魔王「失脚してしまった・・・今後の生活どうしよう・・・」 5/14

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14

――朝――

戦士「おーい起きろー」

僧侶「ムニャ・・・zzz」

勇者「う゛~ん・・・ぅーん・・・」

戦士「だらしねぇ格好で寝やがって」

魔王「・・・」

戦士「ほら、早く起きねーと魔王に襲われちゃうぞ」

僧侶「うにゃ・・・ふぁ・・・zzz」

勇者「う゛~~・・・」

魔王「勇者様。朝食の準備ができてるそうです」

勇者「・・・」ムクリ

戦士「おはよ。よく眠れたか?」

勇者「・・・・うん」

僧侶「キャンッ・・・どこさわってるんですかぁ・・・えへへ・・・zzz」

戦士「おーい、起きろお」ペシペシ

僧侶「うぁ!?」ムクッ

僧侶「・・・・朝ですか」キョロキョロ

勇者「おはよう僧侶」

僧侶「おはようございます。あれ、いつのまに寝たんだろう。ていうかなんだか頭が痛いです」

勇者「・・・」

戦士「飲み過ぎだばーか」

魔王「ゴホン、ではちゃんと服をきたら食堂へ向かいましょうか」

僧侶「服・・・・まぁ!」

戦士「まぁ!じゃねぇよ・・・さっさと着替えろ。素裸一歩手前じゃねーか」

僧侶「ど、どうしてこんなことに・・・はっ! 勇者様のケダモノ!」

勇者「ち、ちがうよぉ! 魔王さんきいて僧侶が昨日の晩ぎゅうううってね」

魔王「わかりましたわかりました後で聞きますから、ほら。着てください」

勇者「ありがとー」

戦士「お前らはもう少し恥ってものを知れ」

勇者「・・・はじ?」

僧侶「え? 仲間じゃないですか」

魔王「・・・」

戦士「仲間とは言えだな、さすがに魔王に失礼だろ」

僧侶「あ、そ、そうでした。きゃあ見ないでくださいっ」

戦士「なんだそのとってつけたようなポーズ」

魔王「・・・では先に行ってお待ちしております。勇者様、ちゃんと顔を洗うんですよ?」

勇者「はーい」モソモソ

戦士(まるでお守りだな・・・間違っちゃねぇけど)

