魔王「失脚してしまった・・・今後の生活どうしよう・・・」 10/14

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魔王「勇者様も飲んだのですか?」

戦士「この街16から飲めるんだってさー! あははは勇者のやつ馬鹿だからジュースだとおもってしこたま飲んでさー」

魔王「・・・大丈夫ですか?」

勇者「大丈夫だよ・・・ごめんね魔王さん・・・」

魔王「いえ・・・謝らなくてもいいですよ」

勇者「ごめんなさああああいいいい!! びえーー」

魔王「え・・・」

勇者「ああああああん! ごめんなさいいいい!!」メソメソ

魔王(めんどくさいことになったな・・・)

僧侶「ほぉら、せんしさんとわたし、どっちか愛してるほうのお酒のむといーよぉ」

戦士「選ばなかったら罰ゲーーーーむ!」

魔王「もうすでに罰ゲームじゃないですか」

勇者「じゃあもう一個追加だよ!!」ドン

僧侶「はぁい! 三つの中から選んでくださーい!」

魔王「・・・」

戦士「・・・ほれほれー、どうしたぁ? 迷ってるのかな? いっっっちばん好きな人の入れた酒飲めよな!!」

魔王「はぁ・・・・・・いいですよわかりました・・・」

グビッ…

グビ… グビ・・・

戦士「・・・・」

僧侶「・・・・」

勇者「ほえー・・・」

魔王「・・・ふー、これちょっと甘すぎですね」

戦士「全部のむなよぉ・・・」

僧侶「もーー! はっきりしてくださいってぇ!!」

勇者「うえええん、みんな嫌いってことだよーー!!」

魔王「・・・」

僧侶「・・・ほんとずるい大人ですね」

魔王「ずるい大人ではなくて、大人はずるいんです」

魔王「もうみなさん寝てください」

▼魔王はラリホーマを唱えた

僧侶「ふぁ・・・・zzz」

戦士「う・・・・・zzz」

勇者「びえええええ!!」

魔王「あれ・・・? もう一度」

▼魔王はラリホーを唱えた

▼しかし効果はなかった

勇者「うわあああん!! 魔王さんに嫌われたー!!」

魔王「おかしいですね・・・さすが勇者というべきか、魔法にかなり耐性があるのですね」

勇者「うぅ・・・・なんだか眠たくなってきた」

魔王「私の魔法よりお酒のほうが上ですか」

勇者「えへへ・・・魔王さぁん」のそのそ どすん

魔王「・・・う」

勇者「おやすみなさぁい・・・zzz」

魔王(参ったな・・・また動けなくなってしまった)

魔王(この子は運命の子)

ナデナデ

勇者「うにゃ・・・」

魔王(正義の象徴。闇をきりひらく剣)

魔王(新しい世界の樹立には、絶対に必要な存在・・・)

魔王(嫌なものだな・・・どうしてこういつも私は打算的なんだ)

魔王(しかし・・・きたるべき日は、もうすぐそこまで迫っている)

魔王(なんとしてでも守りぬかねばならないな。どんな手をつかっても)

勇者「ふぁ・・・zzz」

魔王(おっと・・・これ以上なでてはいけないな)

魔王(私の手は穢れきっている・・・この子には、毒にしかならない)

魔王(それともあなたは、こんな私の悪魔の手ですら、清めてくれるのだろうか)

魔王(君がかつてそうしてくれたように・・・)

