女勇者「伝説の武具を売って欲しいって?」商人「おねしゃす!」 1/10

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女勇者「まぁ、魔王も倒しちゃったし、いらないって言えばいらないかな」

女僧侶「世界も平和になるでしょうしね」

商人「でしょ?だから私に売ってくれないですか?」

勇者「ん~、私は別にいいけどねー。一緒に戦った仲間だし」

僧侶「戦士さんどうです?」

女戦士「別にいいんじゃね?あたしもまぁ剣は捨てようかと思ってるし」

勇者「ありゃ意外、このあとどうするの?」

戦士「まー故郷に帰ってから考えるよ」

商人「では武具や道具は私が引き受けるということで」

僧侶「商人さんに旅の資金や道具の管理してもらってましたからね」

商人「あざーっす!それで旅で残った資金なんですが、現金がこれくらいでして」

パチパチパチ

勇者「お・・・・・・おお」

戦士「すげぇ・・・・・・」

僧侶「こ、こんなに!?」

商人「おっとソロバンの桁が一つ低かったです。これだけです」

パチンッ

勇者「おわっ!」

戦士「こりゃ城が帰るんじゃね!?」

僧侶「あわわ・・・・・・」

商人「いやぁ、魔物からも魔王軍からもたくさんいただきましたからねー」

商人「それを山分けして一人これだけです」

パチッ

勇者「すごい・・・・・遊んで暮らせる・・・・・・」

戦士「やばっ、興奮してきた」

僧侶「あわわわわっ」

商人「で、私が管理してた武具や道具ですが、馬車と倉庫合わせてこれだけありますので」

ズラッ

商人「道具屋などへ卸す価格で買い取らせてください」

商人「伝説級のものにはこれだけ払います」

パチパチ

商人「それで、最終的な山分け価格はこれでどうでしょう?」

パチパチンッ

勇者「え?これじゃ・・・・・・」

戦士「商人、お前全然金残らないじゃん」

僧侶「い、いいんですか?」

商人「ええ、これでよろしければ」

勇者「でも、平和になるんだし武具なんて売れなくなるんじゃ・・・・・・」

商人「安心してください。これでも私は商人です。勝算はあります」

戦士「商人がいいって言うんならいんじゃね?」

僧侶「ど、どうもありがとうございます」

商人「では、現金はみなさんに、商品は私にということで」

ドサッ

戦士「うわっ、おもっ」

僧侶「こんなお金はじめてみました」

勇者「よ、よぉし!遊んでくらせるぞぉ!」

商人「あまり無駄遣いはよくありませんよ」

勇者「大丈夫だよ。私達王様からもなんかご褒美もらえるだろうしね」

戦士「あたしも楽しみだなー」

僧侶「ですねー」

商人「それでは私はこれで」

シュタッ

勇者「もういっちゃうの?」

商人「ええ、時は金なりと申しまして。商品は早さが命です」

戦士「そっか、じゃ、がんばれよ」

僧侶「また会いましょう」

商人「お元気で」

商人「よぉし・・・・・・念願の伝説の武具を手に入れたぞ」

商人「しかも魔王討伐したという勇者印・・・・・・これは売れる!」

商人「どうやって売ろうかなぁ・・・・・・まずは安めのものからさばいていくかなぁ」

商人「聖王の遺産とかアイスソードとか伝説級のは王族関係の方のほうが高くうれそうだ」

商人「ふふふふふっ」

ワクテカッ

―――町

商人「とりあえずここにしますか」

商人「まずは根回しを・・・・・・」

町長「ほぅ、よろず屋を開きたいと」

商人「はい、お願いします」

町長「しかし、お貸しできるような店舗はございませんが・・・・・・」

商人「いえ、馬車で露店を開くつもりですので」

町長「そうですか、商店会の了解もとりませんとなりませんし・・・・・・」

商人「それは私が自分で回りますので、あとこれはつまらないものですが」

サッ

町長「いや、こんなものはありがとう」

サッ

商人「それではよろしくおねがいします」

商人「だいたいのお店は回ったかな?ん?あそこの武具屋だけ回っていなかったかな」

武具屋「おう、いらっしゃい」

商人「あ、お客じゃないんです。すみません」

武具屋「だろうな」

商人「え?なんでです?」

武具屋「いや、もう最近魔物が減っちまってな・・・・・・もう店たたもうかと思ってんだよ、はぁ・・・・・・」

武具屋「勇者だかなんだかしらねーが、こっちは商売あがったりだぜ」

商人「いや、はや、それは申し訳ないです」

武具屋「なんであんたが謝るんだよ」

商人「まぁ、これでも飲んで元気出してください」

ドンッ

武具屋「お、おお!こりゃ魔界近くの町じゃねーと手に入らない一級品の酒じゃねーか!」

商人「近くでお店開かせていただくのでご挨拶がわりにどうぞ」

武具屋「店?」

商人「ええ、ほらっ、あそこ?」

武具屋「あんっ?あんなちっぽけな屋台みてーなのか?」

商人「はい」

武具屋「ふーん、ま、いいんじゃね?酒ありがとよ!がんばりな!」

バシッ

商人「はい、お互いがんばりましょうね」

武具屋「あれじゃがんばるったってしれてるけどな!ははは」

「んっ?『勇者一行魔王討伐の武具売ります?』」