僧侶「うー、昨日の記憶があんまりありません」

戦士「そりゃああんだけ飲んでたからな」

僧侶「私なにかしでかしました?」

戦士「一目瞭然」

勇者「ずっとスライムのマネしてたよ」

僧侶「スライムのマネですか・・・」

勇者「・・・」じー

僧侶「なんでしょう」

勇者「戦士のいったとおりにしたら助かったよ」

戦士「殴ったのか」

僧侶「え? え?」

勇者「僧侶なんてしーらないっ。いこ、戦士」

僧侶「えっ! ちょっとまってくださいよ! なんのことやらさっぱりなんですが」

戦士「お前はとうぶん酒禁止だ」

僧侶「そんなぁー」

勇者「許してあげないから!」

戦士「相当ひどいことしたんだな」

僧侶「うぅ・・・お酒は魔物です・・・」

―食堂―

魔王「ではつぎの進路について、検討しましょうか」

戦士「この街には滞在しねーの?」

僧侶「お買い物とかしたいですねぇ?」

戦士「金ねーよ」

勇者「もぐもぐ。もぐもぐ」

僧侶「ソーセージ一本あげますね。あとグリーンピースもあげましょう」

勇者「いらないよ? ・・・いらないからのせないで!!」

僧侶「あははいっぱい食べて大きくなるんですよ」ナデナデ

戦士「で! どうすんだよ聞いてんだろ」

魔王「北にまっすぐ進んで山を越えるか、西の平野を横切って迂回するか」

魔王「どちらにせよ目的地は一緒です」

勇者「どこにむかってるんだっけ?」

僧侶「港街ですよ。そこから船にのってお隣の島へ行くんです」

勇者「船かぁ。乗ったこと無いから楽しみだなー」

僧侶「すっごい揺れるらしいですよ」

魔王「滞在費がないので今日中にここをたつことになりますね」

戦士「来てすぐバイバイって寂しいなぁ」

魔王「ここには大衆娯楽が多そうですからね」

勇者「いいよ。勇者だもん! いこ!」

僧侶「ですね。遊びにうつつを抜かしてる場合ではありません」

戦士「・・・だな」

魔王「勇者の鑑ですね」

僧侶「え? はいけどお金があったら遊んでましたよ。ねぇ?」

戦士「・・・お前はほんとに俗な奴だな」

僧侶「あたりまえじゃないですか! 私たちくらいの歳で旅をしてる人なんてそういませんよ」

僧侶「女の子はいっぱいおしゃれして遊ばなきゃ」

戦士「そうかいそうかい。おしゃれじゃなくて悪かったね」

魔王「いえいえ、戦士さんの普段着も可愛らしいですよ」

戦士「・・・ほんと口ばっかだな」

僧侶「なにてれてるんですかぁ♪」ツンツン

戦士「照れてねーよ!」

魔王「それで、どうしましょうか?」

僧侶「ここは勇者様にきめてもらいましょう。ねぇ勇者様」ユサユサ

勇者「? もぐもぐ」

戦士「近道か遠回りかどっちがいい?」

勇者「近道! だってそのほうが早くつくし!」

戦士「だとさ」

魔王「確かに山を越えるのは近くていいんですが」

戦士「が?」

魔王「山に生息する魔物は少々凶暴ですので・・・危険も多いかと」

戦士「いい修行になるじゃん! そろそろ剣の腕をあげたかったんだ」

僧侶「そうですよ! 山ごもりです!」

魔王「そうですか、なら良いのですが」

勇者「魔王さんがいたらなにかあっても大丈夫だよね!」

魔王「いえいえ、私なんてもはやなんの力も影響力もないただの一魔物ですよ」

勇者「そうなの?」

戦士「せめて攻撃魔法がつかえればなぁ」

魔王「申し訳ないです。杖があればまだ少しは・・・」

戦士「なんでないんだよ」

魔王「この島へ来るときに路銀に変えてしまって」

戦士「はぁ・・・貧乏は罪だぜ」

僧侶「魔王さんは魔王だったのにお金なかったんですか?」

魔王「魔王は失脚すると財産を没収されてしまいますから」

僧侶「ひどい話ですね」

魔王「まぁしかたないですよ。いままでもそうしてきましたから」

戦士「大変なんだなぁ魔物の国も」

勇者「もぐもぐ・・・」

・・・

主人「おや、出発かい?」

魔王「はい。一晩お世話になりました」

主人「昨晩はおたのしみだったかい?」

魔王「え・・・」

主人「ヤルネェ! 若くて綺麗な娘っ子3人もはべらして」

魔王「んん、ゴホン。いえいえ、そういった間柄とも違いますので」

主人「ま、がんばりな。あんたらの旅応援してるぜ」

魔王「どうも」ペコリ

勇者「魔王さーん! はやくはやくー!」

魔王「はいはい、いまいきますとも。走らないでください」

勇者「グリル肉おいしかったよね! またたべにこようね! 絶対だよ!!」

魔王「えぇ、その日をたのしみにしています」

――山奥――

勇者「うすぐらいねー」

魔王「かなり深い森のようです。足元に気をつけてください」

戦士「こんなとこで敵におそわれたらたまんねぇなぁ」

僧侶「そうですね。とくにスライムとか」

勇者「スライムはやだよー。逃げようよー」

魔王「おや、近くにすでにひそんでいるようです」

勇者「えーー!?」

▼まもののむれが現れた

勇者「やっつけるよ!!」

魔王「右がグリズリー、左がキラーエイプといいます」

戦士「よっしゃ! 私じゃあ熊のほう。勇者は猿な」

勇者「うん!」

魔王「グリズリーは非常に力が強く、動きも機敏です。気をつけてください」

戦士「わかった」

熊「グルルルル」

魔王「勇者様、キラーエイプはグリズリーほどの力はないですがその分ずる賢く、奇抜な動きをしますので十分ご注意を」

僧侶「って勇者様!」

勇者「あー・・・つかまっちゃった!」

猿「ウキキィ! ウキャウ!」

戦士「おい馬鹿! なにやってんだ!!」

勇者「たすけてー・・・すごい力でふりほどけないよ・・・」

僧侶「今助けます!!」

熊「グルルルル」

僧侶「う・・・邪魔しないでください!!」

戦士「くそう。どきやがれ!」

魔王「まずいですね・・・捕まったということは・・・」

猿「ウキ・・・!」ピョンピョン

勇者「あ゛ーーーどこいくのーー!!」

猿「ウキャキャキャキャ」

僧侶「勇者様ぁー!」

戦士「ばっっかぁ・・・」

魔王「案の定つれていかれましたね」

戦士「案の定って! なんなんだよてか熊てめぇ邪魔!」

ズシュ

熊「クマァァァァアア!!」

僧侶「どうしましょうどうしましょう」オロオロ

魔王「私が後をおいかけます」

戦士「おいつけんのかよ。こんな深い森じゃどこいったかもわかんねーぞ」

僧侶「勇者様が殺されちゃいますっ!!」

魔王「それは・・・たぶん大丈夫だと思うのですが」

僧侶「どういうことでしょうか」グス

魔王「・・・繁殖期のキラーエイプはときおり人間の♀をつかまえて」

僧侶「赤ちゃんの餌にでもするんですか・・・?」

魔王「交配相手にするとききます。ボスに献上することもあるそうです」

僧侶「こう は・・・」ブクブク

戦士「お、おい! どこが大丈夫なんだよ!!」

魔王「ですから殺される心配はあまりないという意味で」

戦士「ふざけんななんで冷静なんだよ」

僧侶「勇者様が・・・・猿に・・・・」ブクブク

魔王「ひとまず僧侶さんを頼みます」

戦士「お、おう」

魔王「ここの場所を覚えておきますので、できるだけ動かないでくださいね」

僧侶「アハハ・・・勇者様が下劣な猿に・・・」

戦士「だ、大丈夫だって! きっと・・・たぶん・・・おそらく・・・」

魔王(無事だといいのですが・・・・)ヒュン ヒュン

・・・

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14