魔王「失脚してしまった・・・今後の生活どうしよう・・・」 7/14

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魔王「えぇ、危うく・・・いえ、なんでもありません」

戦士「はぁー、こいつ隣でずっと泣いててさぁ。大変だったよ。敵には襲われまくるし」

僧侶「びええええん勇者さまぁあああっ・・・あ、なんか臭いですー」

勇者「ごめんね! 心配かけてごめん!」ナデナデ

僧侶「ひっぐ・・・ほんと・・・・・・うぅっ、うっ・・・・くさいです・・」バタッ

戦士「うわお前ほんとにくさいな。猿の臭いするわ」

勇者「これお土産にもらったよ!」ヒョイ

戦士「なんだよそれだな」

勇者「うーん、腰巻?」

魔王「おそらく勇者様に着せるものだったのでしょう」

勇者「え、なんで?」

魔王「まぁ、いろいろ風習がありまして。花嫁衣裳といったところでしょうか」

戦士「お前なー危うく猿の仲間入りするとこだったんだぞ」ツンツン

勇者「へぇー」

魔王「それを笑顔でうけとったということは・・・」

勇者「?」

魔王「いえ。なんでもありません・・・」

戦士(もうこねーほうがいいよな・・・)

僧侶「う゛~~ん・・・勇者さまぁ・・・」

勇者「なんだかよくわからないけど・・・これは戦士にあげるね!」

戦士「いらねー!!」

・・・

僧侶「すっかり夜更けですね」

魔王「食べ物もまだ確保できてませんし、寝床もありません」

戦士「まいったなぁ・・・」

勇者「うぅー・・・」

僧侶「勇者様はくさいし、ご機嫌斜めでうーうー言ってるし・・・困りましたねぇ」

魔王「そうですね、せめて一息つけるところがあればよいのですが」

戦士「日がくれてから敵との遭遇もおおいぜ・・」

魔王「夕飯時ですからね」

戦士「おいおい・・・こえー事言うなよ」

勇者「うーーー」

僧侶「はいはい勇者様。おんぶしてあげますね。よいしょ(う、臭い・・・)」

戦士「甘やかすなよー」

勇者「今日はつかれた・・・眠い・・・お腹すいた・・・」

戦士「ん。明かりが見える」

僧侶「誰かいるのでしょうか。他の旅人とか・・・?」

魔王「行ってみましょう」

戦士「おいおい大丈夫かよ」

ガサガサ

僧侶「わぁ・・・!! 焚き火!」

戦士「お! みろよ! そっち温泉だぜ!」

魔王「・・・」

僧侶「ほんとですか!? 勇者様! おきてください! お風呂ですよ!」

勇者「んぅー・・・・お腹すいた」

戦士「し、しかもご丁寧に飯までおいてあるぜ!」

勇者「ごはんだー!」

僧侶「おかしいですね、やっぱり誰かいるのでは・・・?」

魔王「・・・」

戦士「でもみてると腹減ったな・・・」

僧侶「うぐ・・・そうですね・・・おーい誰かいませんかー?」

勇者「たべたいな! たべていいのかな!?」

魔王「・・・ふふ、大丈夫でしょう。いただきましょう」

僧侶「え? いいんですか?」

戦士「誰か持ち主いるんじゃねーの? 勝手に食べたら怒られるぞ」

魔王「どうやら、私たちのために用意してくれたようです」チョイチョイ

僧侶「なんですか? 下?」

勇者「あー! 猿の字だ! あははは変なのー」

『 どうぞごゆっくり -キラーエイプ一同-』

魔王「ありがたいことですね」

戦士「わたしら・・・歓迎されてんの?」

僧侶「勇者様お猿と仲良くなったんですか?」

勇者「もぐもぐ♪」

・・・

勇者「よーし!」ヌギヌギ

魔王「・・・」

戦士「わわっお前な! そのいきなり脱ぎだすのやめろ」

僧侶「ご飯も終わりましたし、早速入りましょう! 私天然の温泉なんてはじめてです!」

戦士「こ、こらっ・・・」

魔王「それではしばらく外します。火の番でもしてますよ」

戦士「わ、悪いないつもいつも・・・」

勇者「・・・」キュ

魔王「どうなさいました?」

勇者「魔王さんも一緒に入ろうよ!」

戦士「はぁ!?!?」

魔王「えっと・・・それは・・・」

勇者「だめなの?」

魔王「だめというか・・・なんというか・・・」

僧侶「うふふ・・・私は全然いいんですよー?」

魔王「あなたはもうすこし恥じらいがあったほうが良いかと・・・」

僧侶「だって私たち仲間じゃないですか!」

勇者「そうだよそうだよ! 魔王さんだけいつも一人なんてだめだよ!」

魔王「はぁ・・・」

戦士「・・・じゃ、じゃあさ・・・勇者と僧侶と魔王で入れよ・・・」

勇者「だめです!」

僧侶「戦士さん!」

戦士「だって・・・なぁ?」

魔王「あはは。すごく神経が磨り減りそうですね」

勇者「これは勇者命令です!」

戦士「でたよ・・・そういうのわがままって言うんだぞ?」

魔王「仕方ないですね・・・」

勇者「いいの・・・? やったあ!!」

――温泉――

戦士「うお・・・(濁っててよかったぁ・・・)」

僧侶「あったかーい」

勇者「魔王さんまだかなー?」

僧侶「いい年して何恥ずかしがってるのやら」