商人「いらっしゃいいらっしゃい!あの勇者一行の武具だよ!勇者様直筆鑑定書つき!」

商人「長い旅の間に使われたありとあらゆる武具が揃ってますよ!」

商人「プレミア間違いなし!100年後には伝説の遺産となること請け合い!さあ、買った買ったー」

「おい、あれマジか?」

「あ、あいつ勇者一行についてった商人じゃね?」

「やっべっ、でもちょっと高いな」

「馬鹿隣の武具屋に比べて高いのは当たり前だろ!伝説だぞ、伝説」

「そうよ!家宝になるには安い買い物よ」

「おい!これくれ!」

「わ、私はこれを!」

商人「ありやとやす!ありやとやす!」

商人(よし、よし、いい売れ行きだ。旅立ち当初の棍棒とかがこんな値段で売れるなんてなぁ)

「勇者様の使ってたこれください!」

「戦士様のこれを!」

「こ、これが僧侶様の使ってた武器・・・・・・」

商人(わ、私の使ってたものだけ売れない・・・・・・」

商人「あ、あのこれなんてどうです?」

「いりません」

「ただの中古でしょ」

商人「・・・・・・」

武具屋「な、なんだよあいつ・・・・・・」

武具屋「おかげでこっちにゃまったく人こねーじゃねーか」

武具屋「あのやろう・・・・・・」

武具屋「ま、まぁいつも人なんて来ないが・・・・・・許せん!」

武具屋「おうおうおう!商人てめぇ!」

商人「あ、いらっしゃい武具屋さん」

武具屋「いらっしゃいじゃねーよ!」

商人「どうかしましたか?」

武具屋「てめぇのおかげでこっちは商売あがったりってんだ!」

グイッ

商人「ちょ、ちょっと、それは違いますよ」

武具屋「なにがちがうんでい!」

商人「客層が違うんです。私は斬ったり体を守ったりするための武具を売っていません」

武具屋「なに!?」

商人「みなさん、インテリアや価値が上がるまでの投資として買ってる方がほとんどでしょう。私もそのつもりで売ってます」

武具屋「うっ、うぐぐ・・・・・・」

商人「ですから、武具屋さんは安心して斬ったり守ったりするための武具を売ってください」

武具屋「そ、そんなことで騙されるか!お、おれはなぁ!」

商人「な、なんですか」

武具屋「俺はうらやましいんだよ!!」

商人「な、なんと正直な・・・・・・・」

武具屋「俺にも美味しい汁すすわせろ!」

商人「そういわれましても」

武具屋「じゃ、じゃあこうしよう。俺のところの武具を勇者様が使ったってことにして売ればいい」

商人「はぁ!?」

武具屋「在庫は山ほどあるし、追加だっていくらでもきく」

武具屋「そんな数に限りのあるもん叩き売りしてちゃ、商売として続けていけねーだろ?」

武具屋「どうよ!?」

商人「う~ん・・・・・・」

武具屋「頼むって!なっ、なっ!」

商人「お断りします!」

武具屋「なっ・・・・・・」

商人「あなたも商売人としてそれが犯罪なのはお分かりでしょう」

武具屋「うっ・・・・・・」

商人「詐欺を働くつもりはありません。お帰りください」

武具屋「お、覚えてろ!てめぇ絶対後悔するからな!」

商人「はい、私は記憶力はいい方なので」

武具屋「くっ、くそっ!」

商人「ふぅ・・・・・、まったく。じゃあ、商売続けますか。安めの武器はそこそこ売れましたかね」

商人「では、防具を売っていきますか」

「待ってました!!」

商人「えっ・・・・・・」

「はやくっ!はやく見せろ!」

商人「え、ええ。じゃ、じゃあこれが勇者の着ていた布の服・・・・・・」

「買った!」

「おい、待て!俺が先だ!」

「なんだと!」

商人「はっ・・・・・・?」

「な、生身につけてたんですか!?」

「下もセットでください!!」

商人「ま、まぁ生身につけてましたけど・・・・・・」

「他にはないのか!」

商人「えっと、戦士の来ていた危ないビキニ・・・・・・」

「おおおおおおおおおおおおおお!」

「おい!押すな!」

「くれ!売値の倍出すぞ!」

「おい、ずるいぞ!」

「他にねーのか!」

商人「え、えっと・・・・・・僧侶の来ていた水の羽衣・・・・・・」

「ちょっ!それ透けてんじゃねーか!」

「しかも水だと!?僧侶ちゃんの水・・・・・・うへへへ・・・・・・」

「下はないのか!」

商人「ど、どうしましょう・・・・・・こんなつもりはなかったのですが・・・・・・」

「勇者ちゃんのパンツくれー!」

「戦士ちゃんのむれむれの鎧くれー!」

「僧侶ちゃんのスパッツー!」

商人「ええい!私も商売人の端くれ!そして一人の男!分かりました!皆さん!」

「おっ」

商人「オークションだああああああああああああ!」

「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」

ワイワイワイ

武具屋「町長!町長!」

ドンドンドンッ

町長「なんですか騒がしい」

武具屋「俺だよ!俺」

町長「俺俺詐欺はお断りです」

武具屋「いや、俺だって」

町長「なんですか、武具屋さん」

武具屋「いや、最近ここで商売してる商人のことでよ」

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