――――十数年前

デーモン「殺してやった! ひゃはああ!!」

ゴースト「こんなやつ束でかかればたいしたことはない!」

デーモン「おい、どうした? なんでてめぇ手を貸さなかった」

私「・・・」

デーモン「ひゃはっ、なぁんてな! 俺はなんでもお見通しなんだよ!」

デーモン「てめぇがこいつに入れ込んで、裏から小細工してたことはよ!!」

私「・・・そんな事実は一切ない」

デーモン「あぁ、そう答えるのが利口だぜ。出世したかったらな、クハハハ!」

私「・・・」

私「・・・・」

私「・・・すまなかった。私のせいだ・・・」

私「やっと・・・これから全てうまくいくと思ったのに・・・!!」

私「馬鹿だな・・・」

私「こんなことになるなら・・・出会わなければよかった」

私「君を弱くさせたのは私だ・・・・」

私「私を弱くさせたのは君だ・・・・」

ゴースト「おい、帰るぞ。本国の魔王様がお呼びだ。きっときゃつを始末した褒美をもらえる」

私「・・・」

ゴースト「おい! きいているのか」

私「亡骸は、どこへいった?」

ゴースト「さぁな。そのへんで喰い散らかされてるんじゃないか」

ゴースト「楽しい戦いだったぜ。お前もくればよかったのに」

私「・・・そうか」

ゴースト「お前、杖はどうした? いつも肌身離さずもっていたろ」

私「・・・あぁ、もういらないんだ」

私「・・・魔術師は、やめたから・・・」

――――――

魔王「はっ」

勇者「わー! 魔王さん起きたよー!」

僧侶「めずらしいですね、居眠りなんて」

魔王「もう夜・・・か・・・」

戦士「いい夢みたか?」

魔王「夢・・・・・・あぁ・・・はい。お酒ぬけました?」

勇者「うん大丈夫だよ! それでね、いまから晩御飯さがしにいくんだよ!」

僧侶「魔王さんよっぽど疲れてたんですね。いいですよまだ寝てて」

勇者「うん! 魔王さんの分買ってきてあげるよ?」

魔王「いえいえ、一緒にいきますよ」

僧侶「なーんか休日のお父さんみたいでした」

魔王「はぁ・・・」

―街中―

勇者「あとでもう一回お風呂はいるんだぁ」

魔王「そうですかそうですか」

僧侶「あ! そうでした罰ゲーム」

魔王「・・・しっかり覚えてたんですね」

僧侶「だめですよ、こんどはずるいことして逃げちゃ」

魔王「あんまり難しいのは勘弁してくださいね。逆立ちで街を一周とかもできませんので」

僧侶「とーっても簡単ですよ!」

戦士「ぷぷっ。あ、いやなんでもない続けて」

魔王「?」

僧侶「発表します! 魔王さんは、この街をでるまで私達のことを『ちゃん』づけで呼んでください♪ プッ」

魔王「え・・・」

勇者「わくわく!」

僧侶「さぁ!」

魔王「・・・・僧侶さん、ちゃん」

僧侶「ぶぶー! そんなのだめでーす!」

魔王「そういう系はやめてくださいよ。私の歳を考慮してください」

戦士「した上で、だよなぁ?」

僧侶「はいもちろん!」

勇者「わくわく! はやく呼んでよ!」

魔王「・・・勇者ちゃん」

勇者「ほぅ!」

魔王「そ、僧侶ちゃん」

僧侶「うふふ・・・僧侶ちゃんだって」

魔王「せ、せんし・・・ちゃん」

戦士「・・・うわーなんかねちっこさがあってキモいなぁ。素でゾワってなった」

魔王「私もです」

戦士「なんだとぉ!!」

勇者「戦士ー、耳あかいよ」

戦士「お、おこってんだよ!」

僧侶「勇者様。戦士さんはですね、魔王さんに戦士ちゃんって呼ばれて嬉しいんですよ!」

勇者「へー」

戦士「だぁぁぁまれー」

魔王「それで僧侶さん。もう旅支度はできてるんですか」

僧侶「僧侶ちゃん。です」

魔王「・・・あなたはいつも一貫してますね」

僧侶「好きになりましたか?」

魔王「・・・そうですね。気に入りましたよ」

僧侶「ほらそうやってまたボカすでしょー。まぁそういうとこ魔王さんらしくて私は『気に入って』ますよ!」

魔王「・・・ずいぶんと手厳しい」

僧侶「だって私は勇者様一筋ですからー!」

勇者「魔王さん! もっかい呼んでー」

魔王「・・・勇者ちゃん」

戦士「旅の支度はできたよ」

魔王「そうなんですか戦士ちゃん」

戦士「!! て、てんめぇ・・・今の絶対わざとだろ」

魔王「そんなことないですよ戦士ちゃん。ルールですから」

戦士「・・・うっ、もうしらねーからな! 晩飯は各自!! 解散! 私飲み屋にいくから!」

僧侶「えーー!」

僧侶「あらら、行っちゃいましたね・・・。戦士ちゃん・・・ぷぷ」

魔王「これだれが得してるんですか?」

僧侶「罰ゲームってそんなものですよ? 常識ないですねー」

魔王「すいません・・・魔王なもので」

勇者「ご飯食べたいなー。アンチョビたべたいよー」

魔王「そうですね。では買って帰ったあと一緒に食べて」

勇者「わぁい!」

魔王「勉強しましょうね」

勇者「・・・・嫌い」

――翌朝――

主人「おはようさん。昨晩はおたのしみだったかい?」

魔王「えぇ」

主人「お、そりゃうらやましいねぇ!」

勇者「うーーー・・・痛いよー・・・歩きにくいよー・・・」

主人(えっ、こんな小さい子と!?)

戦士「あーイテー・・・調子こいでやりすぎた・・・」

主人(こっちの美人さんとも!?)

僧侶「もうっ、加減をしらないからそうなるんですよ。また魔王さん大変だったんですから」

僧侶「まぁかくいう私もかなりご迷惑をかけてしまいましたが」

主人(このべっぴんさんともかい!!! なんちゅう罪なやっちゃ!!)

魔王「お世話になりました」

主人「お、おう・・・・」

―船着場―

魔王「ほら、まっすぐ歩いてください」

勇者「だってぇ・・・頭いたいよー」

戦士「ばーーか・・・飲み過ぎるからだ・・・」

僧侶「そういう戦士さんこそ、ふらふらじゃないですか」

戦士「うるせー、店で飲んで部屋でも飲んだからそりゃこうなるって・・・」

僧侶「一日何回も飲むもんじゃありませんね・・・イツツ」

魔王「ほどほどにしてください。これから船にのるっていうのに」

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