戦士「ふつーだふつー」

僧侶「あ、でももし魔王さんがもしケダモノになったら私勇者様をお守り通せるかわかりません、きゃー!」

戦士「あーはいはい。大丈夫だから、ほらちゃんと肩までつかれって」グイッ

僧侶「やめてください! 手冷たいですよ」

戦士「 つ か れ ! 」

僧侶「な、なんなんですか・・・どうして戦士さんそんなに必死なんです」チャプン

勇者「気にしなくていいのにねぇ?」

僧侶「そうですよ。あの人枯れてるでしょ」

戦士「・・・」

魔王「どうも、枯れてて申し訳ございません」

勇者「あ! 魔王さん!」

僧侶「こっちですよー。いいお湯ですよー」

戦士「ばかあがるなっ!」グイッ

ザプン

僧侶「・・・うー」

魔王「ははは。美女と湯けむりとは、長生きするものですね」

戦士「いうほど大した歳じゃねーだろうに」

勇者「こっちきて! 隣きて!」

魔王「ふぅ、いいお湯ですね」

僧侶「お猿が使ってるんでしょうか?」

魔王「彼らは身を清めるときにしか使いませんので、普段は綺麗に保たれているんでしょうね」

戦士「・・・助かったよ。あんたがいて良かった」

勇者「ほんとだよー! あやうく食べられてるとこだった!」

魔王「この辺りは旧政党の熱烈なシンパが多いようですね。私もずいぶん助かりました」

戦士「な、なに!? しんぱ?」

魔王「いえ、ひとりごとです」

僧侶「みてみてーお肌つやつやですー」

勇者「すごーい!」

僧侶「勇者さまもつやつやー、ほれほれー」

勇者「きゃんっ、くすぐったいよぉ」

魔王「・・・」

戦士「・・・むむ」

魔王「戦士さんもお綺麗ですよ」

戦士「う、うるせー、見てんじゃねーよ」

魔王「これは失礼。ですがこう前左右を囲まれていては・・・どうしても目のやり場が・・・」

勇者「なんだかこうしてると家族みたいだね!」

魔王「家族・・・?」

勇者「家族でお風呂にはいったらこんな感じなのかなぁ?」

魔王「家族ですか・・・」

勇者「うん! 僧侶がお姉ちゃんで」

僧侶「お姉ちゃんですよー、こちょこちょ」

勇者「あははっ、で! 魔王さんがお父さんでしょ?」

魔王「・・・お父さんですか」

勇者「で! 戦士がー」

戦士「あ! や、やめろって! それは言うな!!」

勇者「え?」

戦士「・・・・」

僧侶「じー」

戦士「のぼせたからもうあがる!! じゃあな! ごっゆくり!!」

僧侶「プッ・・・戦士さんったら」

魔王「・・・・」

勇者「怒らせちゃった?」

僧侶「いえいえ。あの人恥ずかしがり屋さんなんですよー困った人ですねー」

魔王「勇者様は、本当のご家族はどうなさっておられるのですか?」

勇者「うーん・・・」

僧侶「勇者様は南の果ての村で生まれ、ずっと一人ぼっちだったそうです」

魔王「両親はいないのですか」

僧侶「はい、そう聞いています。教父をやっていた私の叔父上様が幼い勇者様をひきとり、育てました」

僧侶「でもその叔父も病床に伏し、亡くなったのがもう3年も前」

僧侶「それ以降行方をくらました勇者様をずっと私は探していてですね」

魔王「そうですか・・・」

僧侶「ようやく情報をもとにみつけたんです」

勇者「ご飯たべてたら急にバーンっておしかけてきたんだよ!」

僧侶「心配してたんですよ?」

魔王「その三年の間はなにをなさっていたのですか?」

勇者「森で動物たちと暮らしてたよ!」

僧侶「・・・だから少し、その・・・ね? 知能が・・・」

勇者「失礼しちゃうなぁ!!」

魔王「なるほど、森暮らしですか」

魔王「いやいや、このお年にしては妙に知能と身体能力の成長がちぐはぐだと思ってたんです」

僧侶「でしょ!? だから私は今一生懸命お勉強をおしえてるんです」

勇者「きらいだよー、頭いたくなっちゃう」

魔王「私も教えられることは全てお教えしましょう」

勇者「え~~!? やだよー」

僧侶「よかったですね! 勇者様は強く賢くなきゃ!」

勇者「・・・う゛ー、魔王さーん」

ピトッ

魔王「う・・・」

勇者「僧侶ったらね、勉強おしえるときは厳しいんだよ?」

魔王「そ、そうなんですか?」

勇者「答えがわかるまでご飯抜き! なんていうの!」

魔王「それだとしつけですね」

僧侶「一番効果的でして・・・あはは」

勇者「魔王さんは優しく教えてくれるといいなー?」

キュ

魔王「う・・・」

僧侶「勇者様、魔王さんが困惑してますよ」

勇者「え?」

魔王「ゴホン・・・」

僧侶「勇者様が色っぽくて動きたくないそうです」

勇者「・・・色っぽいの? ねぇ僧侶より色っぽい!?」

魔王「え、えぇ・・・そうですね・・・」

僧侶「あ、ひどいです! 私のほうがずーーっと発育いいんですから」

ザバッ!

勇者「ふーんだ! すぐそんなの追い越しちゃうから!」

ザプッ!

魔王「・・・う」

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