよ」
僧侶「は、はい」
大神官「それで聖遺物をお売りになりたいとか」
商人「はい」
大神官「では、二人だけでお話させていただきたい」
商人「わかりました。下がってください。お弟子さん」
勇者「ぶー」
戦士「・・・・・・」
バタンッ
大神官「ありがとうございます。それでお売りになりたい聖遺物はこちらに?」
商人「はい、これです」
ピカッー
大神官「お・・・・・おお・・・・・・これは・・・・・・」
大神官「す、すばらしい・・・・・・これほどの物を扱っているとは、いやはや羨ましい」
商人「羨ましい?」
大神官「い、いえ。素晴らしい品です」
商人「大神官様?どこかで会ったことありませんか?」
大神官「?」
大神官「いえ・・・・?」
商人「そうですか、私の勘違いでした」
大神官「それで豪商様はこれをどちらで・・・・・・?」
商人「それは勇者様たちから直接買い付けました」
大神官「ほほぅ!なるほど、本物のようです」
商人「気に入っていただけたようで」
大神官「そ、それでこれはおいくらで?」
商人「高いですよ?」
大神官「分かっております。しかし、これほどのものが手に入り象徴となれば・・・・・・」
商人「もっと信者が増え、それ以上の収入となる」
大神官「!!?」
商人「いえ、いいんですよ。私は商売人です。それに大神官様も商売人と見えます。いい取引をしたいのです」
大神官「いい取引?」
商人「お互い腹の中は晒していきましょう。私もお金が大好きです」
大神官「ふふっ、あなたとは話が合いそうだ」
大神官「それで、取引とは?」
商人「これらの商品は寄付しましょう。大聖堂建て替えの費用として」
大神官「へっ?く、くれるんですか?」
商人「その代わり大聖堂の建築を私に任せていただきたい」
大神官「そんなことでいいんですか?」
商人「そんなことじゃありません。大聖堂を建築したという名は終生語り継がれることでしょう」
大神官「なるほど」
商人「商売に必要なのはその知名度とコネです。これで私はその両方を手に入れる」
大神官「あなたの商才には感服いたします」
商人「いえいえ、あなたの商才もたいしたものです」
大神官「ははははは、めっそうもない」
商人「教会の他の建物も建て替える時はぜひ声をかけてください」
大神官「わかりました。ご協力しましょう。いやぁ、いい取引になりそうです」
商人「では、契約書は明日持ってまいりますので」
大神官「はい、ではまた明日に」
戦士「はぁ!?寄付した?」
勇者「大聖堂の建て替えを請け負ったって!?」
僧侶「あ、あの・・・・・・それはうれしいのですが、なんで急に・・・・・・」
商人「いえ、臭い臭いとは思っていましたが、それが大当たりでしたので」
僧侶「こ、今度は私じゃありませんよ!」
戦士「あ、あたしも!」
勇者「ごめん///」
商人「いえ、それもういいですから!」
勇者「か、嗅がないでよ!///」
商人「嗅ぎません!」
戦士「で?なんだっけ?」
商人「あの大神官、私は昔会ったことがあります」
僧侶「え?大神官様にですか?」
商人「ええ、そのときは大神官なんて名前じゃありませんでしたが」
勇者「じゃあ、なんなの?」
戦士「もったいぶらずに言えよ」
僧侶「どきどき」
ドキドキ
商人「そう、彼は昔こう呼ばれていました。詐欺師と」
僧侶「詐欺師!?」
商人「ええ、間違いありません」
僧侶「そ、そんな・・・・・・あの大神父様が・・・・・・」
商人「私も駆け出しのころ詐欺師にひどい罠に嵌められてしまいました」
僧侶「なんてことでしょう・・・・・」
戦士「んで、んで、どんな目にあったんだよ」
ワクワク
勇者「あ、私も知りたい!」
商人「それは明日直接お見せしましょう。今度の被害者は詐欺師になるでしょうけどね」